幻想郷は全てを受け入れるのよ。それはそれは残酷な話ですわ……いや割とマジで 作:とるびす
『根本的な物事を証明するには対になる物事の存在が不可欠よ。だけどそのどちらが先に存在を確定されたのかなんて誰にも分からない。例えば、私が今見ている夢は私の立場からすれば脳内に投影されているただの虚像に過ぎないわ。残念なことにね』
『つまり、そんなお前と話している私はただの虚像とやらなのか? まさかそんなことあるはずが……なあ?』
『そう。その矛盾を解決できない限り貴女と私、どちらが本物かなんて分かりっこないの。そもそも、自分の存在すら確立できないのが人間っていう生き物だからね。だけどそこから二律背反を見出して自己の確立を目指した人間もまた少なからずいるわ』
少し溜めた後、得意げな顔をして言う。
『
『なるほど、意味不明だ』
あいつの言うことは難しかった。
おおよそ当時の言葉運びとはかけ離れている言語。多分、いま聞いても半分は理解できないだろう。
そもそも服装もおかしかったし、価値観の違いも言葉の端々から感じることができた。
あいつは私のことを夢の住人と言ったが、私から見ればあいつの方がよっぽど夢の世界に住んでるように思える。
だけど、幻ではない。互いの確かな存在を私もあいつも感じ取っていた。
実体もあれば感情もある。
私は夢の中の登場人物ではないし、あいつは私が作り出した孤独が故の幻でもなかった。
『うーん……お前の話は難しい割に為になるのかがよく分からない。そうかそうか、世の中はそんなに進歩したんだなぁ』
『あらごめんなさい。いつもの相方と話してるノリで喋ってたみたい。ここまで話すことなんてあの子以外にそうそうないから……』
年がら年中こんなことを話してるその相方さんとやらも相当な変人なんだろうな。機会があれば是非会ってみたかった。……もう叶わぬ想いだが。
多分、この邂逅自体が奇跡の産物だったんだろう。それこそてゐのヤツに頼らなければならないほどに難しい出会い。
詳しい理由なんざ考えたくもないが、私たちの間には隔絶されたナニカがあった。
だが私たちは互いの存在を自らの欲を埋める為の人間として互いを認識していたんだろう。
現に私は楽しかった。慧音にも、況してや輝夜にも出会っていなかった頃の私だ。枯れていながらも心の奥底では色んなモノを望んでいた。
あいつのような存在はまさしく、私が望む人間そのものだったんだから。
『……もうどれくらい話したかしら? なんだか時間が酷く曖昧な感じがするの。貴女はどう? えっと、《もこん》さん』
『妹紅だ。まあ名前は置いといて、えらく奇遇だな。私もそう思っていたところだ。えっと……《まあらばいー》…だっけ』
『マエリベリー! もう……初対面の日本人はいっつも私の名前を間違えるんだから。やっぱ私の名前って日本人には発音しにくいのかしら?』
『大陸の人間でも呼びにくいと思うぞ』
日本語や中国語ではない未知の語感による名前。マエリベリー……何にも耐えようがない感触の名前だ。教養はそれなりにある方だと思ってたんだが、まだまだ分からないことは多い。
なんだろうな、アイツと話してたら色んなものにどんどん興味が湧いてきたんだ。アレは多分、久しく感じていなかった活力というものだろう。
凍って動かなくなった身体に宿った熱は、私に不思議な気持ちを与えてくれた。
『なら貴女も私のことをメリーって呼ぶ? 例の相方に「マエリベリーは呼びにくいから略してメリーね!」なんて言われて付けられたんだけど……』
『めりー、メリー……いいじゃないか。何がどうなってそう訳したのかは分からないけど、とても呼びやすくなった。その相方とやらに感謝しなきゃね』
