SPACEBATTLEGIRLヤマト   作:サイレント・レイ

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第85話 最終局面へ

――― 冥王星・洞窟 ―――

 

 

 集積地棲姫をミサイル基地諸共に撃破し、ヤマトの救出したハルナ達右翼隊は、艦隊の再編が行われた山脈の洞窟に退避して、そこでの休息とユウバリによる診断からの応急処理が順に行われていた。

 

「ハルナ、無事だった!?」

 

「はい、ハルナ達は一応無事です!」

 

 ユウバリが最後になったヤマトの応急修理を行っていた時に、左翼隊のアオバ、テンリュウ、ハマカゼ、アマツカゼの4人も洞窟に退避として戻ってきた。

 

「ユウバリ、手伝うわ」

 

「ちょうど良かったアマツカゼ!

伝導管の幾つかが熱損しているから、迂回やバイパスを手伝って!!」

 

 早速、アマツカゼはユウバリがやっているのが波動エンジン関連だと分かって直ぐに彼女の手伝いを始めた。

 

「イセさん達はどうしたのですか?」

 

「あの2人は足が遅いから、軽症なのもあってショウカクと共に応急処置をしながらチョウカイ達への合流も兼ねてガミラス基地を目指しているよ」

 

「3人だけで行ったのですか!?」

 

「いえ、救援に来てくれたカコ達5人と一緒にです」

 

「本当、チョウカイがカコ達5人を救援に送ってくれたから助かったぞ」

 

 アオバとテンリュウはズイホウに返しながら、チョウカイがカコ、タマ、ハツヅキ、レシーテリヌイ、ヴェールヌイの5人を送ってくれたお陰で飛行場姫を撃破出来た事を思い出して笑い合っていた。

 

「……イスズ…」

 

 此の間にハマカゼは、ハツシモに抱えながらの膝枕で仰向けに寝ているイスズを見付けた。

 

「……今度は、確り守ったわよ…」

 

「イスズさん、あまり喋らないで」

 

 イスズはヤマトを庇っての反射衛星砲の被弾での腹部の大火傷をハツシモと共に濡れタオルで押さえられていたが、罪悪感を感じているハマカゼに気だるそうに笑って返した。

 

「それとチョウカイとフルタカが反射衛星砲の所在地を見付けたんだが、面倒な事に(ブツ)は基地南東部の貯水池の底にある。

そしてその貯水池は結構水深があるそうだ」

 

「…貯水池の底………では衝撃砲は使えませんね」

 

「ですから、魚雷か航空爆弾に砲弾が1番なのですが、チョウカイさん達の話ですと砲台小鬼が多過ぎて航空機や魚雷は迎撃される可能性が高い、巡洋艦級の主砲弾では効きそうにないそうです」

 

 更にテンリュウから反射衛星砲の所在地が伝えられたが、その攻略法の困難さからハルナとズイホウにアオバと共に唸り声を上げた。

 

「反射衛星砲って何?」

 

「…あ~そっか、ヤマトには反射衛星砲の事が伝わってなかったのね」

 

 キョトンとしたヤマトに首を傾げはしたが、アマツカゼは直ぐに反射衛星砲の情報が不伝達であったのを察して、ユウバリと共にヤマトへ反射衛星砲を説明を始めた。

 

「…波動エンジン、何処まで直せる?」

 

「私の思い通りにバイパスとかが上手く繋がれば、再起動自体は早めに出来る筈。

だけど第三艦橋が無いから波動防壁は直しようがないし、波動砲も時間が掛かる…」

 

「波動砲と波動防壁はいらないから、直ぐ再起動して全力航行が出来るようにして!!」

 

 ヤマトはそこから反射衛星砲の原理を理解すると、アマツカゼへ応急処置の優先度合いを指示しだした。

 

「…波動砲?」

 

 ユウバリは“波動砲”の単語に首を傾げていたが、2人共無視していた。

 

「ガミラス基地のステルスフィールドが失われている以上、狙うなら今が好機なのです。

ガミラスが基地機能を回復させたら、一貫の終わりです」

 

「確かに狙うなら今しかないな。

冥王星の全艦隊が基地に帰投するか、此の星から離脱しているしな」

 

「いや、今でしょ!!!

