皆さんはイベガチャ回してますか? 私は今回はおっぱい大きい子ばかりなんでスルーです。
それにしても、まさか花騎士のガチャで上限が出来るとは。しかも出現率二倍!!
問題はこれからもその上限ガチャがイベントごとに続くかどうかですよね~。
あ、セダムちゃん取りました。新しく金チケきたので。
そして寝室で笑いました。良いキャラしてますね、彼女ww
今回はギャグ入れようとしましたが、シリアスばかりになってしもうた。
それでよければ、本編どうぞ。
『リンゴ団長の戦歴:リリィウッド編』
「いやぁ、デルフィ、みんなにサクラさんのお料理食べたって自慢しちゃおう」
時はデルフィニウムがリンゴ団長の部隊に異動したその日の夕食の出来事だった。
団長は彼女にねだられて、己の武勇伝を一通り話していた。
自分の武勲をあまり誇らない団長なのだが、好みの少女から尊敬と期待の目を向けられ、でれでれしながら多くの戦いについて語った。
「これだけでこの部隊来て良かったって思った!!
デルちゃんマジ単純!! でも実はちょっと不安だったんだよね!!」
そして夕食も終わりに差し掛かり、食器を片づけ始める者が出始めた頃だった。
「ここって、元は懲罰部隊だったんでしょ?
だけど全然そんな感じしなくて、少し安心したんだ」
「まあ、もう昔の話だからな」
「その頃のこの部隊ってどんな感じだったの?
懲罰部隊とかもう殆ど無いし、聞いた話ばかりだからデルちゃんめちゃ気になる!!」
「ああ、そうだなぁ」
乞われるままに話しをしていた団長は、しかしここに来て言葉を濁した。
「あれ、もしかして禁句だった?」
そこでデルフィニウムは気付いた。
食堂で一緒に食事をしていた同僚たちが、微妙な表情をして二人を見ていることに。
「禁句って言うより……」
「あえて誰も触れてこなかったって言うか」
「聞きにくいことだしねぇ」
「むしろ聞くのも怖いっていうか」
いつものモブ四人がぼそぼそと言いにくそうにそう漏らした。
「え、皆さん、そんな風に思ってたんですか?」
当時を団長と共にしていたリンゴがむしろ驚いたようにそう言った。
「確かに懲罰部隊だったことはあまり名誉なことじゃないけれど、団長さんの言うとおり昔の話だものね~」
敢えて誰も触れてこなかったことに気付いていたサクラも、そう呟いた。
「クロユリもそう思わない?」
「なんで私に言う」
なぜ自分に話題を振られるのか、とクロユリは心底疑問そうにそう応じた。
この部隊が懲罰部隊だった当時を知るのは、この三人だけだった。
「と言うわけですので、団長さん」
「なんでその話をする流れになってるんだ?」
とは言え、デルフィニウムだけでなく他の面々も気になると顔に書いてあった。
「はぁ……リンゴちゃん、酒を持ってきてくれ」
「は~い」
団長の意を汲んで、リンゴが厨房からワインとグラスを持ってきて、彼の前に出した。
「当時の俺は、まあ部隊の風紀を乱しただのなんだので、ブロッサムヒルの方からこの国に飛ばされた訳なんだが」
話を切り出した団長は、早速周囲から白い目で見られて誤魔化すようにワインを口に入れる。
「いやぁ、なんでだろうなぁ。
愛が有ったから別に問題なかったはずなんだがなぁ!!」
「その話は良いですから、早く次へ行ってください!!」
リシアンサスから苦情が出たので、団長は微妙に嫌そうにしながら続きを話し出した。
「で、こっちに着いてから、配属先は懲罰部隊だと聞いたわけよ。
え、俺ってそこまで悪いことしたか? もっとトリカブトちゃんとイチャイチャ乳繰り合っとけばよかったなぁ、と後悔してたら、上層部に呼び出されたわけだ」
彼と上層部にそれなりの確執が有るのはデルフィニウム以外周知の事実だったが、彼の語り口からではどうにも緊張感と言うものが周りに伝わらなかった。
