SPACEBATTLEGIRLヤマト   作:サイレント・レイ

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第60話 勃発、第七次冥王星沖海戦

――― 冥王星沖 ―――

 

 

「っ! 前方に冥王星守備艦隊!!!」

 

 ワープで小惑星帯を飛び越えて、偵察に出ていたハツシモと合流した遠征艦隊は、先頭のヤマトの後方左右各々にイスズとショウカクがタマと駆逐艦娘6人を後続させる複縦陣で警戒しながら冥王星目指して前進していたが、冥王星が微かに見える沖合いに達して其所に展開しているガミラス艦隊を黙視で確認した。

 此の事はガミラス艦隊も同様で、ガミラス艦隊は陣形を整えて遠征艦隊の迎撃体勢を取っていた。

 

「…ガミラス、艦隊は……重巡リ級の戦隊2つが、左右各々にエリート2隻を先頭とした梯形陣を、重巡戦隊の後ろに半分近くがエリートの水雷戦隊多数が上下二段の複横陣を展開していますね」

 

 ガミラス艦隊の陣形はショウカクの双眼鏡での確認通りで、真上から見たらほぼ“六”の字型の横長になっていた。

 

「おかしな陣形をしてますね。

波動砲を警戒しているのでしょうか?」

 

 だがハマカゼがぼやいた通り、ガミラス艦隊の陣形の中央部が微かに薄くなっている事もあって、全員が妙な疑問を感じずにいられなかった。

 

「きっと私達が中央突破をしたら、重巡戦隊が後ろに回り込んでの包囲殲滅を狙ってるのよ」

 

「だとしても、ガミラスが見え透いた罠をやりましょうか?」

 

 ガミラス艦隊の狙いの大方は、レシーテリヌイの推測通りと思われるが、ショウカクが疑問に思う通りにガミラスが単純な事をするとも思えなかった。

 だが当のガミラス艦隊は、重巡リ級12隻が一斉に砲撃を開始し、全弾外れはしたが考える時間を与えてくれない事は否応無く分かった。

 

「ヤマト、どうします?」

 

「私はガミラスの引き立て役になる気はありません!」

 

 ヤマトはショウカクの質問に、直接的な返事はしなかったが、取り舵をした事で狙いを示した。

 

「やはり、そうするしかありませんか」

 

 ショウカク達は、ヤマトは4つの組に別れてるガミラス艦隊の各個撃破を狙い、彼女は先ず右翼前方の重巡戦隊を丁字戦法にて撃破して、そのまま重巡戦隊のいた宙域に沿って右翼後方の水雷戦隊を対処しながら突破が狙いだと見抜いた。

 まぁ水雷戦隊の対処からだと、丁字戦法より“車懸かりの陣”と言うべきかもしれない。

 

「さぁショウカク、どうする?」

 

 ショウカクに訊ねたイスズ以下の全員がヤマトに賛成していて、そのショウカクも顔を見るだけで聞くまでもなく、更に沖田も何も言ってこない事から“無言の了承”を得てると判断していたらやる事は1つしかなかった。

 

「ヤマトが右翼なら、私は左翼前方の重巡戦隊を狙います!」

 

 イスズに微笑んでから表情を強めたショウカクは、ヤマトに続いて援護をするよりも、無対応の左翼に横腹を突かれる事を警戒して、ヤマトとは逆の面舵をして左翼の重巡戦隊を攻撃ようとした。

 

「砲撃開始!!!」

 

「前航空隊、発艦!!!」

 

「ハツヅキ、イスズと一緒にヤマトに続くよ!」

 

「了解!!!」

 

「それじゃ、私はショウカクに続きます!」

 

「行きましょう!!!」

 

「タマ達3人は此所で待機するニャ!」

 

 ヤマトが初弾を放って全弾を外し、ショウカクがコスモタイガー隊を放って攻撃に向かわせたのを確認して、イスズとハツヅキは対空能力に不安のあるヤマトへ、ハマカゼとハツシモは対艦能力に不安のあるショウカクへと、各々に援護に向かい、タマ、レシーテリヌイ、ヴェールヌイの3人は予備戦力として取り敢えずは待機した。

 

「え~…私達が待機ぃ~…」

 

「……ふん」

 

 尤もレシーテリヌイは待機に不満だったのを露骨にしめした為、ヴェールヌイに小突かれていた。

 

「取舵20度!!!

