幻想郷は全てを受け入れるのよ。それはそれは残酷な話ですわ……いや割とマジで   作:とるびす

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ゆかりんはすぐに身元バレするタイプ



変Tパンデモニック未遂

「ほうほう、ふむふむ……なるほどね。分かる、分かるわその気持ち!」

「何をやってらっしゃるんです? ご主人様」

「あらピース、帰ってたの?」

 

 やや薄暗い部屋の片隅で女神がキーボードを叩いていた。その様子や玩具を買い与えられた無垢な子供のようである。

 配下の狂気なる地獄の妖精、クラウンピースはランパスの松明で部屋を照らしながら彼女に問いかけた。

 

「これはチャットっていう現界の連絡網を模したもので、数々の異界と容易に文通ができる優れものなのよん」

 

 極東の妖怪が作り上げたというこの伝達網。

 科学と魔法の複合技術であることは異界の存在たちを大いに驚かせた。この地獄の女神ヘカーティアもまた、その一人である。

 

 しかしクラウンピースはへぇー、と興味のなさそうな相槌を返した。というか実際興味がない。

 ただ我が主人が楽しそうにディスプレイに向き合っていることが気になっただけ。

 

「ていうか友人様以外に友人がいたんですね。ちょっと意外でした」

「最近おもしろい妖怪を見つけてねー。あっという間に意気投合したの。……ていうかその言い方はちょっと酷くない?」

「だって事実ですし」

「私に付いてこれない連中がいけないのよん」

「そりゃそうでしょうね」

 

 逆にこの女神に付いていける連中が果たしてこの世界にどの程度存在するのだろうか、はなはだ疑問である。実力的な意味でも、ファッション的な意味でも。

 ……これらはクラウンピースにも言えることなのだが、その辺り「やっぱり主従なだけあるな」と、とある友人様はいつも思っているのだった。

 

「ところで話してる相手はどんな人なんです? ご主人様と意気投合してる時点で普通の人じゃないことは分かるんですが」

「そうね、彼女は類い稀なるファッションセンスを有しているわ。それはもう私と同じくらいにね」

「うわー」

 

 クラウンピースは心底ドン引きした。こんなセンスを持っている奴がご主人様以外にまだ存在しているのかと。

 なおはたから見れば(以下略

 

 しかし真の目的はファッションセンス以外にもあるようで、ヘカーティアは軽くほくそ笑んだ。

 

「本当に興味深いわよ、この妖怪。さて、このチャットを通して彼女と交流を深めることが私たちにどのような結果をもたらすのか、楽しみね」

「交流を深められるなら直接会いに行けばいいんじゃないですかい?」

「ところがどっこい、そうはいかないのよねー」

 

 軽く背中を伸ばした。

 今現在、画面越しの彼女について把握している情報が多いようで少ない。

 分かっているのは幻想郷という閉鎖空間の管理人をやっていること、かなり特別な思想を抱いているということ。

 そして、月に並ならぬ想いを持っていること。

 

 彼女は名前を明かさないが、これだけの情報が揃っていれば、誰なのかは容易に想像がつく。

 

 かつて妖怪の大軍団を率いて月の勢力としのぎを削った地上の賢者。自分たちとは別に存在する月への敵対勢力。

 欧州に覇を唱えたレミリア・スカーレットを粉砕し、配下に加えた極東の賢者。忘れ去られた者の理想郷を治める統治者。

 

 八雲紫の名は、遠く離れた地獄まで届いている。

 

 非常に興味深い。

 自分と同格とまではいかなくとも、かなりの実力者。話題には事欠かない人物だ。

 

 だからこそ、まだ幻想郷を訪ねるわけにはいかないのだ。リスクが大きい。

 《せっかち》な『友人』に、その存在に興味を持たれるわけには……。

 

 

 しかしこんなに面白そうな妖怪を独り占めするのもつまらない。よってクラウンピースに笑いながら八雲紫の名を出すのだった。

 案の定、クラウンピースの興味が膨れ上がる。

 

「なるほど! 今話している相手がその八雲紫! それは……サイコーに地獄な展開ですねぇ!」

「ふふ、分かってるじゃない。まさかチャットを始めて一番に彼女と知り合うとは思わなかったからね、なにやら数奇な運命を感じるわ。巡り合わせは大切にしないとね」

 

 紫からの返信に素早く応じる。ヘカーティアはくすくす、と笑いを漏らした。

 クラウンピースも画面を覗き込む。

 

「『式へのご褒美』……? 式とは何ですか?」

「東洋の使い魔システムね。これの利便性と欠点についてはまた今度教えてあげるわ。……さて、どうやら八雲紫は自分の部下へのプレゼントを決めあぐねているみたい。そこで地獄のファッショニスタである私に助言を求めてきたってわけね」

 

 クラウンピースの表情が引き攣った。

 

「ファッショニスタって……そのように向こうには伝えてるんですか。そうですか」

「なによその顔は。事実でしょうに」

「それで何をあげればいいと助言をするんです?」

 

