ハイスクールD×D【魔を滅する転生魔】   作:月乃杜

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 懐かしい……





第32話:襲撃×終劇

.

「那古人、コカビエルからどの程度の負のエネルギーを獲られた?」

 

《流石に腐っても鯛と言いますか、この前の下級堕天使に比べれば雲泥の差でしょうね。これで姉様は目覚めるのでしょうか?》

 

「判らない。抑々にしてアイツ――シェーラ自身が高位の魔族な訳だからな」

 

 ユートが態々長話をしたのはあのコカビエルを絶望させる為、何故なら現在のユートは負のエネルギーを蒐集せねばならないのだから。

 

 ユートは前世に於いてのハルケギニアの時代、春の使い魔召喚の儀式の時に召喚をして凡そ数百年とも数千年とも付かない、永きに亘る年月を共に歩んだ使い魔が存在した。

 

 覇王将軍(ジェネラル)シェーラ。

 

 【スレイヤーズ】の現状では原典でのみ登場をする高位魔族、魔王シャブラニグドゥに仕えている五人の腹心が生み出した戦闘力に特化した将軍と知略型の神官という側近で、それぞれの腹心の二つ名+将軍or神官となっている。

 

 シェーラは覇王将軍、覇王(ダイナスト)グラウシェラーにより生み出された存在な訳だ。

 

 シェーラは原典に一番近い世界にてリナ・インバースにより滅ぼされた筈が、とある神がユートの許へと導いた事で使い魔召喚をされた。

 

 それ以降、ユートの手足と成りつつ閨でも正しくパートナーの如くであるし、もう彼女は覇王将軍では無く討魔将軍という二つ名を獲ている。

 

 因みに、討魔神官には那古人が就いているからなのか? 彼女はシェーラの事を姉として慕っているし、シェーラも那古人を妹の如く扱っていて中々に微笑ましい訳だが、二人が閨に同時に来た場合は矢張り姉妹丼なのだろうか?

 

 彼女(シェーラ)は再誕世界での闘いの後に、とある理由から殆んど全てのエネルギーを使い切ってしまい、今はアウローラ──神魔因子保有艦シャブラニグドゥの管制人格として眠りに就いている状態だ。

 

 それを目覚めさせる為にもユートは、彼女らの様な魔族が欲するエネルギーの源となる【負の感情】を蒐集していた。

 

 即ち相手を憎悪させつつ恐怖を与えて、更には絶望に落とさせる。

 

 こうして斃してから後に負の感情をエネルギーと化して回収するのだ。

 

 下級堕天使ドーナシークもコカビエルもだが、言うなればこの為の犠牲となったという事。

 

 ユートにとって優先すべきは身内であり、敵なんかは考慮の埒外でしかない。

 

 そう、今のユートからすれば敵とは家族を目覚めさせる餌、とことんまで怒らせ憎悪の対象となって力を以て恐怖させ、容赦なく殺す事により絶望をさせるだけなのだから。

 

 下手をしたならば今は家の方でのんびりとしているミッテルトも、生かさず殺さずで苦しみを与え続けられて、彼女の食事を定期的に抽出するシステムにされていたかも知れなかっただろう。

 

 それは兎も角として、戦闘も終わったしグレモリー眷族と合流を果たすユート。

 

 見れば聖剣は砕かれて暗黒聖衣も粉々に破壊されており、フリード自身も気絶をしているらしくて倒れていた。

 

 バルパー・ガリレイの方は既に命脈も尽きたか絶命をしているらしく、生気の全く無い然しながら苦悶の表情で固まっている。

 

「うん? ゼノヴィアはどうしたんだ? 何だか魂が抜けた様に項垂れてるみたいだけど……」

 

 ゼノヴィア・クァルタは折角勝ったというのにどうにもそんな雰囲気ではない。

 

「あの、ゼノヴィアさんが既に主が亡くなられていた事を知ってしまって」

 

「ハァ!? 何で?」

 

