それでは、本編をどうぞ。
――― 深海棲艦戦時・呉 ―――
大日本帝国が深海棲艦との戦いに参戦してから、まだ半年も経過していない春……戦艦長門から
「さあ大和、今日も訓練にいくぞ」
「…今度は何所まで走るのですか?」
大和は、稀に通常の的を使った基本的な砲撃訓練はあったものの、回避運動等の航行訓練として来る日も来る日も馬みたいに……障害物や条件がよく附属していたので、競馬と言うより馬術用の馬みたいに走らされていた事から、“今日もまたか”と見るからに不機嫌だった。
そんな大和に反して、彼女の教導役の筆頭である戦艦日向は、なんか腹が立つ笑顔でいた。
「いや、今日からは本格的に砲撃訓練をやるぞ」
「砲撃訓練ですか!?」
「ああ、それも主砲のだ」
先程までの不機嫌さは何処へやら、大和は日向の言葉に瞬時に目を輝かせる満面の笑みになった。
だが直ぐに分かる事だが、日向が大和の期待通りの事をさせる訳がなかった。
「訓練内容は単純、伊勢と鈴谷の標的役をやらせるから、その2人に模擬弾を当日中に当てるだけだ」
日向が通達した訓練内容に、大和が“えっ!?”とした。
何故なら、戦艦伊勢は回避運動の連合艦隊屈指の達人だった上、重巡鈴谷も伊勢(と日向)程ではないもののそれなりの上手さがあった。
「おぉー、大和来たか!!!」
「さっさと始めようよ!!!」
しかも不味い事に、先行して海上で準備をしていた伊勢と鈴谷は2人揃って見るからにやる気全開であった以上、訓練途上の大和の砲撃でまず被弾する事が考えられなかった。
「……扶桑さんか山城さんに交替してもらえません?」
「
さっさとしないと、また瑞鶴に馬鹿にされるぞ」
「……う~…」
大和からしたら明らかな無理難題だったが、日向に拒否権無しとの意味合いで尻を蹴飛ばされたし、なにより
「訓練始め!!!」
「いくわよ!!!」
「いくよ!!!」
「…っ!!!」
大和が沖合いに出て配置に着いたのを確認した日向の号令下に、伊勢と鈴谷が瞬時に各々に動き、少し遅れて大和も前進して……何を思っていたのか、別個に動いている伊勢と鈴谷の2人を同時に狙っての交互射撃を開始した。
「うぉっと!!!」
「下手くそ下手くそ!!!」
「何をやっている、大和!!!」
目に見えていたが、大和の砲撃は伊勢と鈴谷の2人とは明後日の海面に落ちていたので、見事に“二頭を追う者は一頭も得ず”な状態に陥っていたので、当然ながら日向が怒鳴ったが、当の大和は聞く耳を全く持っていなかった。
「あ~…こりゃ、回避した方が当たるかもねぇ~…」
「こんな下手くそな砲撃、鈴谷は全部避けちゃうよ!!!」
更に伊勢と鈴谷は避けながら各々に大和をおちょくっていた事が、大和の状態を悪化させていたが、必死なのか頭に血が上っているのか大和はその事に気づいていなかった。
「……伊勢、鈴谷、そろそろ始めろ!!!」
「…?」
「オッケー!!!」
「おう!!!」
日向は、主砲群の交互射撃から斉射に切り替えるだけでなく射程外の副砲4基までもを動員して醜態を晒しだした大和に溜め息を吐いた後、日向の指示に大和が気を取られてキョトンとした隙に、伊勢と鈴谷は揃って大和目掛けての一斉射をした。
「え、なんでぇ!!?」
伊勢と鈴谷の予想外の射撃に、大和は慌てふためきながらもなんとか回避しようとしたが、残念ながら大和の動きは遅かった事もあって何発か被弾し、顔を庇った右腕や側頭部右側を初めとした艤装や体の何ヵ所かが塗料で赤く染まっていた。
「ちょっと、日向、これどう言う事ですか!!?」
「あ~…、言い忘れた。
伊勢と鈴谷には、大和が隙を見せたら攻撃するように伝えてるからな」
当然ながら、大和は直ぐに日向に抗議したが、当の日向は涼しい顔をしていた。
「当たった分だけ罰マラソンをやらせるから、2人の砲撃には気を付けろよ~」
「そんな無茶な!!!」
難易度が大幅に上がるだけでなく、お仕置きが待っている理不尽すぎる訓練内容に大和が唖然としたが…
「
「へ、っ!?」
…いつの間にかに可能な限り接近していた鈴谷が隙だらけの大和の背中目掛けて雷撃をして、大和はものの見事に被雷して派手に吹き飛ばされた。
「へっへーん!!!
