SPACEBATTLEGIRLヤマト   作:サイレント・レイ

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第82話 オーロラに呼ばれて…

――― 冥王星 ―――

 

 

 此の時のチョウカイ達中央隊はと言うと“増援に向かう水雷戦隊”“行ったり戻ったりする航空部隊”“飛翔するミサイル群”等からの逆算からガミラス前線基地があるだろう場所へと進んでいっていた。

 当然だが、水雷戦隊や航空部隊に気付かれない様に慎重にであり、チョウカイ達3人の土星潜伏の経験がしっかり生かされていて、タマ達3人を感心させていた。

 

「……此所も外れ、みたいですね…」

 

 だが反射衛星砲の光線が上空を横切ったのを最後に頼りとしたモノ全てが途切れてしまった為、チョウカイ達は迷走をしだし、現に航空偵察を多々行いながら地図を覗きながらの打ち合わせをしていた。

 

「言っちゃあいけないのは分かるけど、ヤマトが危険な状態になっている以上は早く基地を見つけないといけないんだよ」

 

「そんなの分かってるって!!!」

 

 時間的猶予が失われている為に、チョウカイはハツヅキに思わず怒鳴り返していた。

 

「でも何でヤマトは潜航を続けているでしょう?

普通なら隙を見て、離水して逃げればいいのに…」

 

「ヤマトは海上着水した時に波動エンジンが止まってしまったニャ。

多分、波動エンジンが再起動出来ない上に、氷が邪魔して滑走しての離水が出来ないんだニャ」

 

「だったら、垂直上昇したら良いじゃないの!」

 

「馬鹿!!!

そんな事をしたら反射衛星砲に狙われる!!」

 

 多分フルタカは誤魔化してのリラックスを狙ってヤマトの疑問を発したが、残念だが此れはキラーパスであり、タマ、レシーテリヌイ、ヴェールヌイの4人と共にヤマトの危機的状態から変な焦りが出てしまう結果になった。

 

「皆、口を動かすよりも、ガミラスの基地が見つける為に動いて!!!」

 

「待てよ、チョウカイ!!」

 

 そんなフルタカ達5人にチョウカイが怒鳴って注意してさっさと先に行ってしまい、誰がどう見ても1番冷静さが失われているのはチョウカイであった。

 況してやキヌガサ戦没の一報もあっては尚更であり、彼女を止めようとしたカコはフルタカと少しの間だけ目線を合わせた後に揃って溜め息を吐いた。

 

「…此のままだと、その辺のガミラスを捕まえて吐かせようと仕出かすかもね」

 

「そう言えば、チョウカイって昔は火星のワルだったよね?」

 

 先行したチョウカイに急ぎ追い付こうとする中で、ハツヅキとヴェールヌイがチョウカイを(サカナ)に苦笑し合っていた。

 

「……彼処は、違う………じゃあアッチは…」

 

 だが実際の処、チョウカイは焦りの極みで自分をも見失いかけていて、その表れとして彼女は右手の指の爪をランダムに仕切りに噛んでいた。

 しかも暴走に近い形でカコ達を置いてけぼりにしていて、今ガミラス艦隊の襲撃を受けたら孤立状態で包囲されかねない程に警戒心も無くなっていた。

 

(……チョウカイ)

 

「タカオ姉さん?」

 

 だが不意にMIA認定の長姉タカオの自分を呼ぶ声が聞こえ、チョウカイは立ち止まって声が聞こえた方角を探ろうと辺りを見渡した。

 

「チョウカイ、どうしたんだニャ?」

 

「あ、いえ………タカオ、姉さんに呼ばれた、気がして…」

 

 タマ達は突然立ち止まったチョウカイに呆れながら怪訝な目線を向けたが、当のチョウカイは自分が驚く程に落ち着いた自分に逆に戸惑っていた。

 

「……あ」

 

 そんな時にチョウカイは右手側にあるモノを見つけて、それを見詰めた。

 

「…っ、オーロラ!!」

 

 最初はチョウカイの行為に戸惑ったが、フルタカを初めとして彼女の視線の先に振り向いたら、その先の上空にローマ神話の暁の女神(Aurora)の名を与えられた自然現象が起きていた。

 本来ならガミラス占領星の証として赤一色の大地が広がる通り、冥王星は敵地であり何時戦場になるのか分からない以上は気を抜くのは厳禁なのだが、微風に(ナビ)くかの様に揺らめく虹色のカーテンは彼女達を惹き付ける魅力があった。

 

「オーロラか…」

 

「シベリアの夜空を思い出しちゃう…」

 

 ロシアでは遊星爆弾で壊滅後もオーロラが見れるらしく、ヴェールヌイとレシーテリヌイが、艦娘であり軍人である前に年頃の少女である事から故郷ロシアを思い起こし、レシーテリヌイに至っては軽めのホームシックになっていた。

