SPACEBATTLEGIRLヤマト   作:サイレント・レイ

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第75話 攻守交代

――― 冥王星・ガミラス前線基地 ―――

 

 

 ガミラスの面々は味方駆逐艦隊に遠征艦隊が再襲来して危機的状況………厳密に言えば、ショウカクの航空攻撃を受けている事に“しまった”となっていた。

 

「Ja,diese Hand war…」

(訳:そうか、その手があったか…)

 

 冥王棲鬼に至っては人前では珍しく独り言として自分の戦術ミスを認めていて、部下達を驚かせていた。

 実際問題、第3の地球艦隊は軽母ズイホウ1人だけで、しかも彼女はまともな航空隊を搭載していないのが判明していたのだから、大量にある基地航空隊を投入すれば、殲滅まではいけたかは不明だが、取り敢えずは第3の艦隊に大打撃を与え、艦隊戦力をもってショウカク達を返り討ちに出来た筈であった。

 だが現実はと言うと、空母ヲ級や軽母ヌ級の全員が装甲空母姫に従って不在だった事もあるかもしれないが、冥王棲鬼は反射衛星砲の使用に拘ったが故に戦略的に盲目的になってしまい、航空部隊を遊兵と化して馬鹿正直に艦隊戦での逐次投入をして戦略的に不味い状況を生み出そうとしていた。

 だからと言って冥王棲鬼はこのまま泣き寝入りする性分ではなく、更に言うとミリューに戦略ミスをネチネチと言われる光景を思い浮かべた事でイラッと来た事もあって、直ぐに動いたのは良いのだが、彼女の場合は“やけくそ”や“暴走”とも言えるのであり、なにより此の結果で部下は酷い目にあうの典型であった。

 

「Reflektierter Satellit,Notfall vor bereitungen fuer Dreifachfeuer!!!」

(訳:反射衛星砲、3連射緊急準備!!!)

 

 命令を受けた雷巡チ級達は此の時に嫌な予感を感じていた。

 

「Nein,wie gesagt,ich kann nicht praezise schieβen,aber…」

(訳:いえ、先程伝えたように、精密射撃が出来ませんが…)

 

「Dann beruhigen Sie sich einfach,wo die Schiffsmaedchen sein werden!!」

(訳:だったら、艦娘達がいるだろう場所を凪ぎ払えばいいでしょ!!)

 

「Wenn Sie zu so etwas kommen,eine freundliche Armee im Kamp!」

(訳:そ、そんな事をしたら、交戦中の友軍が!)

 

「Bitte mach es!!!

Wie auch immer,er hilft nicht,also benutze es,um aufzuhoeren!!」

(訳:いいからやりなさい!!!

どうせ、アイツ等は助からないんだから、足止めに使うのよ!!)

 

 冥王棲鬼が味方を犠牲にしようとしたのを、雷巡チ級達は思い止めようとしたが、内心は駄目だと薄々予想していた様だったが、残念ながら冥王棲鬼の怒号で自分達も殺されると思ってしまった事もあって、渋々命令通りに準備を始め………冥王棲鬼の命令下に反射衛星砲が3連続で放たれた。

 モニター越しに反射衛星砲が目標地域に着弾した光景から、通常型の者達は駆逐艦隊の悲鳴や自分達への呪詛等の幻聴が聞こえた為に、各々に渋い表情をしていた。

 だが冥王棲鬼のみはそんな事が一切無く、この為に通常型の何名かが気付かれない様に彼女へ冷たい目線を向けていたが、当の本人は何故か悔しそうに歯軋りをしていた。

 

「Was!!?

Es gab ueberhaupt keine Antwort!!」

(訳:どう言う事!!?

手応えが全く無かったわよ!!)

 

「Es gibt viele unterirdische Hohlraeume in diesem Gebiet und geologische Untersuchungen werden nicht viel durch gefuehrt.