ああ、懐かしい。
何百年の月日が経とうと、あの奇跡の邂逅を隅々まで詳しく思い出すことができる。思い出すたびにあの時抱いた気持ちが一つずつ湧き上がってくるよ。
藤原妹紅と
あの僅かに欠けた月の下で、あの夢のような時間の中に私は生きていた。
だから───。
『あらあら時代錯誤の愉しげなお話だこと。ふふ、危なっかしくて聞いてられないわ』
あの悪夢もまた現実なんだと、否定しようのない事実として……。
夜のたびに思い起こす事になる。
*◆*◆*
「くぅ……痛ッ……」
何メートル吹き飛んだか分からない。そもそも周りの景色が先程から一変していた。
大地を深く覆っていた竹藪は土壌ごと消え去って灰も残さず消し飛んだ。地面はぐろぐろと熱が這って赤く発光している。一体どれだけの温度が発せられたのか、想像もできない。
藍もろとも爆発した藤原妹紅という少女……まさかここまでの力を秘めていたなんて! この分だとあの時私が逃げきれたのは偶然だったってことか。
うぅ……今のでかなりの被害が出てしまった……。だって爆心地は私たちが陣形を取っていたちょうど真ん中。ここを起点に余すことなく爆発がみんなを飲み込んだだろう。
ちょっと先の方で倒れてたりひっくり返ったりしている面々が何事かと困惑していた。わかさぎ姫やミスティアなんてところどころが焦げちゃってなんかあかん臭いを発しちゃっている始末だ。
こらこらイヌ科妖怪たちは涎を垂らさない!
「だ、大丈夫ですか紫さま……」
「ありがとう橙、それに霊夢も。貴女達のおかげでなんとか事なきを得たわ。どちらか一人がいなくても危なかった」
「……全てを抑えるつもりで張った結界を破られたのは想定外だったわ」
霊夢が結界を張って爆熱を、橙が身を呈して衝撃を遮ってくれたおかげでこうして命を繋ぐことができた。どちらか一方がいなかったら私は今頃……。
いや、二人はもちろんのことだが、爆発を一番抑え込んでくれたのは……!
「ら、藍さまっ!!」
「……なんて事」
藍は爆発する寸前に逃げるのではなく、敢えて妹紅に抱き付く事によって自分の身で蓋をしたのだ。
その結果、私はほぼ無傷。橙と霊夢も目立った外傷を負うことはなかった。
だがそれのシワ寄せは全て藍へと集中していた。
酷い火傷に肌の至る所に走る深い裂傷。妹紅の胸へと突き立てられていた右腕は形すらなく、二の腕の中程まで炭化している。
目は虚ろで光を感じない。
最悪の予想が脳裏に去来する。
こんな藍を見たのは初めてだった。衰弱した姿は一度だけ、初めて藍と邂逅した時に見た。だけど今の状態は、あの時よりも遥かに悪い。
気づけば私は藍を抱きとめていた。
「藍……藍っ! 死んじゃダメよ!!」
「あ、あぁあ……わ、私のせいだ……! 妹紅を連れて来てしまって、こんな……あぁ……」
私は必死に呼び掛け、橙は真っ青になりながら自分を責め立てていた。
すると霊夢が私たちを押し退けて藍の腕を少しの間だけ握る。濃密な霊力が霊夢から藍へと流れているのを私でも目視できた。
「見苦しいから狼狽えないの。こいつがそんな簡単にくたばるようなタマだと思う? 少しだけ回復に努めればすぐに起き上がるわ」
霊夢の言葉に私も橙も、ほっと胸をなでおろした。
そ、そうよね。あの藍がこんなあっさりと死ぬはずがないもの。全て霊夢の言う通りだ。
流石は頼りになる我が娘! その冷静沈着さは是非とも見習いたいわね。
取り敢えずスキマから毛布を取り出して藍に被せてあげた。服が破れて酷いことになってるから、まあ一応の対処ね。
「あ、あの……紫さま。……ごめんなさい」
「橙……」
なんともいたたまれない気持ちになる。
