SPACEBATTLEGIRLヤマト   作:サイレント・レイ

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第64話 装甲空母姫の困惑

――― 木星・土星間宙域 ―――

 

 

「Wie viel!!?

Koenig Koenig berichtet direkt “Diese Person”!!?」

(訳:何ぃ!!?

冥王棲鬼が“あの御方”に直接報告をしたぁ!!?)

 

 装甲空母姫が率いる太陽系制圧艦隊の第一艦隊は此の時、遠征艦隊に包囲網を形成する為に火星・木星間の小惑星帯から反転し、その途中で他の空母艦隊と合理しながら冥王星を目指してい、その冥王星の沖へのワープの準備をしていた所にヤマト撃沈の一報が入って、随伴艦の者達と共に歓声を上げた。

 処が、直ぐに続けて冥王棲鬼の独断行為が伝えられて、装甲空母姫がギョッとした。

 

「……Auf keinen Fall…」

(訳:……まさか…)

 

 装甲空母姫には冥王棲鬼は独断行動を衝動的にやったとは思えず、同僚だった筈の彼女への邪推を始めた。

 元々、今回の太陽系制圧艦隊の大多数の総出撃は、冥王星に大戦力が駐留していたらヤマトが来ない事を危惧しての事からであったが、実の処は冥王棲鬼がヤマト撃沈の戦果を独占する為に冥王星から出したのではとしか思えなかった。

 更に予定された大艦隊での包囲網でヤマトを沈めるのであれば反射衛星砲が必要とは思えず、現に報告ではエリートを含んだ重巡戦隊では小破すら出来なかったヤマトは実質反射衛星砲のみで沈み、此の事を冥王棲鬼が見込んでいなかったとは思えなかった。

 

「…Hast du mich beschimpft!?」

(訳:…私を謀ったのか!?)

 

 装甲空母姫が達した結論は、冥王棲鬼はヤマト撃沈を自分だけの戦果として自分の身を安堵し、潜宙棲鬼の戦没の責任を自分に押し付けようとしているだった。

 装甲空母姫にとって不味い事に、実際ヤマトは冥王棲鬼のみによって沈んでしまい、その事での独断行動にミリューが何も反応していないので、現状からの判断だと自分の身は殆ど詰んでいるとしか思えず、ヤマトが簡単に沈んだ事への変な怒りと共に、冥王棲鬼の自分を嘲笑っている顔を思い浮かべての憎悪が上向きでの半開きの両手が震えている事から見てとれる程の憎悪が出ていて、周囲の随伴艦の者達が悲鳴を上げて引いていた。

 

「Tut mir leid!!!

Es scheint, dass eine abnormale Situation in der Uranus-Umlaufbahn aufgetreten ist!」

(訳:申し上げます!!!

天王星軌道にて異常事態が発生した模様です!)

 

 そんな装甲空母姫に、重巡リ級エリートが血相を変えて駆け寄り………理解に苦しむが、取り敢えず一大事になるかもしれない報告を伝えられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― 天王星軌道 ―――

 

 

「よし!!!

もうすぐ海王星軌道です!!!」

 

 時間を少し戻して、土星からの長距離高速航行をひたすら続けていたチョウカイ達は、やっとの事で天王星軌道の半分を過ぎる宙域にまで来ていた。

 尤も、ガミラス艦隊との接触を危惧した事もあって、天王星が目視不可の宙域を進んでいるので、チョウカイ以外の者達は感覚やレーダーで実感する事が出来ていないが、チョウカイの星間航海技術を信じていた事から全員が疑う事なく彼女に頷いた。

 

「ですけど、此所からが問題ですね」

 

「ああ、流石にガミ公も艦隊を幾つか配備しているだろうしね」

 

 ズイホウとイセの会話通り、現在まではガミラス艦隊と接触する事なく航行出来てはいたが、流石に海王星軌道からはガミラスが警備艦隊を配備しているのが予想されたので、此所からは容易く行けないのが分かっていた事から全員が各々に気を引き締めていた。

 

「だからと言って、速度を落とす事は出来ないわよ」

 

 しかも天王星軌道に入った直後に冥王星軌道からのと思われる暗号通信“ダヴーは迎撃成功の上、ブスクホーデンは泥にはまる”を傍受、此れがアウステルリッツの戦いの1場面である事をテンリュウ(本人曰く「戦いの歴史は“よくできました”だったんダー」)が見抜き、更にチョウカイがアウステルリッツの戦いに似た方式の作戦……つまり、囮を使っての奇襲攻撃での冥王星攻略作戦が実施されて本隊が出撃したのを察したので、キヌガサが言った通りに是が非でも急がなければならなかった。

 

「…っ! みんな、地球からの広域通信が聞こえたわよ……っ!?」

 

 そんな時に、ユウバリが地球からの通信を傍受して内容を確かめていたが、突然ギョッとして硬直した。

 

「どうした?」

 

 カコは何か嫌な予感を感じながらユウバリに尋ね、そのユウバリは暫くした後に拒絶反応がある声を何とか出した。

 

「……ヤマトが、冥王星で沈んだ」

 

 ユウバリの返事に全員が“えっ!?”としながら一斉にユウバリに振り向いた。

 

「それで、続きはあるの?」

 

「……第七次冥王星攻略作戦は中止………全艦隊に地球への帰投命令が出た…」

 

 ユウバリを通してのヤマト撃沈からの命令通信にフルタカ達はと言うと、防衛司令部の面々の様なガミラスの強大さを感じるよりも、間に合わなかった事へのショックが強かった。

 

「…嘘だ……嘘だ!!

