俺が青春なんてして良いのだろうか   作:nasigorenn
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やっと八幡が小町達と合流出来ました。


第47話 俺はこうして彼女達と合流する

 翌日になり、小町達ボランティアは早速動くことに。

何でも夜に行うキャンプファイヤーの準備を行うとのこと。その重労働に男子である葉山と戸部は盛大に働かされ、小町達は小町達でそれなりに働いた。

その後はほぼ自由時間。

そしてこの時の為に小町達は事前にあるものを用意するよう言われていた。

それを身に纏い、彼女達はその場所へと向かう。

そう、山ならではの涼しい場所………川へと。

 

「うわぁ、綺麗なところ!」

 

小町がはしゃぎながらそう言い、それを見て結衣もまた同じようにはしゃぐ。

その川は所謂小川というものだろう。彼女達がいる手前側は浅く、そして奥は少し深い。奥に行きさえしなければまず安全な川と言えよう。

 

「二人とも、はしゃぎ過ぎないように」

「小町ちゃん、結衣、少し落ち着きなって」

 

そんな二人に続いて雪乃と沙希も後から続く。

二人は共に苦笑を浮かべており、その心境ははしゃぐ我が子を見る母親のそれに近い。

保護者役二人にそう言われても二人は止まらない。それどころか………。

 

「えい!」

「やぁ!」

「キャッ!?」

「冷た! この………やったな!」

 

雪乃と沙希に向かって二人は川の水を掬いかけた。

それを見事に身体に受けた二人は水の冷たさもあってか驚き、そして結局小町や結衣と同じようにはしゃぎ盛大に水の掛け合いに発展する。

それはある意味幻想郷。何せ皆凄い美少女達なのだ。そんな彼女達が無垢にはしゃいでいる様子など、まさに男からしたら見惚れるものだろう。

そんな光景を見て、静もまた微笑んだ。

 

「うん、まさに青春だな」

 

目の前で広がる青春風景に満足そうだ。

だが、それと同時に残念なこともあった。

 

(これで比企谷がいてくれたらもっとよかったんだけなぁ……いないと分かっても水着を新しい奴に新調してしまったのは、見て貰いたかったからなんだよなぁ。はぁ~………せっかくセクシーな奴を選んできたんだけどなぁ……比企谷……)

 

一番見せたかった相手に見てもらえないという悲しみはどうしようもなく、しかしそれにとらわれていては仕方ないと彼女もまた小町達の方へと向かった。

尚、葉山と戸部は一緒に来た三浦と海老名と共に小町達とは少しだけ離れた所で遊んでいた。

 そして水遊びに興じるボランティア一同。

男から見たらまさに桃源郷の如き光景であり、それだけ彼女達が楽しんでいるという証拠でもある。

そんな中、小町と結衣は突如として驚いた。

何故なら、川の更に奥の方にて、岩が激突するような派手な衝突音が鳴り響いたからだ。

その音に当然他の者達も気付き、肩を震わせる。

突如として音が鳴った方向に駆けつける小町達。

そんな彼女達が見たものは………………。

 

 

 演習に次ぐ演習にロクな睡眠も取れない休憩。

実戦において、実際の戦争などにおいて、野外戦において、それは当たり前のことだ。

満足な食糧など手に入らず、僅かな時間でも休めると気に休み戦えるように備える。それが兵士としての心得と言えよう。

だから疑似的にとはいえ、この何日間にもおける演習は確かにその身に成長を与えるだろう。より高みに、より戦闘者としての存在を濃くする。

為になるのだから喜ばしいことである。

だが、そうだとしても、その精神は当たり前のように荒む。

いつ敵が攻めてくるかわからない緊張感、食糧の確保の難しさ、そして人が必要とする理想睡眠時間を遙かに足りない睡眠。何より、いつ裏切り者が現れ自分達の生命(食糧)を脅かすのか分からない。

