Re:フラグから始める攻略生活   作:律乃

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今回の話は初登場のあの人が主です。タイトルで大体の方は分かっていると思います。では、ご覧ください

※お気に入り78人!感想8件と本当に多くの人に見てもらえて嬉しいです。感想でよくラムがデレる姿が浮かばないとかロズワール様という壁をどう攻略するの?と聞かれるんですが、多分ラムさんがデレるのはかなり先の事になると思います(苦笑)ロズワール様、まじパネェということで……


八話『青髪のメイドとクリーム色の巻き毛の幼女』

「ハルイトくんはここを掃除して下さい。レムは応接間の方をしてくるので、終わったらそちらへと」

 

「了解。早く終わらせて、レムさんの手伝いに行くから」

 

「あまり急がなくていいですよ。急がれて、花瓶やらを壊されたらレムの仕事が増えるので」

 

「レムさん、最近厳しんだけど俺なんかした!?でもっ花瓶壊したの事実だから何も言えないッ!!」

 

傍に立つ少女の青い手入れの行き届いた髪が揺れて、可愛らしく小首をかしげられる。?マークが浮かぶ薄青色の瞳の無自覚さに俺はため息を着く。

雑用をこなせるようになった近頃はよく彼女の手伝いをしているのだが、彼女が言ったことも嘘というわけではない。事実、俺が急いだ結果 花瓶を割った数は今日までで五回。その度に彼女に呆れられた顔をされて、小言を貰いながら片付けた物だ。しかし、今日はそうならない自信がある!何故か分からないけどッ

 

「では、ハルイトくん。よろしくお願いします」

 

「うん、じゃあ 後で」

 

頭を下げるレムさんに右手を上げて、応じながら 目の前のドアノブへと手を伸ばして手前へと引っ張る。そして、目の前に広がる光景に赤い瞳を極限まで大きくしてーー

 

「ギャーギャーとうるさい奴かしら」

 

ーー本に囲まれている部屋の中央で紅いドレスが可愛らしい幼女が本を読んでいた。

 

「幼女がいるッ」

 

「あと、その幼女っていうの腹ただしいからやめるかしら」

 

「なんで?幼女は幼女でしょ?」

 

俺の発言に次第と目の前に座る幼女の顔が険しくなっていく。それを知らない俺はズンズンと彼女の前まで歩いていくと周りを見渡す。当たり前だが 本と本、本が所狭しと並んでいた。スゥーと息を吸い込み、フゥーと息を吐く。

“うん、落ち着くな。やっぱり、本に囲まれていると……”

俺の父、祖父共に本の虫と呼ばれるものであった。なので、俺の家も壁という壁が本だらけでその中に子供が好きそうな童話は数冊あるかないかで殆どは父の残念知識の源となるものばかりであった。しかし、そんな父から産まれた俺も母が呆れるほどの本の虫ぷりを発揮した。なので、父の残念知識も俺が受け継いだとなる……ん?ちょっと待てよ、なら俺はあの二人から残念なところしか受け継いでないというわけか?……ジーザス‼︎なんてことだ!俺が何をしたというのですか?神様……

 

「壮大にバカなことを考えているかしら、その女々しい顔つきは。用が無いならさっさと出て行くといいのよ」

 

椅子に座る少女はふっくらとした顔つきを剣呑な顔つきへと変えると俺を睨みつける。クリーム色の髪は縦ロールで身につけている紅いドレスはフリルがあしらわれていて、とても愛らしい。しかし、そんな幼女にさえ女々しいと罵倒される俺って……

 

「女々しい顔つきは自前ですよ、お嬢さんッ!!お嬢さんこそ、なんでこんなところに居るの?保護者は?居ないとまずでしょう?幼女一人でこんな所にこもってるとか」

 

「幼女は余計かしら。それに女々しいお前に心配されなくてもいいのよ、ベティーの居場所はここだから」

 

「はぁ……この〈書庫〉みたいのところが?寂しくないの?」

 

「寂しくないかしら。それよりお前はいつまでそこに居るのかしら?さっきから質問ばかりでうるさいのよ」

 

確かに目の前に座る少女の頬がプックリと膨れ上がっている。しかし、だからといって幼女をこんな所に一人置いておいていいものだろうか?

 

「本当に失礼な奴なのよ、幼女幼女って。少し痛い目ち合わせてやるかしら」

 

「え………ぐはっ!?」

 

少女が此方へと右手を向けた瞬間、全身に強い衝撃が走る。その衝撃により、身体は廊下を越えて窓の方へと。パリンとガラスの音が響き、窓の外へと放り出される身体を寸前で支える。

 

「ッ……、このまま落ちたら死ぬ……死ぬに違いない……」

 

顔を青ざめさせながら、俺は下を見る。広がるのは青々と茂る植物達、その周りを赤いレンガが囲んでいる。

“花壇か……あの上に落ちたら……”

プルプルと震える右手がそろそろ限界なのを教える。こうなったら、一かバチか。覚悟を決めよう。俺は目を閉じるとゆっくりと右手を外した……




次回はあの方の登場です。セリフを考えるのが難しい……

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