 トップシークレット事項であるこの事実を知っているのは、悪魔は魔王と大王と大公に後は老人連中くらいであり、堕天使も幹部しか知らないだろうし、天界は当事者故に全ての天使が知ってるかも知れないが、教会の連中は仮令、ローマ法王であろうとこんな事は知り得ない筈だ。

 

「僕の【双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)】を見たバルパー・ガリレイが、『聖魔融合なんて事が出来るのは、聖と魔のバランスが崩れているからだ。だとしたら魔王だけでなく神もこの世に亡い』……そう言ったんだよ」

 

 木場が説明をする。

 

「チッ、人間としては底辺の屑の癖に、無駄に優秀だったって訳か。しかも自己顕示欲が強いから自分の知り得た情報を披露したくて堪らなかったんだろうな」

 

 流石のユートもこれは口汚く罵りたい気分だ、バルパー・ガリレイが要らない事を言った所為でゼノヴィアの運命は決まってしまった。

 

「というかよ、ユウはこの事を知っていたの? それにアーシアも驚いてないって事は……」

 

「僕はサーゼクスと会った時に、知っていた方が良いだろうって教えて貰っていたからね。アーシアにはウチで引き取った時に教えたんだよ。万が一にも今回の様な事があって知ってしまっても、冷静でいられる様に……ね」

 

「そう……」

 

「まあ、然しだ。優秀ではあったが特別に優秀という訳でもなかったな、バルパー・ガリレイは」

 

「? どういう事?」

 

 意味が解らないとリアスが首を傾げ、その他の面々もよく解らないという様な風情である。

 

「解釈を間違っているよ。元々、世界とは光と闇が、聖と魔が混じり合う混沌だったんだ。この世界では、神がシステムによって制御して、これらが再び混じり合うのを抑制していたに過ぎない。互いに正反対の力が混じり合うと、混沌の力となって莫大なモノを得られる反面、暴走もし易い。今のシステムは神の不在の所為で、天使長ミカエルが受け継いで熾天使達と制御をしているけど、聖書の神ほど上手く扱えずシステムの規模も縮小せざるを得ないのだとか。その為に悪魔の治療を行った者、神の不在を知った者をシステムの中枢たる教会に近付けるとバグが発生し、システムエラーが出てしまう。だからこそアーシアみたいに信仰心の強い敬虔な信徒で【聖女】と呼ばれていようが、或いは貴重な聖剣デュランダルの担い手であろうが、軒並みに異端として追放をするしかなくなるんだ」

 

 呆けていたゼノヴィアがクワッと勢いよく目を見開いた。

 

「ほ、本当なのか? 今の話は……」

 

 幽鬼の如く表情でユートに掴み掛かる。

 

「本当だよ。サーゼクスから聞いたし、こないだ連絡をした際に直接ミカエルと話して確認もした。だから前に言ったろ? ミカエルがどんな気持ちでアーシアを異端として追放したか、それを知りもしないで君ら教会の連中は、アーシアを罵倒したのだ……とね」

 

「う……あ……っ!」

 

 蹌踉(よろ)けるゼノヴィア。

 

 事情を何も知らなかったとはいえ、アーシアを異端の魔女と偉そうに罵った。

 

 今にして思えばアーシアに堪えた様子が無かったのは、決して開き直りなどでは無く神の不在を知っていたが故。

 

 (さぞ)や滑稽に見えただろう、居もしない神の名を平然と騙る自分の姿は……

 

「は、ハハ……いったい何だったんだろうな? 私の信仰とは……」

 

 最早、ゼノヴィアとしては自嘲するしかない。

 

「リアス・グレモリー」

 

「何かしら?」

 

「私を眷族にして貰えないだろうか?」

 

「…………は?」

 

 行き成り、それも余りにも予想外な申し出にリアスは呆けてしまう。

 

「私はもう教会には戻れないらしいし、そうなってしまうと行く宛も無い。この場合は堕天使の下に身を寄せるのだろうが、コカビエルを討つ手伝いをした私がのうのうと味方面は出来ないだろう。それで中途半端になるくらいなら、敵対していた悪魔に身を窶した方がまだマシな……筈?」

