IS×ウルトラマンメビウス 〜ヒカリの軌跡〜 作:機動の鉄虎
取り敢えずサイドだけ明確に示した感じですかね。
第2回モンド・グロッソ決勝戦当日、M78星雲光の国では…
「ヒカリ、今から君に地球に向かってもらいたい」
メビウスと共に地球を守った戦士、ウルトラマンヒカリが宇宙警備隊隊長、ゾフィーに呼び出されていた。
「地球に?だが怪獣の気配は無いのでは無かったのか?」
宇宙警備隊の中では新参者に近いヒカリだが、実はゾフィーより少し歳が下(とはいえ3000歳ほどと人間からしたら途方にくれるほどの年齢差)で、警備隊内では2番目の高齢者なのでゾフィーとはタメ口で接している。
「ああ、だが当時地球に潜伏していた宇宙人の存在を知らされたのだ」
「アストラからの報告か?」
「そう言う事だ。だがアストラは訓練を積ませているとはいえ長期的な地球防衛の経験がない。だからメビウス程ではないが中期ほどの地球防衛の経験がある君に行ってもらいたい」
「分かった。俺で良ければ引き受けよう」
「それとあともう1つ言っておきたい事がある」
「なんだ?」
「セリザワと分離してもらいたい。既にウルトラの母に分離処置の要請はしてある。この任務が終わってからで構わない」
ヒカリは過去に地球に訪れた際にディノゾールとの初戦闘で重傷を負ったリュウの前の前のGUYS隊長、セリザワ・カズヤと一体化する事で地球では割と自由に行動できていたのだ。
「どういう事だ?セリザワの存在はメビウスと違いあまり知られていないから今後地球に行く事になった場合でも有用では無いのか?」
「この先必ず、GUYSは必要になる。その為にもセリザワには早い内にGUYSに戻ってもらう必要がある」
「つまり俺はGUYSとは関係の無い地で地球防衛をするという事だな?」
「ああ、実際日本以外のGUYSは全て解体されているしな。まあそれは気にする事では無いだろう。君にはドイツに向かってもらう」
「ドイツか、確か競技種目となった新しい地球防衛兵器の競技大会が実施される場所だったな」
「ああ、そのドイツ付近なんだ。反応があったのは」
「そうか、後は実際に行って対処しよう」
「頼むぞ、ヒカリ」
「了解した」
そう言うとヒカリは地球へ向けて飛び立っていった。
「何事も無いと良いのだが…」
ゾフィーがそう呟いたのはヒカリが飛び立ってすぐの事であった。
その頃、ドイツでは
「頑張ってくれよ、千冬姉」
「ああ、必ず勝ってくるさ」
前回優勝者かつ今回の優勝候補大本命、織斑千冬とその弟である織斑一夏が話をしていた。
「じゃあ、私は先に会場に向かっている。大丈夫だとは思うが迷うなよ?」
「心配するなよ千冬姉。ちゃんと見届けるからさ、千冬姉の優勝を」
「そうか、ならば負けられんな」
そう言うと、千冬は宿舎を後にし会場へと向かった。
一夏は軽く朝食を取った後、千冬の応援に向かうために宿舎の外へと出た。
宿舎は出場者の家族に限り連れてくる事が許されていたので一夏は問題なく過ごしていた。
その時、いかにも怪しそうな男が一夏に声をかけた。
「失礼、モンド・グロッソの会場はどちらかな?」
「会場ですか?今から俺も行くので一緒に…ちょっ、何するんですか!!」
その男は一夏の手を掴み、強引に連れて行こうとしたのだ。
「一緒に来てもらおう、織斑一夏…」
そう呟くと、謎の男は宇宙人へと姿を変えた。
「なぜ俺の名前を…ってその姿は!?」
「俺の名はナックル星人。この地球を侵略するためにやって来た正真正銘の宇宙人だ」
ナックル星人とは、かつて地球を侵略しようと企んだ宇宙人。帰ってきたウルトラマンことウルトラマンジャックに変身する郷秀樹を精神的に苦しめ、また光エネルギーが弱まる夕方を狙い自らが使役する用心棒怪獣・ブラックキングとの華麗なコンビネーションで1度はウルトラマンジャックを完膚なきまでに叩きのめすなど狡猾な印象が深い宇宙人でもある。
GUYSのアーカイブドキュメントにも記録が残っている。
「ナックル星人!?ここ1年怪獣や宇宙人は出現していなかったんじゃ…」
「残念だったな。地球人が偽りの平和を享受している間、私をはじめとした侵略目的の宇宙人は着々と準備を進めていたのだよ」
「でも、それと俺に何の関係があると言うんだ!」
「君は知らなくていい事だ。さあ、悪いが力ずくで連れて行かせてもらうよ」
「そんな事させ…ガハッ!」
ナックル星人は一夏の鳩尾を殴打し気絶させた。
「本当にこれで奴らはコアと言うものを提供するんだろうか…?まあいい、地球人とも多少は仲良くしておかないとな」
ナックル星人は独り言を言ってから一夏を担ぎ、その場を去った。
ヒカリサイド
一方、ドイツに光の球体として静かに降り立ったヒカリは、今後の行動について考えていた。
「今回はセリザワの体が使えるから良かったものの、次以降に地球に行く事になった時のために俺も人間態を用意すべきかもしれんな…。取り敢えず、街に出て調査をするとしよう」
