SPACEBATTLEGIRLヤマト   作:サイレント・レイ

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 今回の投稿前に“設定 艦娘”からタシュケントをアーケードで獲得した事(若干納得しない処が有りますが…)から“未所有故に登場不可”から“SUS編”に移動させました。





 それでは本編をどうぞ!



第77話 Start,1vs2

――― 防衛司令部 ―――

 

 

「ショウカクより入電、“左翼隊、ガミラス水雷戦隊と交戦、此れを撃破・殲滅”との事です」

 

「ハルナより入電、“環境改造と思われる無人施設を発見、破壊に至るも、周囲に基地らしきものは見当たらず”」

 

 再編成なった攻略艦隊3個が各々の計画に従って動いてからかなりの時間が経過して、恵経由の左翼隊と、葉月経由の右翼隊、各々からの報告が届きながら順調に進みながらも、基地発見の気配が全く起きそうになかった。

 何度も言っていると思うが、“太陽系制圧艦隊の帰還”等でそういつまでも時間があるわけではないので、報告が入る度に焦りと失望感が高まっていた。

 現に、葉月は表面上は淡白だったが、恵は見るからに苛立っているのが見て取れた。

 

「ショウカクとハルナに、進撃が遅くなってでも慎重な捜索をする様に命令」

 

 内心はどうなっているかは分からないが、沖田は恵に反して自分を落ち着かせていて、焦っての見落としをしないように命令を達して、恵と葉月は「了解!」と返事をして各々が担当する艦隊に通達していた。

 因みに、今の此の場にキリシマ達正規の艦娘達は冥王星への出撃準備を行い、更に空間騎兵隊に起きた面倒事の対処を行っている為に全員が不在であった。

 

「ズイカク達の方はどうなっている?」

 

「丹陽に加えてカスミとテルヅキが大破、チトセの護衛で海王星に退避していますが、ガミラス艦隊の封じ込めを継続中です」

 

「尚、チトセは航空隊の損耗が半数を越えましたので、残存機総てをズイカクに移転させたそうです」

 

 更に言うと、恵と葉月の報告通り、ズイカクはハルナ達の存在確認後に戦線に復帰して他の者達と共に冥王星艦隊を封じ込めてはいたが、損害と総合的な疲労状態から“限界”の単語を否応無く思い浮かばせていた。

 

「不味い。

小惑星帯のガミラス艦隊が冥王星に戻るのも時間の問題です。

このままですと、冥王星方面に最悪の事態が起きそうです」

 

「いや、最悪の事態はもう起きない」

 

 葉月はショウカク達冥王星で作戦展開をする艦隊がガミラスの物量に押し潰される事を最悪として危惧していたが、それを沖田が否定した為に“えっ?”とした。

 

「我々にとって最悪だったのは、ガミラスが冥王星を放棄する事だった。

現時点ではガミラスが放棄の選択肢を消したと判断する」

 

「ガミラスが冥王星を放棄する事が考えられていたのですか!?」

 

 第7次冥王星海戦そのモノを否定しかねない可能性を沖田が言った為、葉月は思わず大声を発してしまった。

 だが葉月はガミラスの冥王星放棄が最悪の事態なのかが分からなかったので、その事を沖田に尋ねようとしたが、此の間に葉月の分も管制していた恵が突然叫んでの報告に遮られてしまった。

 

「沖田提督、右翼隊との通信が途切れました!!」

 

「ガミラスが通信妨害を始めたのか?」

 

 ギョッとした葉月は兎も角として、沖田はなんとなく予想をしながら質問したら、恵はショウカク達左翼隊との状態比較で否定した。

 

「ノイズ反応です!!!

通信機にノイズ反応が起きた為です!」

 

「それって、つまり…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― 冥王星 ―――

 

 

「尻尾掴んだ、尻尾掴んだ!!

金属探知も大きく反応した!!」

 

 ノイズによって通信が途切れてしまったハルナ達はと言うと、ズイホウによるコスモパンサーを先行させての航空偵察をしながら、ノイズ発生源………要するに、ガミラスの超弩級がいるだろう陸上施設へ向けて、艦列を複縦陣に移行しながら氷原を突進していた。

 尚、此の時の右翼隊は低空飛行をしていてので、足下の氷の粒子が白煙と化して美しく舞い上がっているだけでなく、あんまり足が動いていないと言え、ほぼスピードスケートをしている様に見えていた。

 

「やっぱり、怪しくありませんか?」

 

 只、不安視しているハツシモの言う通り、終始潜伏している筈のガミラスが、特に陸上施設が突然自分達に見つかる様な事をした行為に罠の可能性を感じずにいられなかった。

 

