――― 防衛司令部 ―――
「いったい、何が起きているのよ!!?」
此の時の防衛司令部はと言うと、キリシマが怒鳴り散らしている事から見られる通りに、太陽系制圧艦隊が冥王星に向かわずに、天王星軌道で広範囲に展開している事を理解出来ないでいた為、ちょっとした混乱が生じていた。
そんなキリシマに対して、沖田は思案していて固まったままだったが、足止め艦隊の一員として出撃して帰還したキサラギ(これと同時に藤堂の秘書艦に復帰)以下の艦娘達や藤堂達は苦笑していた。
「ズイカク、太陽系制圧艦隊がワープをするだろう君達を待ち伏せているとは考えられんか?」
『…思えません。
アイツ等、私達を待ち伏せていると言うより、天王星軌道で何かを探しているとしか思えない』
ズイカクはアマツカゼと共に戦線を一時離脱して海王星軌道からの航空偵察を行わせた結果を通信で、沖田に代わって彼女達の指揮を取っていた土方竜の質問を否定した。
『それに先程から太陽系内縁方面からガミラスの通信が爆発的に増えてますから、おそらく天王星軌道で何かが有った事は確かです』
「ショウカクさん、通信内容の解析は出来ますか?」
『駄目です。
通信量が多すぎますし、オオヨドさんやマミヤさんでない限りは…』
更にショウカクが通信越しにズイカクの情報を捕捉していたが、彼女達も太陽系制圧艦隊の不可解な行動の影響でズイカク達に合流する事なく冥王星と小惑星帯のほぼ中間宙域で待機となっていた。
因みに、ショウカクがキサラギの質問にオオヨドと共にマミヤを上げたのは、マミヤは補給艦であると同時に広域通信観測艦でもある為であった。
「……兎に角言えるのは、ガミラスに何かが起きた。
更に冥王星との連携が無きに等しい状況である以上は、何らかの手を打つには好機なのだが…」
沖田は独り言に近い意見を述べたが、流石に此の現状でショウカク達に冥王星への再突入させる事は思い浮かべていなかった。
「ズイカク、オオヨドを呼び寄せて構わんから、 もっと太陽系制圧艦隊を偵察しろ!」
まぁ現状では太陽系制圧艦隊の状況を確認する事しか選択肢になかったので、芹沢がズイカクに更なる偵察を命じて、そのズイカクが了解しようとしたが…
『……い司令部、防衛司令部、応答願います!!!』
…ズイカクの通信から、彼女とは全く違う声が大きく出た為、全員が一斉に硬直した。
『…わ、私じゃない!!!
私じゃない!!!』
直ぐに全員が頭に“誰だ?”と思い浮かべて、思わずズイカクを見つめて、そのズイカクが必死に否定していた。
『…防衛司令部、聞こえてますか!?』
『ズイカク、貴女艤装をハッキングされてない!!?』
『えっ、ええ!!?』
「お前達は黙ってろ!!!」
そんな防衛司令部が他共々戸惑っているのをよそに相手は必死に呼び掛け続け、更に微かに戦闘のと思われる爆発音や砲撃音も響いていたが、ズイカクがショウカクに指摘されて通信に何かをしようとしたが、芹沢が2人を怒鳴って止めて、此の間にキサラギがフミヅキと共に通信機を調整して繋がる様にしつつ、逆探知を始めた。
だが此の時、キリシマとマヤは相手の声から各々に思い当たる人物を頭に思い浮かべて、“まさか”と思いながら目線を合わせていた。
「……長官、映像は出ませんが、応答出来ます!!」
「…君は、ヤマトか?」
『………違います!』
通信が可能となって、藤堂が若干躊躇いながら相手に尋ねたら、その相手はどうも応答が有った事(+何か)に喜んでいたが、ヤマトである事を否定した。
「では君は誰だ?」
『…認識番号O-040417です!』
「ハルナ?
貴女、ハルナなの!!?」
相手は藤堂の質問に、ガミラスの偽装と疑われない様に自分の認識番号を答えて、直ぐにキサラギが照合しようとしたが、彼女が動く前にキリシマがハルナのモノである事が見抜いて、無意識の内に藤堂を押し退けてメインモニターに近づこうとした。
キリシマは死んだと思っていた姉妹艦ハルナが生きていた事に、現時点では喜ぶよりも戸惑っている様に見えた。
まぁキリシマでなくても防衛司令部の面々も戦死扱いだったハルナに驚いている様であったが…
『はい、ハルナです!!
悪戯心でコンゴウ姉様に紅茶と騙して苦手なコーヒーを飲ませた為に、怒りの背負投げで犬神家にされたキリシマの姉妹艦です!
