というわけでぬるっと復活。皆様、大変長らくお待たせいたしました。ライダーガシャットの再販ラッシュに歓喜している自由の魔弾です。
はい!約二ヶ月の充電期間を経て戻ってきました。新卒1年目はキツイです、本当に。 早くお金貯めて遊んで暮らしたいですね。
それでは、どうぞ!
「コンティニューしてでも、この物語を終わらせる!」
『もしもしたっくん?どうだった?千歌ちゃんたちのライブは?』
Aqoursと合流してから数時間後、巧は状況が気になって仕方なかった啓太郎から電話を受けていた。一人内浦に残ってくれた啓太郎のために、イベント終了時刻を巧があらかじめ教えておいたのだ。
「あぁ、こっちは無事に終わったぜ。今から帰るからよ、詳しい話はそっちについてからな。じゃあな」
『え!?ちょ、ちょっとたっく』
もっと詳しい内容を聞きたかったのか途中で言葉が切れた啓太郎。巧は啓太郎に悪いと思いながらも、電話では伝えなかったこちら側の状況をどうにかしなくてはならなかった。
「おい、何ボーっとしてんだ?そんなとこで」
巧は他のAqoursメンバーから少し離れた柱の陰で、買ってきたアイスを持ったまま立っている千歌に声をかける。何かを考え込んでいたようで、少し遅れて巧に気づいた。
「・・・ッ!巧くん。ううん、何でもないよ。みんな待ってるから行かなきゃね」
千歌はそう言って、Aqoursメンバーのもとへ走って行く。早速持っていたアイスを配っているようだが、その様子はどこか無理して明るく振舞っているように見てとれた。少なくとも長い付き合いの曜は千歌の心の変化を察したようだ。
そして、千歌は不意にこんな事を言い出した。
「私ね、今日のライブ、今まで歌ってきた中で出来は一番良かったって思った!入賞はできなかったけど、それでもちゃんとライブできて良かったと思うんだ」
『千歌ちゃん・・・』
千歌が気丈に振る舞う様子を見て、思わず梨子と曜の声が被る。当然、巧は口を出すことはなかった。事前にダイヤからこうなることに釘を打たれていたからだ。
「それよりさ、折角の東京だし楽しもうよ!」
明らかに無理をして作られた千歌の笑顔は、本来の輝きを失った見るに耐えないものだった。
「ごめんなさいね、呼び戻しちゃって。これ、渡し忘れてたって思って」
千歌の言葉通りに東京の街に繰り出そうとしていたAqoursだったが、大会の運営スタッフに呼び戻された。その要件は大会の投票結果を渡すためだった。
「今回、お客さんの投票で入賞グループ決めたでしょ?その集計結果なんだけど・・・正直、どうしようかなぁってちょっと迷ったんだけど、一応決まりだから。それじゃ!」
スタッフはそれだけを渡すと走り去ってしまった。早速その中身を確認してみるAqoursだったが、その内容は衝撃的なものだった。
30.Aqours ・・・・・・・・・0
その結果を受けて梨子が思わず現実を突きつける。
「私たちに票入れた人、一人もいなかったってこと・・・?」
より一層雰囲気が暗くなるAqours。不意に善子が巧に突っかかる。
「ちょっと!0票ってどういう事よ!あなた私たちに入れてくれたんじゃなかった訳!?」
巧は何も言い返さない。ただ無言で善子からの追及の言葉を聞いている。その様子を見て自然と巧に視線が集まっていく。そんな彼らのもとに思わぬ人物が現れた。
「お疲れ様でした。素敵な歌で、とても良いパフォーマンスだったと思います。ただ、もしμ’sのように、ラブライブを目指しているのだとしたら・・・諦めた方がいいかもしれません」
現れたのはSaint Snowだった。Aqoursよりも完璧で、圧倒的なパフォーマンスを披露した彼女たちだったが、そんな彼女たちですら入賞はできなかった。一体何をしに来たというのか?そんな疑問も次の言葉で払拭された。
「・・・バカにしないで。ラブライブは・・・遊びじゃない!」
