SPACEBATTLEGIRLヤマト   作:サイレント・レイ

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第2話 西暦2199年

――― 呉 ―――

 

 

 二百年以上の眠りから覚めた大和は、それからと言うものの再教育の合間……と言うより隙を突いては脱走して、呉を一望出来る丘の上に座って、何も考えずに遠くを見つめ続けていた。

 

「…やはりここにいたのですね」

 

 そして引き摺ってでもしない限り、大和が何時までも此所にいる為、包帯とギブスだらけのキリシマが見つけては連れ戻すと言う事が恒例行事と化していた。

 

「……相変わらず、よく見つけれますね」

 

「伊達に防衛艦隊旗艦兼任で秘書艦を長く勤めてますからね。

後、出来れば私はこう見えて重傷者の上に多忙なので…」

 

「…分かりました」

 

 大和が連れ戻そうとする度に駄々を捏ねる為、修理途上の艤装を態々(ワザワザ)纏ってきたキリシマは、今回は大和が大人しく帰る事を了承し、それが間違いでないと確信して安堵の息を吐いた。

 

「…それにしても、こんな景色を、いつも見ていてよく飽きませんね」

 

「余計なお世話です」

 

 キリシマの指摘に大和がムッとしたが、実際問題大和が見つめていた先に加えて自分達がいる場所は、花咲く丘がなければ、鳥鳴く森も、そして嘗て大和が駆け巡った魚住む水溢れる海が全く無い、夕焼け空と共に赤茶けた大地が広がっているだけであった。

 大和はどうかは分からないが、キリシマにはそれが悲しくて悔しかった。

 

「……ここにいるのもなんですし、戻りませんか?」

 

 大和は何も答えなかったが、無言で立ち上がった為にキリシマは無言の了承を得たと判断してエレベーターへと向かい……乗る直前に赤い天上から複数の何かが落下してくるのに気づいて振り向き、暫くした後に地平線の彼方で大爆発が起こっていた。

 

「…もう駄目ね。

私達にはアレを防ぐ力は残っていない…」

 

「こんなの見ていて、よく飽きませんね。

アレって今や世界中で見れるんでしょ?」

 

「……余計なお世話です!」

 

 先程の仕返しに近い事をされたキリシマは、半ば怒ってエレベーターのボタンを押した。

 だが実際の処は大和の言う通り、呉の光景と先程の爆発は、今や世界中で見れるモノであった。

 

「…信じたくないでしょう?

これが私達の地球の現状なんですからね。

深海棲艦も此処までの行為をしていないのですからね」

 

 毎度の事ながらキリシマが何度も壁に頭を打ち付けながら悔しそうにしていたが、大和はそんな彼女をあまり気にせず教わった事を思い返していた。

 それによると大和が坊ノ岬沖で沈没した後、西日本に侵攻を許して壊滅寸前だった日本は、勢力を取り返して反撃に転じたアメリカの助けを受けて奇跡的に助かり、更に深海棲艦に占領された広島と長崎に……よりにもよって大和と武蔵の生まれた県に原爆を投下して深海棲艦を都市諸共消し去る暴挙があったが、その数年後に深海棲艦を駆逐する事に成功していた。

 だがその余波で日本はアメリカの属国当然の状態となり、生き残った艦娘達は他国に引き渡された雪風と響以外は、解体されるか標的となって沈んでいった。

 だが深海棲艦が歴史から消えた以降、陸や空で多少であったが相変わらず紛争が相次いでいたが、少なくとも海は平和であり続けられていた。

 更に二百年の長い月日を得て、国際連合の下に取り敢えず一つとなった人類は、遂に宇宙に進出して海王星までの太陽系惑星群を次々に植民地化に成功していった。

 勿論、これに伴って大和の時代より遥かに進化した艦娘達も、地球の海から宇宙の海に活躍の場を移し、更に太陽系最後の(準)惑星である冥王星……そして太陽系外の外宇宙にへと遠征をしに行こうとしていた矢先の10年前(西暦2189年)にそれがやって来たのだった。

 