 ツッコむのが面倒臭くなった。

 ヘカーティアはうむむ…と唸り、突然の名案に手を叩いた。従者はその案がどうせロクでもないことに勘付いていた。

 

「そういえば布教用のTシャツが何枚か余ってたでしょ? アレをあっちに送ってあげましょう! そうね……確かあっちの式家族は二人だったから、2枚用意して───」

「……」

 

 どうせそんなこったろうな、とクラウンピースは心の中で呟くのだった。

 

 

 

 

 そして後日、八雲邸に2着の変Tが到着することとなる。

 

 

 

 

 ────────────

 ────────

 ────

 

 

 

 秋めく森に趣を感じることもなく、霖之助はいつものように書物を読み更けていた。

 

 霖之助の生活習慣に何かと小言をつけていたメリーは帰国し、宴会の催促をする魔理沙もメイドも来ない。

 たまーに霊夢が物を借りに来る程度の来客頻度となった香霖堂は元の姿に戻った、というべきか、しんと静まり返っていた。

 

 目が疲れたのか、書物を傍に置いて目頭を抑える。ここ最近は全く外に出ていないので、体が鈍ってしまったことをひしひしと感じる。

 外に大した用事もないし、外出の必要性もない。食料は何処ぞの妖怪にどやされて買い溜めたものがある。商品の補充などするはずがない。

 引き篭もった日数は実に伊吹萃香が異変を起こしてより二週間に及ぶ、一種の籠城であった。魔理沙曰く「腐っている」とのこと。

 

 そんな霖之助だが、彼自身もこの生活にちょっとした自堕落を感じていた。

 無限とはいかないが、有限にしては限りない自分の生。どう使おうがどう浪費しようが痛くも痒くもない。

 人間のように過ぎゆく時に怯えなくて済む───それだけで半妖である意味は十二分にある。

 だが、一度変わってしまった生活習慣を矯正するのはなかなか難しい。

 

 健康的にされてしまったが為に不健康になる。なんとも矛盾した生活を霖之助は送っていた。

 

 

 

 呼び鈴が来訪を告げる。

 眼鏡を外していた霖之助は気だるげにそれを掛け直す。そして客に目線を向けた。

 

「……これは、随分と珍しい客だ。かの賢者様が当店に何か御用ですか?」

「客……ではないけれど、冷やかしでもありませんわ。私は商品ではなく店主に用があるのだから」

「ほう?」

 

 彼女の姿を見るのは二回目になる。

 常々話してみたいとは思っていたが、前回は何かとゴタゴタしていて話すこともままならなかった。だがまさか彼女自身が来てくれるとは。

 

 八雲紫。

 伝聞だけではその表層すら知ることができなかった妖怪。一挙一動が胡散臭くて、どこか意味ありげに思える存在。

 

 霖之助は変わらぬ様子で問いかける。

 

「はて、賢者様に目をつけられるようなことをした覚えはありませんね。これでも慎ましく生きてきた方だと思うんですが」

「ふふ…慎ましく、ねぇ。果たしてここまで説得力のある言葉を貰ったのはいつ以来かしら? 確かに、貴方は慎ましい。それも山姥並みに」

「ふむ……あの種族と同列に語られるとどうもむず痒い。やはり先ほどの言葉は撤回しましょう。僕は身勝手に図々しく生きている」

「それもまた貴方でしょう」

 

 くすくすと笑みを湛える紫に対し霖之助は仏頂面で、不本意だと言わんばかり。

 紫の言葉は全て的を射ていた。だが、同時にかなりの違和感を孕んでいる。

 

 当然、霖之助と紫は初対面になる。

 だがなぜ、彼女はここまで霖之助の事を知り得ているのだろうかと。

 

「……挨拶はこのくらいで宜しいですか? そろそろ本題を切り出してもらいたい」

「あら、らしくないですわ。てっきり何かの薀蓄が飛び出してくるものだと身構えていたのに……拍子抜け」

「時と場合はちゃんと見極めてますよ」

 

 紫の笑みがより一層深くなった。どうやら霖之助の応対を楽しんでいるようで。

 だから霖之助は不本意そうに視線を返すのだ。

 

「ふふ、それでは本題を。───単刀直入に言うとメリーの件に関してですわ」

「……まあ、それくらいしか貴女がここに来る理由に思い当たる節はありませんね」

「貴方はメリーの事をよく《可愛がって》くれていたみたいだから、そのお礼をね」

 

 可愛がって。

 ───おそらくそのままの意味ではないだろう。

 

「あの子がしたいと言っていた事をそのままやらせてあげただけですよ。負担も殆どなかったのでお礼を頂くほどのことではない」

「と言いましても、私にも体裁というものがございまして。せっかくここまで来たんだから手ぶらで帰らせてくださいな」

 