チョウカイさん達がガミラス基地の飛行場を全部壊してくれた上、ヌ級とヲ級がいない以上は冥王星の制空権を奪えます!」

 

 此の間中の話し合いでハルナ、テンリュウ、ズイホウの3人は好ましい点が多数ある事からガミラス基地攻略には絶好の好機だと判断した。

 

「ですけど、皆傷つくだけでなく、疲労が溜まっているじゃないですか。

逆に返り討ちにされる危険性があります」

 

 だがアオバの指摘通り、ハルナ達は各々の艤装が応急修理が行われたものの中破か大破しているだけでなく、自分自身もまた傷つき疲労の濃さを自覚………現にハルナ達は各々の形で疲労の極みからの眠気を抑えようとしていて、アサシモのみは堪えきれずに横になって寝ていたので、アオバへの反論が出来ずに唸っていた。

 

「…それに、反射衛星砲も健在です。

アレをなんとかしないと、ガミラス基地を射程圏内に入れる前にヤられます」

 

「ズイカクさんとチトセさんを呼んで反射衛星(反射要塞)を一掃するのはどうです?

反射衛星さえ無くなれば、反射衛星砲を無力化できます」

 

「現実的じゃないな。

準惑星の全域に展開しているんだ、一掃するには何年も掛かるぞ」

 

 そしてなにより、ハルナ達は最大の難関である反射衛星砲に対する上策を思い付けない為に唸っていた。

 

「「直ったあぁぁー!!!」」

 

 そんな時にヤマトの応急修理が完了、ヤマトが波動エンジンを再起動させたのを確認して、アマツカゼとユウバリをハイタッチをしながら歓喜の雄叫びを上げた為、アサシモとイスズ以外の全員がそちらに振り向いた。

 

「どうですか?」

 

「…よし、問題は無さそう!」

 

 最後にヤマトが足先を左右順に地面に叩いてからの跳び跳ねをしながらの動作確認を終えて、軽めのストレッチをやって背伸びをしたのを、ハルナは微笑んで見ていた。

 そんなハルナと目線を合わせたヤマトは、他の艦娘達1人1人に順に目線を合わせ、此の場にいる者達の中でまともに戦えるのは自分1人だけだと判断して、少し間を開けてから溜息を大きく吐いて腹を括った。

 

「ハルナ、悪いけどチョウカイとショウカクに連絡して反射衛星砲を一挙一足見逃さずに監視してと伝えて」

 

 ヤマトの指令にハルナは無意識の内に「あ、はい」と答えて指示通りに動いたが、全員がギョッしながらヤマトを見つめた。

 

「おいおい、まさかお前が反射衛星砲を壊しに行くってのか!?」

 

「そう言う事ですよ」

 

「無茶です、ヤマトさん!!!

波動砲がまだ暫く使えない上に波動防壁が張れないんですから、今度被弾したら撃沈しますよ!」

 

「それに、何か手を打たないと反射衛星砲の的になるだけです!」

 

「取り敢えず、波動砲と波動防壁は当面は要らないし、私なりに手は考えてある」

 

 ほぼ1人で打って出ようとするヤマトに対して、テンリュウが呆れながら驚き、ハツシモとズイホウがヤマトを止めようとしたが、当人から制止を聞き入れる気が全く感じられなかった。

 しかもヤマトが手を考えてある事に、逆に驚いていた。

 

「ヤマト、一体何を考えているのですか!?」

 

「反射衛星砲を狙い目にするのよ」

 

「反射衛星砲を!!?」

 

「私、何度も狙われて分かったのよ。

反射衛星砲には欠点………と言うべきか、狙い目とか弱点とも言えるモノが有る事をね!」

 

「弱点!!?

反射衛星砲に弱点が有るのですか!?」

 

「ええ、私の読みと狙いが当たれば、冥王棲鬼の顔を青く出来るわよ」

 

 質問したハルナもそうだったが、反射衛星砲の弱点なる物を信じられず、ヤマトを疑わしく見ていた。

 だがハルナ達10人は傷と疲労で(一時的?)行動不能なのだから、ガミラス基地の早期攻略の頼みはヤマトしかいないのだから、彼女を信じるしか選択肢は無かった。

 尤も此の場にいる者達でハツシモとハルナはヤマトを信じているようであった。

 

「上手くやれるのですか?」

 

「悪いけど、私、成否はあんまり考えてない。

ただ、いいようにやってくれた冥王棲鬼に砲弾を1発ぶちこまないと、気が収まらないのよ!!」

 