「そしたら上にこう言われたわけだ。
近年の花騎士は士気もモラルも高く、見せしめを用意するのはそれに影響が出ることが懸念される上に野蛮である、と。
だから今いる部隊員全員の任期を終わらせて、懲罰部隊そのものを自然消滅させたいってことになった。
それで特に危険な任務に従事する彼女らを任せられるのはお前しかいないってな」
団長は昔の話だと言うのに、やってられなさそうに酒を
「お前らは国が花騎士一人育て上げる費用って知ってるか? 目ん玉飛び出るぜ。
それだけの費用を掛けて育てた花騎士を、消耗品のように使うのはコスパが悪すぎるってのもあるだろうが、俺もそんな捨て駒同前に使われる連中が不憫でな。
そういう事なら、と俺も納得したってことだ」
「ええと、もしかして、団長さんのこと煙たがってそんな危険な任務ばかりの部隊に送られたんじゃ」
するとキウイがそんなネガティブなことを言う。
「ははは!! まあ、俺も上層部もお互いに良くは思ってないだろうが、そこまで陰険なやり取りするほど腐っちゃいないさ。
それで早速部隊が居るって言う戦場に行ってみると、見知った顔が居たわけだ」
そこで、団長やそれに釣られた皆の視線がクロユリに集まった。
「その戦場は多くの騎士団が防衛戦を敷いている最前線でな、毎日熾烈な戦いが繰り広げられてる場所だった。
俺の指揮する部隊はそこのクロユリ含めて五名いた。五人しか生き残ってなかった。
どいつもこいつも口論の末に上官を殴ったり独断専行やらの命令違反などで懲罰部隊に送られた連中でな、少なくとも大昔のように罪人の出は居なかったな。
だが、俺は彼女らの顔を見て、一目でこいつらは使い物に成らないと悟った」
「え? どうして?」
「俺の前任者は酷い奴だったらしくな、自分の指揮力不足を部下のせいにして怒鳴り散らしたり、時には暴力を振るったりしたそうだ。
死んで当然とまでは言わないが、死んでもおかしくはない振る舞いだ。
実際、最期は部下の犠牲を出しながら部下に見捨てられて害虫の餌になったらしい。
彼女らは死と隣り合わせの過酷な戦場で、長い間理不尽な上官と任務に怯え、疲弊しきっていた。
無論、酷い上司だったとはいえ、仲間を見捨てた罪悪感もな。
ハッキリ言って俺が何を言っても、彼女らが心開くことは無いだろうことは目に見えていた。
だから俺は彼女らを戦力として勘定に入れず、後方待機させた」
「一緒に戦おうとはしなかったの?
そこはほら、戦いながら絆が芽生えたりとか!!」
予想以上に暗い話だったので、デルフィニウムがそんな風に少年漫画的な展開を口にしたのだが。
「その絆とやらは、二つの紐と紐を結ぶようなもんだ。
お前は戦いながら紐を結ぶのか? それは仲間と苦楽を共にするのではなく、ただ間抜けなだけだ。
誰かを気にするにも、余裕と言うものが必要だ。
少なくとも彼女らにそんなものは無かった。だから戦力外として遠ざけた」
団長の判断は冷酷なまでに現実だけを見ていた。
「俺が着任して戦場の司令部からの最初の任務は、騎士団主力の側面に発生した害虫集団約50匹の進行を阻止せよと言うものだった。
要するに、囮になって死ねってことだ。懲罰部隊は司令部からも良く思われてなくてな、使い潰す気満々のようだった」
「ヒドイ……」
「俺はそれを五人の中でただ一人使えたクロユリとだけで、どうにかすることになった」
そうして使い潰された花騎士たちを
§§§
「敵害虫集団は約五十匹。
これを俺とお前だけで足止めしろ、と。俺もいよいよ年貢の納め時かな」
俺は部隊に
「実質戦力は私だけ、か。
お前も他の連中と同じように後ろで待機していろ。
こいつらの足止めは私がやる」
クロユリのアホはそんなことをほざきやがったわけだ。
「はぁ? お前なに俺に命令してるんだ?