……橙に全ての非があるわけではない。私が彼女に命じたのは『人里の実力者を連れてくる』という簡潔な内容。橙はそれを忠実にこなしただけだ。
あんなに頑張ってくれてたのだ。多分、妹紅ほどの猛者を確保することができて舞い上がっちゃったんだろう。まさか彼女が私たちに牙を剥くとは夢にも思っていなかったんだと思う。
……いやちょっと待って。
そういえば藤原妹紅はどこにいるの? 木っ端微塵とはいえ燃え滓の一つや二つはあって当然なはずなのに。まるで最初から居なかったかのように彼女の存在そのものが丸々消失している。
藍の周りには抉られた地表以外に何もない。
「紫。すぐ私の後ろに移動して」
張り詰めた霊夢の声。これは何時の異変解決モードの霊夢が発する声音だ。
恐る恐る霊夢の視線の先へ目を向ける。
そこに妹紅がいるという下手な展開はなかった。だがそれが妹紅の術によるものであることは一目瞭然だった。
空中に浮かぶ紅い靄。純粋な妖力で構成された不気味な発光体。鼓動のように揺れるその姿は───。
前触れもなく一際大きく靄が発光する。瞬間、私の眼前が激しい紅に彩られた。
霊夢の結界という壁に阻まれ、私の前で紅蓮弾は脆く霧散する。しかし怒涛の弾幕攻撃には底知れぬ執念を感じた。
それどころか、霊夢の結界を押し切ろうとしている。そ、そこまでして私を……?
「くっ……なんて馬鹿力……! こんなの相手にするのも面倒ね!」
「手伝うよ霊夢!」
橙が咄嗟に霊夢のサポートに回った。藍直伝の術式を霊夢の結界と呼応させて強度をさらに引き上げる。
地力では藍に大きく劣る橙ではあるが、それ故に大事な局面では何度も藍のサポートに徹してきた。橙は立ち回りのスペシャリストだ。
……動けないのは私だけだった。ただ二人が護ってくれているのを藍を抱きしめながら見ていることしかできなかったの。
紅蓮弾の猛攻にひたすら晒されること数十秒。結界が嫌な音を立て始めた頃、終わりは唐突に告げられた。轟音が響く迷いの竹林に静寂が訪れる。
霊夢の肩越しに靄の方を伺うと、それは徐々に縮小を始めて、やがて膨張する。
光の中から現れたのは、身体に傷一つ負っていない藤原妹紅だった。
橙の言っていた「死なない」というのはそのままの意味だったってこと!? まさか、文字通りの不老不死ってこと……?
なるほどだからあの人里で出くわした時、両腕を切断したのに生きてたのね。意味わからん!
「『パゼストバイフェニックス』──便利なもんだよ、あんたが作ったスペルカードはさ」
「……こんな用途での使われ方なんて想定してないわよ。スペルカードは生きている者と死んでいる者の為の技術ですわ」
こう見えて私はスペルカードの考案者、それなりの知識は持ち合わせているわ。まあ、最終的な工程は全て藍に丸投げなんだけどね。
あのパゼストバイフェニックスというスペルカード……肉体を失ったことをトリガーとして発動する受動的な構造になっている。
つまり、藤原妹紅は魂の状態であれほど苛烈な攻撃を仕掛けてきていたということだ。勿論、私の知る限りでこんなキチガイ染みた発想をした奴は一人もいない。この子頭おかしいわ(直球)
「随分ととんでもないのに目を付けられてしまったみたいね。ほとんど見ず知らずの関係だと言うのに容赦のないこと」
「……そうか。お前は私のことを覚えてないんだな。そりゃそうだよな」
口調は先ほどと比べて幾分かは穏やかになっている。だけど私を貫く瞳の鋭さは、視線だけで殺されてしまいそうなほどにますます増している。
覚えはない……はず。
「ちょうどこんな欠けた月の下だったっけな。幾望虧月──そう、今はあの日と全く同じだ。違うのは『あいつ』がいないことだけ」
……?