 今のヤマトの行動原理が負けん気の強さからの復讐心からであるのが分かって、ハルナ達は思わず笑ってしまった。

 だが、此れがハルナ達に安心感をもたらすと同時にヤマトへの期待感が高まった。

 

「少し待って下さい。

藤堂長官に作戦を伝えますので…」

 

 ハルナが藤堂へ通信をしている中、ヤマトは兎も角として、それ以外の全員が時間的に地球・ガミラス両陣営の状態から7度に及んだ冥王星攻防戦の最終局面に入ったと判断していた。

 それはハルナの通信を受けた防衛司令部もそうであった。

 

「そう言えば、藤堂長官が指令を出してますが、沖田司令はどうしたのでしょうか?」

 

「さあ?

私達の方でも沖田司令が通信に出ないんです」

 

 また同時にハマカゼとハツシモが沖田の所在を気にしていたら、少しの間だけ寝ていたイスズが起きてヤマトの背に振り向いた。

 

「…ヤマト、忘れ物が1つ有るわよ」

 

「忘れ物?」

 

「ハマカゼ、見ての通りイスズは動けないから、イスズの艤装からヤマトのを取り出して」

 

 当初は分からなかった様だったが、ハマカゼはハツシモも「あっ!」と言いながら目線を合わせ、直ぐに笑い合うとハマカゼがイスズの言った通りにして、ヤマト測距儀を取り出すとヤマト達に振り向いてそれを見せた。

 

「あ~…大事なの忘れてた!」

 

「ヤマト、後ろを向いてて下さい。

ハルナが髪をといてから着けてあげます」

 

 完全に測距儀を忘れていたのを自覚したヤマトが後頭部を軽く叩いてから掻いている光景にハルナは苦笑をすると、櫛を取り出してハマカゼと共にヤマトの後ろに回った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― 同・前線基地 ―――

 

 

『Das 8.Energiekraftwerke ist nutzlos!

Es gibt viele Opfer aufgrundder Sprengfalle des Eindringlings!』

(訳:第8エネルギープラントは駄目です!

侵入者のブービートラップもあって死傷者多数!)

 

「Loesche das Feuer auf Fall!!!

Die Temperatur des 7.Energiekraftwerke steigt und das 1.Energiekraftwerke brennt!」

(訳:火は絶対消せ!!!

第7エネルギープラントの温度が異常上昇している上に第1エネルギープラントに火が回っているんだぞ!)

 

『Dann komm um zu helfen!!!

Er und andere,der Feuerloescher und alle Trennwaende wurden zerstoert!』

(訳:だったら手伝いに来い!!!

アイツ等、消化装置処か、隔壁も全て壊したんだぞ!)

 

 此の時のガミラス基地はと言うと、基地全域で警報が鳴り響く中で破壊された箇所の消火と修理が行われているも、時折爆発が起きていた。

 

「Wo sind sie!?」

(訳:奴等は何所だ!?)

 

「Sie gingen zur Gabelung voraus!」

(訳:此の先の分岐路に行きました!)

 

 当然ながら破壊工作を行った侵入者達(実は脱獄者達なのだが、ガミラスは全く勘づいていない)の捜索からの討伐の為に警備隊と陸戦隊が至る所を走り回り、一部は発見に至って現場に急行していた。

「Zu welcher Passage bist dugeflohen!?」

(訳:どの通路に逃げた!?)

 

「Da drueben!!!」

(訳:あっちです!!!)

 

 発見通報の有った分岐路に辿り着いた1隊が各々に中央で全通路を睨んでいると右前方のから悲鳴や雄叫びが交じった銃声が多数聞こえた、直ぐ途切れてしまったがそちらを示した。

 当然直ぐに突入しようとしたが、1隊に気付いたコロラドとサウスダコタがビームマシンガンの連射で牽制してきた。

 

「…不味い所で掴まったわね」

 

「直ぐにでも増援が殺到しかねない…」

 

 コロラドとサウスダコタが足止めをしている間に、ヒヨウとアトランタが他共々に交戦していた1隊を殲滅していたが、場所的に来かねない大量増援を危惧した。

 

「あ!!

良い物が有った!」

 

 だがそんな時にゴドラントが倒した雷巡チ級陸戦型(擲弾版)の艤装から先端が覗いている物を見つけて、それを拾い上げた。

 

「分岐路にスプリンクラーは付いてました!?」

 

「スプリンクラー?

