SPACEBATTLEGIRLヤマト   作:サイレント・レイ

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プロローグ 少年と大和

 此の日の鹿児島の沖合いの海は“五里霧中”を具現化したかの様に白い濃霧で朝日を出迎えていた。

 だがそんな日でも地元の漁師は、生きる為に小舟で海へ乗り出して漁をしていた。

 

「…お祖母ちゃん、何かが来るよ」

 

「…っ!?」

 

 漁の手伝いに一緒に乗り込んでいた孫が、霧の先から近付いてきている存在を報せた為に“ギョッ”とした祖母は孫が示した先を見詰めながら硬直した。

 何故なら、此の海域は日本本土の近海にも関わらず、全人類を殲滅しようとする敵対者達……そして此の孫の両親を、父親をフィリピンのゼラバンカの戦場で、母親を東シナ海で各々殺した者達の勢力範囲であったからだ。

 しかも不味い事に霧が少しづつ晴れ始めていた。

 だが霧の先にいる存在は確かに近付いてはいるが、自分達の所に向かわずに通りすぎようとしていたのが分かって安堵の息を吐いた。

 そして霧の中から現れたのは……見るからに重厚そうな装備を纏って、水上をスケートの様に滑って進んでいる少女達四人であった。

 

「あの人達って艦娘だよね」

 

「ああ、そうだよ。

あの娘達は駆逐艦みたいだね」

 

 どうやら艦娘達も二人を敵だと誤認しかけていたみたいで、二人の存在を確認すると艦娘達も立ち止まって安堵の息を揃って吐き、その内の一人が二人に頭を下げ、もう一人が後続に連絡しているようだった。

 少し遅れて、彼女達の仲間と思われる五人の者達が現れ……報告を受けた少しだけ年長と思われる者(多分、軽巡洋艦)が頭を掻いて、もう一人が二人を敵だと誤認したと思われる者の尻を蹴飛ばして、他の者達が笑っていた。

 

(しかし、何故彼女達がこんな所に?)

 

 祖母が疑問に感じたのは、日本の艦娘達は壊滅的打撃を被った事に加えて燃料不足で呉や横須賀等の日本各地の港に引き込もっていた為、輸送船の護衛にしては人数が多すぎた上、その輸送船の気配が全く感じられなかったからだ。

 だがその答えは、更に少し経過した後、霧の中から現れようとしていた……駆逐艦の物より遥かに重厚な装備を纏った者で全てを悟った。

 

「お祖母ちゃん、あの人って、戦艦?」

 

「ああ、そうだよ!」

 

 その装備と容姿から最後に現れた者が最強の存在である戦艦であるだけでなく、その者に揃って敬礼したのを見て、彼女こそが艦娘達が守ろうと従う旗艦だと簡単に分かった。

 だが祖母の腰に抱き付いた孫は戦艦である女性……金剛や扶桑に伊勢、そして最強にして最も日本国民に慕われた長門とは全く違う、その者の正体が分からずにいた。

 否、孫は分からないと言って警戒しているのでなく、その纏っている物も含めて“強く”“気高く”そして“美しく”の三単語を完璧に具現化し、特に艦娘にらしからぬ和傘を携えるに相応しい美形の容姿に見惚れたらしく、頬を赤くして照れていた。

 

「…大和だ。

アレは戦艦大和だよ」

 

「……やまと?」

 

 祖母の出した答えに孫は分からずにいたが、それは当たり前の事であった。

 何故なら大和は終始徹底的に秘匿されていたのだからだが、此の祖母は数少ない例外として大和を知っていたのだ。

 

「お祖母ちゃん、大和って長門や陸奥より強いの?」

 

「ああ、強いよ。

世界で一番強くて美しい艦娘だよ」

 

 孫が驚いている様だったが、その大和が二人に微笑みながら敬礼したのに気付いて、祖母の後ろに隠れてしまった。

 そしてその祖母が大和に答礼すると、大和は艦娘達を従えて前進を再開した。

 

「いいかい、よく覚えておくのだよ。

アレが戦艦大和、日本が世界に誇る、大和撫子の中の大和撫子だよ。

忘れないように、よーく見ておくんだよ」

 

「……大和…」

 

 祖母に抱き寄せられた孫は、敵の勢力下である表れとして不気味に赤黒く染まっている空と海の向こうへと進んでいく大和の後ろ姿をしっかり見詰めていた。

 そして祖母に言われなくても、戦いの場へ赴く大和に“不屈”と“誇り高さ”を見ていたが、実際の大和達は“絶望”と“悲壮”に満ちていたのを知る訳がなかった。

 だが唯一正しいのは、此の二人が戦艦大和を最後に目撃した人間であった事だ。




 感想・御意見お待ちしています。

 残念ながら2199では削られたけど、やっぱりオリジナルでの此のシーンは染みるねぇ~…

大和
「リアリティーを追求したからだと思いますが、あの作品では“大和≠ヤマト”になっている様ですからね。
実際、古代さんは戦艦大和を全く知らなかったですし…」

 確かにリアルを優先したら、ああするしかないと思いますが、アレだと“何故、地下都市じゃなくてあんな所で建造していた?”“戦艦大和に似せる理由はあったのか?”の二点が説明出来ない気がする。
 特に後者、東宝がメカゴジラを復活させる時に、メカゴジラがゴジラ型である理由を最優先で思案するそうなので、悪いですけど、短慮だったんしゃないかと思ってしまいます。

 それにしても“大和≠ヤマト”にしたリメイクシリーズ、“戦艦『大和』を使って乗組員達へ説得をする
古代”と“ヤマトを坊ノ岬の海底に還したいと思う沖田”の重要シーンがある完結編はどうするんだろ?



















武蔵
「それよりも、私の竣工日にこんな話を投稿したのは、何の当て付けだ!?」

本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?

  • 実写版通りに、特攻
  • なんとしてでも、地球に帰還
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