Vielleicht haben die Schiffsmaedchen in einem unbekannten unterirdischen Hohlraum gelauert」

(訳:あの辺りは地下空洞が多々存在していて、地学調査があまり行われていません。

おそらく艦娘達は未確認の地下空洞に潜んでしまったのかもしれません)

 

 どうやら冥王棲鬼は今回の反射衛星砲の攻撃は味方艦隊の意図的な誤射による殲滅で終わってしまったと判断した為に(ワメ)き散らしてしたが、雷巡チ級が溜息を吐いた後にその予想理由を伝えていたが、内心はそう言う命令を下さなかっただけでなく自分達から自主性を奪っていた冥王棲鬼を否定していた。

 更に言うと、こうなったら反射衛星砲よりも地貫通型の航空爆弾か対地ミサイルを使えばいいのではとも思っていたが、今の現状でそれ等を使うと自分達や基地の所在がバレる可能性が高いと思われたので誰も進言をしなかった。

 

「……Es bedeutet,dass der Brueckenkopf gebaut wurde…」

(訳:……橋頭堡を、築かれたと言う事か…)

 

 そしてなにより、冥王棲鬼の頭の中に“航空攻撃”や“ミサイル攻撃”の選択肢が有るかどうかは不明だが、彼女が此の局面での戦闘での敗北を事実上認めた事で決定的となった。

 

「Was wirst du jetzt tun?」

(訳:此れからどうします?)

 

「Komm,wenn du kommst!

Sagen Sie ihnen,sie sollen sich fertig machen!!!

Und was ist Asteroidenguerten,die ihnen sagen,dass sie zurueckkehren sollen!!?…」

(訳:来るなら来なさい!

あの2人に準備をするように伝えなさい!!!

それと、戻るように言っている筈の小惑星帯の連中はどうしたのよ!!?…)

 

 冥王棲鬼は迎撃戦の第2幕に入ったお思って怒気と共にやる気を出していたが、通常型の面々は冥王棲鬼への忠誠と信頼を………元々そんなに無かったのに、殆どを無くしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『Sie kaempfen,Koenig Koenig…』

(訳:苦戦してるわね、冥王棲鬼…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― 同・山間部 ―――

 

 

 冥王棲鬼の身構えに反して艦娘達はと言うと、ショウカクの航空隊による偵察で反射衛星砲の使用が事前に知れた為に低空飛行での回避行動を起こして、その時に見つけた洞窟に入って退避してから暫く動こうとしなかった。

 

「ショウカクさん、大丈夫ですか?」

 

「どうやら艦隊での襲撃は一時的に止めたみたい」

 

 まぁそれでもショウカクは航空偵察を続けさせ、ハツシモが尋ねた時に艦隊襲撃が無くなったのを察していた。

 

「それより、アマツカゼの方は?」

 

 ショウカクはガミラス艦隊よりも、アマツカゼのユウバリとハマカゼを従えてのハルナ達への艦娘達には処置を、艤装には修理と改装の応急的な作業が気になっていた。

 

「……よぉ~し、此れでなんとかなった…」

 

 少し間をおいてから、アマツカゼは最後の処置者となったハルナの作業を終えて、ハルナの艤装の装甲を閉じて叩いていた。

 

「…通信、問題ありません」

 

「これで通信だけでなく、ある程度はマシな戦闘が出来る筈よ」

 

 アマツカゼ達3人が修理や治療とは別に施していたのは、自分達の修理用の予備部品を使ってハルナ達11人の土星に潜伏していた艦娘達に対して“通信機器の更新”と“衝撃砲の火力強化”であった。

 先ず通信機のは、ハルナ達9人は通信機の代わりとしてショウカクに避難していたヤマトのコスモタイガーを3機(ズイホウのみは、コスモパンサーとの半々の形で満載搭載)を航空格納庫に入れるだけの簡易的にすんだが、航空設備が無いテンリュウとユウバリには新型と入れ替えていた。

 先にやったユウバリ達10人もそうしていたが、ハルナが動作確認をして問題が無いのを伝えた事で、アマツカゼの作業は完全終了となった。

 因みに、此の簡易改造はアマツカゼの発案ではなく、彼女達が冥王星に再到着するまでに防衛軍の技術部からの通信を受け取って行われたので、アマツカゼ達はそれに従ってやっただけであった。

 

「だがアマツカゼ、正直私達はどれ位戦えるんだ?」

 

「難しいわよ。

5海戦ぐらいが限界だと思うし、ヲ級やル級と出会ったら諦めるしかない」

 

 アマツカゼがヒュウガの指摘に渋い顔で頷いた通り、砲火力強化に関しては、取り敢えずは機関の安全装置(リミッター)を全廃として無理矢理出力を高めただけなので、精々駆逐艦や軽巡を沈めるのが精一杯だと見積もられていた。

