Re:フラグから始める攻略生活   作:律乃

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早めに更新すると言って、時間がかなり経ってしまいましたね…本当にすいませんm(_ _)m

今回も少し長めです、そして読みにくい感じに仕上がっているやもしれません…

また、このリフラは毎週金・土で可能であれば…更新したい思ってます。

わがまま言ってすいません…(汗)



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本当にありがとうございますm(_ _)m


三十話『鉄壁の護り・光焰なる壁』

 

すっかり日が落ちた山道を一人の少年が血相を変えて、走り抜ける。

朝に綺麗にセッチングした黒髪は激しく舞う風により、無残なことになっており、今の今まで全力疾走という過酷なマラソンにより…その少年・スバルは吹き出る汗を乱暴に袖で拭くとやや乱暴に怪しげなピエロメイクが特徴的な雇い主が建てた屋敷の扉を開けた先には、二人の露出度が高いメイド服を着ている少女がいた。

触れれば柔らかそうな髪を揺らしながら、奉仕に励む二人は血相を変えて転がり込んで来たスバルへと、片方は薄紅色の瞳へと鋭利な色を浮かべ、もう片方は薄青色の瞳へと憂慮の色を漂わせている。もちろん、その憂慮の色は肩で息をしているスバルに向けたものではない…いや、ほんの少しはスバルにも向いているのかもしれない。だって、薄青色の瞳はキョロキョロとスバルとその後ろのドアを交互に見ている。

 

「はしたないわね、バルス。それでもロズワール様の使用人としての心がけはあるのかしら?無いのだとしたら、一から調教し直さないとだわ」

 

「スバルくん、一人なんですか?」

 

手すりを吹いていた手を止め、スバルへと絶対零度の視線を送り続ける瓜二つの双子の妹よりも胸が小さめのメイド・ラムの言葉にスバルは目をカッと見開き、何か反撃しようとする声を遮ったのは…さっきからずっと後ろのドアを見つめている瓜二つの双子の姉よりも胸元が膨らんでいるメイド・レムであった。大きな薄青色の瞳へと憂慮の色を浮かばせ、なかなかスバルの後ろのドアから入ってこない赤髪の少年へと鬼胎を抱いている様子だった。

レムのその様子に、ラムへの口答えは後回しと判断したスバルはまだ荒い息を繰り返しながら、さっき起こった出来事を目の前のメイドたちへ伝えようとするが…いまいち、伝わってないのか、ラムが腕組みすると眉をひそめる。

 

「大変なんだ…っ!大変なんだよ!ハルが…っ、村が…っ!犬…魔獣に襲われて、俺を逃がすため…ハルがっ!まず、村のやつらを助けろってっ!えっと…だから…っ」

 

「バルスのやらしい鼻息が邪魔して、言ってることが分からないわ。息するかしないか、どっちかにしなさい」

 

「兄様と村がどうしたんですか?スバルくん」

 

「流石、レムりん!姉様とは違う!マジ天使!!」

 

「ーー」

 

「その本気で嫌そうな…迷惑そうな顔は地味に凹むからやめて、お願い」

 

稀に見ないレムの本気と書いてマジのしかめっ面を見せられたスバルはガクッと肩を落とすと、今はそんなことで落ち込んでいる場合じゃないと気を取り直して、大きく深呼吸する。

 

「さっきは悪かった。ちゃんと説明するよ。アーラム村に向かう途中に、ハルが森の一点を見つめたまま、微動だにしたくなって、その時から俺もなんかやな予感を感じて…そんな俺の背後から魔獣が飛びかかってきたんだ。ハルは俺へと村人を救出と、ラムとレムのこのことを伝えてくれって言われたんだ」

 

スバルの説明を聞いた二人の反応は違った。

弾けたように飛び出そうとするレムの手を掴んだラムは、何か言いたそうなレムとスバルを見て、静かに指示を出し、それにスバルがつっこむ。

 

「レムはここに居なさい。ロズワール様も居ないこの屋敷を守り、いつ襲ってくるか分からない魔獣の群れに対抗出来るのはレムだけよ。

村の方は、バルスとラムで受け持つわ。最悪、バルスは盾に使えそうだし…」

 

「なんで、俺を盾に使う前提なんだよ!!」

 

 

τ

 

 

ラムが二人へと指示を出し、スバルがつっこむ数分前、癖っ毛の多い赤い髪を振り回しながら、執事服へと腕を通している少年・ハルイトは素早く敬愛する師匠が得意としているパロールを口にすると、黒い革手袋に刻まれている《五行の氣》が赤い光を放つ。

それを確認したハルイトは襲いかかってくる敵への尖った白い牙が剥き出してになっている顔へと拳をねじ込む。

 

