なんかレフィーヤがヒロインみたくなってる………
結論的に言うと、フィンがやろうとしている事はレフィーヤの魔法で芋虫君の一斉清掃だった。
武器を溶かす体液も魔法までは溶かせない、実態のない攻撃は防ぎようがない
それ故、魔法なのだ。
その為の広い空間であり、【ルーム】に向かうという事だったわけだが、
「何でこんなに芋虫君いんだよ!モテキか、モテキなのか!」
「うっさいよニコ!何言ってるかわかんないし!!」
俺達がいたルームにも芋虫君が溢れていました
そしてティオナは自分の愛用の武器が使い物にならなくなってキレてます。って俺に当たんなよ、自業自得だろ
「レフィーヤの魔法で
ルームに響く程のフィンの声、それに全員が同意してレフィーヤから引き離すように芋虫君を惹き付ける
「ニコ!君はレフィーヤの護衛だ、しっかり頼むぞ!」
「え?でも攻撃できないんじゃ護衛も何も………」
「君のグリムエッジは“
グリムエッジ、多分だけど俺の剣の名前だろう。それがデュランダル?確か永久に壊れない剣。成程、俺は芋虫君に攻撃出来るってわけか
ってか団長、その言い方だと切れ味落ちるのは何も問題ないみたいですけど……………違いますよね?
「分かりましたよ」
フィンの指示に従いレフィーヤの傍に寄る。
まだ詠唱を行ってないみたいで、緊張しているのが杖を持つ手が震えている事から伝わる
「レフィーヤ、気張んなよ」
「ニ、ニコ……さん」
横にいるに俺に気付かない所、よっぽど怯えているみたいだ
「ニコさん、私怖くて………」
俯き呟くレフィーヤ、俺はその頭を安心させる為に優しく撫でる
レフィーヤも少しビクっとしたが、直ぐに安らぎを取り戻した様子だ
「大丈夫だレフィーヤ、もしミスっても俺が芋虫君達を何とかする。………確かにレフィーヤの魔法が一番効率的で確実かもしれない。でもミスっても誰もレフィーヤを咎めないし、軽蔑したりもしない」
「ニコさん……」
「だから安心して………な?」
腕の震えが止まり、顔を上げるレフィーヤの表情を見て、撫でるのを止める
少し名残惜しいきもするが、今のレフィーヤには必要ないだろう
「はい!」
心強い返事をして詠唱の準備に入るレフィーヤを横目で捉え、さて自分もレフィーヤの護衛に専念するかと深呼吸して剣を構える。そんな中、1つレフィーヤのやる気を更に出させる方法を思い付いた。
「それにな、────アイズに認められるチャンスだぞ」
「ッ!はい!!」
レフィーヤの必要以上のアイズへの尊敬、それはダンまちの世界に来て間もない俺にもすぐに分かった事の1つだ
先程より力強い返事を俺は心地よく受け止め、再び剣を構える
「悪いな、ここは通行止めだ。芋虫野郎」
さて、目の前に群がる芋虫を蹂躙するか
◆◇◆◇◆◇◆◇
ニコさんの手………暖かかったな
自分の杖を握り、辺りを見渡す
今まで使っていた杖は必要以上に手に馴染むのを感じられた。まるで体の一部みたいに
視野も広い。周りがよく見える。こんなの初めて
きっとニコさんのお蔭だろう。私はそう思いたい…………
「そんなのだからアイズさんに怒られるんですよ、」
先程の撫でられた感触を思いだし、顔が熱くなる
それを吐き捨てるように、ポツリと呟いた言葉は彼には伝わらない。私の思いも引っくるめて
だからせめて見ててほしい、認めてほしい、成功したら褒めてほしい、私が尊敬する二人に。私は後ろで、二人を支えられる存在になりたいから!
