SPACEBATTLEGIRLヤマト   作:サイレント・レイ

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第63話 冥王棲鬼の独断

――― 防衛司令部 ―――

 

 

『『『『ヤマトォォォー!!!』』』』

 

 イスズ達4人が反射衛星砲によって消滅したヤマトへ叫びながら、ヤマトがいた海面に駆け寄ったのが映るモニターを、防衛司令部の面々は現実の拒絶反応として暫く硬直していた。

 誰もがとてつもなく重い空気を感じていたが、少しした後に芹沢は溜め息を吐くと、秘書艦代理の恵と葉月と共に固まっている藤堂の所に向かった。

 

「レーダー等の反応に加えて、状況から判断して、ヤマトは轟沈したと断定。

第七次冥王星攻略作戦及びイスカンダル遠征は破綻したと判断して、遠征艦隊を含む全艦隊に地球への帰還を命じますが、よろしいですね?」

 

 呆然自失に近い状態だった藤堂は、芹沢の質問に我に帰ると、“やむを得なし”として頷いた。

 

「……ヤマトは、アンタ達の所為で…」

 

「葉月、駄目!」

 

 葉月は行かなくてもよかった冥王星を攻めたが為にヤマトが沈んだと思い、地球脱出作戦を復活させる為にガミラスの意向に乗っただろう芹沢に飛び掛かろうとしたが、その直前に恵に止められた。

 

「……ヤマトが沈んだのは、私達がガミラスの罠を見抜けなかったからなんだよ…」

 

 葉月を掴んでいる両手の力から感じられる通り、恵はヤマトが沈んだのは自分達の責任だとして、自分(達)の無力さを嫌悪していた。

 そして、恵はそれを他人への八つ当たりとして摩り替えるのは間違いだとし、葉月もそれを察して恵に抱き付いて泣き出していた。

 今更ながらの幸いな事だったのは、藤堂が見た処だと潜宙棲鬼の時とは違ってヤマトを罵る者が見当たらず、まぁ多くはガミラスの強大さからのであったのかもしれないが、ヤマト撃沈は防衛司令部の面々各々に衝撃を与えていた様だった。

 

「……此れで良かったのだ……此れで…」

 

 更に言うと、帰還命令を出しに藤堂達から離れていった芹沢もまた、彼なりにヤマト撃沈を思う事がある様だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― 冥王星・沖合い ―――

 

 

 ヤマト撃沈による退却命令が下り、更に冥王星守備艦隊も退却した事もあって、ショウカクはヤマトのも含めた航空隊を回収しだい他の3人と共に冥王星と小惑星帯の中間宙域に後退して、暫くした後にイスズ達4人もショウカク達の所に辿り着いた。

 全員がヤマト撃沈に暗くしていたが、イスズが両手で抱えているヤマトの測距儀を見て、益々拍車が掛かっていた。

 

「……なんで…」

 

「「「「…?」」」」

 

「…なんで、ヤマトを守れなかったぁぁぁー!!?」

 

 ハマカゼはヤマトの測距儀を見た事で何かに触ってしまい、偶々自分の前に位置していたハツヅキの左頬を殴って彼女の胸ぐらを掴み上げた。

 

「アンタ達、何をやっていたのよ!!?」

 

「よすんだニャ、ハマカゼ!!!」

「よしてください、ハマカゼ!!!」

 

 ハマカゼはハツヅキを揺さぶってまた殴ろうとしたが、その前にタマとハツシモに止められて、そのままハツヅキから引き剥がされたが、2人に羽織られた状態のままで暴れていた。

 

「……すまない…」

 

 殴られた左頬を押さえながら目線を背けたハツヅキは、他の言葉だと言い訳にしかならないと思った為にただ謝るしかなかった。

 此の事はハマカゼの勘に触っていたが、イスズ達3人は罪悪感が強すぎて謝罪すら出来ずに硬直しているのだから、ハツヅキはまだ偉いと言える方だった。

 だがそれでもハマカゼは感情任せに喚き散らしていたが、ショウカクが強張った表情でハマカゼの右肩を突かんで自分の方に向かせた後に彼女の左頬を叩いた事でやっと静まった。

 

「…ハツヅキさん達の事を、私達も言えないでしょ」

 