そんな孤独で酷な状況に立たされれば、人間は例え疑似的でであっても精神がおかしくなる。

彼の仲間にも当然その影響は出ており、常に苛立つ者もいれば片頭痛に悩まされる者も出てくる。挙句は幻聴が聞こえ始め可笑しくなりつつある者までいた。

限界が近い。そう皆が思った。

自分はまだ平気だと思っていても、もしかしたら可笑しくなっているのかもしれない。そう疑っても仕方ないくらい、彼等は追い込まれていた。

それこそがこの演習の最大の目的でもあるだけに、分かってはいてもどうしようもない。

それでも何とか士気を持って作戦に当たれるのは、彼等がそれ相応の地獄を経験したことがある猛者たちだからである。

とはいえ、それでもやはり何とかしたいというのが本音だろう。

誰だって本当は暖かい布団でゆっくりと満足いく睡眠を取りたい。こんな人が食べられる最低限レベルのものではなく、高級などではない普通に暖かな食事が食べたい。

それが皆の心を締める。

だが、それでも………それは実現不可能な夢だ。

分かってるからこそ、そんな幻想を抱いてしまう。所謂現実逃避というものだ。

だが、それに該当しない者がこの中に一人だけいた。

そう…………八幡だ。

確かに彼は満足な睡眠を取れない。いつ裏切り者に襲われるかわからない。

それは他の者とまったく変わらない。

しかし、彼の身体能力をもってして、特別に長い1時間半の休憩時間があれば、それは………ある不可能御を可能にする。

 彼は森の中を激走する。

休憩が始まると共に皆が食糧集めに散ると同時に飛び出し、普段ではまず出さない全力での走りで森を駆けていく。

木を最低限の動きで避け、急斜面を落下しつつ体捌きで見事に着地し尚走る。

その速度は野生の獣も驚きの速度であり、誰もが見たら思うだろう。

 

『こんな速度で森の中を走る人間なんて初めて見た』

 

そう思うくらい八幡は速かった。

あっという間に山を下山し、そして更に向かいの山へと飛び込む。

漫画の忍者もかくやと言わんばかりに駆けて行き、そして八幡はやっと足を止めた。

その先にあるのは川。小さいが自分側からはそれなりの深さがある小川。

その中には彼の狙いである川魚、ヤマメや鮎などの姿も確認出来る。

八幡はそれらを捕まえようというわけだ。そのためだけにわざわざ山一つ下りてきたわけなのだが。

何故そんなことをしたのか?

単純な話だ。彼とて人間であり、暖かい食事くらいは恋しいのだ。

だが、魚を食べるには火を使う必要があり(寄生虫の可能性があるため)、そのためには演習区内の山ではどうしても目立ってしまう。煙を起こせば良い的だ。

だが、『演習区内外』なら話は別。外で煙が起ころうと不審には思われない。こちらは確かキャンプなどの施設もあるので煙が上がっても不思議ではないのだ。

何より、そもそもの前提である『夏休みのしおり』には『演習区内に出てはいけない』などとは書かれていない。何せ演習区内が広すぎて普通に考えれば外に出ることなど不可能だから。そんな不可能を可能にするのがこの化け物。伊達に幼い頃から鍛えてきたのだ。そこらの2~3年で入社し配属された者達とは格が違う。

故にこれは八幡だけが出来る事。他のメンバーでも出来なくはないかもしれないが、彼ほどの速度は出せないし、行きだけで疲労して帰りに元の場所に戻れるのか不安だ。

そんなわけで八幡は到着した川の辺りを見回す。

勿論ながら、彼に魚を捕える道具などない。釣り竿があった所で時間がかかる。素手で捕まえられるほど野生の生物は甘くない。

その答えが…………自分が持てる限りの重さの岩を掴み、それを川の中にある大きな岩に向かって全力投球。

その結果、岩は激突し合い互いに砕ける。

その衝撃は凄まじく、激突の轟音が辺りに轟いた。

その結果はその岩の付近にいた魚がぷかぷかと浮かび上がる。

これは所謂『爆発漁法』の論理だ。あれは爆発物を用いて衝撃を発し、それによって魚を気絶か死亡させ捕まえるというもの。勿論違法だが、そもそも爆発物など一切用いていないのだから違法も何もない。岩同士が激突することなど自然では『よくある話』なのだから。

