SPACEBATTLEGIRLヤマト   作:サイレント・レイ

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今回の投稿後に、第47話で左足が失われたのが確認されたコンゴウに右目の真下に切り傷が出来たのを追加しました。





 それでは本編をどうぞ。


第51話 ハルナ達の旅立ち(後編)

――― 土星 ―――

 

 

「……すまん、私も此の足さえ有れば…」

 

「ナチ、気にすんなよ」

 

 選抜隊が各々に準備中、ナチは松葉杖片手にカコ達4人の所にやって来て、彼女達に頭を下げると自分の左足を恨めしそうに視線を落とした。

 諦めてると言え、本当は冥王星に行きたい筈のナチの思いを察してカコが笑って励まし、アオバ達3人もナチの肩を順に叩いた。

 

 

 

 

 

「…テンリュウ……私も行くわよ」

 

「ノシロ!!?」

 

「馬鹿言わないで!

貴女、その首の状態じゃあ、無理ですって!」

 

 そんなナチに反して、冥王星行きに加わろうと、わざわざ艤装を纏ってやって来たノシロを、テンリュウはユウバリと共に驚きつつ、止めようとした。

 

「ヤハギが出ているのよ。

あの娘1人だけにアガノ級の意地と誇りを持たせる訳にはいかないのよ!、っ!?」

 

 ノシロは使命感等だけでなく、姉としての矜持として行く気だったが、肉体はそうではなく、現に首の傷で既に千鳥足であった上に、首を震源地とした全身の痛みで崩れ落ちてしまった。

 

「ほらみろ、まともに歩けない奴を連れていける訳がないだろ!」

 

「向こうにアケシとチトセがいるんでしょう!!?

だったら、直ぐにあの2人の世話になればいいじゃない!」

 

「ノシロ!!!」

 

 テンリュウが思わずの怒鳴りでノシロも逆ギレしかけていたが、ユウバリはそんなノシロの胸に手帳を叩き付けた。

 

「此れは私なりに、傷ついて動けない娘達の状態や対処法を書いた物です。

ナチやアカギさんが此の手が駄目ですから、此れであの娘達を見ていてほしいんです」

 

「だけどね」

 

「貴女しかいないんです!!!

それに、ガミラスが此所に気づいて攻めてきた時、駆逐艦の娘達を従えて皆を守れるのはノシロしかいないんですよ!」

 

 テンリュウが右往左往しているのを他所に、ユウバリとノシロはお互いの胸ぐらを掴んで睨み合っていたが、暫くした後にノシロが舌打ちをして視線を逸らした。

 

「…ヤハギに、伝えて……アガノ級巡洋艦の名に、泥を塗る事をしたら、承知しないって」

 

 明らかに拒絶反応が出ていたが、ノシロの自分なりの諦めにユウバリは彼女の手を取って頷き、テンリュウもノシロの右肩を叩いて“任せろ”と右手の親指を立てた。

 

 

 

 

 

「普通のやり方で冥王星に向かったら間に合わない可能性が高い以上は、1秒だけでも早く着く手を考えているのか?」

 

 一方で、ヒュウガは、イセ、チョウカイ、ザラの3人と冥王星への航海方法の打ち合わせをしていた。

 

「ええ、エンケラドゥスから離脱したら、土星本星に沿って1周するつもりです」

 

「土星本星の重力を利用してのスイングバイを行おうってのか?」

 

「はい、此れで十分な加速を得られる筈です」

 

「だがそれだと燃費が酷い事になるな」

 

「勿論、その対策は考えてますよ」

 

「ただし、最悪の手です」

 

 交代しながらヒュウガとイセに説明していたチョウカイとザラは、お互いの目線を合わせるとキョトンとしているヒュウガとイセに説明する意を決した。

 

「衝撃砲のエネルギーを航行用のエネルギーに転用します。

此れでギリギリ冥王星に辿り着ける計算です」

 

「…衝撃砲のエネルギーを転用する?」

 

「ズイホウさんにある程度の補給物資を持たせますし、三式弾や空間魚雷を全員に持たせますので、冥王星での戦闘に支障は出ない筈です」

 

「どのみち冥王星までの航海中は戦闘厳禁ですし、衝撃砲もガミラスに無力化していますから無駄を無くそうと言う事です」

 

「じゃあ、航海中にガミラス艦隊に接触したらどうすんのよ?」

 

「逃げるしかありません。

ついでに航海中はガミラス艦隊が正面から来ない事を祈り続けるしかありません」

 

「……冗談、でしょ?」

 

 あまりな手に、説明していたザラが溜め息を吐いてチョウカイが苦笑していたが、イセとヒュウガは茫然としていた。

 

