――― 冥王星沖 ―――
「っ!! 8時の方角に閃光が多数!」
「戦闘だ!!!
まだ戦いは続いているぞ!」
「コスモファルコンと新型戦闘機が飛んでます!!
アレ等に描かれている識別は、チトセさんとズイカクさんのです!」
「よっしゃ!!
て事は、ダヴーはまだ彼処にいるって事だ!」
謎の艦娘から移動を続けていたハルナ達は、遂に冥王星軌道に突入して小惑星帯を抜けた所でズイホウから補給を受けながら最終体勢を整えていた時に、ハルナが遠方で戦闘による現状を見つけ、テンリュウが叫んだ通りに囮艦隊がまだ完全な形での退却に至ってない事が判明した。
更にズイホウが双眼鏡で確認して、その方角で地球の戦闘機2種が飛び回っているのを見つけ、それ等の尾翼の数字からチトセとズイカクの航空隊である事を見抜いたが、新型戦闘機(コスモタイガー)は兎も角として、陸上戦闘機である筈のコスモファルコンがいる事に首を傾げていた。
まぁ此れ等の事から、テンリュウみたいに多くが間に合ったと思っていたいたが、チョウカイは安堵の溜め息を吐いてユウバリに小突かれた後に微笑み合っていた。
「どうだ、イセ?
向こうの艦隊に通信が出来そうか?」
「…駄目。
やっぱり暗号通信は更新されていて使えないし、通常のはガミラスが怒鳴り合っていて、向こうに届きそうにない」
唯1つ残念だったのが、イセは囮艦隊と通信出来ないかを試していたが、2つの通信方法は各々の理由で使えそうになかったのだ。
「さて、どうしたものかな?」
ヒュウガが誰構わずに疑問を振ったが選択肢は“直ぐに転進して囮艦隊との接触を試みる”か“予定通りに冥王星に向かう”かの2つであった。
だが各々の問題なのは、前者の場合は“囮艦隊が混戦をやっているのが目に見えているので、下手にしたら混乱を招いてしまう危険性が高い”、後者の場合は“何らかの形で自分達の存在を報せないと、囮艦隊が知らないまま撤退してしまう可能性が高い”であった。
だが言った本人であるヒュウガもそうだったが、全員がどちらを取るかは既に決まっていた。
「冥王星に行きましょう。
ズイカクさん達に悪いですけど、ガミラスの冥王星艦隊はあっちに行っています」
ハルナ達は冥王星軌道に辿り着いた時の状態に備えて土星を発つ前の入念な打ち合わせである程度決めて、可能な限りは艦隊に合流を目指す事としていたが、それが出来ない時や冥王星を目指す事が戦略的勝利(つまり冥王星基地の占領や無力化)の確率が高い場合のどちらかだったら冥王星を目指す事とする事であった。
ハルナは冥王星守備艦隊の多くがズイカク達を攻撃していて、更にヤマトを沈めた事(謎の艦娘を信じたら誤認)もあって今の冥王星の近海は無防備であると予想したからの意見であり、全員も同感と判断してハルナに頷いた。
「でも、通信はどうするの?
あの分だとズイカク達が私達に気付いてくれそうにないわよ」
「どのみち、此の状況だと通信をしたらガミラスに探知されます。
私に良い考えがありますので、今は早く冥王星に行きましょう」
フルタカが通信の事を気にしていたが、チョウカイが旗艦等の軍隊の上に立つ者が言うには不吉な事を言った後に、艤装から取り出したリレー衛星を脇に投げたが、
「……ズイカクさん…」
「ズイホウ、行くぞ!!!」
戦闘の現象が自分達から遠ざかっていた事もあって、チョウカイは直ぐに冥王星へ前進していたが、ズイホウは何度か組んだ事のあるズイカクを思って戦闘現象を暫く見つめていたが、ヒュウガに呼ばれて後ろ髪を引かれる思いで続いた。
「冥王星だ!!!」
小惑星帯から離れて暫くした後、チョウカイ達は読み通りにガミラス艦隊に接触する事無く、遂に冥王星が目視出来る所にまで辿り着き、全員が冥王星を一目見るとヤマトと同様に、赤く変色した現象に眉をひそめていた。
「あ、不味い!!!
前方にガミラス艦隊!!!」
だがその直後、キヌガサが冥王星から来ているガミラス艦隊を見つけた。
「…敵はまだ気付いてませんよ」
「馬鹿、気付かれたぞ!!!
