Re:フラグから始める攻略生活   作:律乃

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今回の話はラムさんとロズワール様の密会兼報告会ですね。割と作者はあの密会のシーンが好きだったりします。普段見せるラムさんとはまた違うラムさんの表情、さてその表情はいつになったら主人公は見ることが出来るでしょうか?ではでは、駄作ですがご覧ください。

※お気に入り40人、評価者二人。
本当にありがとうございます!びっくりしました最初にこの数字を見たときは。個人的に目指しているお気に入り登録数は100人です。それを越えれるように頑張って、怠けず更新出来ればな……と思う次第です。



四話『桃髪のメイドの㊙︎密会』

「あれはハルイトくんじゃないかぁーな」

 

「?」

 

最上階に位置する執務室、今そこに怪しげな雰囲気を醸し出している二人の人影がいた。

広い部屋が月明かりに照らさせて、その広い部屋に鎮座する家具達が目に見える。まず、中央に配置させているのが来客を出迎える応接用の長椅子とテーブル。最奥にこの部屋の主が執務するために配置された机と椅子がある。黒檀の机の上には書類と羽根ペンが転がさせており、ほんのりと湯気立つカップが其々、二つずつ用意させていた。

黒い回転式の椅子に腰をかけて、窓の外を眺めているのがこの部屋の主。ロズワール・L・メイザースである。長い藍色の髪を椅子の腰掛けへと流し、左右違う瞳で興味深げにそこで白い虎と対決している赤髪の少年を見ている。

そんな主に釣られて、窓の外へと視線を向けるのはこの密会のもう一人の参加者のショートボブの桃色の髪を揺らす改造メイド服を身につけた小柄な少女はいうまでもなくラムである。

 

「ラムが彼を拾ってきてくれて、もう三日経つんだぁーね」

 

「はい。あの時はラムの身勝手な行いに寛大な慈愛を下さり、返す言葉もございません」

 

「いぃーや、いや。いいのだよ、君は本当に面白い拾い物をしてくれたものだぁーよ。それに関しては私の方からお礼がいいたいものだぁーね」

 

「もったいないお言葉ありがとうございます」

 

ロズワールは視線は今だに赤髪の少年へと向けられており、それをチラリと見たラムの薄紅色の瞳が微かに感情で揺れる。そして、ロズワール越しに白い虎と戦い続ける赤髪の少年を見る。その瞳には本人にも気づかない僅かな感情が波を立てていたのだが、ラム本人がその感情に気づくのはこの密会から数ヶ月先の事である。

 

「ところでハルイトはどうかぁーな?使用人としての才能は?」

 

「はい。教えたことはすぐに覚えますし、仕事の速さもレムとラムの真ん中くらいです。それとこれはとても意外なのですが、料理が出来ます」

 

「へぇー、そういうのには疎いと思っていたのだがぁーね」

 

「はい、ラムもそう思っておりました」

 

頷くラムにロズワールも微笑む。今だに続く赤髪の少年の訓練を背にロズワールはラムを手招く。それにいつも表情に乏しいラムがみるみるうちにその仮面を剥がして行く。ふらふらと覚束ない足取りで手招きする主へと近づき、遠慮げに椅子に腰掛ける主の膝へと体重を預ける。

 

「宜しくお願いします……」

 

小さく羞恥心が混ざった呟き声を漏らして、おでこにかかる桃色の髪を左右に分けられて、ラムは熱を帯びた薄紅色の瞳をロズワールへと向けた……

 

τ

 

「あれは?」

 

姉と雇い主に配茶を終えたショートボブの青い髪を持つ露出度が高いメイド服に身を包んだ少女ことレムは、手入れの行き届いた庭の芝生の上に横たわる赤髪の少年を見かける。近づいてみると少年は始めて会った時の服装をしていた。黒いカッターシャツにフードのついたベスト。年季の入ったジーンズ。それを身につけている人物、その全てがレムには〈奇妙なもの〉という認識しか持てなかった。

しかし、その全てがレムの勘違いであることに今日出会って気づかさせれた。長年培った姉の機嫌度パラメータによると彼の評価は良くも悪くも普通であり、上に上昇することはあっても真ん中から下へと下がることはない。それが何を意味するのか、レムには分からないが姉と彼が良い関係であることは断言出来る。レム自身も同僚としての彼の仕事ぶりは評価するに値する。実際、姉よりも仕事の腕は上である。そんな彼が風邪などを引きてしまってはそれこそ姉に膨大な迷惑がかかることだろうーー

 

「ハルイトくん、こんなところで寝てしまっては風邪を引いてしまいます。起きてください」

 

ユサユサと身体を揺り動かすと薄っすらと目を開けたハルイトが赤い瞳でレムを映した。

 

「ぅぅ……レムさん……?なんで……?」

 

「姉様とロズワール様に配茶してきたところなんです。ハルイトくんこそ、こんなところでどうしました?」

 

「………俺?俺はちょっと……特訓みたいなことしてたんだ……、それと足が釣ってしまって動けなくて……」

 

「………」

 

「その『心配して損した』って顔やめて!地味に心が痛むから!!」

 

「まだ動けそうにないんですよね?仕方ないですね、レムが送って行ってあげます。ハルイトくんが風邪を引かれては姉様にも迷惑がかかりますから」

 

「ありがとう、本当にごめんね……。と、それはいいけどレムさんって本当にラムさんが好きだよね」

 

「姉様は素敵ですから」

 

「確かにそれは俺も思うよ、何故 そう思うのかは分からないけど」

 

本当に申し訳なさそうに言うハルイトにレムはヒョイとお姫様だっこで持ち上げて、ハルイトの部屋へと向かうのだった……




次回は攻略フラグが遂にでます。誰かといえば、桃髪と毒舌が素敵なあの方ですかね。

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