SPACEBATTLEGIRLヤマト   作:サイレント・レイ

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第68話 艦娘達の脱走(後中編)

――― 冥王星 ―――

 

 

「Aufraeumen,Aufraeumen,Runrun♪」

(訳:おっ掃除、おっ掃除、ルンルルン♪)

 

「……アタゴみたいな変な歌ね」

 

 脱走からの廃棄物集積所から廊下に移った後、当てもなく冥王星基地を静かに移動していた処、枝分かれ地点にてやり過ごした変なスキップをしていた重巡リ級の事を言ったモチヅキに、他の6人が思わず苦笑した。

 

「でもどうするんだ?

何時までも基地をさ迷っている訳にはいかないぞ」

 

「やっぱり見取り図とか欲しいよね」

 

「だけど、それが何処にあるのかが分からいんだよ」

 

 やはり問題なのは、基地からの脱出路を早く見つけないといけず、その事をマツカゼとネノヒが話し合うも解決への糸口がどうしても思い浮かばなかった。

 

「……あ、不味い」

 

 だが此所はガミラスの冥王星基地内部であり、現にガミラスの警備兵や警備ロボットだけでなく通行人も相次いでいて、現にウラカゼが自分達の所に近付いてくる存在に気付いて直ぐに安全そうな廊下の先に進んだ。

 

「そう言えばスズツキ、通信機使えないの?」

 

「……駄目です。

妨害電波系統が原因で何も反応しません」

 

「基地内部にも妨害電波を出しているのかよ…」

 

 牢獄でもお馴染みの警備ロボットをやり過ごした後、ナガナミが通信機の使用をスズツキに頼むもそれが出来ず、基地秘匿の為のガミラスの徹底ぶりにナガナミが唖然とした。

 だがそのわりには一時的に照明が時折落ちる事に呆れていたが…

 

「あ、でも、さっきチ級達は通信をやってたよね?」

 

「たぶんガミラスは室内ネット(イントラネット)の一種でやってると思うよ」

 

「それじゃあ、外とはどうやってるの?

例えば宇宙にいる艦隊にとか…」

 

 ネノヒが子供じみた疑問をマツカゼに問い掛けていたが、ムラクモが手を叩いて此処から糸口が見い出した。

 

「きっとガミラスは、外部通信を基地から離れた場所にあるやろう通信設備でやってる筈!」

 

「そしてそれは有線式で繋がってる!」

 

 ウラカゼの指摘にムラクモも乗っかり、基地から出るには通信設備を見つけるしかないとし、全員が頷いてそれを当面の最終目標とした。

 

「だとしても、武器が無さすぎるよ」

 

 だがマツカゼの指摘通り、ガミラスが拳銃数丁で脱出を許す警備をやっているとは思えず、間違いなく強行となるのが目に見えているから先ずは協力な銃火器等の獲得を目指すしかなかった。

 

「どうすんだ?

その辺から掻っ払うか?」

 

「……あ!!

この先は駄目!」

 

 ナガナミが誰ともなくぼやいた時、モチヅキが十字路の左に曲がった先に複数の雷巡チ級が雑談しているのを見つけて、後続の6人を止めた。

 

「…行くか」

 

 モチヅキと共に角から覗いたムラクモは、上手くいけたら気づかれないと判断して、他の6人も次々に頷いて結構としなった。

 先ずはマツカゼがスライディングで十字路を抜けて、次にウラカゼがネノヒがハイハイで抜けた。

 

「あ、止て!」

 

 今度はナガナミが行こうとしたが、雷巡チ級の1人が自分達の方に振り向こうとするのを察したムラクモが彼女を止め……その雷巡チ級が何故か暫く見つめていた後に同僚達の方に向いたのを確認してから、ナガナミとネノヒが走り抜けた。

 

「早く早く!」

 

 また雷巡チ級の何人かが何度か振り向いた後、マツカゼの催促でムラクモが駆け抜け、最後にスズツキが慎重に見極めてから長10cm砲ちゃん2人と共に駆け抜け…

 

「「「「「「…あ!?」」」」」」

「…っ!?」

 