砲撃ってのは、こうするんだよ!」
「……主砲、副砲、一斉射ぁぁー!!!」
鈴谷が起き上がろうとした大和の顔面に模擬弾を当て、大和は顔の塗料を脱ぐって立ち上がると、鈴谷目掛けての一斉射撃をした。
「主砲6基、一斉射!!!」
だが今度は伊勢の砲撃が多数直撃した為、大和の砲撃は鈴谷の遥か頭上を越えてからの遠方で水柱を上げるに終わった。
「うわ、悲惨!!!」
「なんか昔見た映画で、こんな怪人がいた!!!」
射撃を派手に外すだけでなく、塗料を被りすぎて“赤い液体人間”になっていた大和の現状に、鈴谷と伊勢が泣くほど爆笑し、更に日向も必死に笑いを堪えていた。
当の大和はと言うと、轟音が聞こえそうな程に震えていたら、心の中の何かが切れた。
「待てぇぇー!!!」
「いやぁー、来たぁ~!!!」
大和は先ず近くの鈴谷目掛けての砲撃しながらの突撃を開始、鈴谷は大和の砲撃……だけでなく、何かの投げているのを含めて楽しそうに全て避けながら逃げ続け、更に伊勢が砲撃してきたら大和はそちらに進路を変えて、逃げる伊勢に代わって鈴谷が砲撃して大和が再反転する……そんな行為が延々続いていた。
「……初陣は遥か先だな…」
「…見事な赤っ恥ね」
伊勢と鈴谷にいいようにやられて暴走している大和に、日向が溜め息を吐きながら頭を押さえていた処に、空母加賀がやってきた。
因みに、第一航空艦隊が不在なのに主力空母の1人である加賀が此所にいるのかと言うと、彼女はパラオ諸島沖での座礁事故で足を負傷した事から静養として日本残留となっていて、その証として加賀は松葉杖を使っていた。
「出来の悪い弟子を持つと師匠は苦労するもんだな」
「私から見たら、貴女達は給料分の事をやっていると思えません」
日向は瑞鶴を引き合いにしたかったようだが、加賀はそれを無視して大和の不出来は日向達だと注意した。
因みに戦艦娘と空母娘はあまり良い関係とは言えないのだが、加賀は本来は戦艦になり、更に言うと運命の女神に微笑まれていれば、長門に代わって輝かしい座に付いていた筈だった艦娘であった事から、戦艦娘達とは良い関係を築いていた。
「もう少し助言ぐらいしてあげなさい。
分かるモノも理解出来ていないじゃない」
「悪いな、お前と違って嫌われ役の姑にはなれない不器用なんだ。
それに私の方針は“自分自身で理解させる”なんでな」
「だから、伊勢級の姉妹は駄目だと言われるのです」
日向は加賀に言い負かされてしまったが、実際に大和を上手く指導や助言が出来ない自分達を悔やんでいた。
此の点は、同じ教導役の戦艦榛名はメンタルケアを含めてある程度上手かったが、その榛名は長姉金剛と共に第一航空艦隊に編入されて不在な上に、何時帰ってくるかも不明だった。
しかも大和は自己嫌悪だけでなく、ほぼ同期の瑞鶴が先述に加えて姉の翔鶴と共に単独作戦(後のMO作戦)を近々任されるとの噂からの焦りがあったから、余計に悪かった。
「なんとかしなさい。
あの娘が駄目の烙印を捺されたら、その責任は貴女達にも有るのですよ」
加賀に言われるまでも、少なくとも日向はその事は自覚しており、大和が山本五十六GF長官達海軍上層部から悪く言われるだけでなく、自分達伊勢級の指導責任も追求されており、その現れとして近々竣工予定の
「…まったく、宇垣に面倒な事を押し付けられたもんだ」
「はぁ?」
頭を掻いている日向に加賀が怪訝な顔をしていたが、此の直後に大和が伊勢と鈴谷の一斉射撃に被弾していた。
――― 火星・木星間小惑星帯 ―――
「…っ、あい!?」
小惑星群の過密宙域を進んでいたヤマトは、始めての実戦式の砲撃訓練を思い出していた事に気がいきすぎて過去に戻っていたが、アステロイドシップの石垣に小惑星群が次々に衝突し始めるだけでなく、潜宙艦の探りの雷撃で真上の小惑星が爆発して、その欠片の1つが自分の頂頭部に軽く接触した事から我に返った。
「ヤマト、大丈夫?」
スズヤが直ぐにコスモパンサー隊で潜宙艦(潜水ヨ級)を沈めながらヤマトを心配したが、当のヤマトは、スズヤから先代鈴谷への僅かな殺意を少し思い出してしまうも、手を振って無事を伝えていた。
「ヤマト、そろそろ準備して」
ヤマトはキリシマの頃合いを見計らっての指示に「了解」と返事をするも直ぐに準備に入った。
「おうおう、派手に進んでるねぇ~…」
「まるで除雪車ね……っ!?