どっちが上官か分かってるのかお前。俺の指揮する部隊に名を連ねている以上、誰をどう動かすかは俺が決める。
お前は独断専行の常習犯だ。だが俺の指揮下でそんな真似してみろ、即座に脱走兵として上に報告してやる。
死に際を名誉の戦死で飾るか、不名誉な卑怯者として死ぬかはお前が選べ」
「上に報告するまでお前が生きているのならな」
可愛くねぇだろう、こいつ。
「それで、作戦はあるのか、上官様」
「あるさ、お前を単身突撃させるより余程ましな作戦がな」
ここで、少しお勉強をしよう。
花騎士以外の人間が害虫を倒す方法だ。
花騎士と普通の人間を分けるのは、世界花から魔力を引き出し、害虫の病毒を浄化できるか否かに過ぎない。
つまり、一般人でも高火力の武器を装備し、一方的に攻撃できる距離さえあれば害虫を撃退すること自体は可能なのだ。
事実、花騎士の少なかった何百年か昔は、要塞化した建物から大砲や大型のバリスタを主力にして専守防衛に徹し、稀少な花騎士は害虫の毒の浄化を主任務としていた。
――えッ、じゃあ団長さんも害虫と直接戦ったの!?
そんな危険なことするわけないだろ。
俺は死ぬのは怖くないが、死に方ぐらいは選びたい。
そもそもその戦法は大量の兵士を動員することが前提だ。
クロユリと俺だけで使える戦法じゃない。
じゃあどうしたのかって? こうしたのさ。
まず、害虫の進路上に徹夜で司令部からかっぱらってきた爆弾を大量に設置する。
丁度良さそうな林があったので、油を巻いて火を点けます。
それだけ。任務完了、お疲れ様でした!!
「お前、私よりずっとイカレているよ」
と、真っ赤に燃える林と大量の煙の壁を見ながらクロユリの奴に呆れられたもんだぜ。
当然、司令部に呼び出された。他の団長たちは怒り心頭だったぜ、どうしてだろうな?
§§§
「当然ですよ!!」
へらへら笑う団長に、怒りの声を挙げたのは意外にもリンゴだった。
「団長さんそんなことしてたんですか!?
騎士団の目的の一つに自然環境の保全も含まれるんですよ!!
そんな戦い方したら本末転倒じゃないですか!!」
「まあまあ。それで同じことを俺も司令部の団長どもに言われたわけだ。
だから俺は言ってやったわけだ。それは所謂、コラテラルダメージと言うものに過ぎない、軍事目的の為の致し方ない犠牲だってな!!」
酔いが回って来たのか、大笑いしながらそう返す団長に、リンゴは何を言っても無駄かと肩を落とした。
花騎士の騎士団が火計を滅多にしないのは、リンゴが挙げた理由もあるが、単純に森や草原といったロケーションが多いスプリングガーデンでは火計は危険で制御が難しいという理由もある。
炎や煙は害虫にも有効だが、自然を燃やしてまで撃退しても、結局自分たちの首を絞めることになるのだ。
傭兵だってもっとお行儀よく戦うだろう。
「それだけじゃなく、物資を勝手に持って行ったことでも御咎めを受けてな。
配属早々謹慎を受けちまった。まあ、あいつらを休ませる口実に出来たし、丁度良かったんだろう」
原則的に、部隊の指揮権は団長に依存する。
つまり団長が動けない場合、その部下も何もできないのだ。
例え懲罰期間中の部隊員でも、他の団長が彼女らを無断で指揮することはできない。
「当然、指揮権を寄越せと迫られたが、のろりくらりと躱して最前線なのに一週間もゆっくりさせてもらったよ。
まあ、その代わり彼女らにはヤバイ奴だと余計に怖がられちまったが……」
団長の話を聞く全員が、
「騎士団の戦術が兵士の大量動員から花騎士中心にシフトしたのは、物資の消耗を抑えられるからに他ならない。
俺たちはあの五十匹の害虫の為に爆弾の備蓄を全部使い果たしちまったからな」
と、団長は花騎士の優位性を交えつつ続きを語り出す。
「その後、俺の戦力足らん、補充員寄越せって嘆願が聞き届けられて、リンゴちゃんが来たんだよな。
正直当時は一人だけかよ!! とは思ったが、いま思い返せば運命の出会いだった。
