――― 火星・木星間小惑星帯 ―――
小惑星イカロス…1949年にドイツの天文学者ウォルター・バーデによって発見された、アポロ群に属する直径1kmの地球近傍小惑星の1つ。
その名は、水星よりも太陽に近づく事のある軌道長半径から因んで、太陽に近づき過ぎた為に蝋で固めた翼を溶かされて墜落死したギリシャ神話の男性(故に、愚か者の代名詞にされている)から取られていた小惑星は、地球への接近による衝突の危機を時折起こしていた事から、地球から危険視される事があるも、ガミラス戦時では基地建設への適正だけでなく、潜在的価値そのモノも無かったので、少なくとも地球は完全に無視していた。
だが、アブクマの木星からの望遠調査結果、イカロスに遊星爆弾の軌道修正&着弾観測の為の基地と、コードネーム付きの超弩級の存在が予想されて、にわかに注目されていた。
「皆、小惑星が密集しているから気を付けて」
此の為、アブクマを先頭にヤマト、ハツシモ、サミダレ、カスミ、アサシモの順での単縦陣で前進している6人は、小惑星群の合間を縫って小惑星イカロスを目指していた。
「思っていた以上に、密度が酷いですね」
「まるで私達を、先に行かせない様にしているみたいです」
「まったく、何で
「………」
「此の馬鹿!!」
速度を落として慎重に進んでいるとは言え、危険性のある進路にハツシモとサミダレの懸念に合わせてのアサシモの失言に、アブクマがシュンとしてしまった為にカスミがアサシモに拳骨をした。
「幸いな事に、ガミラスの艦隊はいないそうなので、慎重に進んで、損はないですよ」
「特にサミダレ、唯でさえアンタはドジなんだから、気をつけてよ」
「むぅ~!!」
たん瘤ができた頭を押さえているアサシモは置いておいて、ハツシモ達3人はガミラス艦隊がいない事から気を比較的楽に持てている事から、カスミがからかってサミダレが頬を膨らませていた。
「…艦隊がいない……ねぇ…」
「ヤマトさん、やっぱり気になりますか?」
だが、ヤマトとアブクマはガミラス艦隊不在からの妙な静けさもあって、ガミラスの動向を不信に思っている事から、逆に警戒心を強めていた。
更に言うと、ヤマトとアブクマの2人と同様に内心の不安で、ハツシモも妙に視線が泳いでいるし、カスミも変にサミダレとアサシモに絡んでいた。
「ほらほらアサシモ、アンタが殿なんだから、しっかりしなさいよ!」
「へいへい…」
『フフフ…』
「…っ!?」
アサシモがカスミの注意に軽く受け流しながら答えた直後、少しエコーが掛かった誰かの笑い声が直ぐ近くで聞こえた。
慌ててアサシモが笑い声がした方に振り向くと……暫く周囲を見渡していた後に、2つの小惑星の間で何かの左目が彼女を覗いていた。
「出たあぁぁー!!!」
「ふえ、な、何!!?」
「「「「…っ!!」」」」
「いたいた!!
あそこに、なんかいた!!!」
「……誰もいないし、何も反応は有りませんよ」
驚いたアサシモが悲鳴を上げながらカスミに抱き付いて、そのカスミが慌てふためいて、ヤマト達4人が直ぐに振り向いて身構えたが、アサシモが示した場所をハツシモが慎重に確認したが、そこには何も無かった。
「此の馬鹿!!!」
ハツシモの報告にアサシモが“えっ”としたが、ヤマト達は溜め息を吐いた後に前進を再開して、カスミは顔を赤くしてアサシモに2度目の拳骨をした。
「だっていたんだよ!
変な風も吹いたし!」
「空気の無い宇宙で風が吹くわけがないでしょ!
ホント、馬鹿なんだから!」
「でもい…」
『フフフ…』
「「…っ!?」」
アサシモが怒っているカスミに言い訳に近いのを言っていたが、アサシモが示した方とは逆の方から、また誰かの笑い声がした。
今度はカスミも聞いたらしく、2人揃って笑い声のした方にカラクリ人形みたいにゆっくり振り向いて暫く見つめていると、何かが小惑星群の間を高速で動いたのを見えて、抱き合って硬直してしまった。
「…な……な、いただろ」
「……な、何、今の?」
「ゆ、幽霊?」
「止めてよ!
