SPACEBATTLEGIRLヤマト   作:サイレント・レイ

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 今回の投稿前に“設定 艦娘”の書き換えを行いました。





 それでは本編をどうぞ。


第23話 ワープ、光を超えよ

――― 火星軌道 ―――

 

 

「……火星軌道に進入しました。

時間的誤差は一切ありません」

 

 オオヨドの報告ではヤマト達遠征艦隊は火星軌道に入ったらしいのだが、レーダーでなんとなく感じられているものの、火星が全く見えないので目視だけではあまり実感が沸かなかった。

 実際にアサシモとレシーテリヌイの2人の顔にその事が出ていたので、オオヨドに睨まれていた。

 

『総員に告ぐ、此れより人類初のワープテストを行う』

 

 通信を入れた沖田側も遠征艦隊が火星軌道に入ったのを確認して、予定通りにワープ実験開始を告げた。

 

『此の実験に失敗したら、君達は勿論、地球人類の破滅に結び付く。

各人気持ちを引き締めて心して掛かるように、以上』

 

 沖田の言った通り、往復33万6千光年の遠征を1年以内に出来るかどうかは此の実験でのワープ航法の確立に掛かっていて、不本意な形で前倒しとなった波動砲試射よりも重要なモノであった。

 実際、その事をよく理解しているヤマト達は顔を引き釣らせ、特に実際にワープ実験をやらされるヤマトは不安……と言うより貧乏クジを引かされた事への表れで首のスカーフを弄っていた。

 

「ヤマト、知っていると思いますが、ワープのおさらいをしますよ」

 

 ヤマトは少し間を置いてオオヨドに無言で頷き、続けてオオヨドが目線を向けたアマツカゼも頷いたのを確認して、セーラー服の首回りのスカーフを引き抜いて、そのスカーフを広げた。

 

「いいですか、イスカンダル遠征は通常での移動方法では、例え光の速さ、即ち光速の動きをもってしても1年以内での往復処か、イスカンダルに辿り着く事すら出来ません。

そこで求められるのが、光速を超えた航行法、ワープ航法なのです」

 

 そう言うと、オオヨドはスカーフの一角に右の人差し指を付けた。

 

「此のスカーフで言うと、此の場合は此の角から対角線上の角へ移動する事として、通常の航行法は対角線上に進んで行く事です。

それに対し、ワープは此の様に角と角を合わせた後に進む事です」

 

 オオヨドは通常航行法の例えとしてスカーフを対角線上一文字に擦り、今度はワープの例えとしてスカーフの角と角を合わせた。

 

「本来のワープとは、“歪める”と言う英単語の“Warp”の通り、空間をねじ曲げると意味合いなのです」

 

「え~…つまり、そうやって空間を飛び越えるって思っていいわけ?」

 

 理解に苦しんでいるチトセにオオヨドは「はい」と言って頷いた。

 

「…あたしゃには、さあぁっぱり分かんない」

 

「ふん、レディである私はしっかり理解したわよ!」

 

 元々こう言う事がからきし駄目なアサシモがゲッソリし、そんな彼女にレシーテリヌイが胸を張っていたが、実際は分からないのに見栄を張っている事を察していたヴェールヌイが冷たい目で姉を見ていた。

 

「で、どうやって空間を曲げるの?」

 

「今からそれを説明しますよ」

 

 ヤハギのフライング気味の質問にオオヨドが苦笑したが、元々オオヨドはウンチク女王の気質があった為に先程から妙に興奮して他の者達が少し引いていたが、そんな彼女の気質を知っているアケシのみは苦笑していた。

 

「ワープには種類は4つ、先程も言った通りの“空間歪曲型”、純粋に光速を遥かに超越する速度で航行する“通常推進型”、一旦別宇宙に飛んだ後に元の宇宙に戻ってくる“平行宇宙型”、先の空間歪曲型に似ているワームホールを作る“ワームホール型”です。

今までの地球の技術力では4つとも全てが不可能でしたが、今回イスカンダルからもたらされた波動エンジンによって空間歪曲型が可能となったのです」

 