「…細かな説明をしていい?」

 

「止めて」

「よせ」

 

 

 

 

 

 最後にハルナはと言うと、早く準備を終えるとズイホウと共に、コンゴウの墓標の前で装甲板に金槌と鋲を使って文字を彫っていた。

 

「…何をやっているのでしょうか?」

 

「さあ?」

 

 そんな2人の所にアカギと共に来たウシオとアケボノは、お互いの目線を合わせて首を傾げた。

 

「よし、ズイホウさん、お願いします」

 

「……此れで大丈夫?」

 

 事前に刺してあった鉄筋にハルナとズイホウが2人係りで装甲板を持ち上げて大型釘で刺して止めた。

 

「ほぉ~」

 

「……?」

 

「“勇敢なる艦娘達の魂、此所に眠る”って書いてあるんです」

 

 装甲板に刻文にアカギが溜め息を吐いたが、読み書き障害(ディスレクシア)のアケボノが理解出来ずに眉間に皺を寄せると、ウシオが彼女に教えた。

 

「ハルナさん、ズイホウさん、他の人達も準備を終えましたよ」

 

「はい………コンゴウ姉様、行ってきます」

 

 ズイホウは先にアカギ達の所に向かったが、ハルナは少しの間コンゴウの墓標を見つめた後に彼女の後を追った。

 

「ズイホウさん、お願いしますよ」

 

「あ~あ…、給油艦タカサキ(高崎)になっちゃいました」

 

 アケボノとウシオの2人から補給物資を大量に渡されたズイホウは、先代瑞鳳の元である給油艦高崎を思い出しての自虐で、頬を膨らませて不満を露にしていた。

 因みにズイホウは先代瑞鳳と違って、姉妹艦ショウホウと共に純粋な空母であるので給油艦云々は関係なかった。

 

「仕方がないでしょう。

ズイホウは艦載機は一桁になってるじゃないですか」

 

 だが実際アケボノの指摘通り、ズイホウは艦載機隊が壊滅状態なので補給艦の代わりをするしかなかった。

 

「艦載機はまだ此処にありますよ。

ちょうど30機前後ありますよ」

 

 そんなズイホウに、アカギがコスモパンサー群入りの矢筒を差し出した。

 

「え、でも、此れは…」

 

「ちょっと、弓を貸してください………あ~あ~…、かなり傷んでますね。

私の弓も持っていきなさい」

 

 ズイホウはアカギの矢筒に驚いていたが、そんな彼女を他所にアカギはズイホウの弓を手に取って状態を確認すると、代わりとして自分の弓をも差し出した。

 

「……此れ等は、アカギさんの…」

 

 アカギの矢筒と弓の受け取りをズイホウが躊躇っていたのは、彼女の2品は姉アマギや親友のカガとお揃いで作られた物で、親しかった戦死者達の繋がり深いのを知っていたからであった。

 その為、ズイホウはアカギの矢筒と弓を強く抱えた。

 

「勘違いしないでください。

それ等はあげたんじゃなくて、貸したんです」

 

「…貸した?」

 

「ええ、だから後日返してください」

 

 ズイホウはアカギの思いを悟って“はっ”とした。

 

「分かりました。

冥王星を落としたら、必ず御返しします!」

 

 多分アドリブも入ってたと思うが、アカギなりの励ましと生還への思いに、ズイホウは上半身ごと頭を深々と下げた。

 

「おぉーい、ハルナ!!!

そろそろ行くぞ!」

 

 ハルナとズイホウが妙に遅かった事を思って、イセが2人を呼びに来ていた。

 更にイセの後ろにヒュウガだけでなく、チョウカイ達巡洋艦娘7人が揃っていて、ハルナとズイホウは直ぐに彼女達の所に走って向かった。

 

「え~…」

 

「……ハルナは、大丈夫です…」

 

 到着して早々に冥王星への航海法をチョウカイから説明されたが、ズイホウは呆れて、ハルナは苦笑していたが、先に説明されたフルタカ達6人も表情から察するにイセ達やハルナ達と同じ様だった。

 

「さて、行きますか!」

 

 イセの号令に、ハルナ達はイセの目線に順に合わせては頷いていき、ユウバリが念の為に艤装を確認してから最後に頷いて、いよいよ旅立ちの時となった。

 ヒュウガ達は滑走の為にコロニーから離れていったが、そんな彼女達に遅れてフブキ、アケボノ、ウシオ、ユウグモ、カザグモ、レーベレヒト・マーズの駆逐艦娘6人が続いたが、彼女達は土星を離脱するまでイセ達を護衛するつもりであり、もし土星圏内でガミラス艦隊と接触した場合はフブキ達6人が身を呈して守るつもりであり、その決意が彼女6人各々の顔に表れていた。

