SPACEBATTLEGIRLヤマト   作:サイレント・レイ

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第54話 悪意ある挑戦状(中編)

――― 海王星 ―――

 

 

 太陽系第8惑星・海王星とは、ドイツ天文学者ヨハン・ゴットフリート・ガレが、フランス天文学者ユルバン・ジャン・ジョセフ・ルヴェリエとイギリス天文学者ジョン・クーチ・アダムズの2人の計算を元にして、西暦1846年に発見に至った水素主体の大気に覆われた氷の惑星である。

 地球からの観測すると、外見は大気成文のメタンによって“蒼玉”の如く美しく見える海王星は、現在ガミラスが実効支配していたが、ガミラスが冥王星に艦隊を駐留していない事から、破壊された地球の基地にショウカク達遠征艦隊の先行組が入居して、潜宙棲鬼を倒したヤマト達を待っていた。

 そのヤマト達が海王星の軌道に入ったとの報せを受けて、ヤハギ、イソカゼ、ハマカゼの3人の第二艦隊にアカシ、イスズ、アマツカゼの3人が臨時編入された状態でヤマト達を迎えに大渦から海王星を離脱していた。

 

「…っ!

彼処(アソコ)!」

 

「よし、ハツシモ達3人もいる!」

 

 海王星の沖合いで待っていたら、ハマカゼが海王星に向かってきているヤマトを見つけ、続けてヤハギがハツシモ達3人が無事に続いているのを見つけた。

 更にヤマト達もヤハギ達に気付いた様で、ヤマトがヤハギ達を指差した後にカスミとアサシモが両手を振っていた。

 

「皆、ご苦労様」

 

「ご苦労様なのはヤマトの方でしょ?」

 

 ヤマトはハツシモ達3人と共にヤハギ達の近くまで来くと、自分達の出迎え役の彼女達を労ったが、ヤハギの返しにキョトンとした。

 

「…レムレースこと潜宙棲鬼討伐、ご苦労様です!!!」

 

 ヤハギがニンマリと笑うと、ヤマトに対して右拳を左胸に当てる敬礼をして、イソカゼ達5人も笑ってヤハギに続いた。

 

「ああ、そう言う事ね」

 

 当のヤマトは少し間を置いた後に答礼し、ハツシモ達3人も右拳を左胸に当てる敬礼で続いた。

 表情から察するに、ヤハギ達はヤマトが潜宙棲鬼に勝つ事を信じていた様だった。

 

「いやぁ~…ホント、大変だったよ」

 

 そんなヤハギ達からアサシモが調子に乗って、ガミラス潜宙艦隊との戦いを自慢しようとしたが…

 

「…何で、イスズ無しで潜宙艦と戦ったのよ!!!」

 

…その直前に、イスズがアサシモをヘッドロックした。

 どうやら、対潜宙艦の第一人者であるイスズはガミラス潜宙艦隊との戦いに参加出来なかった事を未だに悔しがっていて、アサシモの笑顔が勘に障って彼女に八つ当たりしていた。

 

「ン、ノオォォォー!!!」

 

「イスズさん、タップしてますよ!」

 

「ちょっと、やり過ぎ!」

 

 イスズは相当強く絞めていた為、アサシモが悲鳴を上げながらイスズの右腕を必死に叩いて、ハツシモとカスミがイスズを止めようとしていた。

 

「ぢぃぃーぐじょぉぉー!!!」

 

「…もしかして、イスズは今までああだったの?」

 

「アブクマが活躍したのが、火に油を注いじゃったの」

 

「お陰で、輸送ワ級をやたらと沈めていましたよ」

 

 ヤマトに訊ねられたヤハギがハマカゼ達と揃って溜め息を吐いた事から、イスズにかなり苦労していた様だった。

 

「…ヤマト!!!