アイツ、何やってんのよ!!?」
エンジンを停止して小惑星の影に潜んでいる日本艦隊と違って、イタリア艦隊は時折攻撃してくる潜水カ級と同ヨ級を迎撃しながら、取り敢えずお手並み拝見としてヤマトの動向を静観していたが、レオナルド・ダ・ヴィンチとローマはそのヤマトが突然パルスレーザーでアステロイドシップの一点目掛けての砲撃を開始した事に驚き戸惑っていた。
「何で手で静かに開けようとしないんじゃ!?」
「あの馬鹿、あんな事してたらレムレースの攻撃を受けるわよ!」
そんなヤマトの行為に、コンテ・ディ・カブールが理解出来ずにいて、ローマが危惧していたら、レムレースが探りとしての攻撃でヤマトの近くの小惑星群が爆発した。
「キリシマ、分析はどうなってます?」
「補助エンジン左、5パターンに特定できたわよ!」
「補助エンジン右、依然13パターンのままです」
ヤマトの質問に、キリシマは自慢する様に答えたが、キサラギは逆に申し訳なさそうに答えた。
『キリシマ、ターゲットを左に絞れ』
沖田の指令されるまでもなく、キリシマ達は右は断念して、直ぐにキサラギ達右を解析していた者達が左側のに協力した。
「とは言いましても、手詰まり感がありますけど…」
だがアヤナミの指摘通り、確かにキリシマ達はレムレースへの一手が思い付けずにいた。
「だったら、コスモパンサーを囮にしたらどうだ?」
そんな時に出たキソの提案に、全員が良い意味での“えっ?”とした。
「レムレースの奴は、艦載機や艦娘お構い無しに攻撃してるんだから、コスモパンサーを突発的な形で大量に放ったら、奴もいい反応をするんじゃないか?」
キソの説明にキリシマ達が納得しながらの驚きで硬直してしまった。
『スズヤ、コスモパンサー30機、
「オッケー、スズヤに任せて!」
キリシマに代わって、沖田がスズヤに命令に近い形での質問に、スズヤが即了解した。
「でもスズヤさん、艦載機をけっこう打ち落とされませんでした?」
「ジュンヨウ、スズヤのコスモパンサーは16機しかないんだけど、予備はどんだけある!?」
だがミカヅキの指摘通り、スズヤのコスモパンサー隊は元々少数だった事もあって半減していたので、予備のコスモパンサー隊を預けていたジュンヨウを求めた。
「数百機……って言ってやりたいが、私も15機しか持ってきていない」
元々ジュンヨウは医療装備だけでなく機関を追加した反動で、航空搭載量が本来の半分近くまでに減ってしまった上、今回はカーゴ2種も積んできたので、コスモパンサーの少なさに歯軋りしていた。
まぁ仕方がないと言え、ジュンヨウが投げたコスモパンサーの
「……1回だけで、最終解析か…」
スズヤが言った通りに状況はかなり悪く、キリシマ達が顔をしかめる処か、提案者のキソまでが後悔していた…
「もう30機あります!!!」
…そんなスズヤ目掛けてコスモパンサーの矢が多数入った矢筒が飛んできて、スズヤが驚きながら受け止めた。
「それはスバスヴィエロのです!!