 穏和な性格からは考えられないショウカクの行為に驚いていたタマとハツシモもそうだったが、ハマカゼもまた尻餅を付いた状態で暫く固まっていた。

 

「此れからどうするニャ?」

 

「…取り敢えず、ズイカク達の所に行きましょう。

それから、色々やってから、地球に帰りましょう…」

 

代えが思い付かないショウカクの提案にタマ達が何かしらの反応を起こす前に、ショウカクは静かに小惑星帯の方へと向かった。

 そんなショウカクにタマ達も順に続いていき、ショウカク達7人にかなり遅れてハマカゼも立ち上がって続いていった。

 

「……ヤマト…」

 

 タマ達7人は気付いていなかったが、ショウカクは左手を掴んだ右掌をずっと見下ろしていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― ガミラス基地 ―――

 

 

「…fertig……fertig!!!

YAMATO sank!!!」

(訳:…やった……やった!!!

ヤマトが沈んだ!!!)

 

 氷海のヤマト沈没地点の上空映像に、冥王棲姫は艤装獣共々歓喜の雄叫びを上げ、通常型の部下達は彼女に「Herzlichen Glueckwunsch(おめでとうございます)」と祝福の言葉を次々に掛けていた。

 

「Du kannst dich an beten und Millieu Admiral Bericht erstatten」

(訳:此れでミリュー司令に胸を張って報告出来ますね)

 

「Nein,ich melde mich nicht bei Millieu.

Es wird entschieden,den eingenen Kampf von “Diese Person ” zu verfaelschen,wenn er in der Form」

(訳:否、ミリューには報告しない。

アイツにすれば、“あの御方”に自分だけの功績にと歪曲するに決まっている)

 

 重巡リ級が嬉々とミリューにヤマト撃沈の報告をしようとしたが、それを冥王棲姫が止めるだけでなく、ミリューへの敬意皆無の態度もあって、全員が“えっ?”とした。

 

「Um jedoch keine YAMATO-Niederlage zu melden……!?」

(訳:しかし、ヤマト撃沈の報告をしない訳には………っ!?)

 

 重巡リ級達は、当初は冥王棲姫の心意を察せれなかったが彼女の妖しい笑みから何かを察して、各々に“まさか”と顔に表した。

 

「Ja,das ist mein Kriegsergebnis.

Wenn ich mich also direkt bei “Diese Person” melde,ist nichts falsch,oder?」

(訳:そう、此れは私の戦果よ。

だったら、私が“あの御方”に直接報告しても、何にもおかしくないわよね?)

 

「Vielen Dank,das Wort,aber die direkte Berichterstattung an “Diese Person” ist eindeutig unzustaendig!」

(訳:お、御言葉ですが、“あの御方”への直接報告は、明らかに権限を超えてます!)

 

「Auβerdem moechte Gepanarte Prinzessin ohne Wort sagen…」

(訳:それに装甲空母姫様に一声無しにやるのは…)

 

 当然、部下達が思い止まらせようと反対した。

 

「Weil es guide ist,tu es!!!

Dies ist eine Anweisung!!!」

(訳:いいから、やりなさい!!!

此れは命令よ!!!)

 

 だが当の冥王棲鬼は、ミリューからの更迭通達への焦りから、反対意見を一掃して本星への通信を強行させた。

 誰がどう見ても、冥王棲鬼は装甲空母姫がどうなろうと自分だけは助かろうと目論んでいたのは確かだった。

 

「Ich war mit diesem Sterm verbunden!!」

(訳:本星に繋がりました!!)

 

 明らかに嫌々で繋がらない事を祈っていた様だが、取り敢えずは部下達は通信を繋がった事(此の為に一部が恨めしそうな目線だった)への報告に、冥王棲鬼がニンマリと笑った。

 そして、メインモニターにノイズのみの映像通信が映しだされていたが、何か黒い人型の頭と両肩がボヤけながら浮き上がり…

 

『…Wer bist du?』

(訳:…君は誰かね?)

 

…映像に反して鮮明(少しエコーが入っていたが…)に聞こえた、威厳に満ちたと言うより威厳そのもの………誰も拝謁する処か声すら聞いた事も無かったが、此の場にいる全員が“あの御方”と称する、ガミラスを統べる絶対的な存在の声だと瞬時に判断した。

 此の天上の存在に、冥王棲鬼以下の全員が一斉に姿勢を正したが、本当に存在していた“あの御方”が前触れ無しに現れた事に、恐怖に限りなく近い緊張感で冷や汗を大量に流しながら硬直してしまった。

 

『…Da der Kommunikator normal arbeitet,sollte meine Stimme richtig ankommen,oder?』

(訳:…通信機は正常に動いているから私の声はちゃんと届いている筈だよね?)