()鹿()、罠が有ろうと、やってやるしかないんだよ!!」

 

 だがアサシモが反論した通り、艦娘達には時間と物資を限られている以上は、選択肢は見敵必戦しかない………つまり、ガミラスの基地と思われる物は片っ端に攻撃するしかなかった。

 その為、例え罠が有ろうとも、己が牙と爪で罠を破壊して獲物に食らい付く気概が必要であった。

 

「まぁ、沖田司令が言う“シチューよりカツ丼を見つける”って奴だよ!」

 

「……貴女、“死中に活を見出だす”って言いたいの?」

 

「なんでこんな時に、アシガラを思い浮かべなきゃいけないんですか!!?」

 

 只、アサシモは変に背伸びして気取ろうとしたが、ユウバリには大きく溜息を吐かれ、キヌガサに怒鳴られての突っ込みで赤っ恥をかいて、赤くした顔を臥せったので他の者達から笑われていた。

 因みに、キヌガサが何故アシガラを上げたのかと言うと、勝利を異様に求める彼女はその一貫の験担ぎとしてカツ関連料理を大量に作り、まぁ旨い事には代わり無いのだが、それを下手したら1年365日続く勢いで3食揃って毎日出し続けては、他のミョウコウ級の姉妹艦を筆頭に提督や随伴艦達にも食わせていた為に変に怒らせたり嫌われる事(実際に1ヶ月強カツ料理を作って出し続けた為、ミョウコウがキレてアシガラを大破させた事件発生)がよく有ったのだが、どうやらキヌガサもアシガラの被害者の1人であった様だ。

 まぁ何処ぞの黄金伝説みたいな苦行者が出てしまうと言え、嘗ての“先代川内=夜戦”の様に“アシガラ=カツ料理”の図式が成立、カツ料理が食べたい提督は配下にいれば必ずアシガラを秘書艦にするようになり、経緯不明だがアシガラはカツ料理の観光大使に就任して遊星爆弾の被害でカツ料理が出来なくなるその日まで役目を果たしていた。

 

「前方より飛翔物多数!!

ミサイルです!!!」

 

 話を戻して、アサシモの赤っ恥と、アシガラの思い出した事の2つで、右翼隊全員が笑ってリラックスが出来たので、ズイホウが航空隊を通してミサイル攻撃を見付けての報告に、落ち着いての素早い行動が出来た。

 

「三式弾は……撃たない方が良いですね」

 

「此処はイスズに任せて!!!」

 

 ハルナは冷静に自分を分析して補給が出来ない三式弾をガミラス陸上施設攻撃の為に温存すると決めて目線を向けたキヌガサも頷いて了解、続けて目線を向けたイスズが直ぐに動いて先頭に躍り出た。

 

「さあやるわよ!!!」

 

「…ミサイル迎撃、開始します!」

 

 先ずはズイホウがコスモタイガー隊を緊急発艦(スクランブル)させてミサイル迎撃を始めさせ、ズイホウのコスモタイガー隊が離脱するとイスズが直ぐ空間魚雷を一斉射、ミサイル群の不規則でジグザグな動きに騙される事なく彼女の放った物全てが目標に次々命中していた。

 

「守ってみせます!!」

 

 最後にハツシモが次弾装填中で動けないイスズの背後から空間魚雷を発射、残ったミサイル全てを撃ち落とした。

 

「詰めがあまいですね」

 

 ミサイルが波状攻撃でなかった事もあって、ハツシモはミサイル迎撃の結果成功をイスズとズイホウと微笑みあった。

 だがミサイル攻撃が有っただけでなく、飛んできたミサイルが先程衛星軌道で使われた陸上型のであった事から、目的の基地であるかは不明だが、ガミラスにとっては重要な陸上施設が此の先にある事が確定した。

 

「皆さん、警戒を厳に!!!」

 

 此の為、ハルナは注意を促して全員が気を引き締め、ノイズ現象で長距離レーダーが少し不具合を起こしていたものの、自分達の妖精さん達と共に各々が五感全てを研ぎ澄ましながら周囲を睨んだ。

 

「…っ、見えた!!!

