SPACEBATTLEGIRLヤマト   作:サイレント・レイ

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第50話 ハルナ達の旅立ち(中編)

――― 土星・衛星タイタン ―――

 

 

『…こーどヲ入力シテ下サイ』

 

「日本土星駐留艦隊所属、宇宙戦艦ハルナ」

 

 土星陥落直後以来の旧艦隊司令部は、長らく放置された事で安全装置が起動した事が原因で、全ての動力が落ちると同時に、隔壁の稼働可能の全てが展開していた為、ハルナは中央司令所に入る事が出来なかった。

 此の為、ハルナは先ずは予備動力の、機械類が苦手のハルナでも簡単に出来る状態の1つを見付けては起動させてから再び中央司令所に向かい、中央部への扉の電子ロックを音声入力で解除して入室した。

 だが中央司令所も全ての機器の電源が切れていて、そこでハルナは先ず日本の土星艦隊司令の席を懐中電灯片手に捜し、その席にあるキーボードを……秘書艦時代に1度だけ見た時の記憶をなんとか思い出しての、長時間の悪戦苦闘し………諦めて妖精さん達の協力による操作によって、中央司令所の電源を入れる事に成功した。

 

「……ふぅ…」

 

 ハルナは気疲れによる溜め息を吐いたが、まだスタートラインにたっただけであり、少し後悔しながらキーボード越しに旧艦隊司令部の宇宙観測機器を操作した。

 そしてメインモニターに太陽系の宇宙地図を映して、現在の太陽系惑星群の配列を確認した。

 

「良かった!」

 

 メインモニターの宇宙地図には、ハルナの良い意味での予想を裏切るモノが映し出されていた。

 

「……後は…」

 

 ハルナは宇宙地図の最新版を自分の艤装に送信すると、最後の目的地である装司令部の貯蔵庫のロックを解除して、その貯蔵庫にあるエネルギーや武器、できれば予備部品や保存食を取りに向かった。

 因みに此れまでに土星組は此の旧艦隊司令部に何度か来た事はあったのだが、回収物の割合の多くは“食料”“通信機器”“医療の薬品や道具”の3種であり、燃料やエネルギーは4番目の優先度で、武器弾薬に至っては殆ど手付かずの状態だった。

 話を戻して、ハルナは目的の物4種を持てるだけ持ったら、土星から1人離れる気であった。

 だが、黙っての土星離脱の事で、ハルナはアカギ達に罪悪感を感じながら通路を歩いていたら…

 

「…何所に行く気?」

 

…十字路を過ぎた直後にイセの声が聞こえたので、ハルナが驚きながら後ろを振り向いたら、ハルナの死角になる所にイセが壁に凭れていた。

 更にハルナに取っては不味い事に、正面の曲がり角の左からカコとキヌガサとテンリュウの3人が出て、背後からヒュウガとフルタカが追い掛けてきていた。

 

「…っ!!!」

 

「「「「あ、待て!!!」」」」

 

 ハルナは正面のカコ、キヌガサ、テンリュウの3人を押し退けて走り去ろうとしたが、その3人に出来なかっただけでなく、イセが背後から飛び掛かって押し倒し、更にヒュウガとフルタカとその上に乗っかった。

 

「何やってんだ!!?」

 

「ハルナさん、馬鹿な事をしないで!!!」

 

「離して下さい!!!

ハルナは、ハルナは行かないといけないのです!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― 同・衛星エンケラドゥス ―――

 

 

「何をやろうとしたのですか!!?」

 

 結局、ハルナはイセ達に取り抑えられての御用とのり、エンケラドゥスに強制送還となった。

 イセ達に周囲を囲まれて一室のど真ん中の伏せって座るハルナに、アカギが怒鳴っていた。

 温和で“怒り”の存在が疑われていたアカギが怒りを露にしていた事に、イセとヒュウガが引いていたのだから、アカギのはかなりのモノであった。

 だが当のハルナはと言うと、アカギの怒鳴りに答える処か、反応している気配が感じられなかった。

 

「…っ、ハルナさん!!!」

 

「アカギさん!!!」

 

「落ち着いて、落ち着いて!!!」

 

 そんなハルナの態度に、アカギは自分が無視されていると誤解した為にハルナに詰め寄ろうとしたが、ハルナを撲殺しそうだったアカギをアケボノとウシオが2人係りで止めた。

 

「…冥王星に行く気だったのですよね?