 勿論、紫は何も持っていない。

 しかし彼女の能力を知り得ていた霖之助には早々に察しがついた。

 空間に歪みが生じ、紫色の別空間が現れる。噂に聞く「境界を操る能力」の一端だった。

 

 そして取り寄せられたのは、少しだけ変哲のある自転車。

『道具の名前と用途が判る程度の能力』を行使するよりも先に、疑問が浮かび上がった。

 

「ふむ……どうも、運転にはあまり適していなさそうな乗り物ですね」

 

 自転車という存在について霖之助にはほどほどの知識がある。大抵、無縁塚に落ちているのは錆びたそれなのだが、形状や一つずつの前輪後輪のタイヤを見ればどのようにしてこれを操るのかは、能力を使うまでもない。

 

 しかし、取り出された自転車は取り付けられた器具によって宙に浮いていた。さらにその後ろには箱状のナニカが車輪と線で連結している。

 

「これは乗り物ではありませんわ。どうせあまり外には出ないんだから不要でしょう? だからインドア派の貴方にはコレを差し上げます」

「はあ……それはどうも」

 

 ただでさえ狭い香霖堂である。無用のデカ物を置くようなスペースはないのだ。

 とはいえ霖之助は一端の考察者。

 

「まさか、発電機、ですか?」

「流石ですわ。幻想郷の住民でその発想に至れるのはつい最近幻想郷にやって来た存在か、河童か、貴方ぐらいでしょうねぇ。そう、それは発電機。それも単純な作りで出来ているプロト型」

「それはまた大層なものを」

 

 幻想郷において電力とはあまり馴染みのない力。全く供給がなされていない訳ではないが、そのエネルギー量や微々たるもので、幻想郷内格差の一因にも一役買っている。

 そもそも、電力の流通は妖怪に多大な不利益をもたらすことは明らかだった。電力は成長の礎となれば、夜闇を照らす光になる。恩恵は大きいが、結果的には外の世界の二の舞になりかねない。

 

 もっとも、自らそれらを克服してしまった妖怪たちも一定数いることにはいる。

 八雲紫と森近霖之助はその一定数に含まれる存在だ。勿論、『幻想郷のバランスブレイカー』こと河童もまた一定数に当たる。

 

「必死に漕げばなんとか洗濯機ぐらいは動かせるはずよ。そこらへんは河童のお墨付き」

「河童製ですか……」

 

 発電自転車を値踏みする霖之助であったが、心中はやや複雑であった。

 なぜなら紫の思惑が透けて見えてしまったから。

 

「なるほど、僕の性格を見越した上でのこの贈り物ですか。良い性格をしてますよ……メリーから一体何を聞いたのやら」

「それはそれはもう、ね? これもまた彼女の優しさ……運動不足な貴方には一石二鳥になり得る贈り物です。ただし、周りにはあまり見せびらかさないようお願いしますわ」

 

 メリーの優しさとは言うものの、決してそれだけではない事に霖之助は気付いていた。

 運動が得意ではない霖之助にこんな役に立つものを送りつけてくるのだから、ちょっとした報復の意があるのは言うまでもない。

 まあ、あの子らしいと言えばそれまでだ。

 

 

 だが、メリーの報復は続く。

 

 

「さてお次はギリシャで大流行中のセンス溢れる素敵なTシャツを差し上げましょう。大事に着るように、とメリーから言伝を貰っているわ」

「生憎、僕はTシャツなんて着な───」

 

 

 気怠げな表情が崩れた。

 絶句。霖之助は言葉を失った。

 

「───……っ……それが、衣服!?」

 

 紫が手に持っているのは黒を下地としたTシャツ。『wellcome hell』が痛々しくプリントされたTシャツ。

 端的に言葉を掻い摘んで表現するならば、それは馬鹿げたTシャツ。それはクレイジーなTシャツ。それはルナティックなTシャツ。

 

 つまり変なTシャツだった。

 

 紫は霖之助の狼狽する様子を見て満足げな笑みを浮かべた。望んでいた反応だったようだ。

 

「気に入っていただけたかしら?」

「こ、こんなものを急に出されても僕の手に余る。ウチじゃ扱い切れないのでそちらで引き取っていただきたい」

「遠慮しなくていいのよ? 幻想郷では少々先進的過ぎるやもしれませんが、着てればいずれ慣れますわ。……私は案外似合うと思うんだけれど」

「冗談じゃない」

 

 そもそも霖之助からしてみれば似合うかどうかのどころの話ではない。目の前にいきなり安全基準値不明の原発を持ってこられたようなものだ。

 底が見えぬほど莫大な無明の魔力に塗り固められたそのTシャツは、着用者に地獄の女神による無辺際の恩恵をもたらす───と能力は説明するけれども、果たして文言通りに行くようにはとても思えなかった。

 

 そしてそのTシャツをさも布切れのようにぞんざいな扱いをするスキマ妖怪である。

 見る者から見れば卒倒ものだった。

 

 