 

「……あ!」

 

 アカギはイセ達やフブキ達をその場で見送ろうとしていたが、何の気無くコンゴウの墓標に振り向いたら、そこに架けられていたコンゴウのヘッドギアが無くなっている事に気づいた。

 此の為にアカギはヘッドギアの所在を探ろうとしたが、その時にイセ達のいる方角から爆音が多数聞こえた。

 イセ達は艤装のエンジンを一斉に始動させたらしく、アカギが振り向いた直後に雪煙を派手に巻き上げながら滑走し……先導役のチョウカイを先頭にしての複縦陣を展開した11人を、フブキ達が左右から半分に別れての護衛体勢で上昇を開始して、そのままエンケラドゥスの大気圏を離脱していった。

 

「まもなく、土星の環に突入します!」

 

「ヒュウガ、遅れないで!」

 

「…張り切り過ぎだ」

 

 そのまま土星本星の衛星軌道に乗ると、スイングバイを行う為に土星本星を1周するのだが、先ずは第1関門である土星の環に突入する事をチョウカイが伝え、イセが調子に乗りかけたのをヒュウガが注意したが、2人がそう言う狙いだったかは分からないが、取り敢えずは此のやり取りで他の者達が笑ってリラックスさせる事になった。

 此の結果もあったのか、17人全員が衝突する事なく環を突破し、後は頃合いを見計らって土星本星から離脱すべきなのだが、イセ達はエンケラドゥスのコロニーを最後に一目見る為に、もう1度環に突入する事を覚悟してエンケラドゥスの傍を過ぎるコースを取った。

 そんなイセ達の行為に駆逐艦娘達も気付いたが、アケボノが渋い顔をしたものの、誰もその事を注意しようとしなかった。

 

 そしてガミラス艦隊と接触と言う最悪の事態が起こる事なくエンケラドゥスの傍まで来た時…

 

「「「「「「「「「「「…っ!?」」」」」」」」」」」

 

…なんとコロニーの前方に、アカギだけでなく動ける艦娘達全員が……一時的失明状態のシグレまでがザラに導かれて出てきて、横2列に並んでいた。

 遥か上空を過ぎようとするイセ達を確認すると、多少は有った“武運長久”よりも“旅の無事”を祈って、号令が無かったにも関わらずに全員が揃って敬礼した。

 イセ達はアカギ達の行為に驚きつつ、思いを察していたら、今度はフブキ達6人がガミラスの気配が無い事から護衛を終えたと判断して、彼女達から離脱しながら失速を開始し……停止して横1列に並んでイセ達に揃って敬礼した。

 アカギ達やフブキ達の行為に、イセ達は少し間を置いた後に、前進しながら後ろを振り向いて答礼として右拳を左胸に当てる敬礼を一斉にし、前方に振り向くとそのまま冥王星に向けて土星から離れていった。

 

「……行きましたね」

 

「やはり、私も行きたかったな…」

 

「そんな事を皆思っているよ」

 

 イセ達が土星から完全に離脱したのを察して、アカギが感情深い事を言って、それにナチもシグレが反応した。

 各々にヤマトをどう思っているかは知るよしは無かったが、エンケラドゥスに戻っているフブキ達6人も含めた艦娘全員が、地球を救おうと旅立ったヤマト達と共に旅をしたかったとの思いがあった。

 

 確かに彼女達は今回(・・)は縁が無かった。

 しかしある者達は“女神の救援から始まった宇宙全ての人類存亡戦”で、または“戦略兵器を打ち込まれての一夜で占領された地球を解放する為の暗黒の宇宙への旅”に、はたまた“人為的な事故で始まった宇宙災害からの第2の地球捜索”の3種どちらかで、ヤマトと共に旅に出れる未来が一部の者達に有った。

 誰が何時ヤマトと縁を結ぶ事になる事など、全員が此の時に分かる訳が無かった…




 感想・御意見、どちらかか両方をお願いします。

 今回、ズイホウ(瑞鳳)がアカギ(赤城)から矢筒と弓を貸し出されましたが、元々は矢筒だけだったのですが、“銀河英雄伝説”でのフェザーンに転任するユリアンがイゼルローンを見回る一場面である、シェーンコップがユリアンのナイフを自分のと交換させるのを見て、弓も追加しました。
 先行情報として、ズイホウは冥王星奪取後にアカギに矢筒と弓を返してますが、代わりに戦没したショウホウ(祥鳳)の矢筒と弓を使う事になる予定です。
 更に言いますと、現在のズイホウはズイカク(瑞鶴)共々改&改二のカラーリングですが、矢筒&弓と同様にショウホウの戦闘服に着替えると言う事で無印&改二乙のカラーリングに変ようとしています。