 

「だけど良いの? 一度、悪魔になってしまえば二度と人間に戻れなくなるわ。それなら、アーシアみたいにユウの所で世話になるのも選択肢の一つよ?」

 

 何か自棄糞になっているゼノヴィアを見て、リアスも一応の説得を試みる。

 

「コカビエルを一人で斃してしまえる彼に、回復に秀でたアーシア・アルジェントは兎も角、デュランダルが強いだけの私など、必要とはされないさ。だけど、悪魔になれば身体能力だって上がるし、デュランダルも含めて少しは貴女の役にも立てるだろう」

 

 戸惑っているのはリアスだけでなく、一誠達も同様であった。

 

 困ってリアスはユートの方に目を遣る。

 

「本人が良いと言ってるんだし、望みの通りにしてやったら?」

 

 投げ遣りに言い放った。

 

 無理矢理は論外にせよ、本人の意に沿うなら悪魔化も選択肢の一つだから。

 

「ハァ、判ったわ。駒は持って来てないから、後日という事で良いかしらね? そうね、剣を使うのだからゼノヴィアには騎士(ナイト)の駒が良いかしら」

 

「ああ、宜しく頼む」

 

 ゼノヴィアは嘗ての敵、悪魔たるリアスに頭を下げて誠意を示した。

 

「さて、そういう仕儀になった訳だが、そろそろ出て来たらどうだ?」

 

 話が付いた瞬間、ユートは虚空に向かって叫ぶ。

 

「どうしたの、ユウ?」

 

「闘ってる最中、僕に向けて戦意をぶつけてきた奴が居る」

 

『『『『え?』』』』

 

 全員が驚かを露わにする……否、ユーキとアーシアは驚いている様子は無い。

 

「やはりですか。チェーンが未だに緊張してるから、何者かが居るとは思ってましたが……」

 

「其処に居るのは判っているよ、龍の気配は消せてないし」

 

 アーシアの纏う紅にも近い聖衣……それは即ちアンドロメダ星座。

 

 ユートが造った模造品の聖衣とはいえ、本物と遜色ない防御本能を持つ星雲鎖は健在だ。

 

 ユーキには原作の知識がある上に、龍の持つ独特の気配が赤龍帝以外にも感じられている。

 

 判らない道理は無い。

 

「ほう、大したものだな」

 

「……空です!」

 

 逸早く気付いた小猫が、空を指差すと全員その方向を見遣る。

 

「あ、あれは!」

 

「俺の鎧の色違い?」

 

 木場と一誠が驚愕をするのも無理は無かった。

 

 夜空に浮かんだ人影──それは一誠がライザー戦で成った【赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)】を白くしたみたいな鎧を纏っていたから。

 

「一誠の鎧の色と細部違いな鎧……成程、お前が今代の白龍皇って訳か?」

 

「なっ!? 白龍皇?」

 

 ユートの言葉にリアスが反応を示す。

 

「な、なあ? 白龍皇って何だよ? 赤龍帝と何か関係があるのか優斗?」

 

「白龍皇アルビオン。それは二天龍の一角、赤龍帝のドライグとは謂わばライバル関係にあるらしい」

 

「そうなのか、ドライグ」

 

《そうだ、相棒。奴こそ、千年を越えて戦い続けてきた白龍皇アルビオンだ》

 

 しかも鎧を身に付けているという事は、既に白龍皇は禁手(バランス・ブレイカー)に至っている。

 

 未だ優斗の弾丸無しでは禁手化(バランス・ブレイク)が出来ない一誠では、間違いなく悠然と空を往く白龍皇には勝てない。

 

「それで白龍皇アルビオンの相棒さん、此方への用件は何かな?」

 

「アザゼルに言われてね、コカビエルの回収に来たんだけど、間に合わなかったみたいだ」

 