よくやってくれました」

 

「え、ええ……どうも…」

 

 そんなんだから、カスミとハツシモの2人によって、アサシモを解放したイスズは、振り向いた彼女が凄い顔だったので少し退いたが、息を整えた後の笑顔での労いに、ヤマトは素っ頓狂に返してしまった。

 

「そんじゃ、確認作業に入るわよ」

 

 そんなこんなで、アカシはアマツカゼと共にヤマト達4人の艤装の確認に入った。

 

「そう言えば、チトセはどうしたの?」

 

 ヤマトの艤装を確認した後にハツシモ達駆逐艦娘達の艤装を点検しているアカシとアマツカゼを見つめていたヤマトは、2人と一緒に来るべき筈のチトセが居ない事に気づいて、彼女の所在をヤハギに尋ねた。

 

「チトセなら海王星の基地でズイカクを見ているわよ」

 

「ズイカクを?」

 

「あの人、艤装の整備不備が原因で、ワープ実験後に体調を崩しちゃったの」

 

 ヤハギの返事で理由が分からなかったが、イスズの補足で納得して、ヤマトは「あ~…」と呻いた。

 

「よし、問題なのはヤマトだけね」

 

「まったく、派手に壊してくれたね」

 

 此の間に、アカシとアマツカゼが4人の確認を終え、潜宙棲鬼に補助エンジン2基揃って大破したヤマトを海王星のドックで直すのみと断定、アマツカゼが毒づいたのでヤマトが申し訳なさそうにしたが、当のアマツカゼは“気にするな”と示した。

 

「「…あ!」」

 

 で、イスズを先導にヤマト達は海王星の基地を目指したら、その基地上空に超巨大な白い渦が存在していて、ハツシモとアサシモが驚きの声を上げた。

 

「アレはね、だいたい深海棲艦戦時辺りに起きた宇宙自然現象で出来たらしくて、あの渦の真下にある巨大クレーターの中心地に基地があるのよ」

 

「はぁ~…深海棲艦と戦争してた時にか」

 

「ヤマトさん、その事でのニュースとか当時ありませんでしたか?」

 

「え、え~と…」

 

「馬鹿ね。

あの極限状態の戦時下で、宇宙での出来事なんか話題にならないわよ」

 

 カスミの説明にアサシモがハツシモと共に溜め息を吐いて、“深海棲艦戦時”との事からハツシモがヤマトに当時の事を訊ねたが、ヤマト本人が何かを答える前にイスズが否定してハツシモが“あっ!”とした為に全員が笑った。

 だが、イスズの行為で誰も気づかなかったが、ヤマトは海王星の渦が出来た経緯を知っている気がするだけでなく、更に奇妙な懐かしさも感じた事もあって、内心強めのパニックを起こしていた。

 

「…ん、アレって何の光だ?」

 

「………っ!?

ガミラス艦隊だ!!!」

 

 だから、イソカゼが右側で奇妙な光を見つけて示して、他の者達がそちらに振り向き………アサシモがそれがガミラス艦隊のワープ現象のであり、そのガミラス艦隊が自分達に接近していたのに気付いて、全員が身構えてアケシがヤハギの背に隠れたが、ヤマトだけは気付かずに海王星の渦を凝視し続けていた。

 

「…重巡リ級が……4で、内1隻はエリート!」

 

「不味いわね…って、ヤマト!!!」

 

「え、皆どうしたの?」

 

「ガミラス艦隊が来てんのよ!!!」

 

「みんな待って!