ヤマトが沈む訳がない!!!」

 

 ハルナはヤマト撃沈を受け入れられずに喚き散らしたが、直ぐにヒュウガに抑えられていた。

 

「誤報、とかは考えられませんか?」

 

「だな、いくらなんでも沈むにしては早すぎる」

 

 アオバが現実的にヤマト撃沈を疑い、テンリュウも腕時計の時間を確認してアオバに乗っかった。

 だが、確認の返信が出来ない上に判断材料が少なすぎて、全員がヤマト撃沈を完全に否定出来ないでいた。

 

「……さぁ、どうする?

土星に戻るか?」

 

 ヒュウガが誰構わずに訊ねた通り、ヤマトが沈んで艦隊が地球へ退却したのだったら、自分達の冥王星突入は無意味なモノと化すので、選択肢としたら土星への帰還はありであった。

 だが現実的にはそれが最良かと思えたが、言ったヒュウガ本人も含めた全員が拒絶反応として誰にも目線を合わせずに沈黙していて、自然な形で土星に渋々帰還をしようと、先頭のチョウカイが溜め息を吐いた後に転蛇しようと左に顔を向けたが…

 

『…っ!!?』

 

…チョウカイの視線の先にして艦隊の真左にガミラス空母艦隊がワープアウト……彼女達から見たら、突然現れた。

 ガミラス空母艦隊もまたチョウカイ達に直ぐ気づくも、その存在が予想外だった事から驚いて硬直したらしく、両艦隊が御互いを見つめ合ったままの並走が暫く続いた。

 

「…もしかして……逃がして、くれる?」

 

 アオバがこのまま何事もなくいけるのかなぁ~…との淡い思いがあったが、ガミラス艦隊で旗艦と思われる空母ヲ級が、アオバ達は分からなかったが、間違えたワープ座標をした重巡リ級を射殺して失速して戦闘に適した陣形に移行し始めた事で否定された。

 

「フラッグのヲ級!?」

 

 若干冷静になったヒュウガが旗艦の空母ヲ級を確認したら、その者は太陽系制圧艦隊には存在しないと思われていた黄色発光体(フラッグシップ)であり、更に此の者の胸元に首飾りのアクセサリーとして人型の頭蓋骨が複数ぶら下がっていて、御丁寧に頭蓋骨各々に女性物の帽子が無理矢理被せられるか、スカーフを巻かれている等事から見るに、頭蓋骨はガミラスに殺された艦娘達の物としか思えなかった。

 此の為に元々空母ヲ級が魔導師を連想させていたが、此のフラッグは“邪悪な呪殺士”を連想させるだけでなく、空母ヲ級フラッグの直属の随伴の重巡リ級と雷巡チ級にも首飾りとして骸骨が1つぶら下がって、人型ではない軽巡や駆逐艦には人型の頭蓋骨が各々に白く描かれていた。

 

「……来まぁぁぁーす!!!」

 

 艦隊後方でガミラス艦隊が“小”の字型の陣形……上下左右どちらに転蛇しても逃がさないと示した陣形に移行し終え、フルタカが叫ぶのとほぼ同時に、先ずは重巡リ級群が、少し遅れて軽巡のホ級とヘ級の2種群が砲撃を開始した。

 

「何でアイツ等は、突然現れるんだよ!!?」

 

「ワープです!!!

きっとガミラス艦隊はワープをして此所に現れたんです!!!」

 

 カコが現実を避ける為に叫んだ疑問に、ユウバリが前々から予想されていた事を言うと同時に、ヤマト達の異常な前進速度はワープをしていたからだと察していた。

 

「不味い、逃げ道を潰された!」

 

 艦娘達に取って幸いだったのは、両艦隊共速度が速すぎた為に艦載機が発艦出来ず、更にガミラス艦隊の砲撃が全て外れていたのだが、此の砲撃は全て牽制になっている為に真っ直ぐ進むしかなく、もしこのまま前進を続けていたら海王星・冥王星間の小惑星帯に危険速で突っ込んでしまい、此の隙を突いてガミラス艦隊が一気に殲滅戦を仕掛けてくる……典型的な追い込み漁でのやり方が目に見えていた為、現にガミラス空母艦隊の多くが「その気になれば当てられる」と言わんばかりに笑っていた事もあってイセが思わず叫んでしまった。

 しかもイセ達はヤマト達遠征艦隊と違って波動エンジン未搭載故に波動防壁が無いので、ガミラス駆逐艦の砲撃さえも1発被弾したら危険な状態となってしまうのだから、全速力で逃げるしかなかったのだ。

 

「やむを得ん、迎え撃つぞ!」

 

「やられっぱなしは性に合いません!」

 