 その後、霖之助は幾度か返品の旨を伝えたが、紫は決して受け取らなかった。ただ「大丈夫」と連呼するのみ。

 無理やり押し付けると今度は香霖堂を勝手に物色する紫。品揃えが古臭いだの何だのと店主をやじり、一方の店主はTシャツを指で摘み上げるのに精一杯で話をあまり聞いていなかった。

 

 すると存分に霖之助を弄って満足したのか、紫は大きく頷くとスキマを開いた。

 そしてTシャツ相手に悪戦苦闘する霖之助の姿を尻目に別空間へ。最後に少し、憂げな表情を見せながら。

 

「それではお邪魔しました。また御用ができれば伺おうと思いますわ。そうね……もっと目新しい商品を揃えて、店主の顔の血色を良くしておくように。よく寝て、ちゃんと朝昼晩にご飯を食べること。自分で作りたくないなら魔理沙に頼るなり私を呼ぶなりするといいわ。晩ご飯の残り物でも持って来てあげる。あっ、タバコはほどほどに控えなきゃダメよ? 妖怪先は長いんだから健康な体を維持し続けないといけませんわ」

「貴女は僕の母親ですか……」

「あら、通い妻がよろしくて?」

「それは勘弁願いたい」

 

 安寧を望む霖之助にその選択肢は論外。

 けれどそれも紫には想定内で、楽しそうに笑うとそのままスキマの中に消えていった。

 

 

 

 

 厄介な妖怪が居なくなり、霖之助は一息つくと恐る恐るTシャツを畳んで机の上に置いた。

 嵐の後の静けさとはこの事か。

 

 ふと、ある事を思い出したので店の奥にある戸棚を開いた。そこに丁寧に畳まれているのは紫色のドレス。メリーが最初に着ていたものだ。

 一見、幻想郷では少々浮く程度のドレスだが、霖之助の能力は余すことなくそれの『名前』と『用途』を自身へと伝えてくれた。

 

 果たして、身に付けるだけで物の存在定義を書き換えてしまう彼女は何者なのだろう?

 

 無縁塚からメリーを拾ったあの日から、彼女の正体については薄々感づいていた。しかし伝聞とは異なる姿と性格に考察しあぐねていたが、伊吹萃香の異変の際にようやく断定できた。

 そしてさらに訳が分からなくなった。

 

 先ほどまでのやり取りを思い出すと頭が痛くなる。奥ゆかしく幽遠な八雲紫と元気発剌なメリー。ギャップが尋常では無い。アレを同一人物と本当に決めつけて良いものか、判断材料を手に入れた霖之助でさえ迷わせる。

 

 だが結局、八雲紫もメリーも、根本的な部分は変わっていないように感じていた。

 どっちも危なっかしい。

 それに尽きる。

 

 

「まあ何にせよ……元気なら問題無い。正直言うともうあまり来て欲しくはないが、次に会った時はもっと有益な話ができると嬉しいね」

 

 どっちが本当の彼女なのかは知らないが、少なくとも、メリーと共に過ごしたあの騒がしい日々は嘘ではないだろう。

 

 

 さて、あとは彼女が残していった置き土産だが、どうするべきか。発電機はいい。問題はTシャツだ。

 なんども大丈夫と連呼していたものの、やはり胡散臭い。しかも霖之助は紫のメリーとしての側面も見ているのだから、あまり信用ができない。

 

 処分するのが一番であることは間違いないけれど、そう易々といくかは不透明。

 こうなっては知り合いの誰かに譲ってしまうのが良いのかもしれない。魔理沙あたりなら或いは───。

 

 

 

 

 

 余談だが、その後Tシャツを譲られた魔理沙は、力が得られるとのことでイヤイヤながらTシャツを着ることになるのだが、とある副作用により家から出られなくなってしまう。

 

 そして霖之助と魔理沙の仲は暫くの氷河期に突入する。

 

 

 

 ────────────

 

 

 

「ふふ、うふふ……あははは!!」

 

 笑いが止まらんわ!

 やっと霖之助さんにやり返すことができた。

 インドア派の霖之助さんに自転車型の発電機は苦しかろう。しかも念願の電気が手に入るんだから八雲紫様様でしょう?(正確には河童様様)

 報復と恩返しを兼ねる女、八雲紫!

 

 さらについでと言わんばかりに今朝我が家に届いた嫌がらせTシャツを霖之助さんに押し付けてやった。案の定いやがってたわねぇ。

 

 全く、何なんでしょうねあのTシャツ。まるでファッションの暴力と言わんばかりのデザインよ。宛名には『地獄の女神 H.L』って書かれてたけど、もしかして子供閻魔ヤマザナドゥの差し金かしら?

 

 荷物が届いた時はもう大騒ぎだった。藍がテロだの何だの大騒ぎして橙は半泣き。私は呆然とするしかなかった。

 地獄のファッショニスタHEKAさん(ネット友達)が送ってくれるって言ってたプレゼントかと思ってワクワクしたのに……あの時の気持ちを返して欲しい。

 

 まあ何にせよ爽快な時間だったわ!

