俺が青春なんてして良いのだろうか   作:nasigorenn
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ヒロイン二人が可愛いですよ。


第57話 俺は彼女達を無意識で上せさせる

 知り合いと家族の窮地という状況において、八幡はやはりと言うべきか予想通りと言うべきか……呆れ返っていた。

これまで知り合いに会う遭遇率が高いのだ。前にあったのならまたある。一度あることは二度もある、などなど。

今日という日、この千葉でも有数のビックイベントを鑑みれば目の前にあることもおかしくない。

そして八幡自身も分かっていることであるが、結衣も雪乃も美少女だ。こういった人が大勢集まり浮かれた場所にいけば必ずトラブルに見舞われる。

だから彼は焦らずに素早く対処した。

その結果が今であり、助けられた事と周りの浮かれた熱気に当てられてなのか、結衣と雪乃は瞳を潤ませながら八幡へと歩み寄った。

 

「ヒッキー、ありがとう!」

「助かったわ、比企谷君」

「ナイスだよ、お兄ちゃん!」

 

二人に続き小町もお礼を言う。二人は安堵から、そして小町は義姉候補二人と自分のピンチに颯爽と現れた………実際は一瞬にして背後に現れたように見えるのだが、それを抜きにしても助けたことを褒めているらしい。

そんな3人に対し、八幡は呆れつつ答える。

 

「もう少しは自分達の事を考えろ。こういった場所に出ればどういうトラブルに見舞われるのかわかるだろうに」

 

その言葉に結衣と雪乃は首を傾げ、小町はその言葉の真意を察しニヤニヤと笑いだす。

 

「それってどういうこと?」

「私達は自分のことは分かっているつもりよ?」

 

そのような反応を返す二人に八幡はどう返すべきかと悩む。どうやら彼女達は思っている以上に自分達のことを分かっていないようだ。

そんな彼女達にそのまま素直に言うべきかどうするべきか、彼自身気恥ずかしく思いながら考えていると肩をちょんちょんと叩かれる。

その方に顔を向けると、そこにいるのは実に楽しそうにニヤニヤと笑う小町がいた。

 

「お兄ちゃん、ちゃんと言わないとね」

 

その笑顔に何やらおかしな威圧感を感じ、八幡は観念する。

元より小町にダダ甘な八幡だ。彼女の言葉を否定することは基本無い。

だから八幡は頬が熱くなるのを感じつつ結衣と雪乃に言った。

 

「二人とも凄く可愛くて美人なんだから、もう少し考えてくれ。こういった場にはお前等みたいな美人に群がる男共が多いんだから」

 

その言葉を聞いた二人は最初はポカンとし、そしてその言葉の意味を理解すると共に顔を一気に真っ赤にした。

 

「そ、そんな、可愛いなんて……………(ヒッキーが可愛いって言ってくれた! そう思ってるってことは、ヒッキーも意識してくれてるってことだよね)」

「ひ、比企谷君、その………ありがとう。う、嬉しいわ………(まさか彼からそう言ってもらえるなんて………嬉しい………)」

 

顔を赤らめ潤んだ瞳で八幡を見つめる結衣と雪乃。

そんな二人の視線に当てられ八幡は気恥ずかしくて頬を軽く掻く。

傍から見ても分かる二人の好意。しかし、八幡はその手の感情にまだ疎い。それでも鈍感ではないのが救いであり、そんな両者の反応に小町は内心でニヤけた笑いが止まらない。

だから小町はそんな二人に更に加速をかける。

 

「良かったね、雪乃さん、結衣さん」

 

ニッコリ笑う小町にそう言われ、彼女が何を考えているのか分かる二人は更に顔を真っ赤にして恥じらう。自分達が考えていることが小町には筒抜けなのだと分かったから。

そのまま互いに気恥ずかしくも何処か胸が暖かくなる。

そんな雰囲気にどうしてよいのか困る八幡だが、ここで小町に矛先を変えることにした。

 

「そう言えば何で小町がここにいるんだ?」

 

