――― 木星沖 ―――
艦娘達が瞬く間に死んでいっているのに反して、ガミラス艦隊は益々攻勢を強めていた中、キリシマ達旗艦直轄部隊は、高速による遊撃を慣行して被弾を最小限に抑えながら戦闘を継続していた。
「Hey、キリシマ!!」
「距離、速度、良し!!!」
「バァーニング、ラアァァァーブ!!!」
「「「全門斉射!!!」」」
「おどりゃぁぁー!!!」
後続する……多分失神している雷巡チ級を担いでいるコンゴウの呼び掛けに、キリシマは攻撃のタイミングが良い事を伝えると、コンゴウが雷巡チ級を派手に振り回した後に狙いのガミラス水雷戦隊目掛けて柔道技の要領で投げ飛ばし、雷巡チ級が先頭の軽巡ヘ級に衝突した後にキリシマがオオヨド、ユキカゼ、ウラカゼの3人を従えての砲雷撃の一斉射を放って、1個水雷戦隊を殲滅した。
「どうよ、ガミ公!!!」
なんとかガミラスの水雷戦隊の1つを潰した事に、キリシマが左腕を振り上げながら叫んだが、ガミラスはまだまだ大多数存在しており、現に「やられたらやり返す、倍返しだ」と言わんばかりに、大量の光線や空間魚雷がキリシマ達目掛けて飛んできて、彼女達5人は瞬く間に飲み込まれてしまった。
だが奮戦敢闘していたのはキリシマ達だけではなく、駆逐艦マイカゼはガミラス水雷戦隊の1つに突進していた。
「踊らせてくれる、ね!」
勿論、ガミラス水雷戦隊もマイカゼの存在の気付いて、迎撃を始めたのだが、当のマイカゼは反撃を一切してなかったが、ガミラス水雷戦隊の砲火全てを踊るかの様に避け続けていた。
マイカゼが反撃をしない事にガミラス水雷戦隊怪しんでいたが、その隙を突いてマイカゼは後ろに体を寝かしてガミラス水雷戦隊の下を通過しようとして、ガミラス水雷戦隊の四番艦に位置していた駆逐ロ級を真下から主砲で狙い撃ち……駆逐ロ級はマイカゼの不意打ちに近い砲撃を避けたが、後続の駆逐ハ級に激突し、更に最後尾の駆逐ハ級をも巻き込んで3隻揃って爆発した。
「避けなくても
マイカゼがガミラスの失態に嘲笑っていたが、ガミラス水雷戦隊での生き残りの軽巡ヘ級と軽巡ホ級と駆逐ニ級の計3隻は衝突から爆沈した3隻に唖然とするも直ぐに気を取り直して、マイカゼの追撃を始めた。
「…ちょっと……ヤバいかな?」
軽巡ヘ級3隻の躍起になっての追撃にマイカゼが冷や汗を流していたが、そのガミラス水雷戦隊はマイカゼに気がいきすぎて、後上方から接近する者達に気付かなかった。
「マキグモ、いいか!?」
「照準、良し!!!」
「「撃ぇぇー!!!」」
絶好の隙を見せていたガミラス水雷戦隊を見逃さなかったアサシモとマキグモは、一斉に空間魚雷を放ち……最後尾の駆逐ニ級は全く気付かずに被雷して轟沈、軽巡ヘ級は慌てて回避しようとしたが直ぐに被雷から轟沈、最後の軽巡ホ級は回避をし続けて迎撃の砲火を放つも全弾外した後に被雷して轟沈した。
「ふぅ~…」
「大丈夫か、マイカゼ?」
「あんがとね」
砲撃でポニーテールを束ねていたリボンが切れた為に髪が落ちていたマイカゼが安堵の溜め息を吐くと、アサシモとマキグモが彼女の左右に着いた。
「流石はユウグモ級ってとこ?」
「いやぁ~…魚雷が良いんだよ」
マイカゼの茶化しに、アサシモが笑って空間魚雷の1本を翳した。
