梟サイズのホロロホルルに生まれ変わった。
モンハンの世界かと思いきや普通の現代日本。
…………意味わかんねぇよ!!!!
これは人間がホロロホルルに生まれ変わり、また人間になる話。
続けるかどうかは不明!!
ハロー、紳士淑女の皆様方。
ワタクシ、ホロロホルルと申します。
元人間でありましたが、生まれ変わったようです。こうしてモンスターの姿となっております。
ホロロホルルと言えば、モンスターハンタークロスで出てきた新種モンスター。羽根のような刃を使った攻撃や、催眠の超音波、混乱を起こす鱗粉などを得意とした、鳥竜種でございます。接近戦を得意としたハンターには脅威となるホロロホルルですが、遠隔戦を得意としたハンターには格好の的。見た目だけ良し!な残念なモンスターで有名でございます。
さて、ホロロホルルの事についてはこれぐらいにして、ワタクシの事ですが……。
皆様方、ホロロホルルになったなら、モンスターハンターの世界だと思われるでしょう。
だが、しかし!違うのです!
どうです!?見渡す限りの森!森!
これだけならば、モンスターハンターの世界だと思ったのですが、遠目に見て街があるのです。
モンスターハンターにある、村でも、集落でも、集会所でもない。木ではなく、鉄筋やコンクリートで出来た街。
おわかりいただけたでしょうか?
今、ワタクシがいる所は日本。
THE・日本なんですよ!!!
…………意味わかんねぇよ!!!!
ホロロホルルとなった元人間は、目の前にある光景に自身の目を疑っていた。
今は、昼。昼行性である人間達が活発に動く時間帯だ。ホロロホルルの前にはそんな人間達が街を行き交っていた。
ビルの屋上から見下ろすホロロホルル。その体躯は本来のモンスターとしての大きさではなく、一般的な梟の大きさであった。詳しく言うのならば、ホロロホルルに似た梟のミミズクぐらいだろうか。
そんな彼は絶賛混乱中であった。それはもう、自分の一人称を間違え、普段しない丁寧な言葉遣いを使うほどまでには。ホロロホルルになってしまったからか、道化師のような口調をしている事には彼は気づかない。
ホロロホルルがいる場所は、どう見ても日本であった。平和な日本であり、別に超能力者が蔓延っていたり、死神が街を監視していたりもしていない。一般的な、普通の日本である。もう一度言う。普通の!日本!
「(どうなってる?日本?それもオレが住んでた場所だ……どういう)」
クルッと首を傾げる。人間でいた時よりも、首の骨の数が多くなったからか、人間ではありえないぐらいに曲がった。
取り敢えず、森から飛んで、街まで来たホロロホルルだが、ますます疑問が湧き上がった。
転生……というのは受け入れよう。現に起こっている。だが、転生した場所が謎すぎる。平和な日本。それでいいではないかと、思ってしまうが、逆に謎だ。それなら、悪魔と天使、堕天使が敵対しているとか、自分は悪魔とか魔物に生まれ変わって、日本を蹂躙しようとしている魔王軍の配下になるとか……とかの方がまだ信憑生がある。
……妄想のしすぎである。
クルゥと可愛らしい声を洩らす。悩んでいても仕方がないとばかりに、彼は鳥竜種特有の皮膜の張った翼を広げ、飛び立った。
まぁ、今はこの空を飛べる喜びを味わおうではないか。
風を操り、舞い上がる。ふわりとした感触に、ジェットコースターを思い浮かべるが、これは自身で行っている為それほどの怖さはない。
やはり、モンスターだからか、すぐに風を切り音速を超える。それは普通の鳥ならばありえない速度であり、世界最速の鳥、燕よりも早く、急降下時ならば、燕よりも速い隼よりも速かった。その丸々とした身体を細くし、空気抵抗を少なくしたホロロホルルはまさに弾丸そのもの。それで突撃でもされれば、一撃で命を奪いそうなほどだ。
一頻り楽しんだホロロホルルは、近くの木の枝にふわりと降り立った。さすがに長時間この状態を保つのは疲れるし、本能的に昼間はどうにも疲れる。夜の方が活力が上がるというものだ。
そんな彼が降り立った先。その木は、他の木よりも大きく、目立っていた。樹齢何年だろうか。人間である時、いつも気になっていた木。大きいがあるが故、一際目立っていた大木。学校からの下校時、失った少年心から一度だけ見た木。
「(よく見りゃ、しめ縄があるなぁ。それに、家もある。誰か住んでるのか?こんな高いのに?)」
神聖な木なのだろうか。長生きした木には何かが宿るというが、この大木には神でも宿っているのだろうか。
それに、この家。俗に言うツリーハウスだろうが、誰が住んでいるのだろうか。梯子はあるが、下に降ろされていない。という事は、誰かいる。こんなご時世。普通のマンションでもなく、住宅でもなく、ツリーハウスに住む日本人なんているだろうか。それとも、別荘?