「よく言うよな、僕がコカビエルを討つのを黙って見てたクセに……さ」

 

 本当に回収する気があるのであれば、ユートが天球黙示録炮を撃つ前に介入していれば良かったのだ。

 

「フッ、どうかな? その男から話を訊かねばならないから、連れて行かせて貰うぞ?」

 

「それならば、アザゼルへの報告は任せても良いのかな?」

 

「ああ、勿論だ。報告を上げる……その為に俺が来たんだからな」

 

 白龍皇は気絶するフリードの首根っこを掴み飛び上がる。

 

《無視か、白いの》

 

《別に無視をしていた訳ではないさ、赤いの》

 

 一誠の籠手に宿る赤龍帝ドライグがアルビオンに話し掛け、それに白龍皇の鎧がはためかせている光の翼が明滅をしながら応えた。

 

《折角、出会ったのにこの状況ではな》

 

 染々と言うドライグ。

 

《悠久にも似た永い刻の中、そんな事もあるのだろうさ》

 

《何だ、白いの。以前みたいな敵意が伝わってこないじゃないか?》

 

《そちらこそ、私への敵意が段違いに低い様に感じるぞ赤いの》

 

《フム、お互いに戦い以外で興味の対象が在るって事か》

 

《まぁ、そういう事だな。此方は此方で愉しませて貰おう。こういうのも偶には悪くないものだろう? それではまた会おうかドライグ》

 

《それもまた一興か。じゃあな、アルビオン》

 

 今代に於けるファーストコンタクトを終えて、互いに別れを告げる赤と白の二天龍。

 

「赤龍帝に憑かれた者……強くなれよ、いずれ闘う事に成るであろう我が宿敵君。そしてコカビエルを鎧袖一触で斃した君とも俺は闘ってみたいものだな、黄金のオーラを放つ不可思議な闘士君」

 

 白龍皇は一誠とユートにそう言い残し、その身は白き閃光と成りて紺色の夜空へと消えた。

 

「さて、後の処理は直に来るサーゼクスの手の者に任せて此方は撤収しよう。ユーキ、悪いが今夜の相手を頼む。那古人も疲れているだろうし」

 

「オッケー、兄貴」

 

《マスター、私なら大丈夫ですが……》

 

「ダメ、那古人には休息が必要だよ」

 

《イエス、マスター》

 

 普段のクールな感じとは違い、沈み込んだ声音で返事をする那古人。

 

「どういう事?」

 

 先程の遣り取りの意味が判らず、リアスが皆を代表して訊くとユーキがそれに答える。

 

「兄貴は普段、余り全力は出さない。それは出さないというより出せないんだ。何故なら余り力を出すと、後の反動で強い性欲に変換されるから。コカビエルは黄金聖衣を使わなければならないくらい強かったし、一時間もしない内に欲情してしまうだろうね。本来は那古人が……それ以前には使い魔の彼女が相手をしていたけど、今回は那古人も戦闘で疲労してるからね。比較的、ダメージの少ないボクがお相手って訳だよ」

 

 ユーキの説明を聞いて、思わず唖然となってしまうグレモリー眷族とゼノヴィア。

 

 因みに元ライザー眷族の兵士(ポーン)のイル&ネルとレイヴェル、ミッテルトは未だに手を出してなくアーシアも其処は同様だ。

 

 ミラに関しては抑々が一誠の家――兵藤家で暮らしている。

 

「あらあら、それでしたらわたくしがお相手をしても宜しいですのに」

 

「何で?」

 

「むう、ユウ君ったらつれないですわ」

 

 素で聞き返されて剥れてしまう朱乃、小猫も少し顔が赤くてソワソワとしていた。

 

「んだよ、俺には下着姿ですら嫌がるのに、優斗だとヤらせんのかよ……リア充なんて爆発しちまえこん畜生がっ!」

 

 一誠は地面にのの字を書きながらいじけてしまって、流石に性に開放的でも乙女なリアスは真っ赤になって止まってしまう。

 