此方来ようとしている!」
アオバがガミラス艦隊が自分達に向かってない事から見逃していると思ったらしいが、此の直後にガミラス艦隊が進路を変えて近づこうとしていた為、ヒュウガに怒鳴られた。
当然ながら、全員が慌てて戦闘の準備を整えて身構えて硬直したが、当のガミラス艦隊は妙な遅さであった。
そして雷巡チ級の複数を主軸とした水雷戦隊だったガミラス艦隊が“へ”の字の逆さに近い形で、比較的遠くから艦娘達の脇を過ぎようとした時…
「Du hast es schwer!!」
(訳:よう、ご苦労さぁ~ん!!)
…完全に無警戒だった上に、労いの言葉を掛けてきた為、艦娘達が揃って変な小声を漏らしてしまった。
「B,Bitte sei vorsichtig!!」
(訳:き、気を付けて行けよ!!)
テンリュウが真っ先にガミラス艦隊が自分達を友軍艦隊と勘違いしたままズイカク達の所に向かおうとしているのを察して、少し噛みながらも返事をしながら右拳を振り上げ、他の艦娘達もテンリュウに習って右手を上げて振っていると、雷巡チ級達がお返しに軽く右手を振った後にガミラス艦隊はそのまま離れていった。
「…っ、びっくりした!!!」
ガミラス艦隊が完全に見えなくなった後、イセが嘔吐しそうな程に大きく息を吐きながら冷や汗を大量に発した事に見られる通り、他の艦娘達も各々に緊張を解いていた。
「でも、何で間違えたのでしょう?」
「多分、慢心や油断したからだろう。
ヤマトを破って、艦隊が退こうとしている事もあってのだな」
落ち着いてからズイホウが疑問に思っていたが、求められる事もなくに答えたヒュウガの予想通りであるとしか全員が思えていなかった。
「どうやら、運が出てきたようですね」
チョウカイが引き吊りながら微笑し、先代鳥海率いる第八艦隊を深海棲艦の警戒艦が見逃した為に奇襲からの大勝利を得た第一次ソロモン海戦を思い浮かべていた。
しかもチョウカイにとって縁起が良かったのは、第一次ソロモン海戦での第八艦隊と同じ様にフルタカ(古鷹)カコ(加古)アオバ(青葉)キヌガサ(衣笠)ユウバリ(夕張)テンリュウ(天龍)の6人が揃っていたが、代わりにハルナ、イセ、ヒュウガ、ズイホウの4人がいるとは言え、駆逐艦ユウナギ(夕凪)がいない事を残念がっていた。
「だけど、同じ幸運が続くわけがないわよ」
「……分かってるわよ…」
「兎に角、冥王星にはより“慌てず、急いで正確に”でいきましょう」
そんなチョウカイがユウバリが釘を指された為にムッとしたが、ユウバリの言う通りにより警戒しながらも増速して冥王星に向かっていたが、その途中でハルナが止まってしまった。
「ハルナ、どうしたのですか?」
「…デブリが……冥王星の衛星軌道のデブリが異様に増えているんです」
「6度に及んだ海戦で、デブリが増えたのじゃないのですか?」
ハルナは第5次冥王星沖海戦に参加して冥王星を見た時と比べて冥王星の周囲に違和感を感じていたが、彼女に訊ねたチョウカイは仮説に言いながら、疑問はあってもヤマトが敗れた事には関係ないと思っていた。
「ユウバリさん、先程の通信でヤマトがどの様にして沈んだか伝えられませんでしたか?」
「……確か、大出力のビーム兵器に多々被弾したからって言っていたわよ」
「ちょっと待て、多々被弾したからって、ヤマトは戦艦を沈める様なビーム兵器の所在が分からなったってのか?」
ヒュウガがユウバリを返事から他共々に疑問を感じていたが、ハルナは頭の中でパズルのピースの1組が繋がった事から口に右拳を当てて固まった。
「…コードネームで砲艦の……ああ、『ナハトシュトラール』がいたよね?
ソイツに
「でも“砲声のする方に進路を取れ”の言葉通り、レーダーでも捉えられない超遠距離でも、ある程度は射角や位置が特定出来るから一方的ってのは考えられません」
情報が少ないと言え、イセは『ナハト・シュトラール』説を予想したが、それはチョウカイが否定した。
「……一方的……つまり、ヤマトは……超遠距離だっただけでなく、常に死角から攻撃を受けていた…」
「でしたら、ステルス艦だったと言う事じゃない?