ホロロホルルは謎に首を傾げながらも、開けっ放しである窓の縁に降り立った。翼を操り、こうして降りるのにも慣れた。二、三回翼の位置を調整してから辺りを見渡した。
「(生活感あるな。やっぱ、別荘でもなさそうだ)」
綺麗に片付いているが、ベットの上にある制服や時計。机の上にあるスタンドライトやペン立て、本など。その他に別荘ならばあまり必要ないような物まで、色々あった。
シャァアーという音が聞こえる事から、この家の主はシャワー中の様だ。どうやって水を引いているのかは謎だが、気にしないでおこう。
クル、クルル。と喉の奥で鳴き声を上げながら、彼は部屋の中に降り立つ。ちょっと、役立つものはないだろうか。キョロキョロと見渡しながら、何かないかと面白いものはないかと探す。
「クルルゥ……(制服があるから、学生とは思ってたがアタリか。でも、猛禽るい?変な名前だな)」
机の上にあった学生証。そこには猛禽るいという名前が乗ってあった。可笑しな名前だ。そのまま普通に読んでも、猛禽類だろうに。いくらなんでも、捻りのない名前だ。親はどういう思いでこんな名前をつけたのだろうか。
クルクルと首を傾げていたホロロホルル。そんな時だった。ガチャリという音が聞こえた。思わず振り返った。というのも、身体は振り向かず首だけだったが。
「ッ!クルッ!?ル、ルゥ!(っ!ってうおっ!?お、落ちる!)」
首だけ振り返ったが、足元を見てなかったからだろう。動揺した所為で、足元を疎かにし踏み外してしまった。翼を羽ばたかせるが、上手く起き上がれない。人のものである為、脚で机を掴むわけにもいかない。鋭い爪の所為で傷ついてしまう。
鳥なのに脚を踏み外す。というドジな事をしでかしたホロロホルルは、諦め気味にこの後来る衝撃に耐える為に目を瞑った。
「…………?……?」
しかし、いつまで経っても衝撃が来ない。しかも何かに抱えられている感触があった。
恐る恐る目を開けるとそこには少女の顔が。あの学生証で見た顔と同じ顔であった。ほぼ無表情な彼女は、少し心配そうな顔をして、大丈夫?と小さな声で尋ねてきた。どうやら、本当に心配しているらしく、ホロロホルルを抱える手つきは優しい。
コクリコクリと頷いた彼は、少女、るいに降ろしてもらい、少し乱れた羽根を戻すために身体を震わす。キラキラと金色の粉が出たが、それは愛嬌だろう。整った事を確認したホロロホルルは、礼を言うためにるいへと顔を向けた。
「???」
しかし肝心の少女は、無表情のまま首を傾げていた。何やら訳の分からなさそうな顔をしており、首を左右に向けたり、手を握ったりしている。何がしたいんだろうか?そう首を傾げた時、ホロロホルルの鱗粉の事を思い出す。
彼女は確か自分を抱えていたはずだ。羽根の中には鱗粉があり、それに直接触れた彼女の手にはキラキラと粉の様なものが引っ付いていた。それともう一つ、ホロロホルルが羽根を整えるために身体を震わし羽根を逆立てた為、鱗粉が舞った。その時に彼女は体内に取り込んでしまったのだろう。混乱状態になる鱗粉は、前後左右の感覚が逆になる。今、るいは自身に起きた現象に戸惑っているということになる。
「クル?(大丈夫か?)」
言葉が通じない事は分かっているが、思わずそう問いかけ、顔を覗き込んだ。彼女はホロロホルルに気付くと、ふるふると首を振る。どうやら大丈夫らしい。
