俺が青春なんてして良いのだろうか   作:nasigorenn
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新しいパソコンでの投稿ですよ。


第60話 俺はロリコンじゃない

 つい先程も思ったが、今更驚くようなこともなく八幡は再び会った川崎姉妹に普通に言葉をかける。

その様子は結構仲が良い様に見え、それ故に後ろにいる雪乃と結衣は若干ながら嫉妬してしまう。

 

「けーちゃん、さっきさーちゃんに言われたばかりだろ。ちゃんと言うことを聞かないと、怖いお化けに攫われちゃうぞ~」

「はぁい、ごめんなさ~い。でも、そうなったらはーちゃんがたすけてくれる?」

「そうなったらな」

「ならぜったいにだいじょうぶ! えへへへへ」

 

八幡の腹あたりに頭をぐりぐりと押しつけながら甘く笑う京華。そんな京華の頭を八幡は優しく撫でてあげる。

そんな妹の行為に姉である沙希は申し訳なさと少しばかりの羨ましさを感じながら八幡に謝った。

 

「ごめん、比企谷! 妹が迷惑をかけて」

「いや、何でもないだろ、このぐらい」

 

顔を真っ赤にして謝る沙希に八幡はそう返した。それは本当のことであり、この程度は迷惑というレベルですらない。

腹に抱きつく京華の頭をポンポンと軽く叩きながらそう答え、八幡は沙希に軽く笑いかける。

ただのなんてことない普通の笑み。

だが、それだけでも沙希の顔を真っ赤にさせて幸せな気持ちにさせるのに十分な威力を持ち合わせていた。

 

「そ、そうなんだ…………」

 

下を俯きながらそう呟く沙希。耳まで真っ赤になっており、どこか顔がニヤついて仕方ない。

そんな沙希を見て………彼女より断然背の低い京華は声を上げて笑う。

 

「あ、さーちゃんすごくうれしそう~!」

「な、何いってるの、けーちゃん!?」

 

妹にニヤケ面をバラされて慌てる沙希。

その様子は普段の彼女を知っているものなら少しばかり驚いてしまう。

八幡はむ知っているから何もないが、その後ろにいる3人は驚きを隠せずにいた。

 

(沙希がいつもと違う!? 何、アレ? なんか可愛い!)

(彼女、いつもはクールなのにそれ以外にこんな一面があるとは………侮れないわね)

(う~~~~ん、いつものクールな沙希さんもいいけど、こういうのもアリだね)

 

そんな感想を抱きつつも、やはり気にくわないと感じてしまう雪乃と結衣は八幡をジト目で睨みつつ話しかける。

 

「ヒッキー、いつまでそうしているの?」

「まさか比企谷くんがそんな『幼女愛好家』だとは思わなかったわ。これからは近づかないでちょうだいね」

 

冷たい視線とともに向けられた怒り満載な言葉に、八幡は苦笑を浮かべつつ答える。

 

「いや、何そんなに怒ってるんだ? それに俺はそんな危ない思考の持ち主じゃないっての。この年頃の小さな子相手にするのはこれぐらい普通のことだろ。この程度でそんな風に言われてたんじゃ、世の中あっという間に犯罪者だらけになってしまうよ」

 

その答えに納得できないわけじゃないが、不服な二人は相変わらず八幡を睨む。

その視線に今度は沙希が二人に謝った。

 

「ごめん、二人とも。ウチの妹のせいで、その………」

 

沙希の申し訳なさそうな様子に流石にこれ以上怒るのは大人げないと判断して睨むのを二人は止めた。

二人の視線がなくなったことにより、八幡は沙希にお礼を言う。

 

「ありがとうな、川崎。なまじ美人の睨み顔というのは怖いものだからきつくてな」

「「!?」」

 

八幡の言葉はしっかりと二人の耳に入り、今度は二人が顔から湯気を上げる。

 

(ヒッキーが美人って……私のこと美人って言ってくれた! どうしよう、嬉しいなぁ!)

(よく周りから言われてきた台詞だけど、こうして言う人が変わるだけでここまで違うとは思わなかったわ。比企谷くんは私を美人だと言ってくれた………なんか…良いわね)

 

大好きな相手に美人と言われたのが嬉しかったのだろう。例えマイナスであろう行為であっても、それは見事プラスとなって帰ってきた。

その言葉が二人の心をポカポカと暖かくし、それまであった嫉妬や羨望が一気に吹き飛んだ。

 そんなわけで八幡一行はさらにその数を増やす。

八幡の少し後ろで彼の上着の裾をちょんと摘まみながら歩く雪乃と結衣。そして八幡の腕にしがみつきながらご機嫌な京華と、そんな彼女の片腕を優しく掴みながら隣で歩く沙希。そしてそんなある意味ハーレムな兄を愉快そうに笑いながら後ろを歩く小町。

きっとこれを見たものはほとんどが羨むだろう。何せ美少女に囲まれているのだから。

だが、八幡は周りからの嫉妬と羨望の眼差しよりも、別のことが気にかかる。

 

(この奇妙な状態はどうなんだろうか?)

 

知り合いに会う確率が多いのはもうこの際良い。だが、一緒に行動した結果出来上がった良くわからない集団というのはどうだろうかと思ったのだ。

そこにあるのは純粋な疑問であり、思春期らしい感情は一切ない。

だから彼はまったく気づかない。自分が置かれている幸せというものに。

そのまま歩いて行く一行ではあるが、そもそも花火大会なのだから本題は花火である。

だから花火を見るためにはより見やすいポイントを押さえる必要があるのだが、流石にここまで人が集まってはそう簡単に確保できるわけもなく、どうしようかと迷う。

別にこのまま見ても良いとは思うのだが、流石に今この場ではどうにも問題に遭う可能性が多い。

周りを見れば皆美少女ばかり。それだけでナンパ目的の輩が近づいてくるのは目に見えている。

それの問題解決に苦労することはわかり切っているので、そうならないためにはどうすれば良いのか。

そう思いながらなんとなしに歩いていると、いつの間にか有料エリア付近に近づいていた。

そしてそこに近づくということは…………。

 

「あ、比企谷くんに雪乃ちゃん達だ! お~~~~~い!!」

 

こちらに手を振りながら声をかけるのは薄紫色の着物を着た美しい黒髪の美女。

その姿に八幡は驚かない。もう何度も言ったが、今更驚くこともない。

何というか、この付近に近づいた時からなんとなく会う気がしたのだ。だからこの再会にも動じることなく応じようとする。

だが、その前に驚く人物がいた。

 

「ね、姉さん!?」

 

雪乃は相手を見て戦くように驚く。

そんな彼女を見て、着物の美人は実に嬉しそうに笑った。

 

「そう、お姉ちゃんですよ、雪乃ちゃん!」

 

そう、着物を着ている美女は雪乃の姉である雪ノ下 陽乃だ。

すでに会っている八幡は驚かないが、久々の再会をした結衣や沙希や小町は驚いている。

そんな周りの様子……というか八幡の周りにいる女子達を見て、陽乃は何やら思いついたようで、ニコニコと笑顔を浮かべながら皆に提案をした。

 

「ねぇ、一緒に花火をみない?」

 

この提案に少し困惑がありつつも、一同は特等席で見れることに賛同した。

 



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