 それと本作ではアケボノ(曙)は読み書き障害で、文字を一切理解出来ないとしていますが、此れは“パールハーバー”の主人公の1人であるレイフを参考にしましたので、艦これ原作の曙は当然そうではありません。
 本作ではアケボノは読み書き障害が原因で、両親を失望させるだけでなく、“アホの娘”として虐めを多々受けた為に不良に近い凶暴な存在と化していたが、小学校の社会授業で出会った藤堂が読み書き障害である事を見抜いたので、アケボノは藤堂に絶大な信頼感を持っていると設定しています。
 此の設定の副作用で、アケボノは秘書艦任務は一切出来ず、更にアケボノは敢えて上官の提督に反感を買う態度でいる事で、間違って自分を秘書艦にしないようにしています。


「あの映画って確か主人公がもう1人いたわよね?
ソイツのはどうしたのよ?」

 その“パールハーバー”のもう1人の主人公ダニーのポジにウシオ(潮)を当てて、更に“陽炎、抜錨します”もあって、ウシオはアケボノの古染みの親友としています。
 更に言いますと、内気な性格のウシオはアケボノを守ったり弁護は出来なかった(逆にアケボノがウシオを守る事は多々あり)が、アケボノ本人が「気にするな」と散々注意していますし、早くからアケボノに何かあると薄々感じていてたとしています。

 最後に当初はノシロ(能代)は白色彗星帝国編に出る予定でしたが、“ヤマト2202”第22話での徳川と山崎のやり取りを見て暗黒星団帝国編に先伸ばしにします。
 ただしノシロは白色彗星帝国編に出る事は出ます。

能代
「徳川さんは第7章の予告で、土方艦長、斎藤、キーマンの3人共々、死兆星が見事に輝いてたけど、まさかアガノ級の誰かが戦没するって事じゃないわよね?」

…も、もしかしたら、太助との親子共演があるのかなぁ~…って思ってましたが、徳川さんは死ぬ事確定しちゃいましたからね。
 土方艦長と斎藤も言うに及ばずだったけど、山本(玲)がしるんちゃうかと言われた被弾からの特攻を、何かキーマンがしそうなんだよな~。
 前々から危険視されていた航空隊が取り敢えずは不明でしたけど、個人的には山本だけは生き残って加藤の後任として2代目飛行隊隊長になるんかなぁ~…と思ってます。

能代
「PSゲーム版の山本(明)の扱いが、リメイク版でもあるとの予想ね」

 それにしても、予告での月が見覚えのある事になってたけど、アレは福井さんが“キャプテンハーロック”のをやらかしたんだぜ。


「それはそうと、第7章でテレサさんが危ない動きをしていた上に、アンドロメダ級八番艦『ラブラトリー・アクエリアス』に嫌な予定がありますから、『ヤマト』自身にも危険な傾向がありますけど、もし『ヤマト』特攻の場合は何か対策を考えているのですか?」

 リメイク版の暗黒星団帝国編の動向にもよりますが、もしかしたら暗黒星団帝国編、ガルマンガミラス&ボラー編、ディンギル編は、主役交代としてムサシ(武蔵)にやらせる事になるかもしれません。
 元々ウチの暗黒星団帝国編(及びそれ移行)は大和より武蔵の方がやり易いかなぁ~と思って、何らかの理由でヤマトが身動きが取れないので、ムサシが代わりに暗黒星雲に赴くとの初期設定をしていました。
 現時点ではヤマトの続投としていますが、此の名残で同行予定者達は武蔵の関連艦の艦娘達を集めていました。

 更に言うと、『ムサシ』は第7章に出ると、銀河中央部にてガルマン星を見つけた事でデスラーが白色彗星帝国から離脱するとの噂があるんです。
 リメイクシリーズガルマンガミラス&ボラー編(PartⅢ)を黒歴史にしたいのかな?
 個人的には、暗黒星団帝国にガミラス星が攻められたので誰かがデスラーに助けを求めた為、デスラーが離脱すると予想していたのですが………見事に外れました…

能代&曙&潮
「「「……も、もし、武蔵案が採用となったら……まさか…」」」

 当然ながら“ロックマンX”が“ロックマンZERO”に代わったのと同様、作品名は“SPACEBATTLEGAILヤマト”から“SPACEBATTLEGAILムサシ”に変更!

本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?

  • 実写版通りに、特攻
  • なんとしてでも、地球に帰還
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