っ、挾叉された!」

 

 でイスズとハツヅキが来る前から右翼重巡戦隊と砲撃戦を初めていたヤマトはと言うと、予定旋回地点まで向かいながら砲撃を続けながら重巡戦隊の砲撃を回避し続けていた。

 

「御免ヤマト、遅くなった!」

 

「っ! 面舵20度、速力第三戦速に上げ!!!」

 

 ヤマトが回避運転で蛇行していた事が幸いして、イスズとハツヅキが比較的早くに合流して、自分の後方左右各々に着いたのを確認したヤマトは2人に何かを言おうとしていたが、直ぐに重巡戦隊が撃ってきた事に気付いて、増速しながら回避した。

 

「…上手いな」

 

 ハツヅキが自分達を含めたヤマトの回避運転に舌を巻いていたが、そのヤマトはイスズとハツヅキと共に回避し終えると直ぐに反撃として主砲を放ったが、此方のも重巡戦隊が小刻みでの回避で避けられてしまった。

 

「もう撃ってきた!!」

 

「取り舵20度、第二戦速!!!」

 

 更にイスズとハツヅキが射程圏外故に参加していない事からの実質“1対6”での砲撃戦であるだけでなく、1発の砲火力こそヤマトが圧倒していたが、連射性が重巡戦隊が圧倒していたので、ヤマトが苦戦している様に見えていた。

 

「ヤマト、何とかなりそう?」

 

「…何とかしないと……(先代)比叡の二の舞になるでしょ!!」

 

「「……だよねぇ~…」」

 

 当然ながらイスズがヤマトを危惧したが、第三次ソロモン海海戦で深海棲艦の巡洋戦隊に袋叩きにされた為に後日沈んだ先代比叡を絡めての返事をして、イスズとハツヅキがお互いの目線を合わせた後に苦笑した。

 

『ヤマト、アンタなら先代を含めたヒエイ姉様より上手くやれるわよ』

 

 ヤマトのは、不謹慎かとも思われたが、その比叡の次代の妹の1人であるキリシマが笑っていたのだから、冗談としては通用していた。

 

『ヤマト、早めに片付けろ。

重巡戦隊に接近されると、本当にヒエイの先代みたいにされるぞ』

 

「分かってますって!

面舵20度、左砲撃戦!!!」

 

 だが先代比叡と同じ事態が起きる可能性が高く、その為に沖田がヤマトに催促を促したが、ヤマトは彼女なりに何かを感じて警戒している事から命中精度より回避を優先している為、元々回避し続けながらの砲撃は難易度が非常に高いので、悉くが外れるか回避させられていた。

 しかも左翼では、ショウカク達が重巡戦隊と航空雷撃戦を展開して重巡リ級1隻を大破、更にもう1隻を中破させていたのが、余計にヤマト(達)の苦戦が際立たせていた。

 

「……っ!?

冥王星方向からミサイル多数!!!」

 

 更にヤマト達が追い込む事態として、ショウカクがコスモタイガー越しに自分達目掛けて翔んでくるミサイル群に気付いて、ヤマト達に叫んで報せた。

 

「アレは地球発進時の!」

 

「と言う事は、地対宙ミサイル!!!」

 

 ヤマトがガミラス艦隊を迂回する形で飛んできたミサイル群の形状が、ヤマトの波動砲試射で迎撃した星間ミサイルと、大きさがどれも一回りぐらい小さかったが、同型である事に気づいた。

 飛んできた方向から大体は予想出来ていたが、ハツヅキが叫んだ通りに冥王星から発射された物としか考えられなかった。

 しかも後方の水雷戦隊も近付いてくるヤマト達が射程圏内に入ったらしく、重巡戦隊への援護雷撃までが始まった。

 

『ヤマト、航空隊緊急発進、煙突ミサイルと爆雷連続発射用意。

ミサイルを迎撃しながら砲撃出来るな?』

 

「やるしかないんでしょう?