「あんなに悦んでいたくせに……忘れちまったのか。
風が私の身体を通り抜けた。
妹紅の気迫によるものもあるだろうが、そんなのよりももっと深くに浸透するナニカ。
あいつ……メリー?
なぜそこでその名前が出てくるの?
メリーは、私でしょう。
待って。
誰、なの? だって、それに私、迷いの竹林は昔に一回入ったっきりで……───っ。
何かががしゃりと音を立てる。
何かがはめ込まれたようで、何かが壊れた音。
視界が崩れる。
「──うっぐぅ……痛い……!」
「紫さま? ど、どこか痛むんですか!?」
頭蓋の中に茨が這っているような強烈な痛みと深刻な不快感。そして焼き焦がすような熱が脳髄を伝って全身へと循環。
心配してくれてるのだろう、橙が私の身体を揺すっている。「大丈夫」だと、一言だけ言えればいいのに……痛みがそれを許さない。
痛いからでも、心情的な疲労によるものでもない。
何かに対する涙がとめどなく溢れ出てくる。
わけが分からないわ。
「うぅあぁぁ……っ…これ、は……!」
「しっかりして紫!!」
ダメだ。この場所にもう居られない。
藍を連れて、逃げなきゃ……!
ぐるぐると腹の中を渦巻くナニカが吐き気となって込み上げる。
直感で判った。
込み上げているのは吐瀉物ではない。吐き出されたその時、絶対に良くないことが起こる、そんな予感が頭を埋め尽くす。
いっそ吐いてしまえば楽になるんだろうか? 私は今の苦しみから解放されるのだろうか?
「しっかり
「あ、あっ……う……う…!」
そうだ、意識を外らせなきゃ。
何も考えるな……霊夢と橙の声だけを…!
「うっ……はぁ! はぁ! はぁッ!」
よし、多分痛みの峠は越えた!
後は気持ちを落ち着ければ……。
「……お前のような奴が罪悪感を抱くはずがない。まさか私の油断を誘っているのか? ハッ、目出度い作戦だな! 私は容赦しないぞッ!」
「ったく、藍も紫も役に立たないんだから!」
視界の端で霊夢と妹紅が衝突した。
くっ、ここまできてこんな、体たらくを晒すなんて…! せめて妹紅と距離を離せば頭痛も少しはマシになるだろうか。
逃走経路を用意べくスキマを展開して、まずは藍を安全圏へ滑り込ませようと身体に鞭打ち身体を抱え上げる。やはりと言うべきか、めちゃくちゃしんどい。
ええい! 頭痛なんて……なんぼなもんよ……!
「ま、待ってください紫さま! 藍さまが!」
「え…?」
藍の腕が一直線に伸びていた。そして人差し指の一本だけを立ててとある方向を指している。何があるのかとその方向を見てみたが私には何も見えなかった。
いえ、それよりも藍よ! 目を見ると若干の光が浮かび上がって私に焦点を合わせている。まだ万全とは言えない状態みたいだけど意識を取り戻す程度には回復できたみたいだ。
これが九尾の治癒能力……!!
「紫さまっ! てゐが! 因幡てゐがいますよ! しかもなんだか足を引きずってるみたいです!」
「なんですって?」
橙の言葉に目を見開いた。確かに妹紅の自爆によって見通しは良くなったが……。
うーん、私には何も見えない…! これでも視力は2.0以上あるんだけどなぁ。これは私が悪いんじゃないわね、橙と藍がおかしいだけだ。
だが橙が「居る」って言うなら、あっちの方にてゐが居るのだろう。しかも負傷した状態という絶好の機会!
ふふ……天運尽きたわねてゐ!