後、ヒエイ姉様お手製カレーをトイレに流したのに完食したと嘘をついたのがバレて、1日
「アンタ、なんて事を言うのよ!!!」
キリシマを初めとしてガミラスの罠と思って疑う者が多々いたが、ハルナがキリシマの
「ちょっ、キリシマ、落ち着け!!!」
「あそこに映ってるのはショウカクとズイカク、ハルナは映ってないよ!!!」
此の為にキリシマはショウカクとズイカクが各々に映るメインモニターに殴り掛かろうとしてマヤとスズヤの2人が必死に抑え込み、ショウカクとズイカクが苦笑していたが、藤堂のわざとらしい咳で正気に戻ったらしく、キリシマは少し間を置いてから顔を赤して藤堂に頭を下げるとそそくさと後ろに下がった。
「…ハルナ、君達は今何所で何をやっているんだ?
それと今まで何所に生きていたと言うんだ?」
『はい、ハルナ以下11人の艦娘は土星の衛星エンケラドゥスでなんとか潜伏していましたが、第7次冥王星攻略の発動に合わせて土星圏から離脱、奇跡的に冥王星に辿り着いて現在冥王星守備艦隊と交戦中です!』
ハルナ達が現在冥王星にいて戦っているのもそうだったが、土星にも艦娘の生き残りが複数いた事に驚いていた。
「土星に生存者がいたって、どう言う事だ!!?」
だが直ぐに第一次木星沖海戦での決死輸送船団や同二次海戦での『ウィンダミア』を思い出され、そしてなにより芹沢達が意味ありげな反応をした事から、上層部は土星の生存者がいる事実を揉み消したのが分かり、此の為にマヤが芹沢達に怒鳴っていた。
「……君達が土星にいたのなら、空母ガンビア・ベイ達が乗り込んでいた『バッファロー・ビル』を知っているか?」
藤堂がキサラギに振り向いて、そのキサラギが発信源が冥王星である事を逆探知で確認したのを頷いて報せ、沖田が手話か手信号でショウカクに警戒体制に入るように指令してショウカクが頷き、藤堂はまだ少し疑っていたので、敢えて間違った単語を使っての質問をした。
此の質問にハルナが、“知らない”はまだ検討の範囲内だが、“知ってる”と答えたら、相手がガミラスによるハルナの偽者だと断定するつもりだった。
『いえ、『バッファロー・ビル』は知りませんが、ハルナ達の静止を振り切って地球に向かった『ウィンダミア』は知ってます。
それに乗り込んでいたのはチヨダさん達の筈です』
だがハルナは否定して正解を答えたので、藤堂(達)は完全に本物と断定して不安を拭いさった事の表れとして溜息を大きく吐いた。
『…あの……チヨダさん達は……『ウィンダミア』はどうなったのですか?』
「木星沖で遠征艦隊に支障をきたす行為をしたから、公務執行妨害として搭乗員の一部が逮捕されたが、『ウィンダミア』はヤマトのお陰で地球に辿り着けたよ」
ハルナ(達)に逮捕者が多々出た事への反応として沈黙が少しの間あったが、『ウィンダミア』が無事に地球に辿り着けた事に、特にその功績がヤマトであった事を声や音で分かる程に喜んでいた。
更に言うと、『ウィンダミア』の1件が怪我の功名となって
『ハルナ、また艦隊が来ます!!!』
『あ、はい!!!
現在冥王星で、ハルナ以下、イセ、ヒュウガ、ズイホウ、チョウカイ、フルタカ、カコ、アオバ、キヌガサ、テンリュウ、ユウバリの9名はガミラスの冥王星守備艦隊と交戦しています!
弾薬欠乏の可能性大ゆえ、大至急救援を要請します!』
ハルナは藤堂達の信頼を得た事からの安心感から本来の要望を忘れていた様だったが、ズイホウの大声での報告でそれを思い出して直ぐに救援要請を出した。
『此方チトセです!