その一言で全てを悟った。Aqoursのパフォーマンスは本気でラブライブを目指す他のスクールアイドルを侮辱している。彼女たちはそう言いたいのだろう。当然、Aqoursが不真面目にライブをしていた訳でなく、今まで以上にパフォーマンスが出来たという千歌の言葉は本心だろう。ただ、彼女たちの全てを取り巻く環境が違いすぎたのだ。
「それに、その方を責めるのは筋違いかと。投票とは私たちの歌、ダンス、パフォーマンス全てに公平に判断された結果。知り合いだからといって情けで票を入れてもらったとしても、それは実力ではありません。それだけは理解していただけると助かります。それでは」
Saint Snowはそれだけを伝えて、その場を離れていった。残された巧とAqoursの間に大きな溝が出来てしまったように思えて仕方がない。
「とにかく、帰ろうか」
不意に梨子が話を切り出した。そして、誰からともなく歩き始めた。誰も巧のことはこれ以上追及しなかったが、Aqoursの後を少し遅れて歩く巧だったが、心のすれ違いは確実に広まっていく一方だった。
数十分後、帰りの電車に乗るため駅に着いたAqoursと巧。無事に切符を買ったのを確認すると、Aqoursを送り出すことに。
「じゃあ、俺は一人で帰るからよ。お前ら、気をつけて帰れよ」
巧がそう言うも、目覚ましい反応は返ってこなかった。仕方なく巧は踵を返して駅を出ていく。お互い理解するのには時間がかかるのかもしれない。
巧は駅の近くに留めていたサイドバッシャーに乗り込む。そして、発進する寸前にミラー越しに誰かが立っていることに気づいた。
「お前は・・・何だよ、まだ何かあんのか?」
「どうも、昨日ぶりですね。一つ忘れていた事がありまして、これを渡し忘れていました。どうぞ」
巧のもとに現れたのは梅原沙希だった。沙希は巧にとあるリストを譲り渡した。リストを開いて中身を確認すると、一見意味を理解しかねるものだった。
「野口昌弘、田中慧、皆本麗子、山口英梨、天王和晃・・・何だこれ?」
巧はますます意味が分からず、沙希に真意を問う。もちろんただの文字の羅列じゃないことは確かなはずだが・・・。
「このリストに載っている人物は、既に亡くなっている可能性があります。もしくは、九死に一生を得た人物とも言えるでしょう。王を探す実験の所為で」
沙希の言葉で巧はあることを思い出す。かつて真理や草加、そして澤田が犠牲になった流星塾のことを。彼らだって元々は九死に一生を得た人生を送ってきた子供たちの集まりだということを。
「王?でもあれは確かにあの時・・・」
巧はオルフェノクの王と戦った記憶を思い出す。木場や三原とともに戦った記憶を。確かにあの時、ブラスターフォームの強化型クリムゾンスマッシュで吹き飛んだはずだと。
「乾さん、王はまだ生きています。その証拠にまたオルフェノクが人間を襲い始めました。それに・・・乾さんもまだ生きています」
かつて木場が言っていたことを思い出す。オルフェノクの王をなくして、オルフェノクが生き残ることは出来ない。人間を捨てないと死ぬと。
「それで、このリストの人物が何だってんだ。まさか、全員オルフェノクだって言うのか?」
「それはまだなんとも。ただもしオルフェノクだった場合、スクールアイドルが危険なことは確かです。特に、急に名前が売れた彼女たちは」
沙希の言葉に黙り込む巧。意図した訳ではないが、現在の状況はあまりいいものではない。出来ることなら近くで彼女たちを守りたいが、それは難しいだろう。
「どうか彼女たちを守ってあげてください。それが出来るのは乾さんだけなんですから」
沙希はそう言って、足早に去っていった。一人残された巧は思わず考え込む。例え忌み嫌われようとも彼女たちを守るという想いとともに、サイドバッシャーを走らせる巧だった。いつか必ず理解し合えると信じて。
Open your eyes for the next φ’s
「千歌ちゃんは・・・悔しくないの?」
「ダイヤから聞いた。千歌達のこと」
「私たち、もうダメかもしれないね」
「いいんだよ。俺が受け止めれば済む話だ」
第22話 亀裂 〜Χの苦悩〜