 雷装は発射菅ごと新型に全交換していたが、肝心の空間魚雷やミサイルをズイカク達囮艦隊があらたか持っていった事もあって数が少なく、そして砲弾は有るには有るが彼女達が各々に搭載している36cm砲や20cm砲に14cm砲の弾を持っていなければ、直ぐに作る事が出来ないので、アマツカゼが言った回数は大体空間魚雷の本数からの予想であった。

 更に突き詰めると、ハルナ達の機関はあと複数回の海戦を行うと確実に異常をきたす可能性大で、補給の問題は有れども、自力で星間航行どころか冥王星からの大気圏離脱すら出来なくなる事が予想され、その事をアマツカゼ(とユウバリ)は敢えて言わなかったが、ハルナ達10人はその事を察している様だった。

 

「早くも魚雷が問題になったな。

まぁ魚雷とかの問題は前から言われていたけど…」

 

 ヴェールヌイが溜息を吐きながらの指摘通り、弾薬の確保や補充………特にほぼ消耗品の上に嵩張る空間魚雷やミサイルのは遠征艦隊が地球出撃する前から問題視されていたのだが、“なんとかなるだろう”との補給線軽視の旧日本軍の問題が全く改善されていない楽観論から無視されていたのだ。

 

「やっぱり、マミヤさんに同伴してもらうべきだったな…」

 

 まぁアサシモが苦虫を潰しながらの指摘通り、此の問題の手っ取り早い解決法はマミヤとかの補給艦娘の同伴だったのだが、彼女は鈍足で戦闘力が無きに等しい為に足手まといになる、更にマミヤの遠征艦隊同行に地球残留の艦娘達が暴動を起こしかねないとの防衛軍上層部の危惧で却下となってしまった。

 

「だったら魚雷やミサイルが底を着く前に冥王棲鬼を倒して冥王星を奪取すればいいだけの話よ。

元々私達はそのつもりだったんだから」

 

 まぁ補給の問題は少なくとも冥王星を落とした後に解決すればよく、取り敢えずはイセの言う通りにするしかないので、全員が彼女に向かって頷いた。

 

「さて、そろそろ冥王星を落とす作戦を練りますか」

 

 イスズの提案に人21全員が集合して円陣を描いてしゃがみ、ショウカクが冥王星の地表を映したサークルを展開した。

 因みに艦娘達が現在いるのは、氷海のほぼ南であった。

 

「防衛司令部からの追加情報ですと、やはりハルナさんとユウバリさんの予想通り、ガミラス基地は沿岸部にある公算大と判断します。

更に言いますと、私の航空偵察で此の辺りに基地が無いのは確実です」

 

 実は司会進行役を務めるショウカクは航空隊で反射衛星を監視しつつ、ハルナ達を攻撃しに向かうガミラス艦隊の進路から基地の位置を特定しようとしたが、着いた時にはガミラス艦隊は交戦を始めていて、更に艦隊襲撃が途切れた事で諦めるざるを得なかった。

 此の事でのみは、冥王棲鬼が敢えて受け手に回った事は正しかったと言えるが、誰もその事を指摘しなかったし、それよりも誤りが多かった。

 

「反射衛星砲で逆算は出来なかった?」

 

 キヌガサの質問に、ショウカクは顔を左右に振った。

 

「やっぱり、ガミラスは反射衛星砲で基地を逆算される事への備えはしっかりしているようですね」

 

「それにガミ公は私等が攻めてくる事が分かってくるから、反射衛星砲の乱射を控えると思うぞ」

 

 ハツヅキとカコの意見に全員が同意と示し、反射衛星砲からの特定も諦めるとなった。

 

「やはり、自分の目で見て、感覚を感じ取って、ガミラス基地を見つけるしかありませんね。

それで沖田提督の指令はどうなんですか?」

 

 チョウカイの沖田をよく知っているからの意見に、全員が沖田の顔を思い浮かべながら頷いた。

 更に言うと、チョウカイの質問の答えは、丁度伝令兼外部通信機として衛星軌道にいたコスモタイガーの1機がショウカクの所に着艦して、ショウカクに沖田の指令が通達された。

 

「沖田提督の指令を通達します。

艦隊を統合再編、3手に分割して氷海沿岸部を徹底的に捜索します!」

 

 ショウカク越しの沖田の指令に、全員が「おう!」か「はい!」と一斉に答えた。

 

「先ず、イセさん、ヒュウガさん、アオバさん、テンリュウさん、ハマカゼさん、アマツカゼさんの6人は私を旗艦として左翼隊として時計回りで進撃します!」

 

