俺が青春なんてして良いのだろうか   作:nasigorenn
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まだ本編にいけない事が歯がゆいですね。


プロローグ2 昔の彼と今のルーツ

 彼、比企谷八幡の家は所謂父子家庭であった。

母親は小町が生まれた後に体調を崩し死んでしまったらしい。なので彼は母親の顔を写真でしか知らない。

だからこそ、彼にとって親というのは父親ただ一人。

その父親は彼にとって、普通に父親だった。

優しくて力強い、まさに父親と言えるような父だった。

幼心に尊敬していたし憧れてもいた。今にして思えばかなり迷惑をかけていたのだろうと思い申し訳に気持ちで一杯になってしまう。

彼から見て、まさに最高の父親と言える存在だった。

ただ、一つだけ当時の彼には疑問に思ったことがあった。

それは父親の仕事。

父親がどのような仕事をしているのか彼は知らなかった。いや、具体的に知らなかったと言うべきだろう。10にも満たない歳の子供に職業の詳しい分類など分かりはしない。精々菓子屋や花屋、警察に消防員といった区別が付くくらいだ。

だから彼は父親の詳しい仕事について知らなかった。知っているのは清掃会社に勤めているということ。当時の彼の精神からすれば『お掃除屋さん』と言ったところだろう。

自分にとって唯一絶対の存在にして無条件で信じられる存在、それが親だ。子供はその親の庇護で育ち、そして大人になっていくもの。

そんな偉大な存在に子は当然好意を抱く。得てして子は親に憧れるのだ。

だから気になるのが子供というもの。

 

親が仕事をしている姿を見てみたい。

 

幼心にそう思ったのだ。丁度当時、彼の周りも親の仕事姿というものが話題だったから。

最初は普通にお願いしてみた。しかし、父親はそれに対して苦笑を浮かべながら彼を宥めたのだ。

それでも気になるのが子供の好奇心。彼はそれでも負け時と何度となく父親に喰いついたが、父親はそのたびに苦笑を浮かべてその御願を断ってきた。

だからなのか、ついに彼は我慢が出来なくなった。

父親が仕事だと言って家を出た朝、彼は父親にばれないようにこっそりと父親の車のトランクに忍び込んだ。

そして車の中で待ち続けている内に眠ってしまい、目を覚ました彼は父親の姿を探し、そして見た。

 

初めて人が死ぬところを。

 

それが何なのか、今の彼にははっきりと分かっている。

しかし、当時の彼には恐怖以外何なのか一切が分からなかった。

そして不安で押しつぶされそうになる中、自分にとって絶対の守護者たる父親を見つけた。

 

「お父さん!」

 

その声を聞いた父親の表情を見て、凍りついた父親の顔を見て、そして………。

 

その一瞬の隙により凶弾に襲われ血を噴き出す父親を見て。

 

 

 もう語る必要はないだろう。

幼子心に抱いた好奇心、その結果……………彼は父親の仕事を知り、父親を失った。

その後悔は今の絶えず彼を苦しめる。

その後は彼にとって苦しい事ばかりであった。

自分のせいで父親を死なせてしまった。その事実に心が壊れかける。

それでも壊れなかったのは、まだ幼い妹のおかげでもあった。

自分が壊れてしまったら、妹はどうなってしまうのだろうか。もう頼るべき存在がいなくなってしまった世界で、唯一の肉親までも失ってしまったら……。

そう考えた途端に彼の心は恐怖で凍りつく。

それはあまりにも残酷で過酷だ。そんな世界に妹一人を残しておくわけにはいかなかった。だからこそ、彼は決めた。

父親を死なせてしまった変わりに、自分が妹を護るのだと。父親程ではないが、それでも出来うる限界まで彼女を護り見守るのだと。

だからこそ、彼はこの話を自分たちの身元引受人である男に話した。

その男は彼等も知っている者だった。父親の友人として偶に彼等の家に遊びに来てくれた人。愛称も込めて『武蔵おじちゃん』と呼んでいた。

何故父親の友人にその事を話したのか? それは、父親の『仕事の同僚』でもあったからだ。

父親の葬式の際、自分と小町を引き取ると言ってくれた彼にその事を話すと、当然反対された。

当たり前だ。まだ彼等は幼く平和な世界で育つべき存在なのだから。

しかし、その事を熱心に話す幼子の精神は、既に崩れかけていたのだ。そうしなければ今こそ、本当に壊れてしまうとはっきり分かるように。

故に彼は苦心の末に、その願いを聞きいれた。

 

 

 

 そこから始まったのが、彼にとってのおぞましい世界。

血で血を洗う死の世界であった。まだ幼い彼がまず教わったのは身体を鍛えること、そしてそういった知識を身につけることだった。

一度頷いたからには『武蔵おじちゃん』は本気で彼を扱いた。それこそ、死んでもおかしくないくらい。

幸いと言うべきか災難と言うべきか、彼の才能はそれこそ父親よりも上であり、鍛えれば鍛えるだけより強固に強靭に育っていった。

小町に関しては兄がしていることなど一切知らずに育っていった。分かっていることは父親がいなくなったことで兄が苦労をしているということだけ。彼女はその事を申し訳なく思い、自分に出来ることは出来るだけやろうと頑張るようになった。

兄と妹だけの生活。たまに様子を見に来る『武蔵おじちゃん』に助けて貰いつつも、何とか生活していく日々。

彼は学校に通いつつも『武蔵おじちゃん』の所に通い、常に限界まで鍛えられる。そのうち実戦にも駆り出され、幾度となく大怪我を負っては戦ってきた。

その胸にあるのは、ただ妹の見守るために死ねないという想いと、父親を死なせてしまった自分への責務という呪いを込めて。

 

 

 

 と、過去を大体話せばこんな感じ。

現在彼こと比企谷八幡が働いているのは『株式会社三雲清掃業』、表向きは普通の清掃業。裏では依頼を受けて『対象を掃除』する『掃除屋』である。

掃除と言っても分別はあり、酷い話が日本政府や警察の応援を極秘で受けて行う『悪人を叩く』仕事だ。

それを行う極秘のチームの名が『レイスナンバーズ』、そして八幡はその中の8のナンバーを持つ。父親が担っていたのと同じナンバーを。

ちなみに彼の扱いは『アルバイト』であり、仕事によって発生したかなりの金額の金は『レイスナンバーズ』を束ねる『レイス0』こと『武蔵おじちゃん』、この場合において『課長』によって管理されている。

これが今現在における彼の環境である。

 






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