――― 天王星軌道 ―――
全身を漆黒のローブに包んだ謎の存在の出現に、地球・ガミラス両艦隊は揃って、前進しながらの混乱での硬直をしていた。
特に謎の存在の真後ろにいるハルナはその極みであり、謎の存在から“殺気”や“慈愛”等一切が感じ取れず、此の事から深淵の中にいる様な恐怖みたいなのが湧き出ていた。
「……あ!」
此の為、ハルナは謎の存在が自分の方に振り向いた時、謎の存在に自分の首を跳ねられるかと思った事に反して、実際には謎の存在がハルナを抱えてイセ達の所に素早く移動させた事は驚き以外の何物でもなかった。
尤も、謎の存在がハルナを守った事があったと言え、イセ達もまたハルナと同様に謎の存在から理解不可からの恐怖を感じ取った。
「…っ!?
ヒュウガ、コイツから味方を示す信号が出てる!」
「馬鹿な!!?
こんな異質な奴がいたら、知らない訳がないぞ!」
、更によく確認したら謎の存在から防衛艦隊の味方識別信号……しかもガミラス戦前の物が発していた事もあって、戸惑いながら謎の存在に全武装を向けていた。
だが自分から離れた謎の存在と向き合っているハルナはと言うと、謎の存在に抱き付かれたとの行為に加えて、その時に謎の存在の体温を感じては体臭を嗅いだ事から拒絶反応や警戒心が何故か無くなるだけでなく、火照りが自覚出来る程に顔を赤くしていた。
妙な間を置いて、ハルナを守って身構えている自分達に反して迎え撃とうとする気配が全く無いだけでなく、謎の存在が少し顔を上げた事でローブの解放部分から地球の成人女性の顎と共に見えた口が微笑んだ事もあって、イセ達も謎の存在を妙な感覚と共に敵ではないと判断して、警戒を次々に解いていった。
「…安易に死ぬ事を選んではいけません。
貴女には待っている人達や、やらねばならない事が沢山あるのですよ」
「あ、はい!」
只、優しく諌めた謎の存在に、ハルナが馬鹿正直に返した為にヒュウガがハルナを小突いたが、此の直後に謎の存在の背にガミラス空母艦隊の砲撃が一斉に当たった。
まぁ、イセ達が謎の存在を味方と取り敢えず判断したのを裏を返すと、謎の存在はガミラスの敵と言えて……実際少なくとも空母ヲ級フラッグは謎の存在を潜宙棲鬼に近い地球の潜宙艦だと判断して、脅迫に近い形で随伴の者達に謎の存在の背目掛けて一斉砲撃を命じたのだが、当の謎の存在はと言うと、ローブの背中部分から白煙が上がってはいても、1寸も穴が開かなかった事から無傷と言える状態だった。
しかし、不意討ちに近い形での背を撃つ行為は謎の存在にとって逆鱗だったらしく、イセ達に見せていた慈愛みたいなのを雲散霧消させながらガミラス空母艦隊の方に振り向いた時に、謎の存在が怒気を発しながら(多分)睨んだ為にガミラス空母艦隊の空母ヲ級フラッグ以外の全員が
尤も空母ヲ級フラッグのみは戦う気満々だったらしく、下がった駆逐艦の何隻かを粛清の形で沈めていた。
「……此処は、私が受け持ちましょう。
貴女達は先に進みなさい」
謎の存在が少なくとも敵ではないとは分かるも、味方になるとはどうしても思えなかった為、イセ達は“えっ?”としたが、当の本人はガミラス空母艦隊に宣戦布告として、翳した右腕の袖口からビームが……間違いなく謎の存在は艦娘の様な存在であり、ローブの下に艤装を纏っていて、その武装の1つと思われる右腕の袖口から僅かに除いた黒い筒型のを使用して、左翼駆逐戦隊の1つを吹き飛ばした。
「早く行きなさい」
「無茶です!!!
1人であの数を相手にするなんて!」
謎の存在は簡単に出来そうに言っていたが、元々ガミラス空母艦隊が比較的多数いただけでなく、別の空母艦隊がワープアウトした為にハルナが思わず叫んで止めようとしたが、当の謎の存在はハルナ(達)に振り向いて“心配するな”と微笑んだ。
此の間にもガミラス空母艦隊は謎の存在目掛けて砲撃を繰り返して、謎の存在は右腕を翳してエネルギー膜を展開してその全てをいなしていた。
「早く、冥王星に!