「うーん、混沌(カオス)だな」

 

 取り敢えずの復讐を終え賢者タイムな一誠の如く穏やかなる表情の木場は、総纏め的に苦笑いをしながら呟くのであったと云う。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 コカビエルとの闘いも終わって、夜中も夜中にサーゼクス・ルシファーがグレイフィアを伴い、ユートの家――神魔因子保有艦シャブラニグドゥの邸部分に来ていた。

 

「サーゼクス態々、僕の家まで来て貰って悪かったね」

 

「いや、私の方こそ間に合わなかった。君と共に闘えれば良かったのだけどね」

 

「気にする必要はないよ。僕は元々、サーゼクスに頼る気も無かったし」

 

「アハハ、もう少し頼って欲しいな」

 

 ユーキとアーシアと那古人は兎も角、悪魔側であるライザー眷族のイル&ネルとレイヴェルは緊張しっぱなしで、堕天使のミッテルトに至ってはガクガク、ブルブルと震えている。

 

 ミッテルトは仕方あるまい。

 

 目の前の相手は魔王とその女王であり、たった遂先程まで幹部様が敵対をしていたのだから。

 

「それで、どういう話になったのかな?」

 

「うむ、天界のミカエルと話し合ったが、こうなると堕天使側の動向が余りに不明瞭過ぎるから、一度アザゼルも交えて話し合いの場を持とうという事になったよ」

 

「アザゼルにその事は?」

 

「冥界に戻ったら打診する心算だ」

 

 どうやらそれなりに話は進んでいるらしくて、可成り具体的な部分にまで及んでいるらしい。

 

「君のお陰でもある」

 

「……?」

 

「ホットラインは繋がっていたが、使われる事なんて終ぞ無かった。だけど、ミカエルと腹を割って話せたのは君が、ユートが平然と他勢力と話す姿を見たからなんだよ」

 

 故にサーゼクスは決意をする事が出来た訳で、ミカエルとも話し合いは直ぐに決まったのだ。

 

「少しでも役に立ったなら良かったよ」

 

 ユートはニコリと微笑み、ポットの中から熱い紅茶を淹れる。

 

「ユート様、仰有って頂ければ私がお茶を御淹れれしましたのに」

 

「いや、グレイフィアだと茶器や茶葉の場所も判らないだろ? この家は僕の家だし持て成すのは家長として当然だ」

 

「は、はい」

 

「それに折角、冥界を離れてるんだ。メイドでも女王でもなく、グレイフィア・ルキフグスとして今夜辺りサーゼクスに甘えてみたらどうかな?」

 

「人様の家でそんな真似、出来ません!」

 

 それは至極尤もであるが、実家で甘えた結果が二人の愛の結晶たるミリキャス・グレモリーだ。

 

「ま、良いけどね。それで会合の場所は? 参加するメンバーは?」

 

「ああ、場所は駒王学園を考えている。メンバーは、私とセラフォルー、天界はミカエルと秘書を一人だ。堕天使側はまだ判らない。で、コカビエルとの戦いに直接関与したリアスとその眷族に君とユーキ君だね」

 

「ソーナ会長は?」

 

「彼女は会長としての仕事もあるし、出る必要も無いだろう」

 

「ふーん、判った。いつ頃を予定してるんだ? 当たり前だけど向こうさんの予定も考慮しなけりゃならないだろう?」

 

「それがだねぇ、実はもうすぐ授業参観があるらしいんだよ。だからその後、数日間辺りを予定しているのさ」

 

 授業参観……

 

 それは読んで字の如くだが、然し小・中学生ならまだしも、高校生で授業参観というのはシュールな気がする。

 

「授業参観にはセラフォルーも来る予定だから、妹御には内緒にしておいてくれたまえよ」

 

「セラもか。ソーナ会長も大変だね」

 

 駒王学園を会談場とするのならホストは悪魔側という事になるし、会談には出席せずともソーナは忙しくなるのであろう。

 

 その後は風呂に入り、寝室へと向かう。

 

