フレームアームズ・IF ~漆黒の鴉《レイヴン》~ 作:狛犬FA
Mission0 プロローグ
「……哉さん……応答して……さい……!」
かすかに女性の声が聞こえ、目を開けると『彼』はフレームアームズのコクピットの中にいた。頭部を強打したのか、血が滴り落ちて、意識が朦朧としている。声を出そうとするが、上手く声が出せない。
「く……あ……ら……まだ……出て……のかよっ……」
今度は男の声。ただ、何を言っているのかはよく聞こえない。正面に表示されているモニターで外の様子を見ると、周囲には数機の損傷が激しいフレームアームズと、それを取り囲む『影』の様な何かを見つけた。その『影』がこちらが見ているのに気付いたのか、こちらに向かってくる。
「……さ……あ……逃げて……!」
「逃げて」とだけ辛うじて聞き取れた『彼』はなんとか動こうとするが、金縛りにあったかの様に指先一つすらぴくりとも動かなかった。そして『影』がこちらに近づき、銃の様な物をこちらに向け、そしてーーー
(…………はあ………………)
『また』いつもの夢か、と『彼』……牧瀬和哉は心の中でため息をつく。彼はこの数週間、毎日の様に同じ夢を見ていた。何かもわからない『影』に捕まり、銃の様な物を突きつけられて終わる夢を。彼は何故銃を『突きつけられる』だけでそのまま撃たれずに終わるのかわからなかったし、そもそも何故そんな夢を見る意味もわからなかった。
いつもならしばらくベッドの上で考え込むが、今日からはそんな時間の余裕はなかった。和哉は時計の時刻が6時を少し過ぎているのを確認して
「おっと、そろそろ基地の方に行かないとな……」
と、少し焦っているように言うと急いでベッドから這い出て、クローゼットの中から軍服を取り出し、寝間着から着替え始めた。そう、今日は彼が新国連・東京支部所属・対『アント』FA機動部隊の一つ、『ウルフ小隊』への配属が決定してから初の出勤なので、遅れるわけにはいかない。だが、家を出る前にどうしてもそれを報告しなくてはいけない相手がいた。数年前に任務中に亡くなった父と、アント発生直後に発生した『横浜大虐殺事件』で自分を庇って亡くなった母の仏壇だ。和哉は仏壇に線香を立て、
「父さん……母さん……、俺、やっと軍に入れたよ。父さんの分もアントを倒して、少しでも父さんや母さんと同じような人を減らすから、見守っててくれ……」
そう言って手を合わせた後、悠々と基地へと向かった。
これから先、彼の想像を遥かに越える過酷な戦いが始まることを知らずに……
Mission0 プロローグ END
告知してから早3日、フレームアームズ・IF~漆黒の鴉《レイヴン》~ 連載開始しました。初投稿なので、かなり駄文になっているかも知れませんが、後書きまで読んでいただきありがとうございます。さて、次話「mission1 ウルフ小隊」ですが、不定期連載なので、執筆開始したら一度活動報告の方に報告します。気長に待っていただけたらと思っています。活動報告の方にも書きましたが、感想、ストーリー関連の質問は小説のコメント欄に、リクエスト、要望等はメッセージ等で受け付けております。では、次回でまた会いましょう(*´ω`*)