「駄目です!!!」

 

 だが、危険覚悟で艦隊最後尾に回って楯になろうとしたたヒュウガ、ハルナ、イセの3人は反撃をして、撃破は出来なくても隙を作る等をしようとしたが、そんな3人をチョウカイが叫んで止めた。

 勿論、ヒュウガ達3人は止めたのは衝撃砲が使えない事を指摘するのだろうと予想をしていたが、チョウカイは更にそれ以上に危険な未来を予想していた。

 

「此所で戦闘をする為に速度を落としたら、あの艦隊が呼び寄せた増援が押し寄せる可能性があります!!」

 

 チョウカイの指摘通り、ガミラス空母艦隊が……大方戦果独占を狙っているのだろう、通信をやろうとする気配が一切無かった為に見落としていたが、確かに下手に時間が掛かると他のガミラス艦隊が来てしまう可能性が高く、元々そう言う危険を回避する目的もあっての高速航行をしていたのだ。

 

「じゃあ、どうしろってんだ!!?」

 

 だがヒュウガが叫んでしまった通り、繰り返すがこのままだとガミラス空母艦隊の狙い通りに、追い込み漁の獲物と化すのが目に見えていた。

 更に不味い事に駆逐艦群もが砲撃を開始して、まだ避けられる範囲たが、徐々に散布界が狭まってきていた。

 

「このまま小惑星帯に逃げ込むしかありません!」

 

「だから、此の状態じゃ危険がありすぎる!」

 

「…ハルナが、囮になります」

 

 此れと言う有効策が思い付かない現状にチョウカイとイセが口論をしかけたが、ハルナが下唇を暫く噛んだ後での提案に2人がヒュウガと共に“えっ!?”とした。

 

「ハルナは高速戦艦です。

直ぐにガミラス艦隊を振り払って、追い付いてみせます」

 

 死ぬかもしれない事を自覚した為に引き吊った笑みを浮かべたハルナは、イセ達が自分を止めようと声を出す前にわざと艦隊から離脱した。

 当然ながらガミラス空母艦隊は、大半はイセ達を砲撃して続けたが、重巡リ級を中心とした一部は直ぐに狙いをハルナに切り換えた。

 勿論、ハルナは直ぐに回避運動を始めたが、瞬く間に至近弾に覆われて逃げ道を防がれつつあり、此の時に亡きコンゴウの顔が思い浮かんだ。

 

「……コンゴウ姉様………ハルナも、お側に行く事をお許しください…」

 

 コンゴウ本人がそう言った訳ではなかったが、ハルナはコンゴウは味方を逃がす為に致命傷を負ったんだと察していて、自分も今からコンゴウと同じ様な形で轟沈する未来絵図を思い浮かべてしまった。

 

「「ハルナ、逃げろぉぉぉー!!!」」

 

 ハルナが間違えた退避をした為に鈍ってしまい、此の隙を突こうとガミラス空母艦隊が一斉射を行おうとしているを察したイセとヒュウガが叫んだ直後、2人の予想通りにガミラス空母艦隊は空母ヲ級フラッグの号令下にハルナ目掛けて一斉射撃をした。

 漠然と直進してしまったハルナは、自分目掛けて飛んでくる光線群を見つめながら固まってしまい、イセ達が悲鳴を上げようとしたが…

 

「…っ!?」

 

…ハルナが被弾する直前に透明な何かが割り込んでハルナの楯となり、周囲に展開していたエネルギー膜が被弾箇所に波紋を描きながらも、光線群を次々にあさっての方向に逸らしてしまった。

 自信の存在にハルナやイセ達だけでなくガミラス空母艦隊までが驚き戸惑って硬直したのを尻目に、ステルス機能を含んでいるであろうエネルギー膜を解除して、全身を黒いローブに包んだ姿を現したのだが、ハルナ達が此の謎の存在に真っ先に思い浮かべたのは“西洋風の亡霊”であった。

 




 感想あるいは御意見、または両方を御願いします。

天龍
「……回想と言え、俺の声が1回だけひろしになってなかったか?」

 さ、さぁ、前回の後書きに書いた通り、今回の終盤にてヤマト最強のお助けカードである謎の艦娘の1人目“翠星の女王”が登場しました!

 現時点での“設定 艦娘”や今回ので“翠星の女王”の正体が分かったら「凄い!」の一言ですが、次回で真名が出ないまでも色々とヒントを出して行きますので正体……と言うより、誰を艦娘化させたのかが分かるかもしれませんよ。
 ついでに言いますと、“翠星の女王”は調べた範囲で艦これとのコラボ作品がありそうな気がするのに、全く無かったので、もしかしたら此の作品が“翠星の女王”が出る艦これ小説の初モノか唯一のになるかもしれません。

 因みに今回出たオリジナル設定の空母ヲ級フラッグですが、“キングダム”のブネンと“翠星の女王”の原作初盤に出てくる敵を元にして作りましたが、コイツ(➕α)は“碧星翠の女王”の噛ませとしていますので、次回を最後に出てきません。

本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?

  • 実写版通りに、特攻
  • なんとしてでも、地球に帰還
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