「ハァーーーッ!!!」

 

飛びかかってくるツノの生えた大型犬ことウルガルフへと火の氣を溜めた拳を埋め込ませたハルイトは呼び出した力強い仲間たちへと声をかける。

 

「朱雀と白虎は屋敷方面を死守!残りの二匹は俺と共に村と山道に残る犬コロを抹殺する!かかれ!!」

 

ハルイトの指示に其々応えた四匹は、各々の立ち位置はと移動する。

ロズワール邸へと続く山道を塞ぐは、普段はくるくるとしたまん丸な黒い瞳が可愛い火の鳥と白い虎だ。ロズワール邸へと近くものは何であろうと、真っ赤に燃える焰と鋭い爪で微塵切りに、又は真っ黒な灰へと姿を変える。

 

次から次へと溢れ出るウルガルフへと拳を埋めつつ、ハルイトは森の中へと入っていく。

そして、心友と書いて親友と読むあの黒髪の少年が言っていた通りのフラグを立てる子犬を抱えている青髪をお下げにしている少女を睨むハルイトの姿は凄まじいものだった。

いつもはビシッと決めている執事服は所々、ウルガルフの返り血や自身が流している血によりどす黒くなっており、ウルガルフの牙や爪により引き裂かれた肌は中にある血色した筋肉が剥き出しとなっている。折角、セッチングされた赤い髪には小さい枝や葉っぱが付いている。

 

「…」

 

「…なんで、君がここに居るんだ?今度は何をしでかす気だ…」

 

そう問いかけるハルイトへと青髪をお下げにしている少女・メィリィはにっこりと満面の笑みを浮かべるとハルイトへと走り寄ってくる。

ハルイトはそんなメィリィから距離を取ると、それ以上近づいたから容赦無く殴ると拳を握ると、ようやくメィリィの動きは止まる。

しかし、メィリィは満面の笑みは崩さぬまま、その頬へと朱を混ぜる。

 

「なんで、ここにいるのってえ。おにーさんに会いたかったからに決まったらじゃなあい。でも、わたし嬉しいなあー、おにーさん直々に会いに着てくれるなんてえ」

 

「俺はあまり君には会いたくなかったけどね…。さて、ありきたりだけど…なんでこんな事をしたのか、聞かせてくれるかな?」

 

師匠直伝の構えを解かないままにハルイトは、ニコニコと楽しそうなメィリィへと問いかける。

その問いに可愛らしくきょとんとするメィリィはその黄緑色の瞳へと愛寵の念を多く含ませ、うっとりしたようにハルイトを見つめる。その狂気を含んだ瞳にハルイトは身体を寒くないのに震えだす。

 

「なんでってえ、あそこで住んでる人とかおにーさんが住んでるところに暮らしてる人がより多く死んだ方がおにーさん、わたしを探し出そうとしてくれるでしょう?わたしを殺したいって、わたしを痛めつけたいってえ。おにーさんのそういう目がわたし、一番好きだからあ。それにほら、本当におにーさんがわたしを探し出してくれたでしょう?これって愛だよねえ?わたし、思うんだあ。愛しあっている同士、一緒にいた方が良いって…ねえ?おにーさんもそう思うでしょう?」

 

“狂ってる”

 

ハルイトは少女のそのセリフを聞き、はじめにそう思った。

黄緑色の瞳へと狂おしいほどの純愛の焰を滾らせ、少女はまるで名案を閃いたようにパチンと手を叩くと、ハルイトへと問いかける。

そんな少女へとハルイトは首を横に振ると、最近練習していた技を試すべく…準備をこっそりと整えていく。

 

「…すまないけど、俺は思わない。俺のこの心はもう、二人の少女へと向いている。それは君がいくら頑張ったところで変わることのない…事実だよ。

だから、こんなくだらないことはやめるんだ!」

 

ハルイトはそこまでいうと、大きく空気を吸い込む。

 

「燃える燃えて燃え上がれ!竜胆の光焔よ!!邪なるものを弾く聖なる光の壁へと宿れ!そして、我をーー我らを守り給え!!!」

 

師匠の次に尊敬する母の技と自分の技の合わせた新技は、光の壁へと聖なる竜胆の焰がまとわりつき、邪なるものーー敵が内に入る事を妨害している。

まさに、鉄壁の護りに少女は聳え立つ竜胆の光を放つ壁に舌打ちをする。そんな少女へとハルイトはふらっとしかけている脚へと力を込めると、少女へと挑発するように笑う。




新技のパロールは、良いのが思い浮かんだ際に書き変えます…

そして、次回はハルイトが『何者か』に『大事なもの』を暴れます。
果たして、それは一体なんでしょうか…?

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