 

「Oh ja!!!

Ich bin Koenig Koenig,der die Basis von Pluto in Richtung A-Galaxie haelt!!!」

(訳:あ、はい!!!

私は、A銀河方面にて冥王星基地をお預かりしている戦姫である冥王棲鬼であります!!!)

 

 “あの御方”を待たせてしまった事に“しまった”と判断した冥王棲鬼は、慌てて1歩前に出てガミラス式敬礼をして自分の所属と名を名乗ると、“あの御方”は「ほぉ…」と小声を漏らした。

 

『…A-Galaxie,die Richtung,die ich dir ueberlassen habe Millieu,

Oh ja,da war eine Person in order Ecke der Grenze,die das sagte』

(訳:…A銀河、ミリュー君に任せていた方面か。

ああ~そう言えば、辺境の一角にそう言う名の者がいたな)

 

 どうやら“あの御方”は冥王棲鬼を思い出す為に少し間を置いていたが、当の冥王棲鬼はと言うと、“あの御方”が自分を御存知だった事への嬉しさよりも、ミリューが“あの御方”に信頼されるに至る地位である事にムッとしていた。

 

『Und warum hast du mich Millieu genannt,der mich verlassen hat?』

(訳:して、ミリュー君を差し置いて、何故私を呼び出したのかな?)

 

「Ja!!!

Ist zu berichten,dass ich,die von mir gefuehrte Pluto-Basis,in den Kampf mit den Flotte ihrer Toechter und YAMATO,verwickelt war,die zuerst die Lichtgeschwindigkeit auf dem Planeten und der gefangenen Erde durchbrachen und am Ende eines erbitterten Kampfes die Sehnsucht sanken lieβen!!!」

(訳:は!!!

私が率いる冥王星基地は、攻略中の惑星地球で初の光速を突破した艦娘・宇宙戦艦ヤマトを配下の艦隊共々に交戦、激闘の末に此れを撃沈した事を報告する為にであります!!!)

 

 目的のヤマト撃沈を報告して、冥王棲鬼は“やりきった”と勢いよく右手を下ろし、部下達は安堵の溜め息を吐いていたが、当の“あの御方”は何故か沈黙していた。

 

『…Koenig Koenig, hast du gesagt?』

(訳:…冥王棲鬼、君と言ったね?)

 

 “あの御方”の問い掛けに「Ja(はい)」と力強く答えた冥王棲鬼は部下達共々、自分にお褒めの言葉を頂けると予想して思わず笑みを浮かべていた。

 

『Hast du gesagt,dass du mich angerufen hast,nur um so etwas Natuerliches zu vermitteln?』

(訳:君は、そんな当たり前の事を言う為だけに、私を呼び出したと言うのかね?)

 

「…natuerlich?」

(訳:…当たり前?)

 

 だからこそ、“あの御方”から予想とは真逆の言葉が飛び出した事に冥王棲鬼達はギョッとするしかなかった。

 ガミラスの戦争結果は“勝利”か“完全勝利”かの2択、それ等が果たせない時は死による贖罪しかない、前にミリューはそう言った通り、“あの御方”にしてみたら勝利とは当たり前の出来事。

 まぁそれ以前に、強敵の艦娘1人を苦労して沈めました、普通ならそんな報告は“アホかお前は”と思われて当たり前であった。

 

「Nein, das……YAMATO ist Schiffstochter,dia Lebendiger Geist versenk hat.