それを貴女に託します!」
「アクィラ、あんた何やってんのよ!!?」
アクィラが撃沈したスバスヴィエロの矢筒を送った事にローマが怒鳴っていたが、どうやらローマはヤマトがレムレースを倒そうとしている事に乗り気ではないようだった。
「…ハツシモ、此れ預かって」
スズヤは矢筒を近くにいたハツシモに投げ渡すと、頭上に右手を上げるとアクィラにサムズアップをした。
「30機追加なったと言え、2回で最終解析をしないといけないのですか…」
「チャンスは多いのか少ないのか、分からんな」
キサラギがプレッシャーから溜め息を吐いて、キソが苦笑したが、キリシマがキサラギの叩いた。
「スズヤ航空隊、発進準備完了!!!」
そんなキサラギ達3人に反して、スズヤは鼻息粗い状況だった。
『スズヤさん、これから貴女の航空隊の飛翔は完全に録画させてもらいますからね。
教材に使うつもりですから、しっかりやってください』
「おおう!!!
スズヤ、そう言われちゃうと燃えるよぉー!!!」
「入り込み過ぎて、下手こかないでよ!」
スズヤがホウショウからの激励に近い通達でますます乗り気になっていたが、キリシマが注意しながらスズヤの左腕を小突き、スズヤが少しぶぅたれたものの、そのまま最終確認を始めた。
『スズヤ、キリシマ、用意はいいな?』
スズヤとキリシマが沖田の最後通達に揃って「はい!!!」と大声で答えた。
感想または御意見をお待ちしています。
史実での重巡『鈴谷』は他の最上級3隻と共に
もしかしたら、鈴谷は1人だけインド洋に行けなかった事に拗ねたから、大和に少し八つ当たりしていたのかもしれません。
更に過去パート最後で日向が言った“宇垣”なる人物は、同時連合艦隊参謀長だった宇垣纏海軍少将の事です。
本来は、過去パート終盤での日向とやり取りをしたのは、史実通りに正規空母で唯一日本残留になった加賀になってますが、当初は宇垣でして、持ち越しになりましたが次回の過去パートで宇垣が日向と一緒に出る予定です。
日向
「私からの補足だが、本編での理由は不明だが、宇垣が『日向』の艦長だったとのメタ的な理由から、私は宇垣と階級云々関係なしに親しくしているぞ。
まぁ少し違うと思うが、私と宇垣は“貴様と俺”の仲なのかもな」
因みに、今回出た加賀の次代が暗黒星団帝国編に出ますが、空母娘としての加賀(&カガ)は今回で最初で最後になる公算が大です。
加賀
「既に第2話と“設定 艦娘”2つの後書きでも書かれていますが、
もしかしたら春蘭は、中国の戦艦娘としてカガと一緒に白色彗星帝国編で先行登場するかもしれませんが、暗黒星団帝国編では名前だけの存在になる公算が大です。
更に性格も、当初は
後者の性格が採用されたら、もしかしたら春蘭級三番艦として
加賀
「…貴方、然り気無く酷い事を言いませんでしたか?」
…そ、それと、此れはまだ検討中ですが、生存していて白色彗星帝国編でヤマトと同行する空母アカギの事で1つ。
アカギはもしかしたら土星での戦い辺りで大破した事で、アカギの艤装を改装資材に提供した事でアマギがオリジナル形態の“アマギ改二紅(仮)”になって、アカギ本人は何らかの経緯で“アカギ新(仮)”として空母型アンドロメダ級の艤装を纏うかもしれません。
此の影響でアタゴ(愛宕)が空母型アンドロメダ級として出るかもしれませんし、もしかしたら此のアタゴがアカギに自分の艤装を提供するのかもしれません。
此れ等は2202の第6章と第7章で考えます。
まぁだからと言って、アカギはアマギと終始絡ませる予定なので、アカギとカガの共演はありません。
加賀
「……頭にきます」
本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?
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実写版通りに、特攻
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なんとしてでも、地球に帰還