この鱗粉は後遺症はない為、その心配は要らないが、自身の思う事と逆の事をする身体に混乱するのは当たり前だ。助けてくれた恩人にホロロホルルは申し訳なく思いながらも、ホッとした。
るいはそんな彼にハテナマークを浮かべたあと、思い出した様に二本の癖毛をピンと逆立てた。ホロロホルルは何だろうか?と首を傾げていると、彼女の姿を見て思い出す。確か、お風呂から上がったばかりだ。裸にタオル一枚だけ巻いた彼女は、クローゼットの方にテテテッと小走りに寄って行き、その引き出しを開けた。
成る程、服を着る事を思い出したのか。確かにそのままでは風邪を引いてしまう。ホロロホルルは元人間であり男だからか、首だけを後ろに向けながらそう考えた。何はともあれ、人の着替えを凝視するものでもない。
暫くして、るいが着替え終わり、ホロロホルルもそっぽを向く必要がなくなった為、彼女のする事を見ていた。普段着だと思われるそれは、彼女にとても似合っており、るいの綺麗な黒髪を引き立たせている。素朴な感じのするそのファッションに、最近の若者もこんなのにすればいいのに、と彼は思う。今の女性達は着飾りすぎたと思う。着飾る事はいい……だが、度がすぎると元の素材を殺してしまう。周りがそんなのばかりだったからか、彼女の格好はとても新鮮に思えた。
いそいそと何やら準備するるい。財布や学生証などのカードなどを入れた小さなポーチを肩から掛けたるいは、ん、と此方に両手を広げてきた。ん?
ホロロホルルが首を傾げていると、一緒に行く、とるいは言った。言葉足らず過ぎる。どうやら、一緒に来て欲しいらしい。何処に行くのかはわからないが、何故か少女は無条件に信頼していい気がした。彼はトテトテと、脚を動かして側に寄る。
「クルゥ……(少女に抱き上げられるとか、どういう)」
前世にはあるまじき事実に少しショックを受けながらも、ホロロホルルはなされるがまま、抱き上げられる。ちゃんと鱗粉が舞わない様にしなければ。
ホロロホルルを抱き上げたるいは満足そうに目を細くさせ、癖毛をピコピコと動かした。そして、そのまま玄関口と思われるの方へ行き、ドアを開けた。広がる視界。遠目には先ほどまでいた街が見える。そして、視界の下。梯子を降ろした彼女はそのまま、それを伝って降りると思いきや、トンと飛び上がる。
「(おいおいおい!まさかまさかまさかッ!ぉおおおおおわぁあああっ!?!?!?)クルゥゥうううううう!?!?」
梯子を使わず、そのまま飛び降りた彼女は無表情のまま、トンと数十メートルも下にあった地面へと降り立つ。どういう身体能力だろうか。ほとんど衝撃がないなんて、重力に従っている以上、そんな事ありえないのに。
どうやら、転生した世界は平和な日本だが、少し可笑しいようだ。
因みに自分で急降下しないのに慣れていないホロロホルルは、失神した。
前世ではジェットコースターが苦手であったそうだ。
原作でも吹き出しが小さく、声が小さいるいちゃんをどうやって喋らそうかと考えた結果。地文で話す事に。何故、こうなった。
本棚整理していて、出てきた猛禽ちゃん。読み返している内に、こんな話を思いついた。
るいちゃん可愛いよ、めっちゃ好きです。鳥好きには堪らんコミックやで。
あと、鳥好きならば、椎名くんの鳥獣百科や、某スクロール漫画アプリにある弱!スパローなどがお勧めです。是非、読んでみて欲しい作品ですね。