 私に敬語の霖之助さん! 発電機を贈られて困った表情になる霖之助さん!

 思い出すだけで笑いがこみ上げる!

 

「あははは!! ひー! ひー!」

「あのー……うるさいんですけど」

「うっ──……ごめんなさい」

 

 傍に立っていた地蔵から注意を受けてしまった。

 つ、付喪神だったのね。こりゃ失礼。ってか魔法の森に地蔵なんて有ったんだ。知らなかった。

 

 軽く頭を下げて地蔵への謝罪もほどほどに、次なる目的地に向かう為に足を進める。

 もう分かるわよね?

 そう、私が向かっているのはアリス宅。霖之助さんの次にお世話になったんだからちゃんとお礼参りしないとね。当然報復はない。

 

 アリスには彼女が望む物を何でも与えるわ。勿論、私にあげれる範囲でね。

 けどなぁ……アリスって魔界の王族なのよねぇ。果たして私に彼女の欲を満たせるほどのブツを用意することができるのか……。

 

 アリスは人形が好き。だけどそれは自分で幾らでも作れちゃうらしい。一応、私にも裁縫の心得はあるけどあのクオリティは絶対無理。

 アリスは魔法が好き。幻想郷でもトップクラスの魔女である彼女に何の魔法を教えろと? てか私ってロクな魔法──もとい妖術も使えないし。

 アリスは家族が好き。神綺さんを幻想郷に連れて来てあげれば喜ぶかしら。……いや、なんかとんでもない地雷を踏み抜きそうな予感がする。アリスが『マーガトロイド』って名乗っているのもそうだし、幻想郷に移住してきてるのも何かおかしい。

 

 結論、完璧な人ほど贈り物の内容に困る。

 霖之助さんは1発だったのにね。

 

 

 と、云々考えているうちにアリス宅に着いてしまった。鬱蒼とした森の中にポツンと佇むその一軒家はとてもワンダーチック。

 そしてドアにはまた張り紙が貼られていた。

 

『天狗お断り。──河童そこそこ歓迎』

 

 さっすが天狗。幻想郷の嫌われ者の名に恥じない嫌われっぷりね。

 ちなみに河童は役に立つ嫌われ者。

 

 さて、まずはノック──といきたかったけど独りでにドアが開いた。ドアノブには人形がしがみついて、私の方を見据えている。

 歓迎……でいいのよね?

 

「お邪魔します」

 

 一言入れたが返事は返ってこない。代わりに人形が小さな紅葉で私を手招きする。

 浮遊する人形について行くといつもの居間へ。

 そこには何時ものように山積みになった本やら手記のノートが散乱した机と睨み合うアリスの姿があった。

 

 魔法のお勉強中なのかしら?

 ……私もなんか便利な魔法が使えるようになりたいわ。防御呪文とか精霊呪文とかカッコよさげ。アバダケダブラいいよねアバダケダブラ。

 

「───……ふぅ、これでひと段落ってとこかしら。待たせたわね紫」

「お疲れ様。忙しそうな時にごめんなさいね」

 

 クールビューティ魔法使いのアリス。やっぱりできる女の子は違うわ。何気なく前髪をかき分ける仕草も1億パワー女子力! マンモスマンなんて目じゃないわ!

 私? 私はほら、本気になればもっと女子力あがるから。ていうか女子力を自由自在に操れるから。尚且つあと3回も変身を残してるから、ね?

 

 

「さて紫。何か言うことはない?」

 

 と、悶々としている私に見かねたのか、アリスが若干目を細めながら問う。

 言うこと、ねぇ。ありすぎてちょっと困ってるわ。

 

 そう……先ずは──。

 

「幻想郷へようこそアリス。───っていうのは少し遅かったかしら?」

「ええ、相当遅かったわね。もう幻想郷に来て10年目なのよ? 初日にでも訪ねに来てくれるもんだと思ってたのにね」

 

 だって知らなかったんだもん! 知ってたら菓子折りでも持って歓迎してたわよ!

 この件については音沙汰の無さすぎたアリスが悪い。魔界からの電報もなかったし。

 

「私とて万能では、ね。ちょうどその時は吸血鬼異変の真っ只中っていうのもあって貴女に気付くことができなかったんだと思う」

「吸血鬼異変……ああ、アレね。幻想郷に着くと同時に変な連中に襲われるんだもの、魔界以上に殺伐とした所なんじゃないかって思ったわよあの時は」

 

 幻想郷ほど殺伐とした場所もそうそうないと思うんです。第一人者である私が断言するわ。

 まあ、魔界も相当だけどね。

 

 あっ魔界といえば!