私の悪運の強さを舐めてもらっちゃ困るわ。
「追うわよ橙、この期に戦いを終結させる。霊夢はその暴れ馬をお願いね」
「貧乏くじだけど、仕方ないわねっ! こいつをぶちのめしたらすぐに後を追うわ」
「ちくしょうッ、邪魔するなァァアッ!!」
再度妹紅の身体が紅蓮の焔に包まれる。
だが今度は霊夢も油断していない。爆発を事前に準備していた結界によって未然に封殺した。凄いわ霊夢!(小並感)
不意を突いたとはいえ藍を一撃で戦闘不能に追いやった妹紅の危険度は高い。私が論外なのはもちろんだとして、あの分だと橙でも厳しいだろう。
なら必然的に霊夢に残ってもらわなきゃならなくなる。まあ前回の異変みたいにならなければ妹紅相手でも遅れをとることはないでしょう。
それに安否を確認できないアリスや魔理沙だが、あの子達のことだから多分無事だろうし、手が空けば霊夢の助太刀もしてくれるはず。
妹紅は霊夢がなんとかしてくれる!
そして私たちがその間にてゐを仕留めることができればこの戦争は私たちの大勝()で即終了! てゐとの腐れ縁を払拭しいつもよりちょっぴり平和な日常を迎えることができるのね!
あと藍だけど……このまま私がおぶって連れて行こうと思う。見れば傷口がみるみる塞がっていて、すぐにでも万全に近い状態まで回復しそうだ。
なお本人との確認は取れてない。どうやら喉が焼けているようで声が出せないみたい。
ぶっちゃけあのてゐが相手なのだ。私と橙だけではどのような不祥事が生じるか分かったもんじゃない。ごめんね藍……休ませてあげれなくて本当にごめんなさい。
……ていうか藍が私の服を掴んで離してくれないのよね。凄い目で「置いていくな」って訴えかけてるんだもん。
ちなみに最初橙が藍を運ぼうとしたんだけど、その役目は私が敢えて引き受けることにした。せっかくの橙の機動力を削ぐのは勿体ないもの。
というわけで吠えまくる妹紅を背に私たちは逃走兼追跡を開始した。霊夢お願いね!
「三度も逃してたまるかよ……!」
「っと、私を素通りなんて舐められたものね。一つ言っとくけど私がいる限り紫の後を終えるなんて思わないことよ。それに、アンタには聞きたいことが山ほどあるわ」
「てゐの場所までもうすぐですね! ……それにしても、大丈夫なのですか紫さま」
「ええ心配は無用よ。むしろ今の私は気分が良いまであるわ」
そう。飛びながら気づいたんだけど、頭痛がいつのまにかすっかり良くなってる。それどころか身体が羽のように軽いわ!
流石に橙と並ぶほどに速くは飛べないけど、今迄の私に比べればもはや別物! 歌でも歌いたい良い気分を味わいながら、なおかつ藍に配慮して慎重に飛行中よ。
あーもしかしたらさっきの頭痛ってアドレナリンがドバドバ垂れ流しになってたからなのかな? 脳卒中かと思ってひやひやしたんだけども。
……一応念のために異変が終わったら外の世界に人間(妖怪)ドックを受けに行こうかしら。病気をしない妖怪なんてのが居るのは鬼太郎の世界だけなのよ。私もいい加減歳だし、もしかしたら病気を患い易くなってきてるのかもしれないしね。
そういえばスキマ妖怪って何歳まで生きるんだろうかと、今頃になって疑問に思う私なのであった。安らかに逝けるのなら御の字なんだけどねぇ。
っと! 心の中で無駄話をしているうちに随分てゐとの距離を詰めていたようで、私の肉眼でもてゐの背中を捉えることができた。
確かに足を引きずっており、さらに腕も怪我しているようで力なく垂れ下がった左腕を右腕で庇うようにして走っている。
……ここまでボロボロのてゐは初めて見たわ。
「そこまでよてゐ。大人しく降参しなさい」
「……っ、私としたことが、よりにもよってアンタらに気付かれてたのか」
力なく振り返るてゐに反抗の意思は見られなかった。傷だらけの小さな身体をこれでもかと曝け出して自分が無力であることを主張している。
よく見ればピンクの衣服のあちこちが土に塗れて汚れている。……もしかして落とし穴を掘ってた最中に妹紅の爆発に巻き込まれたのかしら? それで生き埋めになっちゃって……みたいな。
「はは、ここまでくるともうダメかもしれんね。いっそ諦めちゃおうか……」
「ふふ……貴女ともあろう者が諦めるなんて事をほざくはずがない。十八番の演技は最早二番煎じ。もう私には通じないわ」
「そうなの? そっか……もうそれなりに長い付き合いだもんね」
残念だがてゐが情に訴えかけているのはバレバレだ。表向きこそか弱さを押し出しているが、あの潤んだ瞳の奥には漆黒の意志が宿っているに違いない。
つまりだ。私たちが取るべき行動は───!