前方にガミラスの大規模な陸上施設を確認!」

 

 そして警戒体制を(それ程でなかったが)長くやった副作用での疲労で息が乱れだした時、ズイホウの航空隊がノイズ現象の発生源だろう陸上施設を発見し、彼女達もまた少し視界がボヤける赤い曇天の先のモノを確認した。

 そして近付く陸上施設のほぼ中心部には、人型の何かが、現時点では単独で存在していたのが分かった。

 

「ガミラスの陸上型の超弩級!!」

 

「ビンゴ!!!」

 

 ユウバリはその人型を予想通りの超弩級と断定し、ズイホウがそこから基地を見つけたと思って、歓声を上げた。

 

「…ヤラセハ……シナイ………っ!!」

 

 そして陸上施設の敷地内へ突入してハルナのみが砲撃可能距離に入ろうとした辺りから、超弩級の詳細な姿、最大の特徴が“マフラーと見間違いそうな異様に長くて太い三つ編みの長髪”なので人によってはラプンツェル(塔の上の美女)を連想するかもしれないが、大きめのイヤホンと太いフレームの眼鏡を着けている事から“引き籠りのオタク”方が連想された。

 

「アレが冥王棲鬼?」

 

「…違う……違う!!!

アイツは冥王棲鬼じゃない!」

 

 ハツシモが思わず独り言を呟いたが、アサシモは先代の記憶から超弩級が冥王棲鬼なのを大声で否定した。

 

「アイツは、集積地棲姫だ!!!」

 

「…集積地………ミンドロ島のですか!!?」

 

 アサシモの叫んでの指摘にハルナが反応した集積地棲姫とは、寄生していたフィリピンのミンドロ島にて初確認された深海棲艦の陸上型超弩級の1人であり、西暦1944年末に実施された旧日本陸軍のミンドロ島上陸支援の為に実施された礼号作戦にて、先代朝霜も含まれた挺身部隊(他に重巡足柄、軽巡大淀、以下は駆逐艦で霞、清霜、榧、杉、樫)と交戦、ミンドロ島沖海戦で清霜が戦没するも取り敢えずは撃破に成功していた。

 だが集積地棲姫は主任務としていた補給で重宝されてはいたが、あまり重要な領地を任せられるような存在ではなかったのだ。

 

「イケェェェー!!!」

 

 だから艦娘達は“此所はガミラスの基地でない”と苦虫を潰しながら判断したが、集積地棲姫は彼女達を小馬鹿にする様に笑ったら、周辺の地面から金属板が幾つか垂直立ちをしてそこからミサイルが次々に飛び出し、更に小型ミサイルランチャーの多数が物陰から攻撃を始めて艦娘達に襲い掛かってきた。

 

「此所はミサイル砲塁でぇぇぇーす!!!」

 

「至る所にミサイル発射台が有ります!!!」

 

 ハルナとハツシモが叫んだ事から推測するに、彼女達は無意識の内に地上型ミサイルは冥王棲鬼が使ってると思い込んでいたのが外れ、しかも集積地棲姫に先手を取られた事で軽い混乱が生じていた。

 まぁそれでも個々に回避しながらのミサイル迎撃をしていたが、明らかに連携が取れていなかった為、酷くても小破止まりであったが、全員が次々に被弾していった。

 

「反撃を、します!!!」

 

 だが艦娘達に“このまま何もしない”との選択肢は無く、ズイホウが直ぐにコスモパンサー隊を集積地棲姫に向かわせて爆撃をしようとした。

 だが集積地棲姫は今度は小型ミサイルを多数放ち……何機かはフレア等をばら蒔いての回避に成功したが、半分以上は次々に撃墜されていった。

 

「コスモパンサー隊が…」

 

「まるでイージス・アショア!!」

 

 コスモパンサー隊の惨状にズイホウが唖然として、ユウバリが集積地棲姫の高いミサイル能力から地上型ミサイル防衛システムを連想していた。

 

「そんなぁぁー!!!

確かアイツ(集積地棲姫)は対空性能がそんなに良くなかった筈だろ!?」

 

「彼処の集積地棲姫はガミ公に改良された奴って事よ!!!」

 

 現実逃避もあって、アサシモが集積地棲姫の能力を否定したが、直ぐにイスズが怒鳴って酷い現実を肯定した。

 

「マリアナ(沖海戦)の再現は、ハルナが許しません!!!」

 

 集積地棲姫は退避しているコスモパンサー隊を狙おうとしていたが、直ぐに動いたハルナが三式弾による一斉砲撃をして、内1つはミサイル1基を破壊してもなお集積地棲姫目掛けて飛んでいた。

 だが集積地棲姫はハルナの砲撃に対し、足下の周囲から多数飛び出した桃色の球体………ヤマトのアステロイド・シップ(同・リング)や反射衛星の元となった浮遊要塞が展開、その内の幾つかが集積地棲姫の前方に躍り出ると身を呈して三式弾8発全てを破壊した。

 ギョッとしたハルナに続けて、キヌガサが衝撃砲での一斉射をしたが、此方もまた浮遊要塞の幾つかが躍り出て、何かの防御膜に弾かれて6条全てがアサッテの方角に各々に向けられてしまい、被弾した浮遊要塞全てが小破すらしていなかった。

 

「浮遊要塞まで改良されてます!!!」

 

「此れは不味いです!!!

