8話目です。今回はちょっと短め。
キリが良かったので。
どうぞ。
修学旅行前日。俺は明日からの準備のためクローゼットを漁っていた。何がいるんだっけ?基本は制服だから夜の服だけ考えとけばいいか。
下着と寝巻きを適当に取り出し鞄に詰める。ついでに洗面具なども一緒に詰め鞄を閉める。なかなか余裕があるな。まあ荷物は軽いに越したことはない。向こうで買うって手もあるしな。あ、金は多めに入れとこう。
準備が一区切りついたので寝る前に水でも飲もうかとリビングに行くと小町がいた。待ってましたと言わんばかりに。これ、俺が来なかったらどうするつもりだったんだろ。
「どうした小町」
「ふふん、これを渡そうと待っていたのだよ。しゅばっ!」
効果音自分で言っちゃうのかよ。で、なにこれ。ん? お土産リスト? ふむふむ、八ツ橋とあぶらとり紙と????ね。うん定番だな。
「了解した。じゃ、明日に備えて寝るから、おやすみ」
「え! ちょっと待って! まだ最後の発表してないよ! というか触れてよ! 小町的にポイント低い」
「いや、ろくなもんじゃない予感がしてな」
「大丈夫大丈夫。はいこれ」
「ん? カメラか?」
「そうです! 最後の項目は、いい思い出です。たくさん写真撮ってね」
「おう、ありがとな。持ってくわ」
小町、地味にファインプレーだ。そうだ、戸塚とたくさん写真撮らなくてはいけない。カメラを忘れるなんて……。今までこんなことなかったからな、仕方ないか。
「じゃ、今度こそ寝るから、おやすみ」
「うん、おやすみー」
部屋に戻り、荷物の最終確認をしてベッドに潜り込む。明日は集合が東京駅だからいつもより早めに目覚ましをセットしないと。よし、いざ夢の中へ……。
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はい、おはよう。一本線挟んで朝です。何言ってんだろ。朝御飯を食べにリビングに行く。小町はまだ起きていないようだ。その代わりに親父とお袋がいた。
「おはよう」
「あぁ、おはよう」
「あんた今日から修学旅行よね。お金あげるからお土産よろしく。余った分はあんたの好きにしていいから」
そう言ってお袋から2万渡された。え、まじ? 多くね?
「いいのか?」
「何言ってんの。こっちが頼んでんだから」
「でも多くね?」
「それくらい普通じゃないの? 修学旅行の小遣いって」
「まあ、あんがと。ちゃんと土産買ってくるわ」
「よろしく。小町も言ったかもしれないけど私の分もあぶらとり紙買ってきてね」
「ああ」
にしても珍しくないか? 普段は小遣いくれないのにな。不思議に思いながら朝食を適当にとったあと、身支度をするためリビングを出た。すると親父が俺をおって出てきた。
「おい八幡」
「ん、なんだ?」
「これやるからさ…、」
そう言って五千円差し出してきた。え、親父まで何?
「良さげな酒買ってきてくれないか」
「え、俺未成年だし無理じゃね」
「あ、それもそうだな。すまん、まあこれ持ってけ」
俺の手に五千円握らせてきた。え、なになになに?! お袋といい親父といいどうしたんだ? しかもちょっと酒買えないから落ち込んでるし。まじなんなんだ、旅行に行く前に軽くパニックだぞ。
「まじで?」
「ああ」
「酒、頑張ってみるわ」
「本当か? できたらよろしく」
その後すごいもやもや、むずむずしながら身支度を済ませ、家を出た。えー、本当になんだったの。意味わかんないよ。
そのまま悶々としながら最寄り駅まで行き東京行きの電車に乗った。
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ここは東京駅。知らないうちに着いていた。いかん、切り換えんとな。朝の事は考えても仕方ない。
で、どこに集合だっけ? しおりを見てキョロキョロしていると俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
「はちまーん」
これはあれだな、幻聴だな。面倒は避けよう。
「無視するでないぞ八幡。我という唯一無二の友が呼んでいるのだぞ」
家の学校の制服着てるやつの後を追っていけば行けるか? でもなんか、さっきからあいつついてきてるんだけどキモい、とか思われそうだな。
「え、ちょっ、無視しないで。お願い、我お主にまでいないものにされちゃったら生きていけない」
「おい、それはさすがにキモいぞ、材木座」
「ふははは、やっと反応したな八幡よ」
「なんか用か?」
「いや、お主を見かけたのでな。声をかけようと思っただけである」
「そうか、そういやお前うちの学校の集合場所わかるか?」
「ふむ、それならこっちだぞ。ついてくるがよい」
「お、助かるわ」
いいところに現れたな。たまには誉めてやろう、心の中で。で、なんかこいつ眠そうなんだけどなんなんだろうか。
「おい、なんでお前そんな眠そうなんだ? まさか楽しみで眠れなかったとかか?」
「お主正気か? 我がこんなイベント楽しみなわけなかろう。ハブにされて終わるのが目に見えているのに……、グスッ」
「それもそうだな。ゲームでもして徹夜か?」
「いや、漫画やラノベを読みまくっていた」
「それ別に昨日じゃなくてもよくないか?」
「今日から三日三晩触れられないからな」
「お前そこまで拗らせてんのかよ」
「そうではない。定期的に触れないと口調が戻ってしまうのでな。昨日の晩のうちに詰め込んだのだ。ネーミングなど出来なくなってしまってはつまらんだろ」
「……お前そんな苦労して、そのキャラ保ってたのかよ」
「そうであるぞ。なかなかに大変なのだ」
逆になんでそこまでしてんのか謎だよ。
「それに眠いと移動時間に寝れるであろう? そうすれば隣の席の輩と気まずくなることもない」
「おい、そっちが本命だろ」
材木座とそんな他愛もない話をしながら歩いていると総武の制服を着ている大きな集団が見えてきた。クラスごとに集合なので材木座と別れ、自分のクラスを探す。こういう時に葉山って便利だよな。あのキラキラしたのがいる集団がうちのクラスだろ?