…その途中で長10cm砲ちゃんの1人が蹴躓き、その事に気付いたスズツキがもう一方の長10cm砲ちゃんと共に止まってしまった。

 

「阿呆!!!」

「馬鹿!!!」

 

 幸いな事に、ムラクモとネノヒが直ぐにスズツキと長10cm砲ちゃんを各々に引き寄せ、長10cm砲ちゃんは倒れる直前にウラカゼとナガナミが2人係りでダイビングキャッチをしてマツカゼとモチヅキが2人の引っ張った。

 此の直後に雷巡チ級達が一斉に振り向き、ナガナミの髪先を勘違いと思える一瞬だけ見た事から少しした後に十字路に近づいてきたが、この間にムラクモ達は急いで先に進んで角を曲がっていた。

 

「……危なかった…」

 

 危機一髪だった状況にムラクモが他共々溜め息を吐いて、ナガナミが抱えていた長10cm砲ちゃんの頭を殴った。

 

「あ、此所!!」

 

 ネノヒが自分達がいる廊下に幾つか扉がある事に気付き、早速全員で固まりながら扉を1つ1つ慎重に調べたが、その全てに鍵が掛かっていて見た処だと他のも全ても同じ様だった。

 此の為、全員が残念がった後に他の所に移動しよう思っていたが…

 

「っ! 長10cm砲ちゃん!!?」

 

…何かに気付いた長10cm砲ちゃんが2人揃ってスズツキ達から走って離れていき、スズツキは気付いて直ぐに追い掛けて、他の6人も目線を合わせながら首を傾げた後に続いた。

 長10cm砲ちゃん2人はある所で止まると、跳び跳ねながらスズツキ達に目の前の扉を示した。

 

「…長10cm砲ちゃん、此所に何かあるの?」

 

 長10cm砲ちゃん2人が示したのは明らかに他とは違う二枚式の大扉であった。

 勿論、ナガナミとマツカゼが開けれるかを調べたが、他と同様に鍵が掛かっていた。

 

「……コイツはカードロック式だな」

 

「壊してみる?」

 

 マツカゼ達も大扉の先に何を感じていた様で、ネノヒが拳銃を翳してパネルを壊そうと示した。

 だがウラカゼが左手先のT字路の曲がった先から近付いてくる存在に気付いてネノヒを止めた。

 

「…鍵が向こうから来てくれたみたいね」

 

「やるか!」

 

 ムラクモとウラカゼは接近者を襲う事を決め、他の者達もそれを了承した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 此の時、警備係の雷巡チ級2人は雑談をして笑い合いながら巡回を一応していて、T字路を曲がろうとした時…

 

「…ふん!!!」

 

…ムラクモが角から飛び出して直ぐに、廃棄物集積所から持ってきた戦艦ル級の砲身を横一文字に雷巡チ級の喉に叩きつけた。

 もう一方の雷巡チ級は同僚が後ろに吹き飛ばされた事だけでなくムラクモの出現に驚いて硬直したが、直ぐに我に返るとムラクモにビームマシンガンを身構えようとしたが、その前に角から遅れて出たウラカゼにマシンガンを払われた。

 

「おどりゃぁぁー!!!」

 

 ウラカゼは雷巡チ級の懐に入って直ぐに、胸ぐらと左腕を掴んで気合い一閃で背負い投げをして、そのまま雷巡チ級が固まった隙を見逃さずに顎下に右腕を回して首を締め上げた。

 

「銃を取り上げろ!!」

 

「抑え込め抑え込め!!」

 

 雷巡チ級は命の危険を感じ取って、暴れながら発砲して仲間に報せようとしたが、その前にマツカゼがマシンガンを取り上げて、ナガナミ、ネノヒ、モチヅキが3人係りで手足を抑え込み、少しした後にウラカゼが雷巡チ級の首の骨をへし折った。

 ムラクモに襲われたもう一方の雷巡チ級はと言うと、どうやら気管を痛めた事が原因で、呼吸困難で苦しみ足掻いていたが、同僚が殺られて直ぐに窒息死した。

 

「窒息死なんて、初めて見ました…」

 

 自分達や地球への仕打ちからガミラスに思う事はあれど、拳銃を構えて備えていたスズツキは苦しんでから窒息死した雷巡チ級を憐れんでいた。

 