ほら、『レムレース』ってのがいなかった?」
「まさか、ガミラスはドイツ艦艇みたいに火力を低めにして機動力を最優先としているのよ。
いくら超弩級でも、速度低下の要因になりかねない大型兵器を載せるとは思えない」
ハルナが独り言に近い形で呟いているのは無視して、フルタカはヤマトに沈められたのを知らないので
「……ドイツ…」
だが、ハルナはキヌガサが呟いた“ドイツ”から何かに思い当たって、脳内のパズルに描かれた絵をある程度予想出来た事からピースを次々にはめて、彼女なりの答えに辿り着こうと右手を当てるのを顎から額に移して唸っていた。
「じゃあなに、ビーム兵器は冥王星の地表にあるっての?」
「……地表、っ!?」
イセは冗談に近い形で自分でも否定的な意見を言って全員から“無い”と判断されていたが、ハルナは此の事からある兵器の存在に思い当たって、ビーム兵器のカラクリをある程度辿り着いた。
「馬鹿、それこそ有り得ないぞ。
“大きさ”“火力”“隠密性”を兼ね備えた陸上兵器なんか…」
「………」
「……有りましたよ。
1つだけ深海棲に対して使われた、3点を兼ね備えた陸上兵器が」
「そうですよね。
ハルナの言う通り、そんな兵器が有るなんて………有る?」
チョウカイがヒュウガに続いて苦笑しかけたが、釣られたハルナの指摘を少し間を置いてから他共々に“え?”としながらハルナに振り向いた。
しかも深海棲艦との戦役に存在していた上に、開発・運用したのは地球側だと言うのだから硬直するしかなかった。
「何なの?
そんな都合のいい兵器は?」
ユウバリはハルナに訊ねながら何かを思っていたが、ハルナはその事を察する事なくユウバリの引き吊った顔で思わず苦笑した。
「クルップK2ですよ。
嘗てドイツが開発して運用した28cm列車砲です」
「列車砲?」
「ハルナが言いたいのは、その内の『ロベルト』と『レオポルド』と呼ばれた砲2門です」
「……ア、アンツィオアニー!!?」
ユウバリはハルナの返事を他共々、より有名な80cm列車砲『グスタフ』『ドーラ』の思い浮かべた為に当初は理解出来ないでいたが、補足情報でハルナが言いたい事の全てを理解するに至り、更にテンリュウとチョウカイもまた「あっ!」と叫びながらお互いの目線を合わせていた。
此のクルップK2の2門が出たのは、西暦1944年1月から始まった“アンツィオの戦い”にてイタリア南部のアンツィオ(&ネトゥーノ)に上陸した深海棲艦を迎え撃ったドイツの迎撃作戦で投入されて、数撃で橋頭塁を壊滅させていて、故に渾名が“
注目すべきなのは、ドイツはクルップK2は軍事的な常識の範囲での大きさと重さである事から昼間はトンネル内に潜ませる等徹底的に潜伏させた上に深海棲艦が空爆と勘違いした所為、ローマ陥落後に遺棄されるまでの半年間、深海棲艦を終始苦しめる事に成功していた。
因みに『レオポルド』は後日アメリカ陸軍に奪還されて、遊星爆弾で消し飛ぶ迄アメリカのアルバティーン戦車博物館に露天で展示されていた。
「おいおい、ちょっと待てよ。
ガミラスは冥王星に列車砲を配備しているって言いたいのか?」
カコは馬鹿正直に冥王星に列車砲が配備されていると思ったらしいが、直ぐにフルタカに否定されていた。
「列車砲が配備されていると言う事より、列車砲に似た発想で……何らかの形で砲を移動させる等をしているって事。
例えば、冥王星の地下を縦横無尽に移動しているとか、普段は偽装する等して隠れているとかよ」
ユウバリはカコや他に分かっていない者達に説明しながら、長らく探っていた遊星爆弾の生成方法にも繋がっているのではと内心思っていた。
ユウバリは土星からの観測で、ガミラスは小惑星を遊星爆弾化させる時の放射性エネルギーを注入するのに何らかのビーム兵器を使っている事は分かったのだが、その発射地点をどうしても突き止める事が出来なかったのだ。
「ではどうします?
