提督の布団にもぐりこむ駆逐艦の話   作:しらこ0040

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【駆逐艦の装甲、その悲劇】

 薄暗い部屋を月の明かりだけが青く照らしている。逢瀬を見つめるスポットライトの内側で、二人の影が一つに重なった。

 

 視線を落とし、いつもどおりの不機嫌そうな霞ちゃんと目が合う。しかしその瞳は艶めかしく潤み、こくんと白い喉が動いたのを見た瞬間、私の心臓はこれでもかと激しく動き出した。

 

しかし

 

 しかし

 

「はい?」

 

 霞ちゃんの言っている意味が分からず、私は思わず素っ頓狂な声を上げていた。「なんかしなきゃ」とは?何故不機嫌そうな表情で顔を赤くしているのか。

 私は霞ちゃんのほっぺをふにふにと弄んだ後、ぐっと指先に力を込めて頬をつねった。

 霞ちゃんの顔が突っ張った様に歪む。

 

「にゃによ、くぢゅ」

 

「こっちの台詞だよ、マセガキ」

 

 私はそのまま霞ちゃんをベッドの上に投げ飛ばした。

 

「おりゃあああ!」

 

 霞ちゃんは無抵抗のままごろごろと転がると、ベッドの上に仰向けに停止し、ガバっと上半身を垂直に上げて起き上がった。

 

「何すんのよ!」

 

 私はツッコミをするのも忘れて大声でどなり散らした。

 

「勘違いするのも甚だしい!この期に及んで私が君に対価を要求すると思っていたのか!?私を侮辱するのも大概にしろ!」

 

「はぁ!?じゃああんた漣のナカに出して無いっていうの!?」

 

「入れてすらいないわっ!発言が不健全だぞ3才児!」

 

「3才児言うなっ!「建造三年目」よ!」

 

 ムキになって立ち上がろうとする霞ちゃんのおでこに、私は人差し指を一本つきたてた。霞ちゃんはムッと眉にしわを寄せるが、立ち上がる事ができずにすとんと垂直にベッドに座り込んだ。

 

「君が何をしようと私は咎めんが…。私を懐柔したければ、せいぜい幼児体型は卒業してくる事だな」

 

「おっぱい星在住のクズ司令官」

 

「黙れAAA(トリプルエー)カップ」

 

「こ、このあたしが被弾するなんて…ガク」

 

 霞ちゃんは胸を抑えて、再びパッタリと倒れ込んだ。私はベッドの上に仁王立ちになり、放心している霞ちゃんを上から見下ろした。

 

「ほら、明日も早い。今日はもう帰れ」

 

「私が言った事忘れたの?霰が部屋に入れてくれないのよ」

 

 ぼんやりと天井を眺めている霞ちゃんの呟きに、私は少し驚いて返した。

 

「嘘じゃなかったのか」

 

「霰に「部屋に鍵をかけて寝るように言った」のよ」

 

 霞ちゃんがふうと一息ついて目を瞑る。私はその顔を見下ろして、ぼりぼりと頭をかいた。

 

「真面目なんだか、不真面目なんだか…」

 

 覗き込む月が、まるで二人に興味をなくしたかのごとく雲の中に身を潜めた。

 

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