 サーゼクスとグレイフィアは客室へと案内されて今夜は眠る事になる。

 

 翌朝、ユーキはお腹に鈍痛を感じて直ぐに目を覚ました。

 

「うっ、痛たた……」

 

 エロリストな堕天使として彼女らは意外な事に未通だったらしくて、昨夜のアレは筆舌し難い痛みを感じてしまうのだ。

 

 正直、愛を欲するレイナーレと見た目からしてマニア向けなミッテルトとは違い、カラワーナは普通にエロティカルな事をしているものとばかり思っていたのに実は処女でした……とか。

 

 存外とレイナーレのチームは、処女と童貞で組まれたものだったのかも知れない。

 

 それは兎も角として、サーゼクスとの話し合いによりギリギリまでユートは沸き上がる性欲を我慢していた事もあって可成り激しい行為となり、ユーキは自らが望んだ事だからと痛みを我慢していたのである。

 

 いつもの行為なら相手の身体を気遣うユートだったが、昨晩の場合は気遣いゼロの正に自分だけが満足する為の行為でしかなかった。

 

 共に行為を楽しむのでは無くて相手を使うという最低の性行為、とはいえこれはユーキが憑依をする肉体にカラワーナを使った弊害でもある。

 

「うわ、兄貴のが垂れてきちゃった……」

 

 いったいどれだけ量を射精()したんだと謂わんばかりで、サラサラな透明の液体となったユートの欲望の証が股から垂れてきている。

 

それに矢張りと云うべきか、股座に違和感があって少し動きがぎこちない。

 

「どうした、ユーキ?」

 

「あ、兄貴。少し御股痛いし、入っている感が凄くって違和感が……」

 

「ああ、違和感はどうしようもないけど痛みだけなら消してやれる」

 

 ユートはベッドから降りるとユーキの股へ(おもむ)ろに指先を挿入する。

 

「んっ! くぅ!」

 

 僅かな苦痛を伴う甘い吐息を出す。

 

 

 聖なる癒しのその御手よ

 母なる大地の息吹きよ

 願わくば我が前に横たわりしこの者を

 その大いなる慈悲にて救い給え

 

 

 治療系魔法の詠唱を唱えると【力在る言葉】と共に魔力を発した。

 

復活(リザレクション)!」

 

 周囲からエネルギーを取り込みながら、対象のダメージを癒すスレイヤーズ系魔法の一つだ。

 

「破瓜の傷に復活(リザレクション)って……これは流石に過保護じゃないかな?」

 

「大事な義妹のユーキの身を案じての事なんだから別に良いだろ」

 

 治癒(リカバリー)でも充分だったのだが、そのお陰でお腹の痛みも無くなった。

 

 ユートは自分のモノを流すべく手を洗いながら軽く笑って言う。

 

「さて、サーゼクスとグレイフィアを起こしたら朝食にしようか」

 

「うん!」

 

 ユーキは頬に朱を差しながらも無邪気な笑顔を魅せて頷いた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

サーゼクスとグレイフィアが二人で並んで部屋から出て来たら、何と無く昨日に比べて艶々としているグレイフィア様。

 

「其処な夫婦の御二人さん、昨夜は随分と御楽しみの様でしたね?」

 

 ユートが揶揄うかの様に訊ねるとクールビューティなグレイフィアの白い頬が、ほんの一瞬だったけれど朱色に染まる。

 

 メイド服を着ている時は飽く迄もメイドである事を貫き通すグレイフィアではあるが、サーゼクスによる『なら脱げば問題無いね』という言葉と同時の脱衣術でメイドとしての仮面が剥がれて、すっかり他人の家だと忘れて事に及んだらしい。

 

「申し訳御座いません……余所様の御宅での破廉恥な行為、主に成り代わり謝罪させて頂きます」

 

「いや、別に構わないよ。僕も二人がベッドの上でイチャイチャするのを推奨したんだし」

 

「ですが……」

 