多分有ったぞ」

 

「なんとか起動させれませんか?」

 

「…やってみよう。

ディック(サウスダコタの渾名)、援護を頼む!」

 

 当初はゴドラントの狙いが分からなかったサウスダコタとコロラドだったが、彼女の手に持っている物を見て何となく察すると、コロラドはサウスダコタ援護下で通路入り口手前まで来ると、天井直上部のスプリンクラーを撃ち抜く事で強制的に起動させた。

 連鎖的に作動したスプリンクラー群からの水に1隊は驚き戸惑ってはいたが、此れだけだったら唯の嫌がらせにすぎなかった。

 だが直ぐに、ゴドラントが雷巡チ級陸戦型(擲弾版)から奪った、今や地球で嘗てのドイツの無反動砲パンツァーファウスト(Panzerfaust)(和訳名は“戦車への拳”、別名ファウストパトローネ(Faustpatrone)“拳の弾薬”とも)、そのガミラスの改良発展品を天井目掛けて発射、彼女の狙い通りに砕けた天井部分が落下して1隊を襲うだげなく、千切れた大型電線も繋がった照明諸共に落下して床一面の水に接触して致死量以上の高圧電流が1隊に襲い掛かった。

 

「……良いなぁ~…」

 

 思わずはしゃいだゴドラントにタシュケントが羨ましいに見詰めていたが、此れは深海棲艦戦時にパンツァーファウストがスウェーデンと旧ソ連に輸出され、両国に類似兵器が無かった事から長年に渡って重宝されたからだった。

 因みに、パンツァーファウストは改良型が日本(現地名“100mm個人携帯対戦車弾”)以下に輸出されるだけでなく、旧ソ連にて傑作・対戦車擲弾発射器RPG-2(正式名は『“p”учнoй “п”poтивoтaнквый “г”рaнaтoмёт』、バクロニムでの英訳は『Rocket-Propelled Grenade』)とその系統兵器の誕生に至った。

 

「っ! また来た!!」

 

「でも此れで時間は稼げる」

 

「先へ逃げましょう!」

 

 別の通路からまた別の1隊が銃撃しながら走ってきた事に気付いたサウスダコタが叫んで報せ、彼女がコロラドと共にゴドラントに頷くと直ぐにヒヨウ達8人と共に奥の方へと走っていった。

 

「Sie sind weggelaufen!」

(訳:逃げたぞ!)

 

「Chase Chase!!!」

(訳:追え追え!!!)

 

「Nein,das ist nicht gut!!!」

(訳:いや、此の先は駄目だ!!!)

 

 1部は当然ながら逃げた艦娘達を追おうとしたが、味方の1隊が分岐路の中央部で感電してのたうち回っている惨状から先頭の雷巡チ級が同僚達を止めた。

 

「Nein,ich kann den Strom nicht abschalten…」

(訳:駄目だ、電力を遮断出来ない…)

 

「Wir koennen hier nicht durchgehen」

(訳:此所は通れません)

 

「Umgehen Sie anders Menschen durch Kommunikation!

Bringen Sie auch einen Anker mit einem Draht!!」

(訳:通信で他の連中を迂回させろ!

それと、ワイヤー付きアンカーを持って来い!!)

 

 現状判断で通行不可である事が伝えられて隊長格の重巡リ級が歯軋りをした後に他の部隊に伝達させながら、自分達の綱渡りと感電中の味方救出の為の道具を取りに行かせた。

 

「…Auch wenn der All-out-Angriff der Erdfotte beginnen koennte!」

(訳:…地球艦隊の総攻撃が始まるかもしれないと言うのに!)

 




 感想や御意見等を御待ちしています。

 今回のに合わせて“設定値 ガミラス”での雷巡チ級陸戦型(擲弾版)の装備をバズーカ擬きからパンツァーファウストに変更しました。
 個人的にはパンツァーファウストって“戦場のヴァルキュリアシリーズ”や“ワイルド7”を思い浮かべるんだよねぇ~…

 後、“設定 艦娘”からも未所有故に登場人物不可ならワシントンを削除しました。

本作でのヤマトの最後はどうしてほしい?

  • 実写版通りに、特攻
  • なんとしてでも、地球に帰還
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