 

「どうして急にこっちに来ることに? それにマーガトロイドっていう苗字も何時から……。もしかして結婚でもしたの?」

「まさか。幻想郷に来た理由は単純よ。魔界はもう私の居るべき世界じゃなくなったから。マーガトロイドは新しい自分を確立するために」

「……貴女の故郷でしょう? ちゃんと神綺さんたちには相談をしたの? 家出はほどほどにしておかないといずれ取り返しが……」

「魔界から出て行くよう命じたのはあの人よ。もう私の顔も覚えてないんじゃないかしら」

 

 アリスは表情を変えずに、紅茶を啜りながらそう言った。瞳には少しだけ闇を湛えている。

 

 ……これは、かなりのダークサイドね。

 あの仲良し親子に何があったんだろう。それに温厚な神綺さんがそんなこと言うかなぁ?

 多分なにかの誤解だと思うけど……。

 私が何とかすべきか。

 

「ちょっとその話は気になるわね。あとで神綺さんに連絡を取って……」

「やめた方がいいと思う。多分つぎにゲートが開くことがあれば、真っ先に幻想郷を潰しに来るんじゃないかしら。カンカンだったわよ、あの人」

「あらま」

 

 ほんと何があったんでしょうかねぇ!?

 神綺さんってホント凄いできた人なのよ。聖母の如き我が子たちへの愛情や、広大で闇渦巻く魔界を維持し続ける統治力に運営力。どれを取っても私の上位互換みたいな神物。

 なのになんだってそんなファナティックなことに…?

 まずい、このダークサイドは私にも牙を剥く可能性がある! 話を逸らそう。

 

「あまりこの手の話は聞きたくないみたいね? 話を変えましょうか?」

「助かるわ。一応デリケートな部分だから」

「無理やり話したくない事を聞き出そうとするほど、私は野暮ではございませんわ。それじゃあ───メリーについての話を」

 

 話を変えると言いつつ本日の本題へ。アリスも待ってましたと言わんばかりにティーカップを置くと人形に片付けさせた。それ便利ね。

 アリスはアンニュイな様子で私を見据えるが、その奥底からはまるで品定めをするような、霖之助さんに似た雰囲気も感じる。

 

「正直、貴女には相当助けられた……とメリーは言っていたわ。例えばスカーフだったり身代わり人形だったり、七色の魔法使いの名に恥じぬ臨機応変の施しに深く感謝します」

「こっぱずかしいわね」

 

 いや本当に助かったわありがとう!

 今でこそ紫ぼでーに戻れたからいいけど、あの時はただの瘴気にすら耐えれない始末だったからね。アリスがいなかったらメリーとしての生活はハードモードぐらいまで跳ね上がってたかも。

 だから、私は貴女の願いを一つ叶えましょう!

 

「メリーを助けてくれたお礼に何か頼みがあれば聞きますわ。さすがに『何でも』とは、いきませんけど」

 

 お金が欲しい! とか服が欲しい! とかなら大抵どうにかなるんだけどね。何せ相手は大物……どんな願いが飛び出してくる事やら。

 『お前を消す方法』とか『ここで死ね』とか言われたら却下するしかない。

 まあ幽香とかさとりなら兎も角、アリスがそんなこと言うはずないけど!

 

「ふーん……願い、ねぇ? 貴女のことだから何か裏があるんじゃないの? 生憎、私も成長して人を疑うことを覚えたのよね」

「あら、私がそんな軽々しく嘘をつくような妖怪に見えるの。悲しいわ」

「嘘はつかないわね。ただ言い回しが卑怯なのよ……毎度毎度」

 

 何か心当たりがあるようにウンザリされてますね。なんか私の身の回りってこういうこと多すぎない? 気のせい?

 と、アリスが人差し指を突き出した。

 

 ペキィ…。

 

「この部屋に仕掛けられてた傍聴魔法を全て破壊したわ。これでようやく本音で話せるわね」

「……? ……??」

「私の願いはごく簡単な頼みごと。『何も誤魔化さずにありのまま腹の中を曝け出して欲しい』……ただそれだけ。出来ないとは言わせないわよ?」

 

 ぼ、傍聴とはなんぞ。

 そして腹の中を曝け出して欲しいって、つまり聞かれた事には正直に答えろってことよね? 物理的な意味じゃないよね?

 

 取り敢えず先ほど破裂音の聞こえた場所に目を向けると、黒い魔法陣のようなものが壁に焼き付いていた。ジリジリと小さな破裂音を連続させながら消えている。

 

 この魔法陣……見たことあるわ。

 確か紅魔館に殴り込んだ時に何処かで。

 

「これはまさかあの魔女の?」

「そう。パチュリーのね。大方借りた本の中に仕込んでたんだろうけど、多分あっちもそれを隠す気はなかったんじゃないかしら」

「というと?」

「魔法使いの戦闘で明暗を分けるのは情報の有無よ。如何に周りの事象を的確に捉え取り込み、そして対策を用意するか。パチュリーが私のことを敵と見ているかどうかは知らないけど、魔法使いの流儀じゃこの盗聴に何ら問題はないわ。それに、私もされるばかりじゃないもの」

「高度ね……」

 

 おあいこってことなのかしら。

 この面倒臭げな流儀──鬼に通じるものがあるわね。つまりめちゃくちゃ頭おかしい。

 

 それよりも私が傍聴魔法とやらの存在に気付けなかったのが怖い。だってこんなの八雲邸に仕掛けられたら即スキャンダルで賢者追放よ。

 よっしゃ、私のゴミ女子力が火を噴くぜ!