冥王星のガミラス基地を攻撃しに行こうとしたのですね。

そうですよね、ハルナ?」

 

 黙秘をしているハルナにアカギ達が少し苛ついたが、チョウカイの指摘に全員が“えっ”として彼女に振り向いた。

 

「旧艦隊司令部でハルナが調べていたのは、土星と冥王星の位置だったのです」

 

 ハルナが立ち去った後の中央司令所で、チョウカイがアオバとズイホウの2人と共に彼女の調べモノを報せた。

 因みに、何故チョウカイ達9人が旧艦隊司令部にいたのかと言うと、彼女達も貯蔵庫の物を回収するつもりでいたのだ。

 だがチョウカイ達はガミラスの探知を警戒して、敢えて旧艦隊司令部の動力を復旧させずに貯蔵庫を開けようとしていたが、その途中で動力が回復するだけでなく貯蔵庫の電子ロックが解除された為、慌てて調べたらハルナが独断的行動を起こそうとしていたのに気付いたのだった。

 

「いやぁ~…ビックリしましたよ。

貯蔵庫の鍵を開けようとしてたら、突然開いたんですからねぇ~…」

 

「ホントホント、ガミラスが戻ってきたんだと思っちゃったよね」

 

 只、当初はガミラスの襲来だと誤解していたので、アオバとズイホウが苦笑し合っていた。

 

「でも何で今更冥王星に行こうとしたんだ?」

 

 ナチがハルナの冥王星行きを疑問に思っていたが、実は以外かもしれないが、土星の生存者の中で絶望のあまりにガミラス艦隊に特攻する艦娘はいた事はいたのだが、敵の巣窟である冥王星に向かおうとする者は、今の今まで居なかったからだ。

 まぁ少なくとも、溜め息を吐いたヒュウガはハルナの行動理由を察していた。

 

「…遠征艦隊を……いや、ヤマトを助けに行く気だったんだろ?」

 

 ヒュウガの指摘に全員が“えっ!?”としたが、同時に納得もした。

 

「何であの戦艦を助けに行くのよ?

アイツとハルナは関係がないじゃない」

 

「…関係なくありません」

 

 だがアケボノがヤマトを助けに行こうとするハルナの気を察しきれないでいたが、彼女の言い方がヤマトを馬鹿にさた様に聞こえたらしく、ハルナがやっと口を開いた。

 

「先代の戦艦榛名は、最後の時に戦艦大和の沖縄特攻を見送るしかできませんでした。

そんな事は先代の事だけだと思っていたかもしれないのですが、私の代には宇宙戦艦ヤマトが特攻と同レベルの危険な航海に出たのです」

 

 ハルナから堰を切って出始めた静かだが熱い思いに、全員が黙ってしまった。

 

「…ハルナは決めたのです!!!

ヤマトがまた無謀とも言える航海に出たのなら、先代の遺志関係なく私自身の思いで、ハルナもその航海に出たいんです!」

 

「だからと言って、ヤマトが冥王星に行くとは限らないんですよ」

 

「冥王星に来てくれなくても良いんです!

ハルナが、ヤマトを迎撃しにくるガミラス艦隊を、此の身をもって止めてみせます!

その間に、ヤマトは先に行ってくれれば良いんです!」

 

 ハルナの暴走にも近い思いは“無謀”と思えたかもしれないが、戦い続ける仲間への思いである事であるのは確かであった。

 だからこそ、カザグモも言ったわりにハルナを止める気が感じられなかったし、全員もそうであった。

 

「ですけれど、ハルナさんが冥王星に行けたとしても、その時期はヤマトさんは既に過ぎていると言う事があるかもしれないんですよ」

 

 だが冥王星はガミラスが厳重な警戒網を設置している事が予測されるだけでなく、ヤマトが冥王星に行く行かないが分からない上に、その時期に間に合うのかが不安要素となっており、それ等の点をウシオが指摘したのだが、何故かノシロが頭を押さえながら溜め息を吐いた。

 

「冥王星に行くってのは、案外良い手なのかもしれませんよ」

 

 ノシロの意見に全員が“えっ?”とした。

 

「今の土星の位置では海王星に時間内に辿り着けない可能性が高いんですが、冥王星には以外に近い位置にいるんです。

上手くしたら、ヤマト達に合流できる可能性が高いのですよ」

 

 ノシロが理由を言おうとしたが、その前にチョウカイに説明されてしまって“ムッ”とした。

 そんなノシロにアカギ達が苦笑したが、ハルナは“まさか”とチョウカイに目を向けた。

 

