カントー地方にあるニビシティジム。
そこへバッジを手に入れるためにサンダースを連れた『闇サトシ』が現れた。


これは一流のポケモントレーナーになるための少年の物語である。



1 / 1
闇サトシが現れた!

 

 

 

 

カントー地方にあるニビシティジム。

今この場所に一流のポケモントレーナーを目指す若きトレーナーのために門が開かれる。

重たく耳障りな音を立てながら、門の向こうから逆光を背に赤い帽子を被った少年が現れた。

 

 

ポケモンバトルの祭典「ポケモンリーグ」

その出場資格を得るにはそれぞれの地方にある8つのポケモンジム、そのジムリーダーからバッジを貰わなければならない。

 

 

ジムリーダーを任されているタケシは、目の前の少年も、その内の一人なのだろうと考えていた。

 

 

「俺はマサラタウンの…」

 

 

ただし、その少年の表情は邪悪に満ちていた。

 

 

「闇サトシだ」

 

 

少年が放つ覇気にタケシは気圧され、思わず後退りする。

 

 

(くぅっ、なんてオーラだ!? どうする俺!?)

 

 

「――――ポケモンバトルで使用するポケモンの数は2体でどうだ…?」

 

 

雰囲気に圧されながらも勝負内容を確認、タケシの提案に闇サトシは無意味に「くっくっくっ…」と含み笑いをしながらも承諾、試合が始まった。

 

 

「行け! ゴローニャ!」

 

 

タケシのモンスターボールから岩石の集合体に手足が生えたようなポケモンが飛び出す。

普段の彼はこのようなポケモンは使わない。

 

 

しかし、少年の放つ邪悪に危機感を募らせ、結果…

 

 

“ 闇サトシにバッジを渡してはならない! ”

 

 

…とタケシに妙な使命感を与えてしまったのである。

そして彼は「どんな相手でもイワークを使う」という拘りを捨ててゴローニャを出したのだ。

 

 

「今の俺に使えるポケモンは電気タイプの『サンダース』しかいないが…」

 

 

闇サトシが繰り出すポケモンが電気タイプのサンダースと聞き、内心(これで勝つる!)と思わずほくそ笑むタケシ。

だが彼を嘲笑うかのように、そいつは現れた。

 

 

「サンダース! 君に決めた!」

 

 

モンスターボールから現れたのは、白いスーツを着た白髪の老紳士。

小さな雷光が身体中を駆け巡っては消える。

 

 

「ポケモンじゃねぇ!」

 

 

思わず全力で叫ぶ。

 

 

そんな様子のタケシに闇サトシはそうくることを見越していたのか、淡々と述べていく。

 

 

「ポケモンには未だに未知の部分があり、そして常に進化するもの……このサンダースがポケモンなのか、ポケモンじゃないのかは戦ってみれば分かることだ」

 

 

「いや、戦わなくても、わかるだろ!? 見た目で!」

 

 

サンダースを指差すタケシ。

そこへ一条の光が飛来、タケシの頬を掠める。

 

 

「なっ!?」

 

 

闇サトシのサンダースが指先から放ったのだ。

タケシは闇サトシの持つサンダースがポケモンかどうかは知らないが、少なくともあそこで佇んでいるのが只の人間ではないことだけは理解した。

 

 

「わかった。ポケモンバトルをしよう」

 

 

タケシは考えるのをやめた。

 

 

「サンダース! 電光石火で接近しろ!」

 

 

バトルフィールドに残像を残しながらジグザグに跳ぶように高速で移動するサンダース。

とてもじゃないが老紳士の、人間のする動きではない。

 

 

一気に距離を縮めると、ゴローニャの体に両拳による連打を浴びせる。

その威力はゴローニャの表面を薄く削るほどである。

 

 

「ゴローニャ! その場で転がるんだ!」

 

 

タケシの命を受けて、その場で高速回転。

回転の威力でサンダースを弾き飛ばす。

 

 

バトルフィールド上空に飛ばされたサンダース。

天井付近で反転、天井に両足をつけて体勢を立て直すと…

 

 

「サンダース、止めを刺せ」

 

 

天井を蹴って加速、ゴローニャに向かって飛び蹴りの構えで落下。

迎え撃つためにタケシはゴローニャに指示を出すが、命令を実行する前にサンダースの蹴りが頭部に炸裂、ゴローニャは場外まで吹き飛ばされ、ジムの壁と激突。

衝撃で目を回して戦闘不能に陥った。

 

 

「認めよう君を…」

 

 

懐からバッジを投げ渡すタケシ。

 

 

「あと1体いるハズだが、いいのか?」

 

 

バッジを受け取った闇サトシはタケシに問いかけるが…

 

 

「なんか、どうでもよくなった」

 

 

憑き物が落ちたような爽やかな表情でそう答えるとジムの奥へと姿を消した。

闇サトシはそれ見届け終えると、バッジを頭上に翳して誰に言うわけでもなく喋った。

 

 

「グレーバッジ、ゲットだぜ。くっくっく…」

 

 

邪悪な笑みを浮かべながら。

 

 

バッジをリュックにしまうと、ここにはもう用はないとばかりに翻してジムを出ていく。

 

 

サンダースを出したままで。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――闇サトシがニビシティジムを去ってから数日後のこと…

 

 

タケシの元にまた1人の挑戦者が現れた。

 

 

「俺の名は『闇シゲル』…」

 

 

彼はポケモンをボールから出したまま連れていた。

ただし見た目は、銀髪で立派な髭を蓄えた半人半馬のケンタウロス。

 

 

「俺のケンタロスの『まこっちゃん』で勝負だ!」

 

 

ビシッ! …とタケシを指差す。

 

 

「お前もか!?」

 

 

タケシが敗北をしたのは言うまでもないが、心身ともに疲れはてたことをここに記す。

 

 

 

 




 



(´・ω・)にゃもし。

サンダースとケンタロスは、私が過去に執筆した作品に出てくるキャラクターで、折角なのでこうして出してみました。


後悔はしていない。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。