貴女達を、ヤマトが待ってますよ」
「ヤマト!!?」
「ヤマトはまだ生きてます。
ですが、早く行かないとヤマトは本当に死んでしまいます」
謎の存在がハルナ達の目的地だけでなく、会いにいこうとするヤマトをも知っていた事に、ハルナ達は謎の存在を少し疑ってしまったが、謎の存在のヤマト生存の報せで、確証が無い事を疑ったが、ヤマトがいる冥王星に行きたいとの願望がまた強くなっていた。
「此処をお願いします!!」
取り敢えずは謎の存在の言葉を信じて、チョウカイが謎の存在に頭を軽く下げた後に反転して冥王星に向けて加速、他の者達も謎の存在への対応を各々にしては次々にチョウカイの後を追った。
「……貴女も、死なないでください」
最後にハルナが分からないままに此所に留まりたい思いを払った後に、謎の存在に別れてチョウカイ達を追い掛けようとした直後、その謎の存在がハルナに振り向いて微笑んだ時に、重巡リ級の砲撃が謎の存在の左頬を掠めてローブのフードが揺らいだ。
「……!?
コンゴウ、姉様?」
素肌を一瞬現した謎の存在の左頬に死んだコンゴウと同じ傷があった為、ハルナは謎の存在の正体はコンゴウではないかと思ったが直ぐに否定した。
何故なら、左頬が続けて見えた、骸骨のヘアピンを止めた前髪が、濃いめの茶髪だったコンゴウのと違って煌めくかの様に美しい金髪だったからだ。
だが冥王星に向かう間、ハルナはコンゴウが生き返って自分達を助けにきたかと思っては否定するのを、脳内で何度も繰り返していた。
「Schiffstochter werden entkommen!」
(訳:艦娘どもが逃げるぞ!)
「Mach dir kine Sorgen!
Es ist das erste Mal,dass du diese Kakerlake besiegst!」
(訳:雑魚を構うな!
あのゴキブリを倒すのが先だ!)
ガミラス空母艦隊の一部がで逃げだしたハルナ達を追撃しようと騒ぎだしたが、艦隊旗艦の空母ヲ級フラッグが威圧して止めて謎の存在を倒す事を優先とした。
此の為に随伴艦の一部が戸惑っているのを他所に、空母ヲ級フラッグは見えなくなるまで遠ざかっていくハルナ達を完全に無視していたし、謎の存在も後ろを振り向いてハルナ達が戦闘宙域を完全に離脱したのを確認していた。
「…Es ist Typ,der es anscheinend wert ist, lange Zeit gekaempft zu werden」
(訳:…どうやら久し振りに戦い甲斐がありそうな奴だ)
空母ヲ級フラッグは謎の存在を強敵だと認知して、下唇を舐めていた。
此れは、近年技術的格差の超絶的に拡大した事から、空母ヲ級フラッグにしたら戦艦娘をも含めた艦娘達の弱体化で物足りなさを感じていた上、最大の獲物になり得たヤマトと戦えないだけでなく彼女が早々と冥王星で撃沈した為、ヤマトの代わりとして最高級の
「……Ich sage dir GAMYROS…」
(訳:……ガミラスに言っておきます…)
実は謎の存在は空母ヲ級フラッグ達の骸骨に対して怒っていて、此の事は謎の存在が此所に現れた理由の1つでもあったのだ。
「Oh nein,ich noch nicht einmal im kampfmodus?」
(訳:ま、まさかコイツ、今まで戦闘モードにすら入っていなかったんじゃ?)
現に謎の存在は先程までハルナ達のみに見せていた慈愛が完全に消えていて、フードの奥にあるだろう右目が一瞬青く光ったのを見て、ガミラス空母艦隊の空母ヲ級フラッグ以外の者達に悪寒が強く走った。
「Fuer diejenigen,die aufs Meer hinausgehen,ist die Rippe eine Manifestion von “meine Ueberzeugung zu Tode durchdringen”…」
(訳:海を往く者達にとって、骸骨とは“己が信念を死ぬまで貫き通す”との表れ…)
此の時から謎の存在のローブが青く発光しながら揺れだしていて、ガミラス空母艦隊は否応なく謎の存在の殺気や怒気を否応なく感じて早くも気後れしていた。
「Auch wenn kulturelle Braeuche eine andere Bedeutung ausdruecken moegen,ist es keine gute Sache,bereit,spielerisch und wie ihr zu leben!!!」
(訳:…文化思考で別の意味を表す事があるとしても……貴女達の様に生半可な覚悟や遊び半分で、纏い翳していい物ではない!!!)