 

「何時の日か、地球でも安全に見れる様にしたいな」

 

「その為にも、先ずはガミラスの基地を見つけないと!」

 

 カコはオーロラからエンケラドゥスやそこに残ったアカギ達と共に旅立った理由を思い出して、ハツヅキと共に決意を新たにした。

 

「さあ、行くとするニャ!!」

 

「…チョウカイ?………?」

 

 タマの呼び掛けでガミラス基地探索を再開しとうと次々に移動し始め、フルタカがオーロラを見続けるチョウカイに声を掛けて、そのチョウカイが何かを気に留めながらも彼女に振り向いた直後、左後方から爆音が聞こえた。

 フルタカ達が爆音が響く先に振り向くと、その先の地平線の彼方がうっすらとした赤い光が存在していた。

 

「彼処はハルナ達がいる方角だね」

 

「そうか、ハルナ達は勝ったんだ」

 

 ヴェールヌイとフルタカが方角からハルナ達が集積地棲姫を撃破した事を察して他4人と共に微笑んだ。

 だが振り向くのが遅れたチョウカイは集積地棲姫とミサイル基地の爆発炎上に合わせてテレビ画面の砂嵐の様にオーロラが一瞬乱れたのを見てギョッとした。

 しかもオーロラは乱れが戻った後、色彩が僅かに薄くなった。

 

「…あり得ない………あのオーロラはあり得ない!!!」

 

 チョウカイはオーロラの不可解さからオーロラの発生構造(と言っても発生のメカニズムは未だに完全解明されていないが…)を頭の中から必死に取り出した事で、今まで感じていた違和感を完全解明して思わず叫び、そんなチョウカイにカコ達が一斉に振り向いた。

 

「チョウカイ、何があったんだよ?」

 

「オーロラは磁場の乱れで発生し、その磁場は惑星の公転で発生するのです。

ですが、火星と同じ様に公転しない冥王星には磁場が発生しえないのだから、オーロラが発生しえないんです!!!」

 

「っ、本当ニャ!!!

磁場が無いニャ!!!」

 

 チョウカイの指摘でカコが“えっ!?”としながら硬直したが、タマは直ぐに我に返るとコンパスを取り出して確認したら、コンパスの磁針は垂れたままで動いていない事からチョウカイの言う通りに磁場が無い事が証明された。

 

「じゃあ、あのオーロラはいったい何!!?」

 

 レシーテリヌイがオーロラを指差して叫ぶも誰も返さなかったが、レシーテリヌイ本人も含めてオーロラの発生理由を全員が察した。

 そしてチョウカイは直ぐに地図を広げて他共々覗きこんだ。

 

「…地図が正しければ、あの辺りには大型クレーターが有る筈なのに、それが見当たりません。

しかもレーダーも反応しません」

 

「予想される大きさなら、基地を作るには最適な場所になる」

 

「そして何より、ユウバリが言った反射衛星砲を設置する好条件が整ってます」

 

 チョウカイとヴェールヌイにフルタカは今まで見落としていたオーロラの下の地域に不自然な箇所があるのを見つけ、若干の自己嫌悪を感じつつ、他の4人と共に改めてオーロラに振り向いた。

 後はやるべき事はたった1つだが、躊躇いから少しの間硬直した。

 

「行きましょう!!

私に続いて下さい!」

 

 チョウカイの号令に6人全員が一斉「了解!」と答えると、そのチョウカイを先頭にしての単縦陣でオーロラへの下に向かって突進した。

 

「…クレーター発見!!!」

 

 霧らしきモノで白く霞むオーロラの下を進んだ先で、チョウカイがクレーターの岩壁を確認、通るに適してそうな谷間も見つけた。

 チョウカイは先にあるだろう物を確信すると、後続するカコ達6人に振り向いた。

 

「此れより突入、警戒を厳に!!!」

 

 チョウカイの指示にカコ達6人は強張った笑みで次々に頷いたのを確認すると、チョウカイは谷間に向かって加速しカコ達もそれに続いた。

 谷間突入直前に、チョウカイは右下辺りで光る何かを見つけて思わず振り向いたが、突入と同時に身体全体で静電気に近いモノを感じて気にはなったが、前方に神経を集中した。

 チョウカイ達は各々の形で呻きながらも停止や減速を一切せずに進撃を続け………静電気っぽいのが弱まりだすと、正面に出口と思われる光が見えると、耳の中に釘を刺したかの様な激痛を感じさせる強烈なノイズが鳴り出した。

 

「ああぁー!!!、此の先だあぁぁー!!!」

 