「ふう、それじゃあ朝食を作ってよ。飛び切り美味しいのを」

 

「! 畏まりました」

 

 ユートの提案に、パーっと笑顔になり一礼してキッチンへと向かった。

 

「済まないね」

 

「彼女、御堅過ぎるだろう」

 

「アハハハ……」

 

 サーゼクスは苦笑いする。

 

 サーゼクスとグレイフィアはその侭、冥界へと戻って四大魔王を招集して会談に向けた会議をするという。

 

 ミカエルにはその際、ホットラインで連絡をして会談をいつ行うかの正確な日時を決めるのだ。

 

 ユートはみんなを連れ普通に駒王学園に登校、

どうやらサーゼクスの部下が良い仕事をしてくれたらしくて、体育館や校庭はすっかりと元通りになっていた。

 

 授業の終了後には全員が【オカルト研究部】に集合して一大発表がされる。

 

 先日、本人が言っていた通りにゼノヴィアが悪魔化して騎士と成った、また紫藤イリナは破壊されたエクスカリバーとバルパー・ガリレイの遺体を持って帰った。

 

、ゼノヴィアが悪魔に成った事で多少の一悶着があったらしい。

 

 コカビエルを斃して数日間で様々に変遷した、部活動での話題は例の真っ白い鎧の男の事。

 

「あの白い鎧は【白龍皇(バニシング・ドラゴン)】って言うんだ。十三種在る【神滅具(ロンギヌス)】の一つ、【白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)】……あの姿は禁手(バランス・ブレイカー)状態の【白龍皇の鎧ディバイン・ディバイディング・スケイル・メイル】だよ」

 

 ユーキは白龍皇と称されているアルビオンに関して教える。

 

 白い龍は赤い龍と対を為す龍、千年を越えて争い合ってきたが三大勢力の戦争の中で喧嘩をし、神と旧魔王によって斃されて神器(セイクリッド・ギア)へ封印されてしまう。

 

 だがこの二頭は懲りずに、歴代の神器保有者(セイクリッド・ギア・ホルダー)を代弁者とし、三大勢力の戦争後に何度も争い続けたのだ。

 

「【白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)】の能力は、触れた対象の力を一〇秒毎に半減して自分に上乗せする事だ。それと禁手(バランス・ブレイカー)に至ってるならとっくにもう一つの能力も使えるだろうね」

 

「もう一つ? それって、俺の【赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)】みたいに?」

 

「そうだよ、赤龍帝」

 

 ユーキは頷く。

 

「能力名は判らないけど、物質やエネルギーを半分にする力だよ」

 

「半分?」

 

 首を傾げる一誠に対して言ってみれば原典通りの説明をする。

 

「例えば、リアス先輩の胸に使ったら先輩のバスト・サイズが半分に……」

 

「な、なにぃぃぃっ!? おのれ白龍皇! 部長の、部長の素敵なバストが半分だと? ゆ、ゆ、許せんっ! あの半分マニアめぇぇぇ!」

 

 激昂して一人で怒り狂う一誠、リアスは恥ずかしそうに胸を腕で庇う。

 

「それにしても、その貴女の情報はいったい何処から得てきたのかしら?」

 

「秘密!」

 

 原作知識です……とは言えない。

 

「まあ、良いわ……ユウ」

 

「何かな?」

 

「お兄様、サーゼクス・ルシファー様から連絡があったわ。この駒王学園で三大勢力のトップによる会談が開かれる事が確定したの」

 

「……そう」

 

「一応ではあるのだけれど、堕天使側は総督の知らない内にコカビエルが暴走したのを正式に謝罪するらしいのよ」

 

「そっか。それなら連絡を密にした甲斐はあったという事かな?」

 

 ユートは満足そうに言う。

 

「それじゃあ、部活動を始めましょうか」

 

 部活動の後、予てからの約束通りに木場も含むボーリングやカラオケにて、元浜達と娯楽の時間を愉しむのであった。

 

 

.

 

 




 取り敢えず第3章だけは終わらせました。


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