わ、私、お化けって、全然駄目なの!」
アサシモとカスミは、見てしまった何かを幽霊とかの類いを連想してしまい、つい先程までなんともなかった、此のうす暗く密集している小惑星群を不気味に感じてしまい、更に背後で2つの小惑星が突然衝突した音(しかも1回2回ではすんでない)を聞いてしまって完全に震えながら動けなくなってしまった。
しかも此の火星・木星間の小惑星帯では艦娘や宇宙船の遭難事故が度々起こっている事から幽霊か何かが出る、或いはバミューダ諸島沖に時空がネジ曲がっている“
「…アサシモさん、カスミさん?」
「「…ひぃ!!!」」
「ふえ、何で!!?」
「あ、なんだ、サミダレか…」
「脅かさないでよ…」
「酷いです!!!」
2人してこんな状態だったから、背後から自分達を呼んだサミダレに、アサシモとカスミは揃って彼女に振り向きながら主砲と魚雷を向けてしまった。
まぁ、そんな2人の事を察せなかったサミダレが、驚いて少し涙目になってしまったのも、仕方がない……のかな?
「で、何の用なの?」
「…あ、2人共、随分遅れていたので、何かあったのかなと心配になりまして」
「「…随分、遅れて?」」
サミダレのカスミへの返しに、カスミとアサシモがヤマト達先鋒の方に振り向くと……何時の間にかに遠くに行っていたヤマトがほぼ点になって、アブクマとハツシモに至ってはほぼ見えなくなっていた。
「「置いてかないでぇぇー!!!」」
「ふぁ、待って下さぁぁーい!!!」
まぁ、こんなんでカスミとアサシモがヤマト達の所へと急発進し、サミダレもまた2人を慌てて追いかけていった。
「…やっぱり、何かいますね」
そんなカスミ達3人を……多分気にはしていると思うが、前を行くヤマト達3人は、ハツシモが言う通りに此の宙域にいると思われる何者かを感じ取っていた。
「アブクマ、レーダーは大丈夫ですか?」
「はい、ノイズは有りませんね」
少し理由が長くなるが、ヤマトとアブクマがレーダーを気にしているのかと言うと、原理や詳細は今だ不明だが、深海棲艦は通信やレーダー波にノイズを発生させるだけでなく、磁場をも狂わせる……現代で言うECM(Electronic Counter Measures:電波妨害装置)に近い生来の性質を有して、俗に言う“羅針盤が狂う”現象を起こしていたのだ。(但し、潜水艦等の例外は多少ある)
只、通信機器や
「……通信機も綺麗なままですね」
当然ながら、深海棲艦時の人類も只なすがままでいる訳がなく、ECCM(Electronic Counter-Counter Measures:対電子妨害装置)の研究開発を進めたものの、確立したのが終戦間際だったので微妙な処ではあったが、それまではレーダーや通信機(あとラジオで、此れが一番)にノイズが起こる事を逆に利用して、沿岸部では軍民問わずにばら蒔いたラジオを、艦隊での警戒域の活動時は短距離通信機をオープンチャンネルにして、ノイズ発生の有無と強弱で敵艦隊の襲来をある程度を探知する方法を編み出していた。
「それにしても、まさかこんな古い手を使う事になるなんて、思いもしませんでした」
血界海域は兎も角として、ガミラスもノイズ現象を有していて、現に冥王星が衛星カロン諸共レーダーに映らなくなっていたが、流石に地球もECCMを改良発展を続けたお陰で、長距離のは相変わらず駄目であるも、短距離の通信とレーダーは問題なく運用する事が出来ていたので、オープンチャンネルでのは廃れかけていたので、アブクマが苦笑してしまった。
だがヤマトにしてみれば、数値的には遥か昔の化石レベルだったが、感覚的にはつい最近まで使っていた手法だったので、ヤマトが思わずムッとしてしまい、そんな彼女にアブクマが笑いながらも手を合わせて謝っていた。
「…とは言っても、此の手段でも楽は出来ませんけどね」
「それ以前に、ガミラスに楽な存在がいるなんて、とても思えません」
ヤマトの呟きにハツシモが頷きながらのボヤキ通り、オープンチャンネルでも分かるのは、あくまでガミラス(深海棲艦)の存在の有無までであり、最終的には“見て”“聞いて”“感じて”の3種に“直感”を加えた“人間の六感”であり、それ等は“基本”とも“原点”とも言える以上は“戦争は人間(か人間に該当する存在)が行うモノ”は古今東西で適応する事を否応なく感じさせた。
まぁ科学技術が発達した現代ではそう言う事を鼻で笑う者達が人間・艦娘問わずに多数いたが、鳥海(当時
「……あ、ありました!!