俺とリンゴちゃんはすぐ意気投合してな、手札が増えたのは本当に助かった。
それに彼女らにはまとめ役が居なかった。リンゴちゃんも頑張ってくれたが、流石に彼女らの中心人物になるのは難しかったようだ。
俺も怖がられてるからリンゴちゃん越しに任務を伝えることぐらいしかできなかったしな」
「あの時期は、本当に辛かったですよね」
「俺もその後の任務で手を尽くしたが、危険な任務が多い為に負傷者が絶えなかった。
これは司令部から医療品をかっぱらってくるだけじゃ解決しないと考え、恥を忍んで師匠に手紙を書いたわけだ。あなたか、サクラが欲しいって。
俺が意地を張っても意味無いし、死人が出てからじゃ遅いからな」
「サクラさんが来てくれた時の衝撃は今でも忘れられませんよねぇ」
懐古する団長に、しみじみとリンゴがそう言った。
「正直、己の至らなさを告白するみたいで恥ずかしいが、サクラが来てくれなかったらあの五人のうち半数は死んでただろう。
俺もまた独り生き延びて、後悔の日々を送ってたに違いない」
「そこまで自分を卑下なさらなくても。
人には出来ることと出来ないことがあるって、団長さんがよくご存じでしょう」
と、いつの間にか団長の横でワインボトルを持ってグラスに中身を注いでいるサクラが彼にそう言った。
「んで、その後は、んー、色々あって彼女らも任期を終えて、原隊に復帰していった。おしまい」
「急に雑になったね!?」
団長も酔いがだいぶ回って来たのか、大雑把に端折ってしまった。
「団長さん、それ以上は明日に差支えますよ」
「うん? ああ、そうだな、今日はこれくらいにするか。
お前らー、今日は予定外の仕事が入ったんだからちゃんと寝ろよー」
団長はリンゴに促され、よろよろと歩いて自室に戻って行った。
「どうしよう、ヤバイ、団長マジヤバイ!!
私も団長と一緒にバリバリ戦果あげられると思うと、興奮して眠れないかも!!」
デルフィニウムは団長の話に触発されたのか、興奮気味だった。
そんな彼女に苦笑している仲間たち。
そして、相変わらず、一歩離れたところからそんな彼女らをクロユリは見ていた。
『血染めの黒百合』
「この数の爆弾だけで、害虫の進路を妨害できると思っているのか?」
真夜中、私は地面に爆弾を設置して起爆装置に繋げているこの男にそう言った。
「出来るかもしれないだろう。
害虫は火や煙を嫌う。これで散り散りになるなら御の字だ」
先日、この懲罰部隊の指揮官となった彼は、面白くも無さそうにそう答えた。
数年ぶりに再会したこの男はこの部隊に在籍している四人に戦力外通告をした後、どこからか調達してきた爆弾を害虫の進路予想地に設置していた。
明日、この場所で自分たちは害虫の足止めを行う。
彼我の戦力差は実に十倍。この男が味方を後ろに追いやった為、更に二十五倍。
実際は私だけで戦う羽目になるので、五十倍が正しいか。
「要は害虫どもをここから先に通さなければいいだけだ。
集団でなければ害虫など戦略的に脅威ではない」
「どうせ失敗するに決まっている……」
「まあ、確かに、不確定要素が多い作戦だな。
だからこそ、次の手を打つ準備が必要だ。ダメならダメで次に繋ぐ布石にする必要がある」
団長は一通り爆弾を設置し終えると、にやりと笑った。
そして、その結果がこれだ。
「あーあ、こんなことやりたくなかったんだけどなー」
こうこうと燃える巨大な松明の如き炎の壁を見ながら、団長は白々しくそう言った。
結果的に言えば、団長の設置した爆弾で害虫は止まらなかった。
それを見越して、あらかじめこの周辺の木々に油を撒いていたこの男は林に火を放った。
とても正気の沙汰ではない。
「お前、私よりずっとイカレているよ」
ハッキリ言ってここまでして成功させねばならない任務ではなかった。
この戦場を統括する司令部も、恐らく足止めできれば御の字程度にしか思っていなかっただろう。