 ショウカクにイセ達6人は「了解!」と揃って答えた。

 

「次にハルナさん、貴女はズイホウさん、キヌガサさん、ユウバリさん、イスズさん、アサシモさん、ハツシモさんの6人を従えて、右翼隊として私達とは逆の反時計回りで進撃して下さい!」

 

 次のハルナ達7人もまた同じ様にショウカクに返事をした。

 

「最後にチョウカイさん、貴女はフルタカさん、カコさん、タマさん、ハツヅキさん、レシーテリヌイさん、ヴェールヌイさんの6人を従えて、中央隊として氷海を横断して対岸を捜索するようにと事です!」

 

 最後にチョウカイ達7人も「了解!」と答え、全員が艦隊の分散に反対しなかった。

 此れは沖田が艦隊分散によって、反射衛星砲の集中攻撃を回避しようとし、更に捜索時間の短縮を狙っている事を察していたからだ。

 

「……チョウカイさん、分かっていると思いますが、ヤマトさんの捜索はしないで下さい。

沖田提督からの念押しがありましたよ」

 

 ショウカクは変な間をおいてからチョウカイに注意勧告をし、当のチョウカイは渋々頷いた。

 何度も言うが、地球が冥王星を落とすには短期決戦をやるしかなく、ヤマト捜索に拘ったが故に基地発見が出来なかったり、発見が遅れて勝機を失っては本末転倒であったからだ。

 只、チョウカイだけでなく、勧告したショウカクに、目線のみで2人を非難しているハルナもなんとか分かろうとしていた。

 

「それじゃ、今度ズイカク達と共に全員が揃うのは、冥王星を奪取した後のパーティーでって事ね!」

 

 イスズの意見に全員が頷き、各々で他の者達の顔を見てしっかり確認しだした。

 全員が揃わない、欠けるのは自分かもとの不安から沈黙が少しの間あったが、ショウカクが意を決してサークルを消したのを契機に、21人全員が揃って立ち上がって洞窟の入り口に向かって振り向いた。

 

「全艦、総出撃!!!」

 

「気合い、入れて、行きましょう!!!」

 

「冥王星を落とすわよ!!!」

 

 ショウカク、ハルナ、チョウカイが各々の形で檄を含んだ号令を出しながら先頭に走りだし、他の者達が一斉に了解すると同時に続けて駆け出して洞窟から飛び出していった。




 感想またはご意見、或いは両方でもいいので御願いします。

……此処まで来たら、サブタイトルを考えるのがキツい…

大和
「完全に未知の世界に突入しましたからね」

 艦これプレイヤー(提督)なら分かると思いますが、翔鶴達が各々に起こそうとする行為は、艦これ原作のイベント海域でよくあるボスマスを出現させる為の行為に該当します。
 突き詰めて艦これ原作で言えば、大型空母と低速戦艦が3隻以上いれば左翼隊(翔鶴班)、高速戦艦と小型空母が2隻と軽巡が複数いれば右翼隊(榛名班)、戦艦系や空母系が一切無しなら中央隊(鳥海班)となり、駆逐艦がそれなりにいないと逸れるか遠回りになりますのでパワープレイは無理ですよ。
 更に言いますと、3班の内の2つのゴールにはボスの弱体化(装甲破砕)に必要な勝利が求められます。

大和
「うわぁ~…1面で札3つが必要なのですか…」

 その点に関しては、まだ連合艦隊じゃないから救いがあると思います。
 まぁ戦力的にはどうかは知りませんが…

大和
「…あの……まさかと思いますが、ギミック解除な空襲マスは有りませんよね?」

 その為の要素を反射衛星砲に持たせてますよぉ~ん。
 ただ空襲マス要素の反射衛星砲の回避はもう少し先ですがね。

 さぁ皆さん、忘れてるかもしれませんが、此の作品で主人公を務める艦娘は大和なのです。
 次回は13話ぶりの久し振りに大和がメインの話となります。

大和
「でも大和が本格的に再登場するのにまだ暫く時間が掛かるんですよね?
100話もそろそろ視界に入ろうとしてるのに、目標の冥王星攻略からのA銀河離脱を出来るのですか?」(冷たい目線)

……あ、あはは…

本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?

  • 実写版通りに、特攻
  • なんとしてでも、地球に帰還
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