緊急報告、小惑星帯で複数の水雷戦隊が反転して冥王星に戻ろうとしています!』
更にチトセの緊急報告でハルナ達を更に追い込みかねない事が知らされたが、此の事に沖田はある事を察していた。
「ショウカク、直ぐ冥王星に行け!!!」
当然ながら、芹沢が沖田を差し置く形でショウカクに再反転を命じていたが、
…
『全航空隊、発艦開始!』
『敵の水雷戦隊はどうするニャ!?』
『攻撃するに決まってるでしょ!!!』
『ショウカクさん、航空隊は冥王星に向かわせてください!』
…当のショウカクは命令が来る前に航空隊を発艦させながら、冥王星へ随伴艦の者達を従えて全速力で向かいだして、そのまま通信が途切れた。
「ハルナ、今ショウカク達が向かったから、もう少し堪えて!!」
キリシマはやはりハルナを思っていた事で、怒鳴りに近い形でショウカク達の再突入を伝えた。
『…あ、ショウカクさん達に冥王星の衛星軌道に注意を張って下さいと伝えて下さい。
ガミラスは衛星を使って弾道を曲げる地上型光線砲を配備しています。
私達は“反射衛星砲”と仮称する砲兵器の情報と映像を送っておきます』
報せるのを忘れかけていたが、ハルナは反射衛星砲の判明情報を、アオバの撮影映像と共に添付をして通信を切った。
その1つである反射衛星の役割をする浮遊要塞が光線を曲げている映像に誰もが唸っていた。
「此れがヤマトをヤった砲兵器のカラクリか…」
「ガミラスめ、面倒な兵器を開発したな」
多くの者達は反射衛星砲の対処法を自分達各々のやり方で模索していたが、沖田はハルナ達の波動エンジン未装備等の現状を察したからの1手を打つために土方の方に振り向いた。
「土方、アマツカゼを引き抜いて、ショウカク達に合流させたいが、良いか?」
「勿論だが、念の為にアサシモも付ける」
土方も沖田と同じくアマツカゼをハルナ達の所に向かわせるべきだと思っていたらしく、直ぐ沖田に了解した。
「と言う訳だからアマツカゼ、アサシモと合流してショウカク達の所に行け」
幸いな事に、アマツカゼは護衛としてズイカクの傍にいたので、彼女は土方に了解としての右拳を左胸に当てる敬礼をすると、直ぐに画面外へ消えていった。
「…ズイカク、これ以上小惑星帯からガミラス艦隊を離脱させるなよ」
『了解しました』
更に土方はズイカクにも命じ、そのズイカクがアマツカゼと同じ様に右拳を左胸に当てる敬礼をして了解すると通信を切った。
「……此れで、なんとかなるかもしれんな…」
伝達不備から始まった思わぬ誤算が生じた事に、藤堂は溜息を大きく吐いていたが、沖田は更に動いていた。
「タイゲイ達3人はどの辺りにいる?」
「間もなく火星軌道に入ろうとしています」
「直ぐ呼び戻せ、大至急にだ」
沖田はタイゲイ達の所在を確かめてからの帰還命令に多くの者達が首を傾げたが、土方は直ぐに、キリシマは少し戸惑った後に彼の狙いを察していた。
「藤堂長官意見具申、タイゲイ達を帰還させ、ユラの搭載エンジンをキリシマのとの積み替えを許可願います」
タイゲイ達3人は海王星のキタガミやクロシオ等の救出を行う為、先日フミヅキとキヨシモによって試験運用が行われた改良型波動エンジンの試作品2基を手直し改良が行った事で新世代型波動エンジン(後の第2世代型波動エンジン)の先行試作品に昇華し、2基ある内の1つをユラに搭載されていたのだ。
更に今述べた通り、ユラのとは別の新世代型波動エンジンの試作品がもう1基あるのだが……その所在は後々書く事にしよう…
「キリシマ達、第一艦隊を冥王星攻略戦に投入するのか?」
「いえ、第一艦隊だけでなく、『蓬莱丸』と『バッファロー・ビル』、可能であれば『ウィンダミア』を同行させます」
藤堂(達)は第一艦隊投入までは察したが、その後の『蓬莱丸』級の動員を当初は理解出来なかったが、全員が直ぐに沖田の目論見を察した。
「まさか、空間騎兵隊に冥王星基地を強襲占拠させるつもりか!?」
思わず叫んでしまった芹沢に、沖田は黙って頷いた。
「現在の冥王星圏2ヶ所での艦隊戦の状況予測から、冥王星基地の艦隊戦力は極めて少なくなっていると思われます。
此の事から艦隊戦を上手く対象すれば、降下からの強襲の成功率は極めて高くなると思われます」
「…確かに第二次木星沖海戦でのヤマトの行為を参考にしたら、空間騎兵隊を満載した輸送船ごとワープを行う事が出来るな」
更に土方が沖田の狙いに自分なりに納得しての同意をした。
「だからと言って、装甲空母姫達が冥王星圏に戻る前にキリシマ達が冥王星に辿り着けるとは思えん!!