「…ナイフに煙幕、催涙弾……おお凄い、手榴弾も何種類かある」

 

「コイツ等、警備兵なのに空間騎兵より持ってるわね」

 

 他の者達も同様に思う事はあったと思うが、少なくとも雷巡チ級を各々に探っているマツカゼとムラクモはあまり感じられなかった。

 

「見事だったよ、ウラカゼ」

 

「流石、元呉基地柔道部主将!」

 

 此の間、ネノヒとナガナミが一本背負いを決めたウラカゼを茶していたが、元々ウラカゼは艦娘になる前の学生時代に全国制覇を数度成し遂げた柔道の凄腕で、艦娘候補生時代に重量級の空間騎兵を何人かを投げ飛ばした事もあって、駆逐艦娘ながら呉基地の柔道部主将を務めた事があったのだ。

 

「……ウチなんか、コンゴウ姉さんと比べたら弱輩や」

 

 だがそんなウラカゼがどうしても勝てなかったのがコンゴウ………彼女はウラカゼ以上に学生時代に全国制覇を連覇を成し遂げ、元横須賀基地柔道部主将や空間騎兵隊の特別教官を務め、そして柔道家・巴咲として出場した(現時点で)人類史最後のオリンピックである2188年度オリンピック(此の時の巴咲(コンゴウ)の応援句「コンゴウ、金GO(コンゴウ)!!!」は当時の流行語)で金メダル三冠を成し遂げていたのだ。

 此の時のウラカゼは謙遜ではなく、先代浦風と同様にコンゴウを守れなかった事の罪悪感を感じていて、ネノヒとナガナミは直ぐその事を察して彼女に謝った。

 

「あ、有った!」

 

 此の間にマツカゼはカードキーを見つけ出し、直ぐに大扉のパネルに刺し通すと、電子音を出して大扉の鍵が開いた。

 

「あ、ヤバい!!」

 

 だが此の直後に、ナガナミが騒ぎを艦じ取って走ってくる存在が多数に気づき、死体2つを運び込む等が出来ないのでやむを得ずそのままとして、急いで大扉の先に入っていき……他の雷巡チ級達が死体2つにギョッとしている間に大扉を閉じて、ムラクモが内側のパネルを拳銃で撃ち抜いて壊す事で鍵が開かない様にした。

 

「何なの此所?」

 

 取り敢えず長10cm砲ちゃん2人を信じて入ったのは良いが、光源皆無の為に真っ暗である事もあって、モチヅキが言った通りに入った所は何の馬車なのかが分からず、ガミラスがいる気配が無い事もあって、“暗中模索”の言葉通りに前進するしかなかった。

 

「……ん?」

 

 こんなんだからナガナミが何かにぶつかってしまい、目が慣れてきた事あってよく見ると、それはほぼ人型で黒い何かだったのだが、ナガナミには妙に見覚えのある輪郭をしていた。

 

「…ル、ル級だぁぁぁー!!!」

 

 ナガナミが該当する者を思い出して叫んでしまい、他の6人もギョッとしながらナガナミの方に振り向いた。

 だが当の戦艦ル級(?)は全く動く気配がなく、ムラクモが恐る恐る先程雷巡チ級から奪った懐中電灯でそれを照らした。

 

「あ、なんだ。

ル級の服か…」

 

 実際に有ったのは、ハンガーにぶら下がった戦艦ル級の衣装一式であり、その前後に同じ物が列を成して並んでいた。

 更にマツカゼが周囲を懐中電灯で照らしてみたら、他にも戦艦ル級の艤装の至る部品が各々にベルトコンベアの上にあった。

 

「此所はル級の部品生産工廂区画だったんだ」

 

 マツカゼの言った通り、彼女達がいるのは冥王星基地の工廂の一区画であり、現在は稼働停止状態だった。

 

「…あ、意外に軽いし、着こごちが良い」

 

「すっぽんぽんよりは、ましになりそうね」

 

 何を思ったのか、ナガナミは戦艦ル級の衣装の上を取って羽織るとそれを気に入り、ムラクモもそれに続いて同様に思った事で、他の5人も2人に習って衣装を手に取った。 

 