「私も冥王星に行きます。

ハルナ1人じゃあ、遭難する可能性がありますからね」

 

 チョウカイがハルナに微笑みながら頷いたが、それをにする者が他にもいた。

 

「アカギ、悪いが私も行かせてもらうぞ」

 

「ガミラスとの缶蹴りは飽きちゃったし、こんなの私の性分じゃないしね」

 

 なんとヒュウガもハルナへの同行を求め、更にイセが不謹慎に近い冗談を言った為にヒュウガに睨まれたが、彼女も同行する気でいた。

 

「チョウカイ、ヒュウガ、イセ…」

 

「私等も、先代が大和の師匠分だっただけでなく、アイツの沖縄特攻を見送ったんだ」

 

「私の先代は、その前のサマール沖海戦で沈んじゃいましたけどね」

 

 ハルナはチョウカイ達3人に何かを言おうとしたが、その前にヒュウガがハルナを止めた。

 どうやら、彼女達3人もまた冥王星行きを企んでいたようで、3人揃ってのか、3人バラバラだったかまでは分からないが、ハルナが行動を起こさなくても独断での冥王星に向かう者が現れていたのは確かであった。

 アカギの見立てだと、少なくともチョウカイはガミラスとの初戦での冥王星(第一次冥王星沖海戦)でMIA認定となった長姉タカオの無念を晴らしたがっていたから、1人でもやる気でいる筈だった。

 

「無謀よ!

そんな先代との関係と言うだけで、冥王星に行くなんて!」

 

 アケボノが反対したのは、どう考えても“航海”の“戦闘”の両面で危険度が高い為であった。

 況して後者においては、ガミラスの太陽系制圧艦隊の主力が出てくる筈だから尚更であった。

 

「馬鹿言え、ヤマトがどうであれ、そこで仲間が戦おうとしているんだぞ」

 

 だが、ヒュウガが笑って否定した通り、冥王星にて仲間が戦う事が分かっている以上は、仲間意識が強い艦娘達が見て見ぬふりをするなどは考えたくもなかった。

 

「冥王星か、なかなか暴れがいがありそうだな」

 

「ガミラスに、キヌガサさん達の実力を見せつけるにはいい機会かもね」

 

「仲間を助けに行きましょう」

 

「こう言うのはアオバにも任せてください」

 

 現にテンリュウとキヌガサが笑い合いながら、フルタカとアオバも頷き合って参加を表明した。

 

「皆、航海の途中で艤装が壊れるって危険性がある事を知ってる?」

 

「探索や周囲警戒を私無しでやれる自信があるのですか?」

 

「ふっふーん!

私の活躍の場面が来たってことだな」

 

 更に何処で聞き付けたのか、ユウバリ、ズイホウ、カコの3人が入室して参加を表明した。

 ユウバリのみはハルナの未遂行為を知らない筈だったから、どうやら彼女もチョウカイと共謀していた様だった。

 

「アカギさん、出来れば冥王星行きに許可を」

 

「私もお願いします」

 

「バーカ、お前等、駆逐艦は駄目だ」

 

 更にカザグモとフブキも参加したかったが、彼女達2人はテンリュウに直ぐ否定された。

 

「…土星・冥王星間が最短になりかけていますが、それでも長い事に変わりないので、駆逐艦では航行距離に不安があるからですよ」

 

 カザグモが“ムッ”とした為、チョウカイが苦笑しながらの説明に一様納得して……くれたと思う…多分…

 

「……アカギさん…」

 

 冥王星行きを止めたがったアケボノは、最後の頼みとしてアカギに振り向いたが、そのアカギの顔を見て“無理”だと察した。

 尤もアカギだけでなくアケボノもまた、止めたい思いと五分五分で冥王星に行きたい思いがあった。

 

「…行ってきてください。

日本の艦娘は、戦っている仲間を見過ごす事などないと言う事を示しなさい」

 

 アカギによって、土星組からの選抜隊は冥王星に行く事が決定となった。

 行くのは、戦艦娘からハルナ、イセ、ヒュウガの3人、空母ズイホウ、巡洋艦娘からテンリュウ、フルカタ、カコ、アオバ、キヌガサ、ユウバリ、チョウカイの8人の計12人であった。




 感想または御意見、どちらでも御待ちしています。

 今回の投稿前に、アケボノとウシオは藤堂と親しい関係である設定を忘れていたので、第48話で囮作戦に対してのウシオの疑問の一言を付け足しました。

本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?

  • 実写版通りに、特攻
  • なんとしてでも、地球に帰還
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