俺はベル・クラネルを全力で応援する   作:ぽけてぃ

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前半が上手くかけてない気がする



第6話

 

 

 

 

さて、芋虫を滅殺した我らが魔石を回収して団長に急かされる形で、50階層に戻ってきたは良いが、良いのだが…………

 

「流石に俺もここまで芋虫ハーレムは望んでないわ…………」

 

「言ってる場合!?急いで皆の所に向かわないと!!」

 

既に50階層に芋虫が充満していました、はい。

 

急いでキャンプベースに向かった俺達だったが、待ち構えるのは何匹もの芋虫と、既にいくつかのテントは溶け崩れており、骨組みが露になっている状況だった

 

「うわあぁ……」

 

「無惨だな」

 

「どうなってやがる!?リヴェリアは何してんだっ!!」

 

吠えるベート、その言葉は的確に的を射ていた。

これでもオラリオ最大のファミリア、その幹部であり昔からファミリアにいる古参株のリヴェリアが居ながらもここまで無性にテントを壊される事はない筈だ。

 

 

 

思い当たる節はある、腐食液の効果だ

 

確か待機中の奴等の大半が武器で戦うタイプの冒険者だった筈。それを考慮したら後退を余儀なくされるのも頷けるものだった

 

不壊属性(デュランダル)ってやっぱり珍しいのか…………

 

自分の武器の性能に少しだけ優越感を覚える

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、いた!」

 

ティオナの声にキャンプスペースの先を全員が見つめる

 

ぼやけてはっきりとは見えなかったが、少し進むとリヴェリア達がいるのをしっかりと見る

 

前衛職が後衛職を取り囲み、俺達と同じように魔法で対抗していた

殆どの武器の刃が腐食液で溶けきり、鋼鉄の盾ですら三日月の形に削られているのをみると状況は好ましくない

 

 

「少しでも遅れてたら危なかったな」

 

武器を1つ失い、その止めた一瞬を何度も重ね魔法を詠唱する時間を稼ぐ

そして魔法での一撃

 

そういうやり方で芋虫と対抗していたリヴェリア達だったが、余りの芋虫の数に遂に武器が底を尽き掛けていた

 

本当に俺達が少しでも遅れたら負傷者が出ていたかもしれない

 

 

 

 

 

『嫌な予感がする。魔石回収を早々に切り上げるぞ、急いで安全階層に向かおう!』

 

 

 

魔石回収中のフィンの言葉に、それは杞憂だろうと内心呆れてた自分だったが、それが今まさに現実として起きているのを実感すると、やはり団長の素質と言うべきか。

最悪を伝える危機察知能力、そんな自分の第六感(シックスセンス)を信じる事の出来る器量、即座に行動に移す姿に感嘆の念を覚え、状況が状況じゃなかったら手を叩いて称賛していただろう

 

「ニコ、アイズ。君達は前衛でモンスターの退治に専念してくれ」

 

「了解!」

 

「分かった」

 

フィンの指示に従い、前衛で戦っている奴等の前に駆け抜け、芋虫を敵意を以て威圧する

 

「そういえばアイズのレイピアは不壊属性なのか?」

 

「うんうん、普通のレイピアだよ」

 

「えっ?───はぁぁ!?何考えんだ団長は……!」

 

普通のレイピアってことは、つまりは腐食液で溶けてしまうということだろ、それはもう壊れない剣か魔法が無い限り────────魔法?

 

「魔法、魔法だアイズ!お前何か使える魔法なかったか?」

 

「むぅ…………お前じゃない、アイズ!」

 

「分かったから!アイズって魔法使えなかったっけ?」

 

「使える、【エアリアル】」

 

そう唱えた瞬間、アイズを下から上に風が包み込んだ。髪が靡き、レイピアに風が付加する。その姿はまさに“風の戦士”と呼べるもの。その可憐さに一瞬程目を奪われた

 

「よし、それだ!アイズはその状態で攻撃しろ!」

 

「え?でもレイピアが、溶けるん、じゃ……」

 

「大丈夫。その風は魔法、風が腐食液から護り溶けはしない筈だ」

 

俺の予想、延いてはフィンの推測が正しければ。

 

だから団長は剣が溶けない俺と、溶かす液を寄せ付けないアイズを選んだわけだ

 