 

 と、私が心の中で話題を逸らしている間にアリスが切り出した。

 

「さあ、紫。まず一つ目の質問よ」

「ふふ……いいわよ。私の答えられる範囲のことであれば、この世の森羅万象の全てを一切合切滞りなく答えて差し上げ───」

 

 

「メリーって名乗って結局何がしたかったの?」

「───」

 

 頭が冷えた。

 

 メリーッテナノッテケッキョクナニガシタカッタノ。

 んー……実に難解な質問ね。確かにこの質問は私でないと返すことができない。まあ、答えを用意するなら「何もしたくなかった」になる。

 だけどね、それ以前の問題が一つあって。

 

 

 バレてんじゃん。

 

「……」

「ほら天下の八雲紫がついさっきの約束を破るような真似をするはずがないわよね。さっさと答えてよ。気になって夜も眠れなかったわ」

「魔法使いって寝る必要あったかしら」

「話を逸らさない」

 

 藍も霊夢も萃香も総スルーだったから安心してたんだけど、思わぬ伏兵がいた。

 そして致命傷だ。土手っ腹にロケットランチャーを撃ち込まれたわ。

 

 いやまだだ!

 アリスはヤマを張っている可能性がある。メリーの状態で紫宣言してたし、それに対する当てずっぽう的な何かかもしれない!

 都合良くそんなことを願ったが、よくよく思えばアリスがそんな失敗をするはずがないっていう大前提が頭から抜け落ちていた。

 

「これはまた面白いことを聞くのね。……私をメリーと見る理由は?」

「質問を質問で返すの? まあいいけど。それじゃあどこから話したものかしらね」

 

 アリスは丁寧に説明してくれるようだ。

 できる女の子はやっぱ違うと言いたいところだけど、今の私には薄氷を踏む思い。

 

 アリス曰く「気づいたのは私が博麗神社に現れたその時」との事。決め手となった判断材料はなんとあのスカーフだという。

 そういえばアレってGPS機能が付いてたんだっけ?

 異世界に入ると信号を受け取れなくなるみたいだが、私がスキマを開くたびにちらほらアリスの受信機(妖怪アンテナなるものと思われる)が反応していたらしい。

 

 さらに(メリー)が送ったアリス宛ての手紙。どうも筆跡がほぼ()だったようだ。口惜しや。

 魔理沙や小傘は誤魔化せてもアリスは無理だったみたい。恐ろしい子……!

 

 他にも外見の微細な特徴。声のトーンやアクセント。

 メリーの残した言葉や私が去り際に放った言葉なんかもアリスにかかれば一級品のヒントだったようだ。ちなみに去り際の言葉ってなんぞそれ。

 

「まあ、これだけの証拠があって貴女を疑わないなんて無理な話よね。他の連中は騙せても私を誤魔化すことはできないわ」

「しらばっくれても駄目みたいね」

「勿論」

 

 そしてアリス、余裕の一言である。

 

 ここまで言われちゃもう逃れようがない。というわけでぶっちゃける事にした。

 アリスならまだいいわ。人の秘密を周りに言いふらすような子じゃないし、私がメリーだと知ってもどうということはないだろう。優しいから。

 唯一のデメリットとしては私が恥ずかしいああああああああ!!

 

「はぁ……バレるなら異変の最中が良かったわね。そうすれば萃香の暴走も途中で止めることができたでしょうに」

「正直確証が持てなかった。だって貴女とメリーよ? 普通は分からないわ。今だって今日この瞬間まで自分の答えに疑問を持ってたぐらいなんだから」

「あら、そんなに似てなかった?」

「似てないわ。どっちが紫の素なんだか」

 

 解せないわね。

 確かに私は周りに合わせて態度を変えてるフシがあるし、メリーの時は元気溌剌な性格になってたと思う。

 だけどそこまで言われるほどのことかと考えると、実際はそうじゃないと思うの。あくまで私の主観だけどね。

 

 そういえばさとりからも言われてたっけ。『内面と外面が違いすぎる』って。

 んなこと言っても自分の内面性なんて自分が一番わからないもんじゃない? メリーの時の私も、何時もの私もどれが本当の私かなんて分からない。

 ……分からないのよ。

 

 するとアリスが感慨に耽てしまった私を見かねたのか、言葉を投げかける。

 

「どうしたの? そろそろ私の最初の質問に答えて欲しい頃なんだけど」

「ああ、ええ……そうね。答えましょうか。メリーになって何をしたかったのかを」

 