Die akribische Sorgfalt eins kleinen Soldaten,lhnen so schnell wie moeglich die Beseitigung des Feind es mitzutilen,um den Sie sich sorgen…」

(訳:いやあの、その……ヤマトは潜宙棲鬼を沈めた艦娘です。

貴方様がお気に掛けているだろう敵を出来るだけ早くお伝えしたいとの、小兵の細やかな心遣いでして…)

 

 冥王棲鬼(達)からだと、“あの御方”が今どんな反応をしているかが全く分からなかったが、元々“あの御方”が潜宙棲鬼撃沈以前からヤマトを何故か注目していたらしかったと言え、、冥王棲鬼はミリューは嘘をついていて実は潜宙棲鬼の件は“あの御方”に報告されていないのではと疑い始めていた。

 だとしたら、ミリューへの怒りは確かにあったが、それよりも“あの御方”に薮蛇をやってしまったのではないかと焦りだし、頭の中が“不味い”の単語で溢れそうになっていた。

 当然ながら冥王棲鬼だけでなく、此の場にいる全員が最悪の事態として各々の形での“粛清による死”を直ぐに思い浮かべ、通常型の者達全員が自分達を道連れにしかねない冥王棲鬼の背に“あの御方”にバれない様に抗議の目線を向けた。

 実際、“あの御方”が黙ったままの為に此の場に強烈な寒さと窒息しそうな息苦しさがあり、現に通常型の何人かが……なんと整備で基地待機だった戦艦ル級さえも含めて次々に倒れて泡を吹いていた。

 冥王棲鬼もまた、身から出た錆と言え、“早く終わってほしい”と何度も心の中で呟いている表れとして、異常量の汗を流しながら痙攣レベルで震えている艤装獣に強く握っていた。

 で、実際は1分前後か数十秒ぐらい、冥王棲鬼達にしてみたら1年近くの時が経過した後、“あの御方”が不意に微笑んだ……様に見えた。

 

『Vielen Dank fuer lhre Ruecksichtnahme auf mich,Herr Koenig Koenig』

(訳:私への心遣い感謝するよ、冥王棲鬼君。

そして君の忠節は覚えておくとしよう)

 

「…Oh!

Oh,dank,gluecklich!!!」

(訳:…っ!

あ、有り難き幸せ、です!!!)

 

 完全に忘れていたが、待ちに待った“あの御方”からのお褒めの言葉を頂戴して、冥王棲鬼は“はっ!”とするも直ぐに深々と頭を下げた。

 

『Dann tut mir das leid』

(訳:では此れにて失礼させてもらうよ)

 

『GURRE GAMYROS!!!』

(訳:ガミラス万ざぁぁーい!!!)

 

 “あの御方”との通信が終わる事が分かって、冥王棲鬼は通常型の者達……なんと倒れた者達までが失神した状態のまま立ち上がって、一斉に姿勢を正してガミラス式敬礼を、腹の中の物全てを吐き出しそうな大声を出した後、“あの御方”が軽く頷いて(その様に見えた)から映像通信が途切れた。

 だが、冥王棲鬼達は終わった後もガミラス式敬礼をしたまま固まっていて、暫くした後に通常型の者達が一斉に倒れた。

 

「……Ich wurde gerettet…」

(訳:……た、助かった…)

 

 冥王棲鬼は超弩級の意地で失神せずに堪えていたが、伏せって泡を吹いている艤装獣に凭れた状態で、無事に終わった事に安堵していた。

 だが、今の冥王棲鬼は極限の疲労状態に陥ってるので、自分が“あの御方”を相手に何を仕出かし、その結果何が降りかかる事になるのなど知る訳がなかった…

 




 感想あるいは御意見、または両方をお願いします。

 今回のでの後半はシュルツの報告に該当しますが、本作では此の事はヤマト原作以上に冥王星に悪影響として、装甲空母姫率いる太陽系制圧艦隊が早く戻ってこない事になります。
 更にそれは次回からの出来事も拍車を駆ける事になります。

 さぁ次回、ハルナ達土星組が冥王星に近付いてくるだけでなく、謎の艦娘の1人目が少しだけ出てきます。



 ちょっと脱線するけど、映画“空母いぶき”を見ましたが、若干鷹派の思考回路だった為か政府の対応がまどろっこしく感じはしましたが、中々楽しめました。
 1つ気になったんだけど、『いぶき』の僚艦の1隻である護衛艦『いそかぜ』に、なんか“亡国のイージス”で見た事がある気がしたんですが、それは自分だけですかね?
 此の事に加えて、頭が艦これに毒されている為か、まぁ艦長が最大の原因だけども、かの『いそかぜ』は磯風が浦風と融合したように感じてしまうんですよねぇ~…

本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?

  • 実写版通りに、特攻
  • なんとしてでも、地球に帰還
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