 最初はソ連改めロシアのツングースカに大型隕石が落下し、落下地点周囲どころかロシアの大半に大打撃を与える一大事が起こったのだった。

 だが地球は当初、この出来事を恐竜達を全滅させたと言われるジャイアントインパクト以来の数千年来の不幸(これにはツングースカが日露戦争時に謎の大爆発が起こった、いわく付きの地であった事もあった)だと思っていたが、その半年後に南米リオデジャネイロに……更にその5ヶ月後にアフリカのケープタウンに……更に更にその4ヶ月後に北米のアンカレッジ等が、大型隕石によって次々に致死量の数十倍の放射能のみを残して蒸発する出来事が起こり始めたのだ。

 これらの出来事が起きて2年近くが経過して、地球側は時が経つ度に周期を短くして人口集中都市群に間違える事なく落ち続ける大型隕石……遊星爆弾が核兵器を超える戦略兵器である事を認知、そして自分達は巨匠H・G・ウェルズの小説の様に外宇宙からの敵の攻撃下にいる現状をやっと理解した。

 ただ、それでもこれらを疑う者達が少なからずいたが、遊星爆弾の落下が日刊に移行してツングースカから四年半が経過した時……つまり西暦2194年に冥王星を調査をしに向かった艦隊が行方不明になり、更にその半年後に海王星に遊星爆弾を落とし続けている張本人……驚くべき事に殲滅した筈の深海棲艦に瓜二つの敵対者達……後にガミラス(GAMYROS)(正式名称:“Ga”laxy “My”stery “Ro”bbery “S”hip、日本語名:銀河系未確認武装艦)と命名される者達の大艦隊が襲来したのだ。

 このガミラスの襲来に、地球は深海棲艦との戦い以来、全ての艦娘達の徴集令を出すだけでなく、軍事力や科学技術を集結させて国連軍を発展強化した防衛艦隊を編成して迎撃体制を整えたのだった。

 だが当初は苦戦しながらもガミラスにある程度勝ち続けられた防衛艦隊だったが、深海棲艦より遥かに強大にして冷酷、そしてより謎(深海棲艦自体、未だに解明出来ていないが…)に包まれたガミラスに海王星処か天王星を奪われてから()けが()(はじ)めて……貴重な資源元でもある、艦隊司令部が置かれる程の重要拠点の土星の絶対防衛圏を撃破される同時に、防衛艦隊の中核を成していたアメリカを初めとしたロシア、オーストラリア、中国、そして欧州各国は時が経つ度に戦力を強大にしていくガミラスに反して戦力を枯渇させていった。

 そしてなにより、嘗ての日本同様に遊星爆弾によって地球自身も序々に疲弊していき……先ず海を初めとした全ての水が蒸発した事から異常気象が多発するようになっただけでなく、全ての土地を高濃度放射能で汚染されて食料生産力どころか、生存に必要不可欠の水にさえ致命傷を受けてしまったのだ。

 この絶望的状況下から、ガミラスと対話による共存あるいは降伏を目指した血迷った一派がいたが、彼等が白旗を掲げる等をしたにも関わらずガミラスが彼らを殲滅した事から、ガミラスは地球に絶対的な死を求めている事が分かるだけに終わった。

 この打開策として軍事技術力の向上だけでなく、ガミラスの研究解明も同時に行われ……ガミラスの斥候隊が地球に適応(弱体化)して深海棲艦となったか、生き残った深海棲艦が宇宙に逃れてガミラスになったかの二つの説からガミラスが地球殲滅を目指していると思われるが、残念ながらガミラスを鹵獲するどころか、駆逐艦すら撃沈困難になっている現状では推測の域から出る事が出来なかった。

 否、ガミラス(と深海棲艦)を解明する処か、軍事競争と言う名の血を吐き続けるマラソンに走り負けた地球は、嘗ての日本と比較出来ない程に破滅への道を爆進していた。

 

「…大和、どうしました?」

 

「あ、いえ…」

 

「だったら早く放射能を洗い落としなさい。

このレベルの放射能は、艦娘でも艤装無しでは危ないんだから」

 

 エレベーターが着いた事に気づかなかった大和は不満を顔に出していたが、当のキリシマが素知らぬ顔だった為か、さっさとエレベーター脇の施設に入って言われた通りに放射性物質を洗い落として出てくると、脱いだ防護服を近くのごみ箱目掛けて投げ捨てた。