ハルナ、どうするんです!!?」

 

 ハツシモが悲鳴に近い報告をし、ズイホウが現状の危なさを感じて旗艦のハルナに問いたが、当のハルナは顔面蒼白で硬直していたが、ズイホウが何度も怒鳴っての呼び掛けで僅かに正気に戻った。

 

「ぜ、全艦、複縦陣から輪形陣に移行!!!

此の地域から速やかに離脱します!!」

 

 若干パニクっていたハルナの指令がまさかの撤退だった為にイスズとアサシモが驚きながらハルナに振り向いたが、2人を含めた6人全員が現状のままだと(ナブ)り殺しからの全滅が目に見えていたので、歯軋りをしながらハルナの命令通りに動いた。

 

「ズイホウさん、施設外に連絡機を飛ばして、救援要請を!!」

 

「了解!!!」

 

 ハルナの更なる指令にズイホウが直ぐに動いて、コスモパンサー隊を離脱させたが、暫くした後に地平線辺りでコスモパンサー隊が奥の方からの対空砲火と思われる大多数の光線群に捕まって次々に撃墜されていった。

 ハルナ達は異常な程に猛烈な対空砲火に驚き戸惑っていたが、その光線群が飛んできた方角をよく見たら、そこから6つの何かが右翼隊目掛けて高速で接近していた。

 

「…チ級?」

 

「今更なんでチ級が出てくるのよ?」

 

 状況的に接近してくるのがガミラス艦隊であるのは分かったが、全員が………特にズイホウとキヌガサはガミラス艦隊の、4、5、6番艦は毎度お馴染みの駆逐イ級のフラッグシップ(黄色発光体)であって不味かったが、1、2、3番艦はボヤけて見える艦影から雷巡チ級と思っていたが、妙な違和感を感じていた。

 

「いえ、あれ等はチ級じゃありません!!」

 

 だがガミラス艦隊が接近して詳細が分かってきて、確かになんとなく雷巡チ級に似ていたが、前者は足がある上に異様な大きさな手甲を両腕に纏っている姿からハルナがズイホウとキヌガサの推測を否定した。

 他の者達も各々の形でハルナに同意している中、接近中のガミラスの正体を消去法で分かる事が出来たが、それは最悪な現状を悪化させる要因の出現でもあった。

 

「…ガミラスの新型艦艇です!!!」

 

 ハルナ達を極悪の状況に貶める形であったが、後日“軽巡ツ級”と命名されるガミラスの新型軽巡洋艦が初めて認知される瞬間であった。

 

「やッテシマエ……返リ討チダ!!!………?」

 

 尚、ハルナ達7人の何人かは気付いても無反応、それに反して集積地棲姫は軽く疑問に思っていた様だが、旗艦として先頭に位置している軽巡ツ級のみには右太腿に包帯が巻かれていた。




 感想か御意見のどちらか、或いは両方をお願いします。

 と言う訳で、後半戦の第1陣として、榛名達は集積地棲姫とアーケード版イベント最終海域仕様で戦ってもらいます。

榛名
「初っ端から鬼の諸行をしますね…」

 此れがアーケードだったら、まだ丙レベルならなんとかなるかもしれませんが、乙や甲では地獄となると思いますよ。
 だって前のアーケード版イベントで港湾棲姫が浮遊要塞多数を随伴している状態で戦って、港湾棲姫を小破されれない処か浮遊要塞1つ撃沈出来ませんでしたから……(〇| ̄|_)…

榛名
「そして、現在行われている北方輸送作戦で、北方棲姫に煮え湯飲まされ続けていますしね」

…作者は艦これアーケードはこんな醜態ですが、本編での榛名達に対する艦隊はもっと強い予定でした。
 軽巡ツ級3隻はそのままでしたが、当初は更に重巡ネ級と駆逐ナ級2隻が着いていましたが、“幾らなんでも強すぎる”“重巡ネ級と駆逐ナ級はまだ早い”との判断で、駆逐イ級フラッグ3隻に変更としました。

榛名
「出るかが分からない後期型でないのが救いですが、まだまだ強力な水雷戦隊である事に変わりませんが…」

 尚、旗艦の軽巡ツ級のみに右太股に包帯が巻かれていたのは………まぁ間も無く80話に達しようとする此の作品をじっくり読んでたら分かると思いますよ。

榛名
「…で、100話以内にガス生命体の所に行けるかの不安が強まって来ましたね」

……うごごご…

本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?

  • 実写版通りに、特攻
  • なんとしてでも、地球に帰還

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