「橙っ、てゐを仕留めるわよ!」
「はい!」
問答無用の攻撃! 確実に戦闘不能まで追い込むに限る! 話を聞くのはそれからだ!
そして私と橙は一歩踏み出し……。
落とし穴に落ちた。
うん、完全に忘れてたわ!
這い上がりもしない内に仕掛けられた罠が作動し土と竹槍の塊りが振り下ろされる。
咄嗟に橙が結界で凶悪な刃の群れを抑えつける、が、てゐは恐らく想定済みだった。ビンッ、と不気味な炸裂音が眼前で弾けた。
二重トラップ……! 飛び来た音速の矢じりを、おぶっている藍がしっかりと二本の指で受け止めていた。私までの距離はもう一センチもなかった。
即座に藍が巧みな指さばきで矢を投げ返すが、矢はあえなくてゐに至る直前に四散した。
藍……貴女ったら二指真空把が使えたのね。
「ゆ、かりさま……あと、少しで動けるように、なります。それまでてゐと戦うのは……ケホッ、ケホッ!」
「喋るのはやめなさい。余計怪我が悪化するわ」
「……最後のチャンスか」
てゐは先ほどの罠による牽制で動けない私たちを尻目に文字通り脱兎の如く逃げ出した。くっ、逃げるなんて卑怯よ!(おまいう)
まずいわ。ここでてゐを逃せば私たちの勝利はさらに遠のいてしまう。だけど迂闊に近付けば軽く返り討ちに遭いかねない。
どうすれば……!
「蠢符『ナイトバグトルネード』!」
「な……くそ…!」
スペル詠唱とともに地面が盛り上がり、まるで噴火のように虫の大群が螺旋を描きながら空中を覆い尽くす。
そしててゐの退路を完全に塞いだ。
「───〜〜〜♪〜〜♪〜」
竹林を蠢々しゅんしゅんと小さき者たちが隙間なく蠢き、合間から聞こえるは幽かな美しき狂気の歌声。その歌の意味を理解した私は咄嗟に耳を塞ぐ。
一方蟲に退路を断たれたてゐは方向を転換させようとしていたが、あえなく地面に突っ伏した。意味が分からないといった様子でもがいている。
「こんな時に、鳥目……!? なら───」
てゐの何らかの合図とともに彼女の周囲に丸太の雪崩が降り注ぐ。そして蟲の大群は無残に蹴散らされ、飛散した。恐らくこの丸太を盾にしながら撤退する予定だったんだろう。
だがその計画は、丸太が底無しの闇に飲まれたことで頓挫した。
「まだだ……こんなところで終わるわけにはいかないんだ…! 私が、やらなきゃ───」
「獲ったあぁぁぁぁああっ!!」
「うぐぁ!?」
とどめに狼女の機動力を活かしたタックル。あまりの衝撃にてゐの身体がそのまま吹っ飛び、何度も地面を跳ねた。うーん……これは痛い。
まさかの……まさかの援軍だった。
ここに来てこのクセ者たちの連携が実現するなんて!