今回の出撃に合わせて、日本駆逐艦の最新鋭であるユウグモ級には、後にヤマト達イスカンダル遠征艦隊に配備される新型空間魚雷が試験配備されていて、アサシモとマキグモの笑顔だと期待通りの性能を発揮していたようだった。
「「…っ!?」」
「キリシマさん達が!!?」
だが戦局をひっくり返す程のモノではなく、現に爆発音がしたのでマイカゼ達が振り向いた先に、キリシマ達の惨状が目に入った。
「……畜生…」
「オオヨドさん、オオヨドさぁぁーん!!!」
ガミラス打撃艦隊からの集中砲火から出てきたキリシマ達はと言うと、艤装が大破して全身至る所から出血しての大破状態でいるのは当然として、キリシマは左腕で掴んでいる右腕が力無く垂れていたし、上半身が仰け反って失神しているオオヨドをユキカゼが抱えながら必死に声をかけてて護送していた。
『キリシマ、大丈夫か?』
「…機関は無事ですが、武装の殆どが大破しました。
戦闘は不可能です」
沖田がキリシマの返事に顔を引き吊らせてた。
『沖田提督、艦隊損耗率が9割を越えました!』
『救助艦隊が壊滅したぞ!!!』
更に秘書艦として沖田の側にいるホウショウが他の艦娘達や参謀達共々悲鳴を上げて右往左往していた。
「…申し訳ありません。
キリシマは戦局は完全にガミラスの手の中にある事を悟って沖田に謝罪したが、沖田も「そうか」と答えて目を閉じた。
『…やむを得ん。
キリシマ、撤退しろ』
「撤退!!?」
『そうだ、生存者を可能な限り回収して地球に撤退しろ。
空母艦隊に残存戦力を全て投入して打撃艦隊の退却を援護させろ』
沖田の撤退命令に反感がそれなりにいたが、地球打撃艦隊の背後から(逆)丁字から砲撃をし続けていたガミラス打撃艦隊は、反時計回りに地球打撃艦隊の右側に回って平行して、再突入してくるガミラス空母艦隊と連動して挟み込もうとしていたので、退却には打ってつけの好機だった。
「ですが…っ!」
キリシマが沖田の撤退命令に抵抗していたが、コンゴウが彼女の左肩を掴んで微笑んで顔を……左目の下に出来た傷からの出血で左半分が赤く染まった顔を左右に振り、少し間を置いた後にキリシマが下唇を強く噛みながら
更にキリシマの撤退の信号弾に気付いた者達が通信機越しに叫んで退却を報せ始めた事もあって地球艦隊の退却が始まった。
だがその退却に秩序が無く、殆どの者達が悲鳴を上げて我先に逃げ出していて、中には自分の武装を投げ捨てている者達がいれば、中には動けずに泣き叫んで助けを求めている艦娘を無視している者達までいた。
(駄目だ、彼女達では勝てない…)
撤退命令が出た事に託つけて、恥を晒して逃げ出す艦娘達にキリシマは軽蔑の目線を向けていたが、沖田は今回の海戦で艦娘の心までがガミラスに粉微塵にされた事を察して、軽い絶望感を感じていた。
『キリシマ、お前は最後まで戦場に残ってもらうぞ』
「分かってますって…」
日本の戦艦娘としてだけでなく、総旗艦としての意地と誇りを保つ為、そして総旗艦の責任に託つけて死に魅了されかけていた為、キリシマは沖田に寂しく微笑んで「総旗艦たる艦娘として責任を果たす」と言おうとしたが…
「…それはNoなんだから!」
「え、っ!?」
…いつの間にかにキリシマの背後に回っていたコンゴウが、キリシマの艤装背部に貫手をして何かを弄ると、キリシマの艤装から小さい爆発が起きて直ぐにキリシマを撤退先に投げ飛ばした。
「姉様、何を!!?」
「艦隊の頭脳なのデショ?