集合時間になり先生の話が始まった。生徒たちはそそくさと整列して新幹線に乗り込む準備をする。席はグループごとに乗ることになっているが難しくないか?3人席と2人席なのにグループは四人ずつだ。
そう思いながら中に入ったがクラスの連中はグループごとに適当に混ざって向い合わせで座っていた。おう、そういう手があんのか。でもこれだと戸塚はいいとして、葉山や戸部と混ざるところを考えると絶対にあーしさん達だよな。そんなところに混ざりたくないなー。
そんな俺に天使の声が届いた。
「八幡、こっちこっち」
「おう、隣いいのか?」
「もちろんだよ」
戸塚が二人席の隣をぽんぽんして呼んで来た。やばい、涙でそう。めっちゃ可愛いし、俺もぽんぽんして。いや、流石にそれはキモいな。でもナイス2人席。もう修学旅行終わりでいいんじゃね?
戸塚のとなりに座る。すると隣で葉山と戸部、三浦たちの班が席を決めていた。
「あーし、窓側座る。結衣と姫菜は?」
「私は通路側がいいかなー」
「私はえっと…」
あーしさん、一足先に席をゲット。それについで海老名さんが通路側を希望。由比ヶ浜はなにやら考え事。恐らく戸部と海老名さんをどうこうとか考えているんだろうが。そして地味に班のメンバーである川崎がすごい苦い顔をしていた。でしょうね、あの中に入るのは辛いだろうよ。
「まあ、適当でいいんじゃないか? 席は後で替われるし。俺は窓側座ろうかな?」
葉山が席につく。あ、あーしさん葉山が前に来て嬉しそうですね。さて、俺も助け船を出してやろう。
「おい、川…サキサキ、そっち嫌ならこっち来るか?」
「え? って、比企谷か。ほんとに? まじでいいの?」
「戸塚、構わないか?」
「うん、全然大丈夫だよ」
「だとさ」
「ありがと。まじで助かる」
そう言って川崎は戸塚の前、窓側に座った。てかなんで俺達の前の席こっち向いてんの? それ前に向けて川崎1人で座ればよくない? まあいいけど。
さらっと離脱した川崎をよそに隣は結局葉山の隣に戸部、そのとなりに知らないうちにいたモブの1人、大岡だっけ? 大和? どっちだっけ、まあ大◯が座っていた。他所であぶれたのだろうか。女子は三浦、由比ヶ浜を挟んで海老名さんだ。由比ヶ浜の思惑はうまくいかんかったみたいだな。というかそのメンツで座ったらいつも通りだからそんなこと気にしても意味ないだろ。
うちの席は川崎の隣は空いたまま。どうやらうちのクラスの人数的に問題ないっぽい。
しばらくして新幹線は動きだし、クラスの連中はそれぞれ旅の始まりを満喫し始めた。俺達? 俺と戸塚はちょいちょい話して川崎は外を眺めてます。実に俺達らしいと思う。ちなみに予想通りというか、隣はいつものノリで遊んでます。
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それからしばらく何もすることなくぽけーといていたら戸塚が思い出したように口を開いた。
「あ、そういえば八幡さ。この前の休み街に出てきてた?」
「どうした? 急に」
「この前テニススクールの帰りに八幡かなっ人見かけたんだけど、人といたから話しかけられなかったんだよね」
「あ、それあたしも見かけた。先々週くらいで戸塚とは時期違うけど」
「まじで?」
「うん、なんかすごい綺麗な人だったよ」
「そうそう」
「あー、じゃあそれ俺だわ」
「やっぱり八幡だったんだ。もしかして彼女だったりするの?」
「いや、友達だ。俺に彼女はできそうになくないか?」
「そんなことないよ! 八幡かっこいいもん」
「おう、そうか。ありがとな」
戸塚がそんなこといってくれるなんてな。すごい嬉しい。にしても見られてたか。別に隠しているわけではないし、ないよな? まあ雪ノ下や葉山は面倒そうだけど、こいつらは別に問題ないし知られてもいいか。
「あれってさ、雪ノ下の姉?」
「おう、よくわかったな川崎」
「文化祭のときに目立ってたからね」
「あー、なるほど」
「あの人雪ノ下さんのお姉さんなんだ。僕もどこかで見たことあるような気がしたと思ったら、文化祭で見てたんだね」