ヒカリはセリザワ・カズヤへと姿を変え、街へと向かった。
千冬サイド
その頃、決勝戦に向けて準備を進めていた千冬に、一夏の行方が分からなくなったとの知らせが届いた。
「何!?一夏を最後に見たのは誰なんだ?」
「選手用宿舎の前で宇宙人らしき相手と押し問答をしているところを見たと宿舎の職員からの報告がありましたが、その後は行方をくらませたとの事です」
「ぐっ、それでは現在の居場所は分からないではないか!何とかしないと、私のたった1人の家族が…」
葛藤する千冬に、語りかける声があった。
「千冬…織斑千冬…弟を助けたいか?」
千冬はその声を聞くと、目の前にはモンド・グロッソの控え室とは程遠い風景が広がっていた。
「ここは一体…お前は何者だ!?何の目的で私に語りかけている、答えろ!」
「君の弟である織斑一夏を保護するためだ。私たちを信じていただければ君の弟を助け出す事を約束しよう」
「まずは名を名乗るのが道理では無いのか?」
「名か、私の名はゼノン。ウルトラマンゼノン」
「ウルトラマン…ゼノン?」
「地球人は私の事をそう呼んでいる」
「信じて良いのだな?」
「ああ、構わない」
「分かった。ならば一夏の事をお願いします」
「責任を持って救出させてもらう」
千冬が会話を終えると、千冬の目の前には先ほどと同じ控え室の風景が蘇っていた。
「あれは一体、何だったのだろうか…」
千冬にはそう呟くのが精一杯だった。
ヒカリサイド
街を散策しつつ情報を集めていたヒカリだったが、これといった情報は得られずにいた。
「まさかとは思うが既に動いていたりはしないよな…?む、あれはゾフィーからのウルトラサイン!?」
ウルトラサインとは、ウルトラマンたちの情報伝達手段で俗に言う電子メールのようなものだ。
上空に映し出されるが、ウルトラマン以外には見えないので問題は無い。
「地球に潜伏していた宇宙人はナックル星人だと判明した。また、ナックル星人により地球人の少年が誘拐されている。ゼノン今からそちらに向かわせるので合流し、速やかに少年を救出してくれ」
ゾフィーからのウルトラサインはこう示されていた。
これを見たヒカリはチッ、と舌打ちをし、
「やはり先に手を打たれていたか!やはり地球は完全な平和をまだ掴めていないのかもしれないな…」
こう呟きゾフィーが指定した合流地点へと向かった。
ゼノンサイド
その頃、地球に向かう準備を進めていたゼノンに盟友でもあるウルトラマンマックスが声を掛けていた。
「ゼノン、地球に行く事になったそうだな」
「ああ、とはいえ短期滞在になりそうだがな。人間態を持っていないのが欠点といえば欠点だが、旧DASHのトミオカ長官の姿を借りようかと思っている」
DASHとは、GUYSの前に存在した地球防衛組織でウルトラマンマックスやゼノンと共に地球を守った歴戦の勇者たちだ。(なお、ゼノンは殆ど関与しておらずほぼマックスの手柄でもあるが)
そこで長官を務めていたのがトミオカ長官である。
「そうか、私もかつて一体化していたカイトの姿を借りているしな。我々を信じて共に戦ってくれたトミオカ長官の姿を借りるなら大丈夫だろう」
「そこでマックス、1つだけ頼みたい事がある。マックスギャラクシーを一時的に貸してもらえないか?」
「ああ、構わないさ。元々あれはゼノンの所有物だしな」
マックスギャラクシーとは、ゼノンがマックスに託した武器で、元々はゼノンが所持していたものである。
またこの後、平行世界へ調査に向かった際にウルトラマンエックスにもサイバーカードとして受け継がれる事になるが、それはまた別のお話。
「すまないな。大先輩の救援となると流石に必要な時が来ると思ったから万全を期すためにも借りようかと思ったんだ」
実はゼノンは推定7900歳と言われておりヒカリとゼノンは約1万4000歳も離れており、想像を絶する年齢差なのである。
「それに、誘拐されたという少年の家族とテレパシーで話をした」
「何を話したんだ?」
「私が話をしたのはどうやら姉君のようだったが、彼女にとってその少年は数少ない家族らしい。だからしっかり助けてやりたいと思ってな」
「なるほど、そんな事情が…だが、お前ならできると私は信じている」
「ああ、やり遂げてみせるさ。それじゃあな」
「頑張ってこい、ゼノン」
マックスの見送りを受け、ゼノンは地球へと向かった。
〜次回予告〜
ゾフィーの指示を受けヒカリの救援に向かったゼノン。
しかし、そのゼノンの前に用心棒怪獣・ブラックキングが立ちはだかる!
更に一夏を引き渡したナックル星人も加勢し、ゼノンは追い込まれていく!
ヒカリも救出を断念しゼノンを援護に入る。
そんな中、千冬はある決意を固めるのであった…
次回、プロローグ第2話
「織斑一夏誘拐事件・後編」