だったら貴女は、是が非でも生き残らないといけないネ!」
しかもキリシマにとって不味い事に、コンゴウの細工でキリシマの機関が暴走した為、キリシマの意思に反して加速を始めて止められなかった。
「沖田提督ぅ、私が殿として最後まで戦場に残りマース」
『コンゴウ、何を言っている!?』
「私はもう地球に帰れません」
「っ! コンゴウ姉様、足が!!?」
コンゴウがキリシマに代わって殿を務める事を、沖田が怒鳴って止めようとしたが、キリシマが絶叫した通り………左頬の傷に目にいったが、いつの間にかにコンゴウの左足が太股の上半分を残して消滅していて、その左足のハイソックスの袖口のみが残っているのが嫌に生々しかった。
コンゴウから逃げ足が失われたのを察して、沖田はコンゴウの殿を下唇を噛みながら黙認した。
「姉様、残るなら私が!!!」
「キリシマさん、何をするんですか!!?」
「離して、姉様、コンゴウ姉様ぁぁぁー!!!」
「もうコンゴウは駄目だぁぁぁー!!!」
だがキリシマは何とかして、自分達に右拳を左胸に当てる敬礼をしたコンゴウの所に反転しようとしたが、そんな彼女をマキグモとアサシモが2人係りで抑えた。
「ヤバい!!
敵艦直上、急降下!!!」
だがガミラスが退却する地球艦隊を見過ごす訳がなく、その表れとしてキリシマ(達?)を狙って急降下する駆逐イ級を、マイカゼが気付いて叫んだが、既に攻撃体勢の駆逐ニ級を迎撃出来そうになかった。
だが駆逐ニ級が攻撃直前に真横から翔んできたコスモパンサー3機の特攻で爆発したが、その駆逐イ級の残骸の1つがキリシマの左目の上部に直撃して、キリシマが顔の左半分を赤く染める程の出血をして開けなくなった左目を押さえていると…
「ゴメンね、キリシマ」
…いつの間にかに前進してきていたヒリュウが、キリシマに詫びを言うと、そのままキリシマ達の脇を過ぎてコンゴウの所に向かった。
「沖田提督、ヒリュウさんを止めてください!!!」
『ヒリュウ、何をしている!!?
キリシマに続け!!!』
ショウカクが叫んで報せるまでもなく、沖田が退却を拒否したヒリュウを止めようとした。
「沖田提督、私は嫌です。
最後まで戦い抜きます!」
『馬鹿な事を言うな!!』
「沖田提督、“戦って戦って、死ぬまで戦い抜く”、戦士ならそうすべきじゃないですか!?」
『それは違う、それは違うぞ、ヒリュウ!
“今日の屈辱に耐え、明日の勝利を掴む”それこそが戦士だ!』
「だったら此の戦いは何だったのですか!!?」
沖田はヒリュウをなんとか呼び止めようとしたが、そんな沖田の制止はヒリュウにとっては自分の信念を否定しているだけでなく、嘗てミッドウェー海戦で孤軍奮闘して文字通り死ぬまで戦い抜いた先代空母飛龍を侮辱したように聞こえたらしく、益々意地になっていた。
「こんな
此れじゃまるで、沖縄に特攻させられた戦艦大和と同じじゃないですか!」
沖田はヒリュウが反論出来なかった。
沖田は此の作戦は土星からの決死輸送船団をガミラスから逃す為の負け前提の囮だと言う事を知っていたからだ。
更に言うと、今の地球は嘗ての日本と同様に艦娘達に死を求めているのを察していた。
「ヒリュウ、分かってくれ!
その大和はレイテ沖で負けを認めて反転したんだ!