全く俺が気付かなかったらどうなってたか、まぁそこは俺を信じてくれたんだと思っとこう。

 

「いくぞアイズ!」

 

「うん、お兄ちゃん!」

 

何匹もの芋虫が波の如く押し寄せる

 

その芋虫の頭や胴体、急所だと思われる部分を的確かつ確実に斬り倒していく、

 

「────ッチ!」

 

思い過ごしかもしれないが、芋虫にすっと通っていた刃が徐々に通りにくくなっていくのを感じる。

 

切れ味の低下、流石にモンスターを切りすぎたと今更ながら気付いた

小さく舌打ちをして顔を歪める。出来れば今すぐにでも止めたい、だがしかし、止むことのないモンスターの軍勢にこっちも止まるわけにはいかない。

 

「かかってこいやぁ!!」

 

叫び声を挙げて、再び俺は駆け出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し離れた距離にいるアイズが、目に見える最後の一匹を切り刻んで殺す

 

「ふぅ、」

 

終わった、そう思い乱れた息を整える。アイズも安堵してレイピアをしまう

 

そこらじゅうに転がる芋虫の死体の数々、腐食液が土に溶け込み蒸発した臭いと血の臭いが混ざり漂う。まさに異臭、鼻がひん曲がりそうな匂いに思わず顔が歪む

 

辺りを見渡し、もう流石に何も起きないだろうと剣を腰にしまった

 

まぁここで終わったなんて言って、フラグたてるような人は────

 

 

「全部……倒した………?」

 

ちょ、ティオネ、それフラグッ!!

 

 

────ゴゴゴゴッ!

 

「なんだあれ!!?」

 

「さっきまでのモンスターより遥かにデカイぞ!!」

 

終わったと安心しきった全員が上を見上げ更なる恐怖に息を呑む中、誰かが叫んだ

 

ほら、やっぱり

 

どうも芋虫の親玉らしきデカさのモンスターが佇んでいる。羽まで生やして、なんとまぁ可愛らしいこと

 

「よし、撤退だ。みんな地上に帰ろう!」

 

あわよくば帰りはファーストクラスでお願いします

 

 

 

 

 

 

「アイズ、ニコ!あのモンスターを討て、二人でだ」

 

皆が撤退の準備を始める中、俺はアイズに引き摺られてモンスターへと向かうのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だっるいわ~、」

 

「お兄ちゃん、頑張ろ」

 

走って芋虫に向かいながらアイズと話していたが本当に面倒くさい。あとで残業代がしっかりでるんでしょうね、団長

 

そんな俺に何を思ったか励ますアイズ。そうやって上目遣いで頼まれると断れないんだよな、ただでさえ可愛いのに

 

「……………はぁ、分かったよ。」

 

「あり…がとう……」

 

しぶしぶ了承する俺にアイズは少しだけ微笑むのだった

 

 

「んで、どう倒すの?アイズは何か倒す算段ある?」

 

「?」

 

「いや、そんなキョトン顔されても、可愛いだけだから」

 

「………………可愛い…」

 

いや、ミスった。アイズさん変なスイッチ入っちゃったみたい。

 

「別に変な意味じゃないぞ、………そうだな妹として凄く可愛いって事だ」

 

「……………ふん、」

 

あれ?何かミスったかな?

誤解を解いたつもりが、何故か不貞腐れて眉間に皺を寄せるアイズ

兄思いのアイズなら喜ぶと思ったのに…………う~ん、分からん

 

 

 

 

「って、不貞腐れてる場合じゃないぞ!アイズ、作戦会議だ。何か巨大芋虫倒す良い方法ないか?」

 

見上げた先にいる芋虫を見て、だいぶ近くに来たことに気づき早く対策を立てないとと、焦燥にかられる

 

「?だから、お兄ちゃんが倒せば良い」

 

「いや、無理だよ。こんなちっぽけな剣1本で倒せる相手じゃないだろ」

 

アイズのエアリアルなら────微妙な所だな

何か、何か他に良い手はないか、

 

どうしたら?良い案が思い付かない。何も思い付かないままに芋虫とあと10メートルに迫ったら距離を確認して、すがるようにアイズを見る。

すると、アイズは又も頭に疑問を浮かべていた

 

「────魔法」

 

「えっ?」

 

アイズの口から聞こえた“魔法”という言葉。その真意が汲めず、思わず立ち止まてしまった

 

何?魔法?魔法って何の事だ?

