お喋りの大好きな少年がいましたとさ。

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少年のただの独り言。

 いや、何。こんなくだらないことはさ、こんな夜更けにくらいしか呟けないからこうして呟く訳なんだ。これはもう、短編だとかそういう高尚なものじゃない。ただの独り言さ。僕のただの独り言。君は偶然、僕の可哀想な独り言が聞こえてしまっているだけの不幸な人間。ああ、可哀想。僕なんかの声が聞こえて、なんて可哀想なんだろう。

 あはは、ちょっと煽りっぽくなったかな。まぁ、だけど可哀想なのは事実だよ。だってこれから話すただの独り言はさ、救いもなければ罪も罰もない、ただの結果なんだからさ。

 

 僕にはね、少し前まではちゃんと生きているっていう自覚があったんだ。食べて、寝て、ちょっと性欲を処理なんかしたりして、三大本能に従ってちゃんと生きていた。それ以外の本能や欲求もちゃんとあって、友達と遊んだり好きな人にちょっと無理をして話しかけてその日を上機嫌に過ごしたりもした。

 うん。していたはずなんだ。していたはずなのに、どうしてなんだろうね。

 僕は、急にそれらがなくなった。

 食欲も睡眠欲も性欲もちゃんとある。だけど、友達や好きな人がいなくなったんだ。イジメとかじゃなくて、こう、なんて言うんだろうね。興味関心が、すとんと落ちちゃったみたいな感じかな。

 誰かに認められる意味も感じなくなったし、友達と遊んでもどこか倦怠感が襲ってくる。好きな人に話しかけようという気力も湧かない。そもそも本当に好きだったのかも怪しく思えてきた。

 だから何なんだろう。僕は、「人間」じゃなくなった。

 「人間」の形をした別のいきもの。多分僕はそれになった。

 ね。可哀想でしょ、僕なんかの声が聞こえる君は。こんなバカみたいな、訳の分からないことを言うような奴の声が聞こえるなんて、悲劇に違いないや。

 

 まぁ、聞き流してくれてもいいんだ。だってこれは独り言だから。たださ、その流れていく中で少しくらいは意識してくれるとありがたいかな。

 僕がいたこと。僕がこんな愚かないきものになっちゃったこと。それだけでも記憶の片隅に残ってくれたら嬉しいかな。

 それじゃあ、僕はこの辺で。もう、帰らなきゃ。

 ああ、最後に一つ。

 君ももしかしたら、僕みたいになるのかもしれない。だけど、その時はさ、僕みたいに諦めないで。頑張って、人間を演じてさ、あれこれ悩みながら時折幸福に浸って、何とか人間に戻って、最後には愛する家族の前で静かに息を引き取って欲しいかな。

 それは、僕じゃできなかったことだから。

 

 ね、お願いね。

 それはじゃあ、僕は本当に戻ろうかな。

 ん? どこに、って?

 決まってるじゃない。君の可能性の一つ。君が選ぶ選択肢によって起こるかもしれない、未来の世界に。

 それじゃあ、さようなら。

 僕じゃない、無限の可能性を持つ、僕。




可能性の一つからの忠告だそうです。さぁ、君は一体どんな選択をするのかな。

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