 オオヨドの説明に全員が「ほぉ」と溜め息を吐き、“イスカンダルさまさま”と思っていたが、一部ではイスカンダルに疑問を感じる事があった。

 

「ですけど、今回は地球側の技術力に加えて時間的猶予が無かった事が原因で、ヤマトのイスカンダル製のは別として、駆逐艦処か巡洋艦でさえワープに艤装が耐えきれない公算が大なのです。

蛇足ですが、波動砲はもっと駄目で、現在では戦艦娘であってもヤマト以外の者には扱う事は出来ません」

 

「それ、駄目じゃない!!」

 

 カスミの怒鳴っての指摘にオオヨドが溜め息を吐きながら頷いた。

 但し、時間さえあれば此の問題は解決可能で、実際イスカンダル遠征での運用経験を元に駆逐艦やパトロール艦でも単独ての空間歪曲型ワープが可能、全ての戦艦や一部の巡洋艦(要するに重巡)でも波動が使用可能となる新型波動エンジンを2201年ごろから開発・量産に至る事になるのだが、それはまだ未来の話であった。

 

「そこで防衛軍が考えたのは、ワープ可能な艦娘がワームホールを展開した後、他の者達が波動防壁を展開して飛び込む、空間歪曲型とワームホール型の折檻型を採用しました」

 

「只、それだと空間歪曲型と空間超越距離が落ちるって聞いたけど?」

 

 妥協に近い形の空間歪曲型とワームホール型の折檻型は、主体としては空間歪曲型に取って代わられるのだが、改良発展を続けられて“トランスワープ”に進化して使用し続けられる事になる。

 

「勿論その欠点は分かっています。

落ちた1回分の空間超越距離は回数を増やして補います」

 

 ヤマトの質問に答えたオオヨドは後ろのショウカクとズイカク、そしてアケシに振り向いた。

 

「基本ローテは1番距離が飛べるヤマトとしますが、ヤマトが休息・整備をしている間にショウカクとズイカクにワープをしてもらいます」

 

 此のオオヨドの発言に、ショウカクは無反応だったが、ズイカクは「え~」と呻いていた。

 

「後、私もワープは出来るのだけど、私の波動エンジンは試作品だから総合的全てに劣るから、私のは最後の手段と心得ておいてね」

 

 アケシにヤマトが頷いたが、同時に再説明を長くさせ過ぎたオオヨドが沖田に注意されていた。

 直ぐにオオヨドはワープ着地点の予定座標である木星の沖合いを調べていて、此の間にヤマトはアケシとアマツカゼの最後の確認と整備を受けていた。

 此処まで来たら“まな板の上の鯉”状態であり、現にヤハギ達他の面々は気を引き締めようとするも不安を拭えないでいた。

 

「ズイカク、どうして戦闘モードにするの?」

 

 でそんな中、ズイカクが艤装を戦闘モードにして目を瞑って弓を持ったまま腕を組んだ事にショウカクがキョトンとしていた。

 

「そっか、戦闘モードなら波動防壁をより強く展開出来ますヨネ」

 

「なにびびってんのよ!!」

 

 丹陽がズイカクの狙いを察して納得しつつ自分も真似しようかと思ったが、イソカゼに胸を小突かれていた。

 

「ワープ座標、確認出来ました。

空間に異常はありません」

 

「最終調整完了!」

 

「同じく完了!」

 

 オオヨドの解析が終わって、更にアマツカゼとアケシのも終わっていよいよその時が来た。

 後はヤマト次第、そのヤマトも不安や、一番高性能且つ頑丈と言う理由で貧乏くじに近い形で選ばれた事への不満はあったが、より負担の大きい波動砲の試射に成功している事から、ある程度は気を楽にする事が出来ていた。

 

『ワープ!!!』

 

「ワープします!」

 

 沖田の号令にヤマトが復唱しながら実施、急加速した後に前方に展開されたワームホールに先頭のヤマトが押し入る様に進入した後に全員が彼女に続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― 木星沖 ―――