「賢者様! 私、私が仕留めたわ! 草の根妖怪の今泉影狼がやったのよ!」
「え、ええ分かったから落ち着いて」
「ついに鳥の天下が来たのね! これで憎き焼き鳥屋を潰すことができるわぁ!」
「ヒエラルキーの最下層と言われた時代はもうお終い……蟲の時代が再びやって来る!」
「毎日食べ放題!」
あっうん。そっか……まあそうよね、うん。
私のちょっとした感動を返して欲しい。
取り敢えず今泉影狼のタックルで全身を打ち付けて動けないでいるてゐを藍と橙が不動陰陽縛で完全に拘束した。
ふふ、これにて趨勢は決したわね。
「よくやってくれました。貴女たちの働きは大いに評価させていただきますわ」
全員がさも当然!という風に私を一瞥する。調子のいい妖怪たちだこと……。
まあ、まだ戦いは終わってないけどね。あとは竹林に残って点在している兎どもの残党狩り、そしててゐの住処への強制押し入り調査だ。
それじゃあてゐにはこれからその住処へ案内してもらおう。ここで月への癒着の証拠を見つけることができればこれからの幻想郷がとっても平和になるわ!
「イテテ……こんな不幸は島渡りの時以来だ……。そこの狼女……覚えてなよ? 明日から家賃十倍にするから」
「ヒェッ……。ふ、ふん! そんな取り立てなんてもう怖くないわー! 貴女がデカイ顔をできるのは今日で最後なんだから!」
「果たして、そうかな?」
てゐの強がりに一同不穏なものを感じた。まさか、とは思うけど……。どうせそれも演技なんでしょう? ねっ、ねっ?
「ひとまずこれで戦いはかなり楽になったはずよ。そうねぇ……貴女たちには近辺の残党狩りをお願いしようかしら」
「久しぶりの落ち武者狩りだー。楽しみだなぁ」
やっぱり
というわけで皆さん仕上げの方をよろしくお願いします。
さっぱり和やかな談笑ムードになりつつリグル、ミスティア、ルーミアは元の配置の場所へと戻っていった。
ただ一人、今泉影狼だけは残っている。
「あの、賢者様」
「あらどうしたの? ……確か貴女は草の根ネットワークのまとめ役でしたね。報酬の件はわかさぎのお姫様との確約で『賢者の座を一つ用意すること』だったと思うけど、もしかして貴女が?」
「いやいや私はそういうの柄じゃないし、もっと上手くできる奴がいるから。それにいま話したいのはそれじゃなくて、妹紅のことなんだけど……」
あらもしかしてあの爆発魔の知り合いかしら?
「あいつ普段はあんなんじゃないのよ。出来た人間ってわけでもないけど別に腐ってはいないし、気のいい奴なの」
「私も……第一印象はそう見えました。今は裏切られてこのザマですけど」
ふーん。私は藤原妹紅のことなんて少しも知らないから肯定も否定もできない。たださっきまでの様子を見てると私視点ではただのキチガイにしか、ね。
あれがまともって言われても、ちょっとねぇ。
「あいつがとんでもないことをやらかしたのは分かってるんですけど……処罰を下すのは事情を聞いてからにできませんか。どうせ殺すことはできないんですし」
「現実的ではない、な。──紫様、もう降ろしていただいて結構です。大変ご迷惑をおかけしました」
ぁぁ……藍!
復ッ活ッ!
八雲藍復活ッ!
八雲藍復活ッ!
八雲(以下略ッ!
いや、ここは流石藍と言うべきか。あれほどの怪我をこんな短時間で治してみせるなんて!
……とは言っても消し飛んでしまった右腕はまだ戻っていないようだが……藍曰く「心配せずとも治る」とのことで。あなた一応哺乳類よね?
「紫様……あの、ありがとうございました」
「いいのよ。むしろお礼を言いたいのは私の方なんだから。ほら、私からもありがとうと言わせてちょうだい?」
「……」
ふと、藍の目から雫が零れ落ちた。
暗闇の中でも月明かりを反射する水晶は見逃せない。表情は変わらないまま一筋の涙だけを零していたのだ。
「藍……どこが痛いの?」
「いえ、ただ懐かしく思ったのです。貴女様におぶられた遠い昔を思い出して、なんとも言えぬ感情が心に湧き上がったのです」
「藍ったら……」
そ、そ、そんなことあったっけ…? やっべまったく思い出せないわ。
せっかく藍が嬉し涙?を流してくれてるのに私ときたらこれだもんねちくしょう!