八幡の何気ない質問に小町はえへへっと笑いながら答える。

 

「受験勉強の息抜きにお二人に付き合ってもらったのです」

 

堂々と胸を張って答える小町。普通ならここは受験勉強中の人間が何をしているんだと怒るのが当たり前なのだが、八幡が小町に怒るなんて真似はしない。

その答えを聞いて八幡は未だに顔を赤らめている二人に軽く謝る。

 

「すまないな、二人とも。小町が我儘を言ったみたいで」

 

身内がかけた迷惑に謝罪する八幡

そんな当たり前のことに対し、雪乃と結衣の二人は慌てて答えた。

 

「べ、別に大丈夫よ! 受験生にも息抜きは必要だもの」

「そうだよ、うん! あんまり詰め込んでも小町ちゃん、パンクしちゃうと思うし」

 

二人の言葉に八幡は更に感謝する。

 

「ありがとうな、雪ノ下、由比ヶ浜」

 

何気ない感謝だが、この二人にはとても温かく、そして胸がキュンと締めつけられる。大好きな相手からの最高の感謝の言葉。それが二人をより嬉しくさせた。

そうなっているとは知らない八幡は顔をさらに真っ赤にしている二人にどうしようかと悩む。

そんな二人を小町は本当に面白そうにニヤニヤとしつつ、八幡に質問を問いかけた。

 

「そう言えば何でお兄ちゃんがここにいるの? アルバイトは?」

 

その質問に雪乃と結衣の二人もそうだと思い、八幡に視線を集中させる。

3人に見つめられた八幡は奇妙な感覚に捕らわれつつも答えた。

 

「アルバイトだよ。今回の仕事はこの会場でポイ捨てされたゴミなどの回収だ」

 

表向きの理由に3人は納得する。

確かにそれもありそうだと言えばありそうだからだからだ。何より雪乃と結衣の二人は八幡に会えて嬉しいことを言ってもらえたこともあって内心盛り上がっているので細かいことが気にならないようだ。

そんな納得した3人を見つつ、八幡は小町に話しかける。

 

「それで小町、何がいいんだ?」

 

傍から聞いたら何のことかまったくわからないが、財布を取り出しながらそう問いかける八幡に小町は嬉しそうに笑いながら答える。

 

「ありがとう、お兄ちゃん! それじゃぁ………小町、あれがいいな」

 

そう言って小町が指したのはたこ焼きの屋台。

それを見て八幡は財布からたこ焼きの代金を出しつつ3人と一緒にたこ焼きの屋台へと向かう。

そして小町が欲しがっているものを購入して小町にそれを渡すと、今度は雪乃と結衣の二人に八幡は話しかけた。

 

「雪ノ下と由比ヶ浜はどれがいいんだ?」

 

その質問に最初は意味が分からなかった二人だが、小町のたこ焼きを見てその意味を理解し慌てる。

 

「いや、そんな悪いって! ヒッキーが奢る理由がないよ」

「そうよ、いくらなんでも急にそう言われても困るわ」

 

慌てて否定しつつも何処か嬉しさを隠しきれない二人に対し、八幡はそれを気付かないまま丁寧に答える。

 

「小町の我儘に付き合ってもらっているんだ。そのくらいはさせてくれ」

 

その言葉に仕方ないと思ったのか二人は頷いたが、内心はやはり嬉しいようで笑みが隠しきれない。奢ってもらえることも嬉しいが、それ以上に大好きな相手に奢ってもらえると言う事実が嬉しいのだ。

そして奢ってもらったわけなのだが、結衣がチョコバナナ、そして雪乃が林檎アメである。

それを一口だけ口にして、二人はその甘さと祭りの情緒を味わう。

そんな二人を八幡は暖かな目で濁りつつあるも見つめる。

その視線に気付いたのか、雪乃と結衣は互いの顔を見合った。

これからすることは意中の相手へのアタック。それを抜け駆けなしで公平に二人でしようというのをアイコンタクトだけで成立させる。

そして成立させるや結衣が八幡に問いかけた。

 