謎の存在が感情を極限まで高めると同時にローブが捲れ上がり……否、元々はマントであったそれは本来の形に戻って謎の存在の全身を……長い金髪を
そして謎の存在が纏っている赤を主体とした装束の腹部には、X字に重ねた大腿骨2本の上に頭蓋骨……地球の俗に言う
最後に、謎の存在が戦闘(or本気)モードに移行する為に一旦閉じているも直ぐに開いた青い両目を見た時、ガミラス空母艦隊全員は“十死零生”の絶望を感じて一斉に硬直した…
「Was ist mit der Zwite Flotte passiert?」
(訳:第二艦隊、どうした?)
天王星軌道の別の所から冥王星を目指していた、別のガミラス空母艦隊は突然自分達の所に入った通信を対応し始めたのだが、相手方は自分達の呼び掛けに全く答えず、悲鳴を上げているだけだったので戸惑うしかなかった。
まぁ、悲鳴と同時に砲撃音と爆発音が聞こえていたから戦闘中だとは分かったが、問題は相手方は明らかに尋常ではない状況下であった上、交戦相手が誰なのかが全く分からなかった事だった。
「Ist die Zwite Flotte,YAMATO,erschienen?」
(訳:第二艦隊、ヤマトが現れたのか?)
どうやら相手方はヤマトと戦っているのだと思ったらしいが、ヤマトかどうかの正否が無くも、ヤマトと戦っているとはどうしても思えなかった。
「Womit die Zwite Flotte kaemmpft!?」
(訳:第二艦隊、いったい何と戦っているんだ!?)
駄目元で直球で尋ねたら、悪い意味での歳出局面に入ったらしい相手方が一際大きい悲鳴を上げ…
『Es ist eine Hexe!!!』
(訳:魔女だぁぁぁー!!!)
…最初で最後の交戦相手の関連情報を一斉に叫ぶと直ぐに通信が途絶した。
「……eine Hexe?」
(訳:……魔女?)
此れだけで理解出来る訳がなかったので、全員が揃って茫然とするしかなかった。
――― 土星軌道 ―――
「……Vernichtung?
Ist die Zwite Flotte eine andere?」
(訳:……全滅?
第二艦隊が他共々?)
天王星軌道の出来事は当然ながら装甲空母姫にも伝達されたのだが、やはり装甲空母姫もまた茫然としていた。
「Es ist kein Fehler!!
Einige der anderen Flotten suchten und rettenen die Zwite Flotte,und die Gesamtzahl der Schaeden hat fuenf Flotten erreicht!」
(訳:間違いありません!!
第二艦隊の捜索及び救助に向かった他艦隊も幾つか殺られて、被害総数は5個艦隊に及んでます!)
“魔女”と呼称された謎の存在もそうだったが、装甲空母姫は太陽系制圧艦隊に大損害が出た事に唖然として、随伴の者達は各々にざわついていた。
「Sagt Erde,dass YAMATO eine weitere maechtige Schiffstochter erschaffen hat?……!」
(訳:地球はヤマトとは別の強大な艦娘を生み出していたと言うのか?………っ!)
随伴の者達は理解出来ていなかったが、装甲空母姫は少し間を置いてから、A銀河のオリオン湾の多方面で謎の存在の襲撃を受けて全滅した件が相次いでいるとの報告に加えて、自分達艦艇型の超弩級の者達の一部に流れている噂が頭に浮かんだ。
それは
更にその謎の艦娘は二百と数十年が経過した現在でも生きているだけでなく、数多の大軍や強敵と戦い続けて未だに敗北を知らずにいるとの事であった。
更に“あの御方”はガミラスに害をもたらすだろう此の謎の艦娘を警戒していて、本星で謎の艦娘の対抗兵器である超弩級の研究開発を進めていて、“あの御方”がヤマトに興味を示しているのは、ヤマトが謎の艦娘と何らかの繋がりがある為だとの最新の噂もあった。
まぁ噂の真偽や、魔女が謎の艦娘との関連は分からないまでも、取り敢えずは魔女が驚異的であり、場所的に第七次冥王星沖海戦に悪影響をもたらす可能性があるのは確かであった。
此の為、装甲空母姫が艦隊行動としてとるべき選択肢は“冥王星に向かって魔女襲来に備えて迎撃体制を整える“か“今すぐに天王星軌道に赴いて魔女を見つけて排除する”かの2択であった。
地球艦隊がまだ冥王星軌道にいる現状に加えて安全性を考えたら前者1択であり、普段の装甲空母姫なら迷わず前者を選んでいたが、此の時の装甲空母姫は違い……ハルナ達10人の艦娘達が冥王星に向かっている事を知らない上に通達されていない事もあって、心の中の悪魔の囁きに耳を傾けていた。
「Hinweis an das allgemeine Persona!!!