そうして獲物を仕留めた八幡は浮かんでいる魚を回収するのだが、ここで聞かないはずの声を聞いた。

 

「お、お兄ちゃん!?」

「ヒッキー!?」

「比企谷君!?」

「「比企谷!?」」

 

その声とともに現れたのは、八幡の良く知る5人。

最愛の家族である小町、ちょっとおバカだが可愛い結衣、頭は良いけど何処か思考が幼い雪乃、ぶっきらぼうだが優しい沙希、そして教師として立派ながらどっか抜けてる静。

そんな5人の登場に今度は八幡が驚いた。

 

「何でこんな所にお前等がいるんだ?」

 

その質問に真っ先に答えたのは小町だ。

 

「それはこっちの台詞だよ! お兄ちゃんこそどうしてこんな所にいるの! バイト先の実地研修はどうしたの!」

 

その質問に対し、八幡はどう答えて良いのか内心困り、代わりに話題の方向性を変えることにした。

 

「と、所でお前達はどうしてお前達はここに?」

 

その質問に今度は雪乃が答える。

 

「私達は平塚先生の誘いで奉仕部の合宿に来たのよ。あなたが不参加だと聞いた時は皆がっかりしたけどね」

 

そう言うが、出会えたことが嬉しかったのか微笑む雪乃。

そしてそのまま話が終わりなわけがなく、沙希が再び問題を掘り起こした。

 

「こっちはそんなわけでボランティアも兼ねてこうしてるんだけど、アンタはどうしてこんなところにいるの」

 

再び掘り起こされた問題と、そして5人の視線が集中する中、八幡は仕方なくばれない程度の答えで答えることにした。

 

「俺は向こうの山にある宿泊施設で研修してるんだよ。そこの飯が不味いもんだから、仕方なくこっちまで何か食える物を探しに来たわけ。川魚を自分で焼いてる方がまだマシって思えるくらい不味いからな、あそこの飯」

 

とりあえず当たり障りない答え。

演習区内は本当の話だし、食事も不味いのは事実。決して嘘は付いていない。

その答えで当然納得できるわけではないが、八幡がそれよりももっと気付いて欲しいような、欲しくないような、そんなことに気付いた為に言及出来なくなってってしまった。

 

「それでなんだが………どうして皆水着なんだ?」

 

別に変ではない。ここは水があるのだから着ていても違和感はない。

だが、それでも聞かずにはいられないのは人情というものだろう。

その言葉に当然顔を赤くする4人。結衣、雪乃、沙希、静の4人である。

そんな4人とは違い、小町はずいっと前に出て自分が着てる水着を兄に見せびらかす。

 

「えへへ~、川遊びが出来るって聞いて用意してきたんだぁ~! ねぇ、どう? どう?」

 

無邪気にその姿を披露する小町。彼女が着ているのは黄色いビキニ。成長途中の胸が少しだけだが谷間を作り、彼女の成長を伺わせる。

そんな小町に対し、八幡は父親のような優しい笑みを浮かべた。

 

「良く似合ってる。だけど兄としては、もう少し抑えめな方が嬉しいかな。何せ小町がそんなに可愛いと悪い虫が寄ってきそうだから」

「もう~、お兄ちゃんたら~、このこの~!」

 

実にシスコンらしいお褒めの言葉に喜ぶ小町。その所為か、先程まで問い詰めようとしていた気は散ったようだ。

そのまま上機嫌になった小町は後ろで赤くなっている4人を八幡の前に引っ張り込んだ。

 

「ね、お兄ちゃん! みんなの水着、どう?」

 