 その間に、眼鏡を拭きながら洗い終わった艤装を兵士達に引き渡したキリシマは、右腕を三角巾で吊るしている関係で今まで不便だったのか、背伸びをした後に首を左右に振っていた。

 

「…それじゃあ、行きますか……っ!?」

 

 片目の為に遠近感が少し呆けていたキリシマが蹴躓いてよろけた姿に、大和が笑った為にキリシマが赤面しながら睨んだが、気を取り直して連絡路の先にへと向かった。

 

「…不味い……予想より早く汚染が進んでいるわね。

またエレベーターの拡張改造……いえ、一層の事、新しく作った方が早くて安いかもね…」

 

 移動中、キリシマは何かスマートフォンみたいな物を険しそうに睨みながら操作していた。

 ただ、秘書艦の職務に勤勉なのは良いのだが、世界共通で危険と認知されている歩きスマホをやっている事に間違いはなく…

 

「……っ!?」

 

…現に足下のパイプに気づかなかった為、頭から派手に転けた。

 更に打ち所が不味くて負傷している左目をいためたらしく、左目を押さえながら悶え転げていたキリシマだったが、大和が馬鹿にする様に笑っていたのに気づくと、素早く立ち上がって身を整えて埃を落とすと何事も無かったかの様にまた歩み出していたが、痛むのか時折左目擦っていた。

 まぁ、何とか大和に対して面目を保とうとしているキリシマであったが、そうこうしている間に前方から光が見えてきて…

 

「いつ見ても窮屈そうに見えますよね」

 

「仕方がないでしょう。

ここは急いで作られたのだからね」

 

…連絡路を抜けると、ガミラスの攻撃から逃げ延びている日本国民が(ヒシ)めいている地下都市に辿り着いた。

 規模こそ、大和がフィリピン陥落後から噂で伝え聞いた、本土決戦に備えて建設されていた松代要塞を遥かに凌ぐモノであり、しかも()れと同じモノが日本中どころか地球の至る所に存在していると言うのだから驚くべき事なのだが、大和はこの地下都市をあまり好きになれなかった。

 

「……?」

 

「……うん」

 

 薄暗く空気の悪い地下都市を見渡しながらキリシマに続いていた大和だったが、自分のスカートを掴んで無言で食べ物を恵んでくる薄汚れた少年に気づいた。

 その少年に大和は露骨に溜め息を吐いて数日前に支給されたレーションを渡すと、少年は直ぐ咳き込みながら頬張ると、そのまま礼を言わずに何所かへ走り去っていった。

 

「…アレが最後のだったのに良いのですか?

暫く配給の予定はありませんよ」

 

「良いんです。

あんな不味い物なんか食べれませんし、私には必要ありませんから」

 

「そう言う意味じゃなくて……!?」

 

 今の不用意な行為からのではなく大和が全く飲食をしていない事にキリシマは注意しようとしたが、当の大和はそれを無視して地下都市の至る所にいて軽蔑する様に自分達を見つめている人々を見渡している事に気づいた。

 

「…此所(ここ)不味(まず)いから行きましょう」

 

 人々が自分達に襲うかもしれないと思ったキリシマは、大和の手を引いて周囲を警戒しながら早歩きでこの場から急ぎ去った。

 

「…前にも()して軽蔑の視線が()えて()したね」

 

「仕方がないわよ。

何せ私達は木星沖での海戦で完敗したんですからね」

 

 軍施設近辺の人気が全く無い場所に入ると、自分の手を振り払った大和の皮肉にキリシマは嫌そうに反論した。

 だが実際問題、木星沖でガミラスを迎撃して、あわよくば土星奪還を目指した防衛艦隊が、逆に旗艦キリシマ以下の少数を残して壊滅し、更に木星陥落どころか小惑星群(アステロイドベルト)や火星の制宙権さえも放棄した事もあって、人々をドン底に陥れてしまったのだ。

 しかもキリシマ達がまともな治療(及び艤装の修理)が出来ない程に戦力と資源を枯渇し、更にガミラスの地球総攻撃が秒読み段階に入った現状から誰もが絶望し、厄介な事にその矛先が艦娘達に向いていて彼女達が襲われる事件が多数上がっていた。

 勿論、それは仲間達が次々に殺られていく地獄を見たキリシマ達を更に追い込んでしまっている上、なによりこんな現状になるまでガミラスに連敗し続けたキリシマ達に悔しい思いをさせていた。