Die Flotte zur Steuerung des Sonnensystems aendert den Zeitplan,rast mit allen Schiffen in die Umlaufbahn des Uranus und eliminiert unbestaetigte Feinde!」
(訳:総員に通達!!!
太陽系制圧艦隊は予定を変更、全艦をもって天王星軌道に急行して未確認の敵を排除する!)
装甲空母姫が選んだのは後者、彼女にとって幸か不幸かは別として随伴の者達全員が揃って了解した。
装甲空母姫の心の中に有ったのは、ミリューと自分を欺いた冥王棲鬼への憎悪だけでなく、ヤマトと同等かそれ以上かもしれない魔女の首を取る事で恩赦を得ようとする自己保身だけでなく、あり得るかもしれない本星への栄転の淡い思いであった。
斯くして装甲空母姫は艦隊を率いて天王星軌道へ転進、全ての別動隊も了解の通信が次々に届いていて、近い内に天王星軌道に太陽系制圧艦隊の全てが集結する筈であった。
此の艦隊行動によって、太陽系でのガミラスに長らく付き添っていた勝利の女神がその浮気癖を発揮し、代わりに執着心の強い疫病神が来てしまう事になる………即ち第七次冥王星沖海戦からの太陽系の最終的な勝利者が確定するだけでなく、A銀河で展開するガミラス全体に影響を及ぼす事になるなど、側近として“あの御方”の傍で自分が控えて寵愛を一身に受けている未来絵図を夢見ている装甲空母姫が知る訳がなかった…
感想または御意見、或いは両方でも御待ちしています。
今回のサブタイトルは、次に出る予定の謎の艦娘その2“住よい国”が出た時の状況や気分で変える可能性がありますが、まぁ“住よい国”は現時点では本人より先に真名が出る予定なので可能性は低いです。
此処で言うのもなんですが、“翠星の女王”は要望や作者の思想転換をしない限りはガミラス編のみの登場として役目を終えたら宇宙の何処かにいってしまうとしていますが、“住よい国”はヤマトや作品の根底に繋がりがあるので、名前のみかもしれませんが、ガミラス編以降も出る予定であり、ヤマトしだいで白色彗星帝国編の最終回あたりに出る可能性があります。
霧島(台本を見てる)
「…す、“翠星の女王”って、貴方、とんでもない人を艦娘として出しましたね!!!
あの人、艦娘化しなくても無茶苦茶強いじゃないですか!!!」
先に言っておきますが、“翠星の女王”は今回のは先行登場と言うべき形なので、冥王星編ではあと1回出るか否かの状態です。
じゃないと、大和の存在が食われるだけでなく、“翠星の女王”にイスカンダルに行ってもらった方が良いとなる可能性がありますので…
因みに、第12話(追加)と第47話……特に後者は左足の損失に上手い具合に持ってかれてますが、金剛の左頬に出来た傷はと言いますと、初期設定では金剛の遺体が艤装諸共、突然変異か何かが憑依して“翠星の女王”になったとしていた事の名残となってます。
当初は“翠星の女王”は次元断層の該当話にてヤマト達を助けて、その事で代価を求めるも榛名を見て、何も求めずに去ってしまうとしていました。
霧島
「あ~…あのキャラの代わりって事。
あのキャラより“翠星の女王”の方が艦これに合いそうだしね」
現在は設定を完全に変えてしまったので、今は“金剛=翠星の女王”ではありません。
因みに今回は書きませんでしたが、“翠星の女王”の艤装の形は“木曾改二”“川内改二”“古鷹改二”の3者の融合体と言うべき物に近いとし、戦闘スタイルは“天龍”と“プリンツ・オイゲン”の折檻型(➕α)に近くとしています。
あと、深海棲艦戦時の一時に現れた謎の艦娘は“翠星の女王”とは別の奴です。
つまり“住よい国”か“エインティース”のどちらかです。
さぁ次回からは、冥王星の収監組の脱走がいよいよ始まります。
霧島
「ウラカゼ達が白兵戦みたいなのをせざるを得ないと思うけど、今はどう考えているの?」
取り敢えず今は“エンドオブホワイトハウス(&キングダム)”を見ながら考えています。
霧島
「……マイク・バニングみたいに滅多刺し等のナイフアクションがあるの?」
本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?
-
実写版通りに、特攻
-
なんとしてでも、地球に帰還