大和に倣って、屈辱にまみれてでも生を選ぶんだ!」
だからこそ、沖田は艦娘達に“生”を求めて欲しかったのだが、沖田の思いはヒリュウには届かなかった。
「沖田提督、ヒリュウは戦場に残ります。
死んでいった皆だけでなく、空母飛龍の次代として戦い抜きます」
「ヒリュウ、お願いですから、戻ってください!!!」
沖田の撤退命令を完全に拒絶したヒリュウを、不本意な形で退却中のキリシマもヒリュウを呼び戻そうとしたが、そんなキリシマ目掛けて、光線が翔んできた。
「…っ!?」
「「「ユキカゼ!!!」」」
だが、被弾を覚悟して左腕を身構えながら目を閉じたキリシマに、直撃の気配が無かったので目を開けると、目の前でユキカゼが両手を広げてキリシマの楯と被弾していた。
「…キリシマさん、行ってください。
貴女は此所で沈んではいきません」
「……アンタだけじゃ、不安やな」
(沖田にとっては)不味い事に、ヒリュウの行動は他にも同調者を呼んでしまったらしく、ユキカゼだけでなくウラカゼも同調して、更に退却した駆逐艦娘や巡洋艦娘達、国問わずに艦娘達の何人かか再反転してコンゴウやヒリュウの所に向かっていた。
「行くぞ、ユキカゼ!!!」
「此の命に代えて、ユキカゼがお守りします」
「ウラカゼ、ユキカゼ、止めてぇぇー!!!」
同じカゲロウ級のマイカゼが叫んでの制止を無視して、ウラカゼとユキカゼはコンゴウの所に向かった。
「何をしてるんデス?」
「コンゴウ姉さんとヒリュウの2人じゃあ、身が重いと思ったんじゃ」
「…艦娘って……意外に、馬鹿が多いのね」
自分達に続いたウラカゼ達に、ヒリュウが自虐込みで馬鹿にしたら、コンゴウ達が苦笑した。
もしかしたら、ヒリュウは負けを認める勇気が無かった事を自覚していたのかもしれない。
「沖田提督、誤解しているかもしれませんが、貴方の下で戦えた事は私達の誇りです!」
沖田へ最後の通信をしながら、ヒリュウに合わせてコンゴウ達は一斉に右拳を左胸に当てる敬礼をした。
『…死ぬなよ』
明らかに無念が感じられたが、沖田はヒリュウ達に答礼した。
「キリシマ、後を任せるデェェース!!!」
更にコンゴウが笑顔でキリシマに別れを告げ、キリシマが何かを叫んでいたが、コンゴウ達は自分達目掛けて前進してくるガミラス空母艦隊に振り向いた。
「さぁ、ガミラスに私達のPRIDEを見せに行きまショォォーウ!!!」
コンゴウの笑顔での言葉に、ヒリュウ達は次々に頷いた。
「…銀河水平、波間を越えて、目指す恒星ケンタウリ♪」
「「…星の瞬き、遥かに越えて、
突然、ユキカゼが、星往く船乗り達の歌を歌いだし、最初は全員驚いていたが、ウラカゼがユキカゼの思いを察して彼女に合わせた
『抜錨、船出だぁー!!! 錨を揚げろぉー!!!』
「……みんな…」
そして全員がユキカゼに合わせ、ユキカゼが最も言いたかった歌詞を大声で力強く歌った。
此の場面で、ヒリュウは自分の我が儘に他の者達を付き合わせた事を悔やんでいたが、そんな彼女の左肩をコンゴウが歌いながら叩いて笑顔で頷くと、ヒリュウも歌に乗っかった。
霧島
「強制護摩行中で不在の作者に代わって、感想か御意見を待ってるわよ」
榛名
「…なんか前回のサブタイが(中編)から(前中編)に代わってますね」
霧島
「長くなりすぎて急遽2つに分けた余波でそうなったらしいわよ。
お陰で護摩行も1回延長になったわよ」
榛名
「不在の作者の話だと、今回の話の胆はオリジナル版を母体にした沖田提督と
霧島
「前回も書いたけど、アンソロジーの要素を入れる事にしたんだけど、
榛名
「後、作品初盤で
霧島
「アレはね、EMS-10さん著の“追跡鶴”を読んで思い付いたらしいわよ。
更に言うと“side 金剛”の第1話でゲッター3みたいに空母ヲ級を投げてますので、投げキャラにしても違和感はないとの判断もあって、此の影響で私達の姓は“巴武蔵”から貰って“巴”にしたそうです」
榛名
「補足情報として、本作での
此の為、
霧島
「更に言いますと、
ですけど
本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?
-
実写版通りに、特攻
-
なんとしてでも、地球に帰還