どのみちビーム兵器は隠れているんですから、下手な行動をしたらヤマトの二の舞になりますよ」
アオバの疑問は尤もであったが、ハルナは少なくともビーム兵器のカラクリをある程度見抜く手段を考えていて、それは危険性があった事からユウバリとチョウカイを順に目線を合わせた時に彼女達2人も顔を引き吊らせていたので同じ考えだった様で、時間を確認してからやるしかないと判断した。
「……此所で待ちましょう」
ハルナが少し躊躇っての提案にイセ達8人が「待つ!!?」と叫んでしまった。
当たり前だが、今まではガミラスに気づかれる前に冥王星に辿り着こうとしていたのに、それに逆行してはガミラス艦隊に発見される可能性を自分達で大きくしていまう事になり、先の様な幸運が続くわけがない事も察していたからだ。
「先のガミラス艦隊から見て、今のガミラスはヤマト撃沈を誤解した上に地球艦隊が退却しようもしてる事で相当慢心していると思えます」
「おそらく冥王棲鬼は海戦が終結したと判断して、遊星爆弾の製作を始める筈です」
イセ達はチョウカイとユウバリの補足説明でハルナの狙いを分かってはくれたが、見るからに嫌々であったが、ハルナに了解として揃って冥王星・小惑星帯の間の直線コースから離れた所で待つ事とした。
「あ~…腹立たしいぃ~…」
「だったら今までの航海も含めて、アインシュタインの特殊相対性理論が分かるんじゃない?」
「…特殊……相対性、理論?」
「分かりやすく言ったら、模型作ってる時には1時間が一瞬に感じる反面、ホウショウの説教を受けていたら1分が数時間に感じるって事」
時間経過を焦れったく感じている中での待ちの中で、ズイホウがチョウカイとの会話で「あ~」と言いながら(多分)納得しているのを巡洋艦娘達が苦笑した時、ヒュウガが冥王星の衛星軌道から何かを感じ取った。
「右舷側、赤道付近の衛星軌道で何かが動いたぞ!」
ヒュウガの指摘に他の者達が一斉に双眼鏡(テンリュウは隻眼故に単眼式、アオバは一眼レフ付きカメラ)越しにそちらに注目し……キヌガサが何かを見つけた。
「デブリが動いた!?」
キヌガサが指摘した
そしてその球体が何であるかを艦娘達は知っていた。
「アレは深海棲艦の浮遊要塞!!
何でアイツがデブリに擬態して衛星軌道にいるんだ!?」
ヒュウガが叫んだ通り、球体の正体は深海棲艦の超弩級達の随伴兵器である浮遊要塞であったのだが、更に驚くべき事に浮遊要塞は他にも有って、幾つかの小惑星からも次々に浮遊要塞が現れていた。
「ちょっと待て!!!
まさか衛星軌道のデブリ全部が浮遊要塞なのか!!?」
「あ、浮遊要塞が何かを展開しましたよ!!」
テンリュウが浮遊要塞が多数存在する可能性に驚き戸惑い、フルタカが浮遊要塞群が前方に銀色の何かを展開したのを叫んで報せたが、ハルナとユウバリがそんな2人を「黙ってて!!!」と怒鳴った。
どうやらハルナとユウバリはビーム兵器のカラクリの大方を察するもまさかと思っていた様だったが、その直後に極太のビームが冥王星の衛星軌道を蛇行した後に艦娘達の近くを過ぎて小惑星帯へと飛んでいき、少しした後に小惑星の1つに直撃した。
感想または御意見、或いは両方を御待ちしています。
遂に土星組が冥王星に辿り着き、更に反射衛星砲のカラクリを見抜く事となりました。
此の事は第60話の後書きでも予告してましたが、実は当初は見抜くのは榛名ではなく夕張としていました。
と言いますのも、夕張が反射衛星砲を見抜く事に繋がる要因を思案していた時に偶々クルップK2に辿り着き、更に第60話で反射衛星砲を“不沈戦艦『紀伊』”での列車砲の立ち位置にした時に“勇者王ガオガイガー”での列車砲ゾンダーが榛名山に潜伏していたのを思い出して、反射衛星砲を見抜く者は夕張から榛名に変更となりました。
更に言いますと、本編での理由は不明ですが、此の余波で榛名は砲兵器に関してマニアレベルの知識を持っているとしています。
因みに分かっている人には分かっていると思いますが、“ガールズ&パンツァー”で試合会場のモニターの土台はクルップK2だそうですよ。
さてさて、アンツィオアニーから何人ドーチェを思い浮かべたのがいるのやら…
本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?
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実写版通りに、特攻
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なんとしてでも、地球に帰還