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この数字を見た途端、思わず笑みが零れてしまいました。この小説が多くの人に見てもらえてることに感謝を!
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「最近はレム姉様とお仕事するのが多いですね。ハルはちゃんとレム姉様の役に立ってますか?」
「ふふふ。兄様、今は二人きりなのですから、〈妹〉の真似しなくても宜しいのではないですか?レムも普段の兄様の方が好きです」
「なら、なんでこんな格好させたの!?」
悲鳴にも似た叫び声を上げたのは、露出度満載のメイド服に身を包む赤髪の少年である。傍らでクスクスと笑う当事者の青髪の少女を知らず知らずに睨む。
「兄様なら似合うでしょうって、姉様がおっしゃったので……」
「……頼むから、レムちゃんはもっと自分の意見を表に出そうよ」
「いえ兄様、姉様は悪くないんです。レムも好奇心に負けてしまって、兄様にこのような格好をさせてしまったのですから……なので、姉様の事は責めないであげてください」
「はぁ……」
頬を朱に染めて、恥ずかしそうに微笑む青髪の少女ことレムに頭を抱える赤髪の少年ことハルイト。そんなハルイトを申し訳なそうに見上げてくるレムの青髪へと手をのけると撫でる。
「兄様?」
突然のハルイトの行動にレムが驚く。ピクリと肩を震わせる様子を柔らかい笑みを浮かべて、優しい手つきでふわふわとした感触が気持ちいい青髪を堪能する。
「そんな顔しなくてもいいよ。俺もレムちゃんと同じ立場なら悪ノリしてそうするだろうし、それにラムさんに言われたら仕方ないよ」
「兄様……、しかし」
「嫌がってるように見てるかもだけど、意外とこの格好っていいよね?執事服より動きやすいし、暑くない。たまにはこういう格好もいいと思うけどな、俺は」
「本当ですか……?兄様は本当にそう思ってますか?」
「もちろん!そうりゃあ、恥ずかしいし、男としてのプライドがメチャクチャになったかもだけど……こうやって、始めて出来た後輩にイタズラするのって心踊るから。だから、レムちゃんもこのドッキリが成功するように応援と援助をお願いね」
「はい!」
レムが笑顔を浮かべるのを見るとハルイトも笑顔を浮かべる。二人して、テキパキと食堂の掃除を終えた後は別行動となる。
「それじゃあ、レムちゃん また後でね」
「はい。兄様」
お互い、手を振り 其々の仕事場へと歩いていった。
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“……今日の俺の仕事は……、東棟の掃除だったな。生け花の水を変えなくてはいけないし、取り替えなくてはいけないのなら、それもしなくてはいけないだろう。その後はカーペットを掃き掃除して、窓を拭いて、各部屋もしないとな……。簡単な掃除の後は食事の準備をしなくては……”
今日のこれからの予定を頭の中で経てながら、東棟へと向かう途中 庭園で並んで、草抜きするラムさんとスバルの姿を見つける。声は流石に聞こえないが、なんだかんだいって懇切丁寧に教えてるのだろう、ラムさんの事だから。毒舌はその優しさの裏返しということだろう。
「よし、俺も頑張るぞ!」
掃除用具を取り出し、俺は颯爽と東棟へと歩いていった
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「ん。サラダのソースはこれでいいと……。後はスバルさんとラム姉様が切ってくれてる具材を流し込んで、グツグツと煮つければ スープの出来上がり。後はしゅーー」
「ぁだーー!!!」
突然、響いた半泣きの悲鳴が後ろで皮剥きを行うスバル、ラムさんから聞こえたことは予測できた。なら、その悲鳴を上げたのは誰かーー言わずともスバルであろう。その証拠にラムさんの呆れが含んだ声が聞こえてくる。
「反省のないことだわ。バルス、上達って言葉を知らないの?」
「けどね、先輩。俺、箸以外の調理器具を触ったとこないスタートなんですよ」
“まぁ……、仕方ないよな……。俺も始めて、料理した時はそうだったし……”
肉の塊を食べやすい大きさに切りながら、後ろで繰り広げられている会話へと耳を済ませる。
「しっかし、俺はともかく 姉様まで皮剥き担当ってのは実際どうなのよ。長女としての威厳とかは」
「得意分野は任せて、長所を活かした仕事をするの。ラムの出番はここじゃないわ」
「事前に得意分野でも能力値で負けてるって聞いてるんですけど!?」
騒がしい後ろを微笑ましく思いながら、熱したフライパンへと肉を入れると、隣でグツグツと沸騰している鍋を見て、皮剥き担当の二人へと振り返る。
「スバルさん、ラム姉様。準備はよろしいですか?」
振り返り、ラムさんとスバルの作業台を見て 俺は言葉を失う。
“うん、まぁ……。仕方、ない……よな?うん……”
スバルとラムさんの作業台には幾つもの、皮剥きをした野菜が転がっている。一つは慣れた手つきによって丸裸にされた野菜達が、もう一方は向いた野菜が俺の親指くらいしか残ってなかった……
“可哀想に……、キンピラでも使うか……”
心で無残な姿にかえられてしまった野菜達へと手を合わせる。
「はい、ハル。大きさはこれくらいでいいかしら」
「はい。流石、ラム姉様です。ハルの思ってる事はお見通しなのですね。あっ、スバルさんのは論外なので切らなくていいですよ」
「姉様と俺との対応の差に悪意を感じるぞっ!くそくそ、見てろよ。今にメキメキと実力をつけてーーあぁあああ!!」
悔しそうに地団駄を踏んでいたスバルが手元を見ないままにナイフを動かすものだから、指先へとナイフがめり込み、再度血が吹き出る。ラムさんから野菜を受け取り、スバルに頭を抱える。
「スバルさん、もういいのでラム姉様から受け取った野菜を四頭分に切ってください」
「その呆れた表情が更に俺の心を抉る……」
そんなスバルの呟きを聞き、流石に悪いと思ったが仕方ない。新人が早く成長してくれるのを楽しみに思う俺であった……
前の前書き書いたことですが、もう暫く悩んでみることにします。確かにあのお二人がハルを慕って下さるなら、作者としても嬉しいのですが。まだ、決めるべきではないかなーと思いまして(笑)
これからのスバルとの関係、お二人との関係らを踏まえまして 考えていくつもりです。