 だが先の敗戦で、防衛軍上層部は自分達の無力さを悔やみ悲しんでいる艦娘達にトドメとなるとんでもない作戦を立案していたのだが…

 

「……?」

 

 物思いに(ふけ)りかけていたキリシマに通信が入って簡単なやり取りをしていた。

 

「何を言われたのです?」

 

「早く戻ってこいとの事です。

そしてもう一つは…」

 

 毎度の事であった為、後者の事を察した大和が見るからに嫌そうな表情をした。

 

「…大和、貴女の復隊要請ですよ」




 感想・ご意見、お待ちしています。

 と言う訳でして本作では深海棲艦はガミラスの皮を被って問題なく(?)出てきます。
 只、鬼&姫はオリジナル(先行情報:冥王棲姫)も出しますが、原作のも名前を弄る可能性(例:戦艦棲姫→戦艦星姫)がありますけと少しは出します。


 で、以下はその予定
・戦艦棲姫or戦艦水姫{出るならドメル(ドメラーズIII世)みたいな立ち位置?}
・空母シリーズ(棲鬼、棲姫、水姫)の皆さん{戦艦棲姫の余波で各々ゲットー(バルグレン)、バーガー(ランベア)、クライツェ(シュデルグ)?}
・水母棲姫{空母シリーズと同様にハイデルン(タロイド)だが、対抗馬にレ級だが……現在レ級の方が優勢}

(オマケ)
・レ級(深海棲艦通常型の異常戦闘力保持者だが、本作では“ロックマンワールド5のモンキッキ”をヒントに、強いのだが凶暴性が原因で指揮統制能力に疑問が着く上に味方をも攻撃しかねない為、鬼&姫になれなかった失敗作と定義。
更に上記の水母棲姫のとは別に、オリジナルのレ級亜種が登場予定)


瑞鶴
「戦艦棲姫達を上の形で出すって事は、実写版では無かった“七色星団の戦い”をするの?
只、もし原作で此の上の編成で出たら、五隻だけでもえげつない事になるわよ」

 うん、だからこそエンガノ組を投入する事を決めました。
 只、最近になって瑞鶴出すんなら、翔鶴も出した方が良いのかなぁ~…って迷ってしまいまして、出来れば翔鶴の有無の意見を下さい。
 まぁ、沈む生き残るかは別として(瑞鶴、その弓矢を下げなさい)、翔鶴は冥王星編には出す予定で、現時点では艦載機か損傷度合いが原因で遠征には同行出来ずにキリシマと地球残留としています。

 後、此れは検討事項てすが、さらば版土方竜の立ち位置で赤城は雲龍級三姉妹、西村艦隊、志摩艦隊と共に“さらば&Part2”編で、加賀は主力戦艦として出た事から春籃(改アンドロメダ)級戦艦として谷風と全潜水艦娘(?)と共に永遠編で出したいなぁ~…と思ってますので、翔鶴の代わりとしての要望は出来れば勘弁して下さい。
 最もそこまで行けるか不確定ですし、蒼龍、飛龍、大鳳は未定ですけどね………アクィラとグラーフ・ツェッペリン? 奴等は未所有です。

 後、最後に本来ガミラスと言う単語はカーミラが訛りに訛って出来た物らしいですけど、三原作(オリジナル、実写、2199)の全てで、ガミラスの単語が解明或いは命名されたかが全く無いので、本作では英和辞典片手にガ(Ga)ミ(My)ラ(Ro)ス(S)を各々頭にして頑張って設定しましたが、此の手で強い人で修正の意見があったら、そこも宜しくお願いします。

キリシマ
「ガミラスのラって本来は“Ro”じゃなくて“Lo”じゃありませんでしたか?
それに最後のは“S”ではなく“N”ですし…」
(“2199”を見ていたら分かると思いますが、本来のガミラスの英語表記は“Gamilon”、ガミラス星人なら“the Gamilons”。
現にガミラス国歌(永遠に讃えよ我が光)ではガミラスではなくガミロンと言っている)

…“Lo”が頭の良い単語が見つからなかったんだよ!
 ついでにに言うと“La”と“Ra”もね!

本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?

  • 実写版通りに、特攻
  • なんとしてでも、地球に帰還
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