「……ユキカゼやアマツカゼはこんな格好してたのかよ」

 

「うわ、スウスウする…」

 

 只、ベルト等が見当たらない為にズボンがブカブカで履けない為に浴衣の要領で着る事となったが、元の衣装がワンピース型だった為に妥協したムラクモは例外として、特にナガナミとウラカゼは不満を露にしていた。

 

「あれ、長10cm砲ちゃん?」

 

 だが此所には武器になりそうな物は無さそうだった上、長10cm砲ちゃん2人の目的地は此所ではなく、現にスズツキが近くにいない事に気付いて辺りを見渡して、長10cm砲ちゃん2人が奥で跳び跳ねて示している事に気付いて、他と一緒にそちらへ向かった。

 

「何なのよ、此所、っ!?」

 

 長10cm砲ちゃん2人が先行した先にはガラクタみたいなのが多数転がるか山積みになっている空間であった為、モチヅキが右足の小指をぶつけた事もあって思わずぼやいていた。

 で長10cm砲ちゃん2人が跳び跳ねて示しているその先の中央部が目的地だった様だが、そこには何かが大量に吊り上げられていた。

 

「研究開発中のガミラスの新型艤装なんか?」

 

 7人各々に機械物と思われる物体群を調べていて、ウラカゼは言ったわりには拒絶反応が無くて妙な在視感を感じた事から否定していたら、突然此の空間の照明が一斉に点灯した。

 

「「「「「「「…っ!?」」」」」」」

 

 明かりが点いた事で判明した物体群の正体は………艦娘達の衣装付の艤装群であった。

 まさかの正体に7人全員が驚いて硬直したが、直ぐにガミラスにバれたと思って、身構えながら辺りを見渡して照明を点けたであろう存在を探した。

 

「へぇ~…此れが冥王棲鬼のヘソクリィ」

 

 声のした方に振り向いたら、そこにいたのは黒い長髪の殆どを前方に垂らした……古き幽霊キャラ貞子を思わせる者が、ガミラスから盗むか奪うかのどちらかで獲得したビームマシンガンを初めとした武器や装備を多数携帯して立っていた。

 

「「「「「「「…ギィヤァァァー!!!」」」」」」」

 

「…失礼ね」

 

 7人揃って、節分の鬼役のジンツウのプレッシャーを感じた時みたいに絶叫しながら逃げ出そうとしたが、相手側がムッとするも、原因であった髪を掻き分けて素顔を晒した。

 その素顔を見たウラカゼは、まさかの人物だった為に驚き戸惑ってしまった。

 何故なら相手は第一次木星沖海戦で死んだと思われた艦娘の1人だったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ヒ、ヒヨウゥゥゥー!!?」




 感想または御意見、あるいは両方を御願いします。

 と言う訳で飛鷹が合流の予定デェェェース!
 多分本作オリジナル設定になるかもしれませんが、本作の飛鷹は隼鷹の姉妹艦を思わせる変に図太い神経を持っているとしています。

飛鷹
「冥王星が堕ちたら、私もイスカンダルに行く事になるの?」

 実はお気に入りの軽空母娘の1人だった飛鷹は出したいけど難しいなぁ~…としていましたが、昔PIXIVで掲載されていた二次漫画にして、通販で買うのに苦労した同人誌“飛鷹昔話”をまた読んで飛鷹の艦隊合流を決めました。
 更に飛鷹は隼鷹とは真逆の不遇な艦歴……隼鷹が初陣を華々しく飾ったアリューシャンには未完成故に出撃出来ず、隼鷹が空母『ホーネット』撃破に貢献した南太平洋海戦では前日に機関が故障した為に撤退(“氷山空母を撃沈せよ”では此れが怪我の功名になるが…)、そしてマリアナ沖海戦で航空攻撃でタコ殴りにされて沈没、そして隼鷹の改二実装から結構な月日が流れたのに未だに改二が音沙汰なしな現状もあっての恩赦としてもあります。

 さぁ次回は飛鷹がどうやって入獄される事なく冥王星基地に入れたのかの回想から始めます。

本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?

  • 実写版通りに、特攻
  • なんとしてでも、地球に帰還
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