 深い意味は無いけどね。

 

「そもそも私がメリーになっていた経緯は、私にとっても不本意なものだった。つまり、私の望んだ姿ではなかったのよ」

「……へえ」

「事の黒幕はドレミー・スイートという漠の妖怪でした。どうやら私を夢の姿なるものにして無力にした後、月の都に引き渡す手筈だったみたい」

「──夢の……姿」

 

 

 ──不意に違和感を感じた。

 その根源はアリス。自分の手のひらをジッと見つめ、存在を確かめるように握りしめるとやがて私の方を見た。どうも今までの余裕が感じられない。

 

 けどその揺れる瞳には見覚えがあった。

 あれは……最後に魔界でアリスを見た時だったと思う。迷子の子供のような不安げな瞳。

 

 ……私は紅茶を飲み干すと話を仕切り直した。

 

 

「月の都と私は敵対関係にある。いずれはこういう事もあるやもと想定はしていたけど、まさか夢の主人が加担していたとは私も想定外だった。だから内面にメリーという新たな存在を自分で作り出し、周りを欺きながら場の時局を見極めていた、ということですわ」

 

 ということにしておいてくださいお願いします。ドレミーの存在には全く気付けなかったけど結果オーライだから、ね?

 嘘は言ってないから。

 

 アリスは苦悩するように額を押さえながらも、私の言葉に納得してくれた。

 

「……夢移しの魔法なら私も知っているわ。随分と厄介なのに狙われてたのね」

「夢の支配者の名は伊達じゃないってことでしょう。彼女は強大な妖怪だった。もっとも最後には自らの世界を失って堕ちていきましたけど」

 

 この一件のおかげでフランとこいしには頭が上がらない。癒しから恩人にクラスアップ!

 さとり? あいつもなんかしてたみたいだけどよく分からないからいーのいーの。

 

 

 その後、一つ目の質問と言っておきながらアリスはこれ以上私に問いを投げかけることはなかった。

 ただの変哲もない世間話を紅茶とお菓子を燃料に繰り返す、それだけ。

 

 ……私っていっつも自分の知らないところで変な地雷を踏んでると思う。

 知らず知らずの内にアリスを傷付けてしまっていたのなら、とても辛くて後悔が募る。私って本当、ダメな妖怪よね。

 

 

 なお、帰り際にそれとなくアレを勧めてみようとスキマから変Tを取り出そうとしたんだけど、間髪入れずに消し炭にされてしまった。

 そして「良からぬ気配を感じたから処分した。魔法使いの前であまりそういう物は出さない方がいい」と注意される始末。魔法使いってファッションに厳しいのね……覚えとこ。

 

 

 

 

 ところでヘカさんからのプレゼントはいつ届くんでしょうかね?

 

 

 

 ───────

 ──────────

 ─────────────

 

 

「貴女は今日も喋らないのね」

「……」

「それは、貴女が私の知らない存在だから? 貴女の喋り口調なんて私には知る由もないもの」

 

 二つの空洞を浮かべる彼女は、口があるのに今日も喋らない。ただ私の手を握るだけ。

 ……分からない。

 

 心のどこにもいない貴女が何故、私の夢にこう何度も続けて出てくるのか。

 これがドレミーの言っていた悪夢とやらならば、実に的を射た言葉だと言える。

 

 私の眼から流れる血の涙は止まらない。

 ただこの空間を紅に染め上げるだけ。

 

 

「今宵の夢はもう終わり。貴女は今日もそこに居るだけ。……分からないわ」

 

 意識が微睡みへと落ちていくのを感じる。意識が覚醒しようとしている。

 彼女は私の手を離した。

 

「明日こそは……話せるといいわね」

「……」

 

 彼女は口をきつく縛り、首を横に振る。

 やっぱり貴女は居ないのか。

 だけどいつか面と向かって話せる日が来れば、とても嬉しく思う。私は待ち続けるわ。

 

 また明日、ね。




「……じぇ……じぇ……(よう魔理沙だぜ! 変なTシャツのせいで口調が変になってるが気にしないでくれな。これも全部 香霖ってヤツが悪いんだぜ。
いやーしかし、このTシャツは凄いな。着た瞬間にどんどん力が溢れてきやがる。こんな強力なマジックアイテムはそうそうお目にかかれないぞ。
だがそれは所詮借り物の力だぜ。
借り物は紛い物に過ぎないからな、ちゃんと自分の物になるまで頼っちゃいけないぜ。
そう、私のノンディレクショナルレーザーみたいにな!パチュリーのもの? 知ったことか!
さて次回は

・激おこもこたん丸
・運命の出会い
・『占術を通じてゆかりんの未来を見たんだ。そうしたら急にその惨めな運命が憐れに見えてな。少し助言してやろうと思ったんだよ』

をお送りするみたいだぜ。
あー早く副作用解けないかな)うふ、うふふ」

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