 後続のカコ達もそうだったが、チョウカイは両耳を押さえての悲鳴に近いのを上げながら、遂に谷間を抜けた。

 “長いトンネルを抜けると雪国であった(川端康成著『雪国』より)”の要領で、長い谷間を抜けた先の眼下には、窪地を平地に成らしたコンクリートの大地に司令塔か管制塔と思われる土筆(ツクシ)型の塔を中心に“滑走路複数本、その全ての上に航空部隊が発進準備中”“外灯と思われるロッド型の建築物(実はステルスフィールド展開装置)”“VLS式のミサイル発射台多数、幾つかは蓋を開いて白煙が薄く出ている”“識別不明の建物群と共に広範囲に多数配置された砲台小鬼(休眠中)”“貯水池と思われる人工湖”等が大量に立てれた広大な基地施設が広がっていた。

 

「…見つけた、遂に見つけた!!!」

 

「間違いなく此所はガミラスの基地だニャ!!!」

 

 チョウカイが歓喜の雄叫びを上げていて、タマが言わずともガミラスの基地であるのは確かであった。

 

「ちょっと、こんなに大きいのをだったの!?」

 

「よくもまぁ隠せたモノだったな…」

 

 まぁ予想を越える規模だった為にレシーテリヌイが驚き、ハツヅキが逆に呆れていたが彼女の言葉が過去形であるのは興味深かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― 同・基地司令塔 ―――

 

 

「Was ist diesmal passiert!!?」

(訳:今度は何が起きたの!!?)

 

「Es ist schwer!!!

Ueber der Basis befindet sich ein Kreuzfahrt-Torpedo-Geschwader auf der Erde!」

(訳:大変です!!!

基地上空に地球の巡洋水雷戦隊がいます!)

 

 突然鳴り出した警報に部下達共々驚いた冥王棲鬼は、直ぐに理由を調べさせ、数十秒後に部下の1人が叫びながらの報告に部下達と共に「(何ですって)」と揃って叫んだ。

 

「Was meinst du!?

Funktioniert Stealth Field!?」

(訳:どう言う事!?

ステルスフィールドはちゃんと作動しているの!?)

 

「Es gibt keinen Fehler oder Leistungsreduzierung!」

(訳:故障や出力低下は有りません!)

 

「Das feindche Kreuzfahrt-Torpedo-Geschwader!!!」

(訳:敵巡洋水雷戦隊が各々に急降下雷撃の兆しが有ります!!!)

 

「Starten Sie sofort FESTUNG LMP!!!」

(訳:直ぐ砲台小鬼を起こしなさい!!!)

 

 実はガミラス前線基地はステルスフィールドを展開する事で完全に外部からの秘匿に成功していたが、そのステルスフィールドがレーダー類全てを阻害して無きに等しい状態にしてします致命的な反作用をもたらしていた。

 そして今回その為に侵入者達(つまりチョウカイ達)の発見だけでなく、その対応にも致命的な遅れを生じてしまったのだ。

 

「Das feindiche Kreuzfahrt-Torpedo-Geschwader teilt sich in zwei Teile und stuerzt ab!!!

Das Ziel ein Raketenwerfer und ein Flugplatz!!!」

(訳:敵巡洋水雷戦隊が2手に分離して急降下!!!

狙いはミサイル発射台と飛行場です!!!)

 

「Es ist schlecht!!!

Fuer diejenigen,aber fuer YAMATO angriff,!!?」

(訳:不味い!!!

それ等にはヤマト攻撃用のが、!!?)

 

 冥王棲鬼がパニクって指示が出せなかった直後、先ずはタマが放った空間魚雷2本が発射口に侵入してミサイルに接触、そのままミサイルを巻き込んでの大爆発を起こし、更にレシーテリヌイとヴェールヌイの放った空間魚雷群も同じにしてミサイルごと起爆を起こした事あって次々と誘爆を起こして大地震と思わせる震動を起こした。

 更にチョウカイ達4人は飛行場の航空部隊目掛けて雷撃をして爆発からの誘爆を誘発、更に戦闘機の機銃掃射さながらに低空飛行での砲撃で無事な物への攻撃を繰り返した為、ミッドウェー沖海戦の赤城達3空母を連想させる光景が出来上がった。

 結果的に連載爆発が2ヶ所で起きたが、ガミラスは奇跡的に隔離に成功したので基地そのモノへの影響は飛行場とミサイル発射台の壊滅のみでの最低限に抑え込んだが、此の影響でステルスフィールド展開装置群が放電を起こした直後に次々に爆発し、ガミラス前線基地が白日の元に晒される事になった。




 感想か御意見、或いは両方でもいいので宜しくお願いします。

 今回での鳥海が冥王星基地発見に至った要因は、漫画版2199のを参考にしています。
 そして何故に高雄の幻声が聞こえたのかは、冥王星基地陥落後に書きます。

本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?

  • 実写版通りに、特攻
  • なんとしてでも、地球に帰還
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