「でもあんたが友達って珍しいね」
「まあいろいろあってな。っても最近の話なんだが」
「そう」
「八幡すごい人と友達なんだね」
「そうでもねぇよ。あの人も結構普通なとこ多いし」
「そうなんだ」
「へー、以外。あの雪ノ下の姉だからとんでもない人だと思ってた」
「いや、それは否定しないぞ。思ったよりもって意味だ。できは雪ノ下以上だ」
「あはは、それはすごいね」
「でも弄るといいリアクションする」
「ふーん、仲良いんだね」
川崎と戸塚がいい笑顔を向けてくる。なんかすごい照れくさいな。やっぱ、こいつらいいやつだわ。これも友達って言っていいんだよな。
「まさか俺に友達ができるなんて、昔は思いもしなかったな」
「僕は八幡と友達になれて嬉しいよ」
「そうか、俺もよかったわ。川崎もな」
「え? そ、そう。あんがと」
なんかしんみりしちゃった。そしてまた恥ずかしいこといったな。最近本当に抵抗なくなってきた。ちょっと離脱しよ。
「俺、トイレいってくるわ」
「うん、気をつけてね」
席をたってトイレに向かう。結構みんな遊んでんな。そんなんで4日ももつのか? それとみんな遊ぶもん持ってきすぎだろ。
トイレを済ませて席に戻ると二人とも寝息をたてていた。わ、戸塚の寝顔だ。にしてもこいつらの寝顔綺麗だな。俺も寝るか。
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は、ここどこだ。そういや修学旅行だったな。それはそうとなんか右肩にぬくもりを感じる。これあれだよね、間違いないよね。シャッターチャンスじゃないのこれ。でも、ちょっと体勢きついな。
少し動いて楽な姿勢になろうとしたら戸塚が少し唸って目を覚ましてしまった。あー、ぬくもりが……。
「八幡?」
「おお、おはよ」
「うん、おはよう」
「今どの辺かな」
「んー、時間はそんなにたってないみたい。外見たらなんかわからないか?」
「ちょっと見てみる」
そう言って戸塚は窓を覗きこんだ。
「あ、八幡。見て見て!」
「なんだ?」
「ほら、富士山が見えるよ!」
「ほんとだな。本物は初めて見る」
「僕もだよ。すごいね」
「タイミングよかったな」
俺達が少し騒いでしまったせいで川崎も目を覚ました。
「よう、川崎。ちょうど富士山見えるぞ。見るか?」
「ん、見たことないから見とく」
「ほら」
「あ、ほんとだ」
そうして短い間だったが俺達は富士山を楽しんだ。
「富士山見えたってことはまだ京都まで半分以上あるのかな」
「そういうことになるな。といっても一時間半くらいじゃないか?」
「でももう寝れないよね」
「確かに」
「なんかするか? 俺何も持ってないけど」
「僕トランプ持ってるよ」
「トランプか、大富豪とか出来るか?」
「僕はできるよ」
「あたしも」
「あ、でも細かいルールは?」
「そうだな……」
ルールを話し合った後、俺達3人はゲームに興じた。てか、二人とも強くね? 特殊ルールの使い方うますぎだろ。
その後途中でやって来た材木座も混ざって四人でトランプで遊びまくった。材木座曰く、トイレに行っていた隙にグループの面子と仲の良いやつに席を取られて行き場をなくしたらしい。それで俺のところにやって来たとか。いきなりエグい仕打ちを受けたようだ。
結局そのまま京都まで遊び倒し、駅につく前に材木座は元のクラスに戻った。今回の修学旅行、かなりいい滑り出しじゃないか? このままいい感じで終わればいいな。なんかこれフラグっぽいからやっぱ取り消しで。
え、戸部? 由比ヶ浜? なんのこと?
川崎ちゃんは八幡と普通の友達ポジにします。なので川崎は八幡に恋心を抱いてない設定です。でも自分川崎好きなんでいつか別の作品で幸せにしてあげたい。
本当は今回で修学旅行中盤まで行く予定だったんですけど。
あと、原作にはあった車内での由比ヶ浜の絡みは全カット。戸塚と川崎の邪魔にしかなりませんからね。
次回もどこまで行くか定かじゃないですがよろしくお願いします。
ではまた次の更新で。