だから私は詠唱を唱えるのだ、二人が安心していられるように
すっと息を吐き呼吸を整える
──────よし、
「誇り高き戦士よ、森の射手隊よ───────」
そして私は魔法を唱え始めた
◆◇◆◇◆◇◆◇
「全く、魔法ってのは凄ぇな」
背中越しにレフィーヤの魔力が集まる感覚を身に感じ、味方の自分ですらも少しばかり身震いをする
エルフというのは精霊にもっとも近く魔法を得意とする種族だからな、当然と言えば当然か
その魔力を敏感に察知した沢山の芋虫君が、やはりというべきかレフィーヤの周りに群がてくる
だがそれは俺が許さない
「レフィーヤに近づくんじゃねえぇぇ!!」
芋虫君18号の顔を縦に切り裂いた瞬間に、その横からレフィーヤに向かい切り出す芋虫君19号。
その胴体を横から一刀両断、内蔵までくっきり見える切れ味に驚愕する暇もなく、反対側からレフィーヤに向かう芋虫君20号が目に入る
芋虫君19号の頭を借りて瞬時に跳躍を行う。レフィーヤを飛び越え芋虫君20号の頭に丁度飛び降りるのを確認して、グリムエッジを垂直に思いっきり突き刺した
口と刺し口から血を大量に吐き出し死んだのを確認して、また直ぐに辺りを見渡す
「──同胞の声に応え、矢を
芋虫君が俺を見て攻めあぐねている中
詠唱に完全集中しているレフィーヤが目に映る。芋虫君が近くにいるのなんて微塵も気にしてない。不安も完全に吹っ切れて、最高のコンディションといっても過言じゃないだろうか。これは俺に全信頼を置いてるって事でいいんだよな
自分でも頬が緩んで口角がつり上がるのが分かる
後衛職の人に頼られるってのは前衛職にとってどれだけ感動かつくづく思い知らされた
「それじゃもう一頑張りしますかね」
セーフティーポイントで荷物整理した時に見つけたポーションの場所を思いだし、取り出して飲む。用を無くした瓶は後ろに投げ捨てた
喉から体内にひんやりと液体が伝わのが、体にこべりつく生暖かい芋虫君の血液と違って気持ちいい
効力が徐々に表れ疲れた自分に体力が戻る
「よし、行くか」
地面を蹴り、レフィーヤの傍を走り回る。護衛という命令、レフィーヤから離れきれない点で芋虫君に切り傷をつける程度しか間合いを踏み込めないが、傷だけでも牽制になると必死に間合いに立ちいる芋虫君を蹂躙していく
そして、その時は訪れた
「──── 雨の如く降りそそぎ、蛮族どもを焼き払え!」
詠唱の終了、レフィーヤの周りに立ち込める炎の渦、浮かび上がるは無数の炎の矢。それは同時に芋虫君達の終了も物語っていた
「ヒュゼレイド・ファラーリカ!!」
「全員撤退!レフィーヤの魔法がくるぞ!」
レフィーヤの叫びと同時にフィンも叫ぶ
詠唱が終了し魔法が放たれる僅か一瞬、この場にいる全員が芋虫君が追い付けないスピードでルームの壁、部屋の端っこまで移動する
そして矢に貫き焼かれ燃え上がる芋虫
広範囲攻撃なのだろうが、その威力は単体攻撃の強さにも引けを取らないレベルだった
まさにルーム一体が火の海とかした状況に、近くに来ていたフィンは余裕の表情を、多分俺は驚きの表情を浮かべている
「………これだから後衛職は捨てがたいよな」
そう小声で呟いた言葉がフィンに聞こえたかどうかは定かではないが、当然といった顔でこちらを見る彼を俺もまた一瞥した
そんな惨状も数十秒で終わり告げて、残ったのは芋虫のだったものの灰だけだった
「フィン、この芋虫の魔石は───」
「勿論、回収するよ」
最後まで言い終わらぬ内に切り出すフィンは、不確定要素が多すぎるからね、と付け加えて皆が集める所に向かっていった
さて俺もと、足を踏み出した瞬時に右腕を掴まれて、おっとっとっとバランスを少し崩す
誰だろうと後ろを向くとそこには今回の立役者のレフィーヤ本人がいた
「ニコ……さん…」
「ん、どうしたレフィーヤ?」
もじもじとからだをくねらせながら言葉を紡ぐ彼女を、俺は不思議に見つめる
「あの、どうでしたか?」
どうでしたか?それが先程の魔法の事を指してるのは言うまでもなく。
「───最高だった。あんなんがこの世界にはあるんだなーって思ったね!今回の事は間違いなくレフィーヤの手柄だ。誇っていい、本当に素晴らしかったよ!」
そんな風に褒め称える俺がいた
「そう………ですか…………」
「うん!」
「…………………やった!」
小さくガッツポーズするレフィーヤを微笑ましく、その嬉しさを伝える相手がまだ残ってると思い
「ほらほら、レフィーヤ!アイズのところに行くぞ、絶対褒めて貰えるから!」
そう言って手を取り、皆の集まってる所に向かった。小っ恥ずかしいが、俺も早くレフィーヤが喜ぶ姿を見たいと思ったのだ
「そんな……だか………私…勘違い………ですよ……」
「え?なんて!?」
後ろから小さくぼそぼそと聞こえた声が余り聞きずらかったので、逆に気になって聞き返すのだが
「何でもないです!」
と、言葉が返ってきた
うん、聞かれたく無いことだったかな
その後、アイズに褒められたレフィーヤが有頂天になったのと逆に、レフィーヤと手を繋いだからという理由でお仕置き×2になったのは流石の俺でも予想外だった
グリムエッジ=恐ろしい(グリム)刃(エッジ)みたいな
安直すぎてすいません。
夏休みも後少し、不定期更新になってしまうかもしれないけど、出きるだけ頑張ります