5宇宙キロ先に、イカロスが見えます!」
話を戻して、そうこう思いつつ、更にカスミ達3人が息を乱しつつも無事に追い付いた直後、アブクマが双眼鏡で前方の宙域から目的のイカロスを見つけて、彼女が指し示した方角に5人全員がそちらに揃って注目した。
「……どれ?」
「あれ、あれです。
あの細長くて大きいのです」
「ああ、あれ」
少しヤマトが戸惑っていたが、サミダレが示しながら教えたお陰で、ヤマトもイカロスを見つけた。
「なんか、空母みたいな形をしていますね」
で、イカロスを一目見たヤマトの感想にアブクマ達5人も「確かに」と若干の個性を各々付けて納得していた通り、イカロスは縦長横短でティアラを連想させる突起物が中央部にある事から、確かに横から見ると空母の様な形をしていた。
「ん~…見た処、基地とか、そう言う類いのは無さそうだな」
「……レーダーも通信機……揃って、正常…」
だがアサシモの指摘通り、イカロスには人工物等の物は確認出来なかった上に、ノイズ現象が起こっておらず、更に言うとガミラス艦隊の気配も感じられなかったので、空振りの公算が高まっていた。
此の為、アブクマが必死さが感じられる程にレーダーと通信機を確認していたが、やはり2つ揃って正常且つ無反応だったので、“そんなまさか”と“やっぱり駄目だった”の2つが混じった表情をしていた。
だが、空振りだと決まったわけではないので、そんなアブクマを左肩をカスミが叩いた。
「やっぱり、手筈通りにやるしかないですね」
事前の協議で、もしガミラスがいた場合、ガミラスがイカロス本体や周辺宙域に何らかの罠が仕掛けられている可能性が高いので下手にイカロスに近づくのは危険、だから目視可能距離に入ったらヤマトの三式弾入りの副砲の射撃をイカロスへ
で、ヤマトが射撃準備を終えて、いざ撃とうとしたら…
「「「「「「…っ!?」」」」」」
『来タァァー、獲物達ガァー!!!』
…その直前に、ヤマト達6人の通信機に針を刺すかの様な耳障りなノイズが聞こえたらと思ったら、何者かの歓喜の雄叫びが聞こえた。
「やっぱり!!」
驚きはしたが、此の宙域にガミラスがいる事が確定したので、直ぐにヤマトが副砲の射撃を止めて、アブクマ、ハツシモ、カスミの3人がヤマトの前と左右各々に移動して、サミダレとアサシモが後ろに振り向いて、6人各々に周囲を警戒した。
だが此の直後に、真上にやや近い後ろ上方から空間魚雷群が飛んできて、カスミが気づいた直後にヤマトの艤装背部の煙突周辺に次々に直撃した!
感想・御意見をお待ちしています。
今回の投稿前に変更したのが2つあり、1つ目は本作でのガミラスの正式名称“Galaxy Military Robbery Ship”から、“ミ”の部分に当たる単語を変更して“Galaxy Mystery Robbery Ship”として日本語名称として“銀河系未確認武装艦”を追加しました。
因みに今更感がありますが、此のガミラスの正式名称は“ガンダムSEEDのガンダム”と“平成ゴジラ7部のモゲラ”の2つをヒントになりました。
2つ目は、先日から始まった艦これイベントに合わせて、“設定 艦娘”の未所有故の出演不可の項目に、『ネルソン』『神鷹』『ゴドランド』『岸波』『???』を追加して、めでたくドロップした『伊26』を削除しました。
大和
「ろ号作戦が一気に達成出来る程、潜水新棲姫を散々ボコッてましたからね」
まぁ潜水棲姫もそうでしたが、個人的にあの2人を“艦これ界の『レムレース』”と呼ぶようになりました。
理由は、読者にもいると思いますが、鋼鉄の咆哮シリーズでは“資金”“
大和
「特に『シュトルムヴィント』は、本来の艦種は“超高速巡洋戦艦”なのに、プレイヤー達からは“超高速輸送艦”と呼ばれています」
あ、最後に今回から出た、“ノイズ現象”は無印以外の鋼鉄咆哮シリーズから、“オープンチャンネルでの警戒”はサイレントヒルシリーズをヒントにしています。
補足情報として、他の艦これ作品では、『こんごう』級護衛艦等の現代艦が艦これ世界に転移して大暴れするのがよくありますが、本作では深海棲艦のノイズ現象が酷すぎてミサイル等の誘導兵器やデジタル機器が無力化するので、アナログ式以外の現代兵器が役立たずになってしまうとしています。
本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?
-
実写版通りに、特攻
-
なんとしてでも、地球に帰還