イスズ、ハツヅキ!!!」

 

「任せて!!!」

「任せろ!!!」

 

 ヤマトを経由しての沖田の命令が発せられる前に、イスズとハツヅキはミサイル迎撃の準備を終えていた。

 

「コスモタイガー隊、発進開始!!!

煙突ミサイル、爆雷、一斉発射!!!」

 

 ミサイル群迎撃の為に速度を落としたヤマトは直ぐにコスモタイガー隊を全機発進させ、続けてミサイル群の先陣目掛けて煙突ミサイルと爆雷を放った。

 

「不味い、ミサイルで頭を抑えられた」

 

 ミサイル群の先陣を迎撃し始めたヤマトだったが、此のミサイル攻撃と支援雷撃で前進が失速してしまうだけでなく、頭の中で僅かにあったガミラス艦隊の先端を迂回する手が完全に消失した。

 

「ヤマト、撃ってきたぞ!!!」

 

 だがヤマトが見せてしまった隙をガミラスが見逃す筈がなく、直ぐに重巡戦隊がヤマト目掛けて一斉射を行い……ハツヅキが叫んで報せるも、反応が遅れた為に回避出来ないと判断したヤマトが舌打ちをしながら波動防壁を集中展開したので、大半が防がれるか逸れるかして、ほんの少数が波動防壁を貫通するもヤマトの艤装に弾かれた。

 

「ミサイルがまた来る!」

 

「ヤマトは砲撃に集中して!!」

 

 だが此の被弾でヤマトの迎撃が遅れてしまったが、代わりにイスズがハツヅキと迎撃の雷撃を開始、イスズとハツヅキは主砲の連射を開始、少し遅れて3人揃ってパルスレーザーの射撃を開始した。

 

「ヤマト、左翼重巡戦隊が撃ってきます!!!」

 

「取り舵20度、第四戦速!!!」

 

 ショウカク達もまたミサイル群の迎撃に追われて前進が止まった上に攻撃が緩んだ隙を突いて、左翼重巡戦隊がヤマト目掛けて一斉射を行ったが、ハマカゼが叫んで伝えたお陰で、ヤマトはギリギリ避ける事が出来た。

 

「やっぱり挟撃してきたわね!!!」

 

「無理もないよ。

ショウカクでも、リ級6隻は荷が重いんだよ!」

 

 遠回しでショウカクに怒ったイスズにハツヅキが注意したが、早くも戦力不足のツケが表面に出始めていた。

 

「やっぱり、キリシマと言わなくても、アシガラ、マヤ、モガミ、スズヤの4人の誰かがいてくれたら…」

 

 イスズが歯軋りしながら呟いた通り、もしキリシマかマヤ達巡洋艦娘の4人の誰かがいたら、左翼攻撃はその誰かが行わせて、ショウカクが後方から航空支援をしてくれたら、ある程度は戦局を楽に出来た筈だった。

 だが実際にはキリシマは秘書艦として沖田の傍にいて、アシガラとモガミは現在も入院中(復帰の為のリハビリ中)、スズヤは空母化してガミラス空母艦隊と交戦しているのだから、“絵に描いた餅”でしかなかった。

 

「ヤマト、やっぱり突撃しよ!」

 

 此の戦局で唯一の幸いとなりそうなのは、ガミラス艦隊が陣形維持を優先している事から動きが鈍いので、上手くいなせば中央突破が可能なだけでなく、誤射を怖れてガミラスがミサイル攻撃と雷撃を止める可能性も高いので、イスズがヤマトに中央突破を進言した。

 

「だけど、ガミラスは間違いなく、私に中央突破をさせようとしているわよ」

 

「罠がある、って事か…」

 

 だがヤマトは、此のガミラスの動きの鈍さに対して妙な違和感を感じらていただけでなく、此れまでの交戦でガミラスが罠を仕掛けている気配を感じ取っていた。

 此れ等はハツヅキだけでなく、進言したイスズも同様の様だった。

 尤も、何の罠の有無だけでなく、どんな形のかがあるのかが全く分からなかったが…

 

「…機雷が、仕掛けられてるんじゃないか?」

 

