この話では、タイトル通りの話となります。ラムさんから面倒事を押し付けられたハルの生まれつきの能力が明らかになります。一番上にある自己紹介文を読まれた方はもうお分かりかもしれませんね(笑)
レムさんと約束した次の日の事、速攻で自分の仕事を終えた俺は目をこすりながら、レムさんに頼んで変わって貰った食事当番の為に、廊下を歩いていると向かい側から、一人の少女が歩いてくる。
桃色のショートボブと露出度が格段と多いメイド服を揺らして、欠伸を噛みしめる俺に絶対零度の如き視線を送る薄紅色の瞳を向けてくる。しかし、そんな明らかに不機嫌を全面に出した態度でも愛おしく思えてしまうのは、俺が彼女に恋心を抱いているからだろう。
「ハル、仕事中に欠伸とは関心しないわね」
「あはは…ごめんね、夜更かししちゃったみたいで」
赤髪を撫でながら、そう答えると桃色のメイドことラムさんが、呆れたように「はぁ〜」とため息を着く。
「そんなに眠たいなら、ラムから一つ仕事提案してあげるわ。これでハルの眠気もやる気も元通りでしょう。ラムの寛大な心に感謝することね、ハル」
そう言ってのけるラムさんに俺は少ながらず、こう思った…ー
ーー“それって…ただ面倒事を俺に押し付けてるだけなんじゃあ……”とーー
ということで、ラムさんから半ば強引に押し付けられたアーラム村に張られている結晶の点検を自分の出せる最大のスピードで昼ご飯の調理を片付けて向かう。
「ふわぁ〜ぁ…たく、ラムさんって俺のことを都合のいいアッシーかパシリとしか思ってないだろう、この扱いは…ムゥ〜、これはガツンと言うべきか?いや……」
“今日のラムさん…いつもよりもダルそうだったし…仕方ない、今日は目を瞑るか…”
とパシリに使われた怒りよりも彼女を気遣う気持ちが勝ってしまう面、俺はラムさんに関しては甘々なのかもしれない。レムさんもラムさんに甘々なので、ロズワール邸での使用人図を書いてみたら、割とひどい図になるかもしれない。
“このままじゃあダメとは分かってるだけどなぁ…”
と自分の優柔不断さに溜息をつこうとしたその時、自分の心に、脳に直接くるような痛みのような…曖昧な感覚が広がる。
“これは?…お母さんが言ってた…”
母から受けづいたこの能力は感覚的に敵を発見することができる能力である。母曰く慣れば、オーラも見ることが出来るらしく、残念ながら俺もまだそこまでいってはいない。それどころか、この能力もうまく使いこなしていないらしく感覚的というか…ズキンとした一見すれば見落としてしまいそうな僅かな痛みでしか、俺は敵を認知することが出来ない。まぁ、それに関しては何も不満も何もないのだが…俺の生まれつきの性格的なものもあるだろうし、才能の面もあるだろうし、と。それよりも周りを注意深く観察しなくてはーー
「……てぇ」
「ーー!!こっちか!?」
僅かに聞こえた悲鳴らしき声に俺はその方面へと走り出す。 心で思うことはただ一つだけだーー
ーー“間にあってくれ!!”ーーと