 

 

 火星軌道でのワープから僅かに3分後にヤマト達は通常空間に戻ってきたが、ワープの影響で19人全員が失神していて、狙い通りの何も存在しない宇宙空間に出た為に重力等の静止要素となるモノが存在しないので“慣性の法則”の通りにそのまま前進していた。

 

「……うっ。

みんな、無事?」

 

 少しした後に、最初にヤマトが強烈な頭痛を感じながら目を覚まして失神している他の者達を確認したが、その他の者達も次々に目を覚ましていっていた。

 

「…成功……したの?」

 

 ヤハギ達もヤマトと同じ様な頭痛を感じているらしく、全員頭を押さえていたが、一見した処だと全員無事の様だった。

 此の間に、ヤマトは最新のデジタル式腕時計と旧海軍時代からの愛用品のアナログ式懐中時計(覚醒当初は錆びて壊れていたが、防衛司令部に依頼された時計職人の重鎮の手によって完全に修復)の2つで時間を確認、時間だけは予定通りだった。

 

「…何だったの、あのデカイ亀………っ!!!」

 

…訂正、ヤマト達から少し離れたカスミが屈んで吐いてしまい、ヤマトが見たくもないカスミの汚物に目線を反らしたが、その向いた所でハツシモが何かの袋へ、更に反らした方角でアサシモもハマカゼに背中を擦られながら吐いていたので、複数の負傷者(?)が出てしまった。

 尤もヤマトも軽めの吐き気と頭痛を感じていて、見た処他の者達も同じ様だった。

 当然ながら、直ぐにチトセがアサシモ、ハツシモ、カスミの順に3人を診察(且つアケシから借りた小型バーナーでの汚物の焼却)していたが、何故かチトセのみは頭痛や吐き気がないらしく、1人だけ元気にしていた。

 

「…ああ、ワープで酔っちゃったみたいね」

 

「酔い?」

 

「ええ、病状が二日酔いや船酔いのに似ているからね」

 

 チトセの言う通り、確かに頭痛と吐き気は昔やった船酔いのに似ていてので、ヤマトは納得した。

 

「3人とも少し安静にする必要があるけど、その内に慣れていくわよ。

どう、迎え酒を飲む?」

 

 更にヤマトはチトセが1人元気だったのは、飲兵衛であった事で酔いに高い耐性を持っていた為だった事を理解していた。

 現に3人の中で一番状態の酷いカスミに注射を射ちながら酒(多分チトセカクテル)を笑顔で進めるチトセ、普段なら怒る筈なのにチトセの顔を見ずに右手を振って“いらない”と示しているカスミの対比から見て取れた。

 

「…イソカゼさぁん、私、3つに別れた気がしたんデス」

 

「いや、私は白亜期の恐竜達を見た気がする」

 

「私は地球が別の惑星と衝突しそうだったのを見ました」

 

「僕は自分自身と正面衝突した、自分でも言っている意味が分からないけどね」

 

「私は海みたいな所に墜落した。

どうやら平行宇宙型が少し交ざったみたいだな」

 

「……っ! ひや!!!」

 

「っ! ショウカク姉、ワープ中に裸にならなかった!!?」

 

 酔いをまぎらわそうと丹陽、イソカゼ、アキヅキ、ハツヅキ、ヴェールヌイの5人がワープ中に体感した事を話し合っていたが、此の5人の会話で何かを思い出したショウカクが胸部を両腕で押さえながらしゃがんで、ズイカクが直ぐに駆け寄り、そのズイカクに睨まれた事をヤマトが理解出来ずに怪訝の顔をしていた。

 

「それよりも、ワープはどうなったの!!?」

 

 酔いが冷めて代わりに頭が回り始めたイスズの言う通り、先ず追求すべきはワープの成否であり、直ぐにアケシ、オオヨド、アマツカゼの3人が各々の確認作業を始めた。

 

「オオヨド、タマ達は何処にいるんだニャ?」

 

「待って下さい!