それに、そんな義烈空挺隊の二の舞になりかねない作戦に空間騎兵隊から参加する者が多数いるとは思えん!」
芹沢が猛反対している中で述べた“義烈空挺隊”とは、深海棲艦戦時末期に占領された沖縄・嘉手納飛行場の切り込み破壊を行う為の旧陸軍の特殊部隊なのだが、実際行われた結果は深海棲艦の防空網に引っ掛かった事で沖縄に辿り着く前に搭乗機諸共全滅していた。
更に藤堂はガミラスがある一手を打たれる事を危惧していた事もあって、空間騎兵隊は沖田の提案する作戦に反対するかもと思われていたが、それが間違いであった事が、つい先程から通信機越しに何かを対応していたキサラギの溜息から証明される事となる。
「…あの、芹沢参謀長……とても言い難いのですが、沖田司令の作戦はやらざるをえなくなりました」
キサラギの指摘に芹沢が他共々“えっ?”としたが…
「おい、貴様等!!!
此所が何所なのか、分かってるのか!!?」
「
何所だか知ってるから来てんだ!!」
「さっさと退けぇぇー!!!」
…よく耳を澄ましたら、奥にある入り口の方で警備兵達が多数の者達との争いが聞こえていたが、どうやら警備兵達は塞き止めに失敗したらしく、大多数の騒がしい足音を鳴らしながら藤堂達の所に早々と近づいてきていた。
その者達……黒い装甲服を纏った屈強な男性達と、艦娘と似て非なる女性達の大軍に、多くは先程とは別の意味での“えっ?”として、土方が軽く溜息を吐いて沖田と目線を合わせていた。
「……く、空間騎兵隊の連中だ…」
「なんで汗臭い連中が来たのよ」
マヤとスズヤに見られる通り、藤堂達の前に整列した相手が普段は此の防衛司令部を含んだ中枢部を警護している空間騎兵隊の皆さんだと直ぐに見て分かった。
只、スズヤは空間騎兵隊が苦手なのか、然り気無くマヤの後ろに移動していた。
「藤堂長官、話は聞いた!
冥王星基地への強襲降下をするんなら、俺達を行かせてくれ!!!」
「俺達空間騎兵隊の銃は市民に向けるんじゃなくて、敵に向けるモノなんだ!
その機会を与えてくれ!!!」
「いつまで艦娘達だけを戦わせるんですか!?
空間騎兵隊にも見せ場を与えてくれ!!!」
空間騎兵隊が此所に来たのは先の芹沢の叫んでの指摘時にオペレーターの1人が空間騎兵隊の知人の無断で通信で伝えたのが原因だったが、更に後日判明した事だが、どうやら空間騎兵隊はクロシオの解放からの第七次冥王星攻略作戦の実施から、自分達の出番を期待していて、彼等なりに冥王星基地の占領や捕虜解放の為の降下作戦を立案してからの訓練をしていた。
まぁ根底には、此のガミラス戦は空間騎兵隊(と言うより陸軍系統全て)は基本的に裏方だったので、常敗でも終始活躍していた艦娘や提督に臍を噛んでいたので、表舞台で主演を張れるだろう期待からこうして乗り込んで来ていたのだ。
此の為、芹沢達の危惧に反して、空間騎兵隊に“否”と答える者は誰もいなかったのだ。
そして結果的に言うと、此の直後に日本中の空間騎兵隊から出撃許可を求める通信が防衛司令部の通信士達が右往左往する程に殺到した事が決め手となって、空間騎兵隊の登場で若干渋々になったが、藤堂は沖田の意見を認める事となった。
――― 冥王星 ―――
ハルナ達が冥王星軌道に辿り着く少し前、反射衛星砲の連続攻撃にやられたヤマトは緊急着水で砕けた氷が再生した事もあって、若干浅いが暗い冥王星の海底で仰向けに倒れていた。
深海棲艦戦時のであったら完全に沈没であったのだが、ヤマトは気を失っているも微かに呼吸をしている事から、自分の艤装がなんとか稼働している事が見てとれて、大破状態になっていても沈没にはまだ至っていなかった。
だがヤマト上方の氷が砕けて何者かが、ヤマトの傍に降り立った。
その者は暫くヤマトを見詰めていたが、不意にヤマトの右腕を掴み上げると、その右腕を自分の首裏に回す形でヤマトを担ぎ上げると、そのままヤマト共々冥王星の海底を進んでいった…
感想か御意見のどちらか、或いは両方をお願いします。
今回榛名が言った自分の認識番号はあるモノをそのままにしてますので、分かったらある意味凄いですよ。
後、榛名の声に霧島だけでなく摩耶までが反応したのは、姉妹艦鳥海が榛名と中の人が同じだと言うメタ的な理由からですので。
本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?
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実写版通りに、特攻
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なんとしてでも、地球に帰還