ガミ公の様子がおかしい」

 

 ヤハギがガミラス艦隊の構成を見極めて、アケシが顔を青くして思わずヤマトに振り向いたら、ヤマトが全くの無反応だったので叫ぶも、ヤマトが何か呆けた感じだったので思わず怒鳴ったが、イスズが重巡リ級群の違和感に気づいて皆を止めた。

 で実際、重巡リ級群はエリートを先頭に残り3隻が横並びに固まっていて、かなり近付いてきても攻撃の気配が全く感じられなかったので、茫然としているヤマト以外の艦娘達は警戒しながら周囲の者達と目線を合わせていたが、不意に先頭が左脇に退いた先の重巡リ級達に全員がギョッとした。

 

「「「「「「…っ!?」」」」」」

「「「「クロシオ!!?」」」」」

 

 イソカゼ達カゲロウ級駆逐艦4人とアサシモが思わず叫んだが、後ろの重巡リ級2隻はクロシオ(これまで重巡リ級と誤認)を左右から抱えていたのだ。

 重巡リ級達がMIAのクロシオを担いでいたのもそうだったが、そのクロシオは艤装が大破して武装全てが外されているだけでなく、首回りにリボンタイが結ばれずに通されたシャツはスカートから出てベストはボタンを留められていない、まさに着せられただけの生々しい格好で失神していた。

 そんなヤマト達を御構いなしに、重巡リ級2隻はクロシオをヤマト達目掛けて投げ飛ばし、更に先頭のエリートが傍を過ぎようとしたクロシオを回し蹴りで勢いを付けた。

 

「…っ! イスズ!!!」

 

「任せて!!!」

 

 ヤマト達は状況を理解出来ずに縦に回転しながら飛んでくるクロシオを茫然と見つめていたが、比較的早くに我に返ったヤハギがイスズと共に飛び出してクロシオを受け止めた。

 受け止めて分かったが、クロシオは明らかに痩せていた上に目に見える身体の至る所に痣が多数ある事から、ガミラスが彼女をどう扱っていたかを察する事が出来た。

 

「クロシオさん!!!」

 

「何があった!!?…っ!?」

 

 クロシオの所に更にハツシモとカスミが駆けつけたが、その直後にアマツカゼが怒りの形相で左旋回で反転して冥王星への退却に入った重巡リ級目掛けて主砲を撃った。

 

「よくもクロシオを!!!」

 

「「くたばれ、ガミ公!!!」」

 

 更にハマカゼとイソカゼにアサシモが彼女に続いたが、彼女達の怒り任せの砲撃は全く当たっていなかった上、当の重巡リ級達は無視して加速していってワープで逃走した。

 

「逃げるなぁぁー!!!」

 

「直ぐにワープだ!!!

アイツ等、皆殺しにしてや、っ!?」

 

「馬鹿!!!」

 

 逃げた重巡リ級達にアサシモが叫び、イソカゼがヤマトに振り向いてワープを求めたが、アカシが彼女の胸ぐらを掴んで左頬を叩いた。

 

「此れが罠だって事が分からないの!?

ワープ先にガミラス艦隊が待ち受けているってのが、私でも分かるのよ!」

 

「……すまん…」

 

 アケシの怒鳴りでイソカゼはハマカゼ達4人共々冷静になった様で、左頬を押さえながら素直に謝った。

 

「ガミ公よりクロシオよ!」

 

「クロシオさん、傷もそうですけど、酷い発熱です!」

 

「早く、チトセの所に行きましょう!!」

 

 逃げ切ったガミラスに思う事はあったが、イスズの叫び通りにそれよりもクロシオの身を案じるべきであり、見た目で既にそうだったが、アケシの簡易的な診察でクロシオが危険な状態が判明して、直ぐにでもチトセの所に運ぶべきであった。

 

「クロシオ、しっかり!!」

 

「アンタは助かったのよ!」

 

「直ぐチトセの所に連れてってやるから死ぬな!」

 

 直ぐにアケシ(ヤハギと交替)とイスズはクロシオを左右から抱え、更にハマカゼ達カゲロウ級の3人が脇でクロシオに呼び掛けている状態で海王星へと向かた。

 

「…っ!