「も、もしかして、ヒッキーも食べたいの?」

 

その問いかけに八幡は相手が食べている所を気まずいと思ったのだろうと判断し、違うと否定しようとした。

 

「いや、そういうわけじゃ……」

 

ないと言い切ろうとしたのだが、その前に結衣が前に出た。

手に持っていたチョコバナナを八幡の前に差し出し、真っ赤な顔で上目遣いに見つめる。

 

「ど、どうぞ…………」

 

完璧に食べろと言っているこの状態。

そうじゃないと言ったらどうなるのか分からないが、絶対にロクな目に遭わないと思った八幡は仕方なく応じることに。

 

「そ、それじゃぁ………一口だけ……」

 

そう言って結衣が食べた場所とは違う場所を齧ろうとする八幡。

ちなみに本当ならチョコバナナを受け取り食べるはずなのだが、何故か先周りされてしまったのか小町に荷物を持たされてしまい、両手がふさがっている。そのため食べさせてもらう以外に方法がない。

段々と近づいていく八幡の顔にドキドキする結衣。

その濁った特徴的な目も寧ろ彼女には愛おしく感じさせる。

そして八幡が齧ろうとした瞬間………。

 

「結衣さん、危ない!」

 

小町がそう『わざとらしく』言うと、結衣の背中を優しく押した。

その結果八幡の食べようとしていた場所はずれてしまい、見事結衣が齧った場所にピンポイントで口に入った。

それを見た結衣は途端に体温が上がるのを感じ、恥ずかしさと嬉しさで感情がごちゃまぜなる。

 

「ありがとうな、由比ヶ浜。美味いよ」

 

気付いていないのか、八幡はそう答える。

そんな八幡に結衣は小さな声で何とか答えた。

 

「こ、こちらこそ…………どういたしまして………(ヒッキーとその………間接キスしちゃった………あぅあぅ)」

 

間接キスというイベントに頭が沸騰しかける結衣。

そんな結衣に雪乃は羨ましいという感情を感じつつも自分はそうならないように気を付けようとする。だって恥ずかしいからと。

 

「比企谷君、こっちもあげるわ。由比ヶ浜さんのを食べて私のを食べないなんて不平等だもの」

「いや、何でそうなるんだ?」

 

その言葉の真意がまったく分からない八幡だが、従わないと後で怖い目に遭う気がするのと言葉の通りの意味合いで仕方なく差し出された林檎アメに顔を近付ける。

やはりと言うべきか、雪乃もまた近づいていく八幡の顔にドキドキしてしまう。

目は個性的だが、それ以外は寧ろ美形。まつ毛が長いなど、様々な情報が彼女の中に入り、その一つ一つに乙女らしい感想を抱く。

勿論八幡は間接キスをする気などない。食べた場所は当たり前に避ける。

それを見て雪乃は少しだけがっかりしたがほっともする。

だが、それを許さぬ小悪魔は、再び悪戯をした。

 

「はい、半回転」

 

持ち手が緩んだのを見抜くや小町は雪乃の持っていた林檎アメの柄を掴んで軽く回す。それにより八幡の先にあるのは雪乃が食べた跡。

それは当然雪乃の目に入り慌てて林檎アメを話そうとするのだが、もう遅かった。

八幡はその噛み跡に気付かずに上書きするように噛みついた。

そして新たに出来た歯型。

それを見た雪乃は結衣動揺に頭が沸騰しかける。

 

(比企谷君と間接キスしちゃった。しかもこれを食べればもっと間接キスになるわけで………どうしよう、アメの部分が妙に照かってる気がしてならないわ…………ドキドキが止まらなさ過ぎて…………頭がぼおっとする)

 

熱に浮かれたような顔になる雪乃。

そんな雪乃に八幡は不思議そうにしつつも礼を言うが、雪乃の頭にはまったく言葉が入らない。

 結果、二人は間接キスに熱暴走。

その成果に小町はよっしゃと実に楽しそうであり、八幡はまだこの3人と一緒にいなければいけなさそうだと思った。

 

 

 

 






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