「いえ、潜宙艦が潜んでるのかもよ?」

 

『ヤマト、コスモゼロでガミラス艦隊の後方に照明弾を投下しろ』

 

 ハツヅキとイスズは各々に定石なモノを推測していたが、沖田も気になった上に見抜けない事からヤマトに命令を達し、直ぐにヤマトはコスモゼロ2機を発進させ、少しした後にガミラス艦隊の後方一帯に空間照明弾が炸裂し、予想に反して別に無かった為に機雷原や潜宙艦がある可能性が全く感じられなかった。

 

「…何にも、無い」

 

「そのわりには、ガミ公はイスズ達……と言うよりヤマトを、彼処に誘い込もうと思えるわね」

 

 イスズの呟きはヤマトや他の者達の思う事であり、元々ガミラスがヤマト撃沈を目論んでいるのが分かっていたので、やはりかの宙域に罠が仕掛けられているとしか思えなかった。

 

「ヤマト、撃ってくるぞ!!!」

 

「っ、面舵15度!!!」

 

 ヤマトが展開している可能性の高いガミラスの罠を見抜けない為に鈍い動きをしていたら、ハツヅキが重巡戦隊が一斉射をしようとするのに気付いて直ぐ報せたので、ヤマトは慌てて回避運転をした。

 

「ヤマトじゃない!?」

 

 だが重巡戦隊はヤマトとは別方向目掛けて射撃し…

 

「ニャニャ!!?」

 

「「タマ!!!」」

 

…ヤマト達を支援しようと接近していたタマが被弾し、イスズとハツヅキが揃って叫んで、ヤマトが歯軋りをした。

 




 感想または御意見を御待ちしています。

 さあ、本作でのヤマトの冥王星攻略が、リメイク版では何故か削除された艦隊戦から始まりました。

 此処で言いますと、次回のも含めた此の場面は、大艦巨砲主義な名作仮想戦記“不沈戦艦『紀伊』”の第一次沖縄戦での、オチがほぼ同じな列車砲の場面を元にしています。
 尚、不沈戦艦『紀伊』は原作小説版と漫画版で内容に若干違いが有ります(例:対峙する列車砲が、原作小説版だとオリジナル61cm列車砲、漫画版だとグスタフ&ドーラ)が、本作のは漫画版が元になってます。

大和
「『紀伊』で言いますと、大和が『紀伊』の立ち位置になってます」

翔鶴
「私のは『長門』の立ち位置です」

多摩
「多摩は『紀伊』では此の前に沈んだがニャ、他のと一緒に水雷戦隊を含めた『榛名』の立ち位置ニャ」

榛名
「後々冥王星に到着する榛名達はと言いますと、『尾張』➕αと後々遅れて現れる『大和』の立ち位置になってます」

伊勢
「戦艦娘の配役と立ち位置が一緒なのは、『尾張』と一緒に行動した私と日向だけね」

 あの場面での『大和』が『マサチューセッツ』を叩き潰しながらの出現場面は好きなんだよねぇ~………その直後に『榛名』共々『インディアナ』に良い様にヤられてるのはどうかと思うけどね…

榛名
「……御免なさい…」

大和
「……あの作品全体で『大和』が冷や飯食わされ続けてるんですよ…」
(注:プロローグで『大和』を噛ませにする形で『紀伊』が登場した事から、以後の扱いを察すべし)

日向
「それはそうと置いておき、『紀伊』の列車砲で言ったら、『伊勢』の水偵(瑞雲?)が逆転の決め手になったが、その事は関わる事があるのか?」

 『紀伊』に近いかは分かりませんが、予定ではヤマト原作リメイク版で真田さんが“冥王星の異様に多いデブリ”に疑問に思ったのを、榛名(変更になる可能性あり)が第五次冥王星沖海戦に参加してた事で気付いて、此れが後に反射衛星砲のカラクラを見抜く事になるとしています。

 まぁそれは後々の楽しみとして、取り敢えず言えるのは……もう何が起こるかは、言わなくても分かるよね?

本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?

  • 実写版通りに、特攻
  • なんとしてでも、地球に帰還
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