害虫も流石に火の中に飛び込むほど馬鹿じゃない。
進路を変更し、私は戦うことすらなく任務は成功した。
「はん、正気で害虫と戦えるか」
「ここまでして、木々や草花を焼いてまで生き延びて何の意味が有ると言っている」
この身は腐っても花騎士だ。
花騎士としての誇りまで失ってまで、生に執着するのはあまりにも愚かしい。
人々を助ける為と言って、害虫に食われるよりはマシだと守るべき人々を斬り殺すような所業だった。
「意味ならあるさ。お前が無謀な戦いを挑まずに済んだ。
結果としてお前が生き延びられるのなら、木々だろうが草花だろうが、幾らでも焼いてやる」
……私は、この時すでにこの男に付き従ったことを後悔し始めていた。
流石の私も脱走兵扱いは嫌だったから黙って付き合ってやったが、このままでは脱走兵扱いの方がマシまであった。
無論、このバカは即日司令部に呼び出された。
「貴殿には誇りと言うものは無いのか!!」
「勝手に備蓄庫から爆薬を持ち出したと調べは付いている!!」
「上層部からの推薦だからと言って何をしても許されると思うな!!」
私はなぜか彼と一緒に司令部に詰めている団長たちに叱責を受けていた。
「いやー、俺もあんなことしたくなかったんですけどねー。
あれっすよ、あれ。それは所謂、コラテラルダメージと言うものに過ぎない、軍事目的の為の致し方ない犠牲って奴ですよ」
と、へらへらしながらそんなことをのたまう彼を睨みつけることを責めることなど出来るものなど居ないだろう。
勿論団長たちの罵声は激しさを増した。
自分たちを使い捨て同前にしようとした面々だが、こればっかりは同情する。
なにせ自分たちは最悪の懲罰部隊。
戦場犯罪をしているわけでもなし、これ以上落ちるところなどないのだから、団長の面の皮も厚い。
「貴方には一週間の謹慎を申し渡す!!」
一応作戦は成功させているので、彼らはそうこのバカに言うことしかできなかった。
普通なら不名誉な事なのに、団長は笑みを浮かべて、謹んで受けさせてもらいます、と頭を下げた。
「これで一週間、休みが取れたな。あー、これでお前らも楽できるな」
「こんな休みの取り方は、誰も望んでいなかっただろうがな」
とは言え、通常なら懲罰部隊の任期とはひと月から長くてもふた月程度。
酷使され続けていた彼女らにとって一週間は大きい。
ここまで計算してあんな真似をしたのだと言うのなら、呆れるほかないのだが。
「それにしても、ここは殺風景だな」
この懲罰部隊が陣を張っている場所は他の陣地より物資も最低限で、本当に何もない。
「人員の追加は当然として、物資の追加も要請しないとな。
幾らなんでも人手が足らな過ぎる。今回のような横紙破りばかりもしてられないしな」
とは言え、やることが無い。
謹慎を受けたので当然だが、こいつが何も出来ない以上、私たちも動くことはできない。
「そうだ、旗でも作ろうぜ。隊旗でもあれば、多少恰好がつくだろう」
すると、団長がそんなことを言いだした。
「おーい、みんな、手伝ってくれー!!」
そして団長が来て始めてこの部隊に来ての共同作業が、旗作りだった。
「あの、一体何を作ればいいんですか?」
団長に呼び出された私の同僚たちは、怯えを隠そうともせずに彼に問うた。
彼の所業はすっかり戦場全体に知れ渡っているようだった。
「うーん、モチーフは何が良いだろうか。
普通なら副団長の名前から取ったりするんだが」
そう言って、団長は私を見た。
「おい、正気かお前、私の花言葉ぐらい知っているだろう」
「『恋』だろう?」
「『呪い』だ!!」
こいつがとぼけたことを言うので、私は柄にもなく怒鳴ってしまった。
「ただでさえ、私は呪われている。
その上で呪いの花を掲げるつもりか?」
「別に黒百合自体は呪われた花でもなんでもないだろう。
だいたいお前、自分は呪われてるとかいうが、呪いについてよく知ってるのか?