防衛司令部に連絡を入れなくてはいけませんし…」

 

 タマが自分達の所在確認をせっつかせていたが、オオヨドは防衛司令部への連絡をする必要もあって慌てふためいていた。

 

「……っ、みんな、あれ!」

 

 尤も大まかな所在は、波動エンジンの確認の為にアマツカゼがへばり付いている状態のヤマトが、何かに気付いてそちらを指差した事で、少しの間だけ全員が硬直してしまったが直ぐに分かった。

 何故ならヤマトが示した先……遠征艦隊の左前方には、環を携えた独特な縞模様のガス状惑星が存在していた。

 

「あれって、土星?」

 

「違います!

アレは木星ですよ!」

 

「木星? だって環がありますよ?」

 

 ヤマトは環の存在で前方の惑星を土星と勘違い(と同時にワープが行きすぎたと思っていた)して、テルヅキが木星だと確認した後も疑っていた。

 

「……そうか!

ヤマトさんは木星にも環がある事を知らないのでしたね」

 

 テルヅキが気付いた通り、アメリカの探査衛星『ボイジャー』によって木星の環が確認されたのは1979年だったので、1945年に戦没したヤマトが知らないのも無理はなかった。

 一応、此の事は前人未到の星間航海に出る以上は最新宇宙学の1つでヤマトにも教えられていた筈なのだが、どうやら此の時のヤマトは忘れていたらしく、そんな彼女に向けたズイカクの馬鹿にしたかの様な目線を感じて、思い出すと同時にズイカクを睨んでいた。

 

「前方、障害物無し。

重力場の影響無し!

ワープ座標、誤差許容範囲内!!

時間と共に問題無し!!」

 

「微調整が必要だけど、波動エンジン異常無し!」

 

「全遠征艦隊要員、取り敢えずは命に別状なし」

 

「全員の艤装に損傷を認められず。

ワープ成功ね」

 

 木星が確認出来た事もあって、オオヨドが防衛司令部に確認連絡を取りながらワープ座標に、アマツカゼはヤマトの波動エンジンを、チトセはワープ酔いの3人以外のも含めた簡易診断結果を、そしてアケシが全員の艤装を確認して、全て(?)に問題が無かった事でワープ実験は成功と判断された。

 

「……なんて、力…」

 

 ワープ実験成功に、ヤハギ達(及び連絡を受け取った防衛司令部)は各々に喜び、オオヨドとアケシが沖田に一礼しながら改めて通信していた。

 そしてワープをやったヤマトは、首のスカーフを少し緩めた後に自分の両掌を見つめていた。

 

「木星、か…」

 

 だが数ヶ月前に防衛艦隊が敗走してユキカゼ達大勢の艦娘達が亡くなった海戦の舞台となった軌道の主である惑星へ向けて、イソカゼを初めとしてハマカゼ、アマツカゼ、丹陽、チトセ、ショウカクの計6人は静かに敬礼していた。

 彼女達の死を決して無駄にしない、敬礼をしなかった者達を含めた全員が改めて英霊達に誓っていた。

 

「……?

オオヨド、1時の方向に何かいる!」

 

 そんな時に前方で何かを見つけ、オオヨドに調べるように頼んだ。

 で調べた結果、オオヨドが血相を変えて叫んで伝えた答えに、全員がギョッとした。

 

「ガミラス艦隊です!!!」




 感想・ご意見お待ちしてい、ま(す)!!?

























瑞鶴(弓矢、構え中&橘花改、多数展開)
「作者さん、何でワープ中の透け透け、翔鶴姉にやらせたの?
此の作品の森雪ポジは、私だった筈だよね?
だったら、私にやらせるのが筋だと思うんだけど?」

…自分の(甲板)胸に聞きなさい。

瑞鶴
「…(何かが切れた)…全機、攻撃開始!!!
怒りを込めて、弾薬が尽きるまで、撃ち続けなさぁぁーい!!!」

 それ、土方提督の死亡プラg(爆弾、多数直撃)

本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?

  • 実写版通りに、特攻
  • なんとしてでも、地球に帰還
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