そう言いながら最初に八幡の前に出したのは一番近かった結衣。

彼女は水色のビキニを着ており、小柄な体には少々不釣り合いな大きな胸が目に入る。その視線に気付いたのか、結衣は耳まで顔を真っ赤にしながら胸を隠すようにしつつ八幡に問いかけた。

 

「ひ、ヒッキー、どう……かな?」

 

恥じらっている姿が可愛らしく、八幡は顔が熱くなるのを感じつつ何とか答える。

 

「似合ってると思うぞ。その……お前は胸が大きいから、そういう水着が映えるな」

 

一つ間違えばセクハラにしかならない回答。

だが、それでも結衣は嬉しかったらしい。

 

「似合ってるってヒッキーが言ってくれた………よかった~~~~~………」

 

真っ赤な顔ではにかむ結衣。

そんな彼女の反応に小町はうんうんと頷き、今度は雪乃を前に出す。

 

「どうかしら、この水着?」

 

雪乃が着ているのは真っ白い水着であり、セパレートタイプに近いものだろう。露出は多くないが、それでも彼女の美貌を十分に引き立てていた。

そんな彼女を見て八幡は気恥ずかしさを何故か覚える。

 

「その……なんだ……うん、お前も似合ってるよ。何ていうか、お前らしい感じがする」

「そ、そう……それはよかったわ」

 

少し強気でそう返す雪乃だが、それでも顔は真っ赤になっていた。

意地を張っているようだが、そんなところがまた可愛らしい。

そんな雪乃に内心悶えつつ、ノリに乗った小町は更に沙希をずいっと八幡の前に連れてきた。

沙希が着ているのは黒いビキニであり、モデル体形でスタイルの良い彼女にはとても良く似合っていた。

ただし、その美貌を八幡に見られているのが恥ずかしくて、トマトのように顔を真っ赤にしながら目を潤ませていた。

 

「そ、その………どうかな、この水着……」

 

妙に何かを触発されそうないじらしい雰囲気に八幡はそれを堪える。

いつもは格好良いはずなのだが、今はそれに美しいと可愛いが加わって凄いことになっているというのが感想だ。さっきから色々とドキドキしっぱなしである。

 

「お前はスタイルがいいからな………綺麗だと思う」

「そ、そそそ、そうなんだ!(比企谷が私のこと、綺麗って………綺麗って言ってくれた!)」

 

八幡から綺麗だと言われ、顔から蒸気を出しながら壊れたように話す沙希。その内心はかなり舞い上がっていた。

そして最後に小町が連れてきたのは静。

彼女が着ているのは白い花柄のビキニであり、腰には同じ柄だが紺色のパレオをまいていた。

その巨乳はかなり強調されており、正直目のやり場に困る八幡。

そんな八幡を見て不敵に静は笑った。

 

「どうだ、比企谷。私の水着姿は? 捨てたものではないだろう?(こいつ、さっきから目のやり場に困るって顔をしているな……うん、これはこれで可愛いものだ)」

 

そんな風に思われているとは知らない八幡だが、気まずいことだけは確かでありどうにか答えることにした。

 

「せ、先生はその……セクシーですね」

「そ、そうか………(分かってはいたが、そう言われるとやっぱり嬉しい!)」

 

以上、5人の水着の感想である。

皆褒められたことが嬉しいのか、恥ずかしいけど嬉しいといった感じにモジモジしている。

そんな5人を見て気まずさを感じつつも、八幡は何とか動きその場で火をつけるために行動しようとするのだが、それは別の人物の声によって中断させられた。

 

「ひ、比企谷!? 何でこんなところに君が………それにその格好は一体……?」

 

後から現れた葉山は八幡を見て驚くと共にその格好を指摘する。

八幡の服装は上は濃緑色の長そでシャツに下は迷彩柄の長ズボン。そしてタクティカルブーツを穿いており、その格好は誰がどう見てもゲリラ兵にしか見えなかった。

 

 








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