呪詛を防ぐ護符は? 呪いを肩代わりする依り代とか持ってるのか?」
「…………」
私は、何も言い返せなかった。
「馬鹿が。呪われているのなら呪われているなりにどうにかしようと努力や対策をするもんだ。
なに初めから受け入れているんだお前。だったら俺の乾燥肌も十分呪いだボケ」
バカに馬鹿呼ばわりされ、ボケにボケ呼ばわれるされるこの時の私の屈辱のほどは誰であろうと計り知れないだろう。
「そうだ、どうせだからこれから作る旗をお前の呪いを肩代わりする依り代にしようぜ。
おい、クロユリ、服を脱げ」
私は、こいつを、殴った。
「わ、悪かった、言い方が間違ってた。
お前の服の一部を旗に縫い込むんだ、確か髪の毛とかも一緒に縫い込むと良いらしい」
慌ててそう説明する団長だったが、当然私は拒否した。
私の服を切り取るなどと冗談じゃない。
「これは命令だ、クロユリ」
……ちッ。後でセクハラで訴えてやる。
「ほう、上手いもんだな、皆」
私の同僚たちは私が仕方なく提供したマントの切れ端を上手く切ったり縫ったりして、黒百合の花を模った刺繍を作った。
それを私の髪の毛を使って、旗となる布地に私の髪の毛を糸代わりに縫い付けていく。
その際、全員が一針ずつ代わる代わる旗に黒百合の刺繍を縫って行く。
これは後から知った事だが、これは本物の魔女が呪物を作る呪術の工程に近いらしい。
「そういや、騎士学校では裁縫も教えるんだったな」
団長は皆を褒めているが、こんな得体の知れない呪術めいた儀式に立ち会わせられている彼女らは見るからに恐れをなしている。
「お前、一体どこで呪術の知識なんて身に着けたんだ?」
「知り合いにアホみたいな魔力の持ち主が居てな。
呪術でそれを抑え込めないかと、色々と調べてみたがどうにもそう言う技術じゃないらしくてな。その時だ」
何でもなさそうに彼は言ったが、一般人ならまず知り得ない知識だった。
事実私も、長らく本物の呪いの知識とは無縁だった。
「おお、なかなかいい出来だな」
そうしてできた旗を、団長は掲げた。
真っ赤な布地に、赤黒く変色した黒百合の刺繍の旗。
私達は出来上がったそれを見て、何かを感じ取ったように身震いをした。
風を受けてなびくそれが、一瞬まるで生きているかのように見えたのだ。
「そんなもので、私の身に降りかかる呪いがどうにかできたとしても、私は所詮死神のようなモノだ。意味が有るとは思えんな」
「じゃあ、その死神を従える俺は冥府の王か?
素晴らしいな、この旗が有れば死者も蘇り俺に従うかもな」
手に負えない阿呆とはこいつのことを言うのだろう。
「考え方を変えろ、クロユリ。
呪いに呪われるのではなく、呪いを使ってやるのだと。
その方がもっと殺せる。もっともっと害虫を殺せる」
呪いすらも武器にするのだ、と団長は笑った。
その笑みが狂気に満ちていて、更に同僚たちをドン引きさせていることにこいつは気付いているのだろうか。
呪われている私と、自ら呪いに関わるこいつ。
一体どちらが、まともじゃないんだろうな。
ただ一つ分かることは、私の隣を歩いて問題ないと思える馬鹿はこいつぐらいだと言うことだけだった。
実は今回の話、リンゴちゃん視点とサクラさん視点も書く予定でしたんですが、そうなると軽く一万文字を超えるので、ちょっと今回は断念。
団長とリンゴちゃんの出会いは必ず書くべきだし、サクラさん視点で団長が端折った部分もちゃんと描写したかった……。
まあそのうち書こうと思います。ここでそう言っておかないと忘れそうなので、そう言っておきます。
キャラゲーなのでたくさんのキャラを出したいですが、思い入れのある特定のキャラばかり掘り下げてしまうジレンマ。
こんな作者に百話も付き合ってくださり、読者の皆様には感謝が付きません。
それではまた、次回をば!!