 

頭をフル回転して考えるも全く解らない。少し遅れて立ち止まったアイズが、俺の目の前に立ち首を傾げる。まだ少し不思議な顔でこちらを覗く彼女は先程の言葉を補うように呟いた

 

「お兄ちゃんの魔法で倒す……………じゃダメ?」

 

俺の魔法

 

エルフが得意とする魔法だが、希に人間や他の種族にも宿る事がある。途方もない努力と、魔法に対する絶対の思いが起こす奇跡により魔法は人に実るのだ。魔導書は例外的として、

 

つまりは俺も魔法が使えるって事?

 

「俺の………魔法?」

 

「うん、────【エクス=カリバー】で倒せば、勝てる」

 

エクスカリバーとか、また中二病を(こじ)らしたような名前だな

 

既に剣の名前が魔法になっている矛盾に俺はとやかく言うつもりは無かった。というか、その余裕が無かった

 

俺の魔法【エクス=カリバー】

これは推測だがほぼ確信と言っても過言じゃない。これは必ず詠唱が必要な(・・・・・・・・)魔法だろう

 

元々、ベル・クラネルの【ファイアボルト】は魔導書によって彼が得た魔法。それは速効性の高い魔法で、彼が自ら望んだ内容が反映されている

 

だが詠唱なしの魔法なんて早々存在しない

そんなのあるだけでこの世界ではチートになり得る存在だからだ

 

確定ではない、だが確信はあった

俺の魔法は詠唱が存在して、

 

 

 

 

────俺はその詠唱を知らない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────お兄ちゃん!!」

 

「ッ!!」

 

るつぼに()まりかけた自分の思考がアイズの声で現実に引き戻される

 

何考えてんだ俺は

冷や汗が酷いな、心拍も早い、クソ調子が狂う

 

「どうしたの?大丈夫?」

 

「…………あぁ、大丈夫だ。問題…ない……」

 

もしフィンが俺の魔法で芋虫を倒すと踏んでアイズと俺を送り出したとしたら

 

そんなの考えるだけで恐ろしい。なんせ俺はその魔法を、詠唱を、効力を知らないのだから

 

乱れた呼吸は胸を押さえるだけでは上手く正常に戻らない

 

「それじゃ、私が芋虫を惹き付けるから、お兄ちゃんは詠唱に専念して、」

 

「それ…なんだけど、……やめだ。やっぱり…アイズの魔法で倒そう。俺も攻…撃を…加え…るから」

 

「どうして?」

 

どうして?そんなの答えられるわけがない。魔法の詠唱を知らないなんて言える筈がない。言ったらバレる、俺が転生者だってことが一番バレたらいけない人にバレてしまう

 

魔法ってのは一発で戦況を大きく変えることの出来るものだ、それの詠唱を忘れるなんて、一級冒険者に有り得るわけがない

 

「そんなの……どうでもいい、だろ。とにかく、やるぞ」

 

「…………分かった」

 

何時もなら兄の言うことを聞く出来た妹なのだが、今のアイズの優しさが俺の胸を締め付けるようだった。悪い方向に陥った思考が更に深く陥る

 

心と頭が痛い。心は言わずもがな罪悪感や焦燥感によるもの、だが頭は─────おいおい、混乱してるのか俺が、迷ってんのか、今の判断に?

 

アイズならやれる。なんたって剣姫だ、オラリオ最強の女剣士なんだ、俺の魔法が無くたって、余裕で

 

────ズキッ

 

頭痛が酷い。頭が割れるみたいだ、なんでこんなに…………

 

 

 

 

 

 

『思い出せ、絞り出せ、アイズを救えるのはお前だけだ』

 

 

心が浮き足立つ中、先に芋虫に駆けていくアイズを見た瞬間に乱れだす心のの合間をすり抜けるように、そんな言葉が酷く締め付けられる頭に響いた気がした

 

 

 






エクス=カリバーとか………………
自分で書いてて恥ずかしくなりますね。

そろそろ亀更新になりそうです。頑張って投稿しますが、難しいかも

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