ヤマト、後方警戒をお願い!!」

 

「分かった」

 

「……ヤ、マト…」

 

い、思い出しかの様にイスズがヤマトにガミラス艦隊の再度襲来に備えてもらって、ヤマト本人が了解した直後に、“ヤマト”の単語にクロシオが反応して目を覚まきて周囲を見渡して、後ろのヤマトを見つけると暫く彼女を見つめ続けた。

 

「…アンタが、ヤマトか?」

 

「え、ええ…」

 

「……そうか、そっか、スズツキの言う通り、ヤマトは現れたんやな…」

 

 ヤマト達が戸惑っているのを他所に、クロシオはヤマトを確認して微笑むと、顔を落としてまた失神してしまった。

 

「「「クロシオ!!?」」」

 

「大丈夫、まだ生きている!」

 

 イソカゼ達3人はクロシオが死んだと思ってしまったが、直ぐアケシが彼女の脈と息を確認したので3人揃って溜め息を吐いた後に、また直ぐに海王星へと急いだ。

 クロシオを護送するアケシ達6人を見送りながら、残ったヤハギ達4人はガミラス艦隊がいないかどうかの確認をしていたが、ヤマトは見えなくなった以降もクロシオの背を見つめ続けた。

 “スズツキ”の単語から他にも捕虜の艦娘達の存在等も色々気にはなったが、クロシオが自分の存在を確認した事から、ガミラスは自分を冥王星に誘き出す為だけに彼女にあんな行為をしたんだと察した。

 ヤマトは自分が潜宙棲鬼を倒した事を、別に誇ってはいなかったが、その事からクロシオが酷い目にあったのだと思い、自己嫌悪から下唇を噛みながら顔を伏せった。

 更に、ガミラスはもし冥王星に向かわなかったら捕虜の艦娘達を処刑するのは目に見えていて、その事を否応なく予感させた。

 

「ヤマトは悪くない!!

貴女はクロシオを苦しめる行為は一切していないわよ!」

 

 そんなヤマトの心情を察して、ヤハギは彼女の右肩を掴んで励ました。

 

「クロシオも分かってるわよ!」

 

 更にカスミ達3人もヤハギに続いたが、当のヤマトは心の中のモヤモヤを全く拭う事が出来ずにいた…




 感想または御意見をお待ちしています。

 今回の投稿前に、いつの間にかに出来ていたアンケート機能をしようして、本作でのヤマトの最後をどうしてほしいかを書きました。
 pixie版のを含めて、此のアンケートの結果しだいで、最終場面でヤマトが特攻するのか、地球に帰還するかが決まります。

大和
「現時点では、まだ2票だけですが、帰還派が強いですけど、特攻が採用となったら先行投稿している白色彗星帝国編はどうするのですか?」

 特攻派が多数の場合、後日なんとか回収できたヤマトの艤装を一応修理された後に、ヤハギが艤装を継承して二代目ヤマトになるとしています。
 因みに白色彗星帝国編でも、2202第7章にもよりますが、此方でもヤマトが特攻すべきかどうかのアンケートを実施予定で、しかも此方は暗黒星団帝国編は“ヤマトの主役続投”か“ムサシに主役交代”も兼ねてます。

 それと本編で海王星の裏側に巨大な渦があるとしていますが、此れは本作独自設定でして、本物の海王星にはこんなものはありません。
 前々から色々布石を置いてましたが、海王星の渦が“1000年女王”要素の最大の布石としています。

 最後に活動報告にて、白色彗星帝国編で登場予定のアンドロメダ級の仮設定を公開しました。
 ハーメルンでは、少なくとも確認しているアンドロメダの艦娘は全員クールビューティですが、ウチのは“短気かつツンデレ”との真逆の性格にしています。
 更に、衣装及び艤装形状は“ガングート・ベース”か“ウォースパイトと1000年女王(雪野弥生(プロメシューム))の折檻”の、後者が若干強いが、どちらかで悩んでます。
 若干ネタバレになってるかもしれませんが、此方の意見もどうぞ。

本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?

  • 実写版通りに、特攻
  • なんとしてでも、地球に帰還
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