と、取り敢えず涙は拭いてあげましょうか。
「あー、うん。まあそういうことだから妹紅の件はよしなに頼みます。それじゃ」
この変な独特の雰囲気に耐えれなくなったのか、影狼はニヤケながらスタコラサッサと何処かへ走っていってしまった。
私なんにもしてないのに悪いことした気分なんだけど……なんでなんだろう。橙も口半開きにして私たちの方見てるし……。
「惚気るのはそのくらいにしてさっさと話を進めてくれないかな。私の処遇を決めてくれないと逃げるも反撃するもできないわ」
何故かてゐからも苦情が入ったので話を進めることにしよう。ズバリてゐに聞くのは、彼女の住処の場所と協力者の有無!
さて、素直に答えてくれるはずはないし、どうやって吐かせようか……。
「私が住んでた場所ならさっき逃げていた方向に行けばあるよ。協力者もそこに居る」
吐いたァー!?
いやいやいや絶対嘘でしょこれ。あのてゐがまさかこんな簡単に吐くはずがない。よし、今すぐさとりを連れてきましょう!
だがそれも藍に遮られる。
「確かにここから南南東に行った場所に何やら建造物が建っていますね。私たちと戦って負傷した兎たちも全員その方向に向かっていました……"何か"があるのは間違いないかと」
マジなの。
「一つ忠告しておくけど、行かない方が身の為だよ。今回ばかりは本音……絶対にタダでは済まないからさ」
「貴方、オオカミ少年って童話をご存知かしら? つまりそういうことよ」
「……忠告はしたからね」
あっさりしている割にはどこか渋っているように見えるその様子に首を傾げる。そりゃ罠の一つや二つはあるんでしょうけど、てゐを無力化した今となっては、さしたる脅威にはならないわ。
なんといっても藍も橙もいるこの状況……何が来ても負ける気がしないわ!
「これはまあ……随分と立派なのが建ってるわね。いつも金が無いとかぼやいてた割には良い暮らしをしてるみたいじゃない?」
「ほっといてくれ」
立地さえ良ければ私でも羨ましいと思ってしまうほどの、煌びやかで且つ素朴な雰囲気を醸し出す見事な和風屋敷が現れた。
周りの竹林と相成って、まるで御伽噺の世界からそのまま取り出されたような雅。その風貌は良くも悪くも、賢者が住むには相応しい様と言える。
いやー紅魔館といい白玉楼といい……みんな良い所に住んでるのねぇ。私もお家を良い感じに改修してみようかしら? 萃香に頼めば安価でやってくれるし。
しかしそれにしても、てゐの本拠地だと言うのに全くと言っていいほど警備がなかった。それどころか人の気配を感じないのだ。怪しいわねぇ。
てゐは「ここまで踏み込まれる予定ではなかった」との事らしいが、ウ詐欺の言う事だから信用できるはずもない。そのことは藍も承知していたみたいで、橙と一緒に式分身を作り出すと屋敷へと偵察に送り込んだ。
……見たところ怪しい部分はないんだけどね。
「藍、貴女から見てどう思う?」
「今のところ罠はありません。しかし内装が少々厄介な空間で構成されています。ひとまず中に入っても大丈夫かと」
「ほら言ったじゃん」
何故かドヤ顔してるてゐは置いといて、本当に何も仕掛けが無かったのは驚きだわ。まあ、自分の家に罠を仕掛ける奴なんてあんまり居ないとは思うけど……相手はてゐだからね(念押し)
それじゃ入りますか!
式藍によって開けられた扉をくぐる。何があるか判らないから土足で上がらせてもらうわよ。お行儀なんて言ってらんないわ。
そして目の前の襖を開け放いた先で待ち構えていたのは、延々と続く廊下と襖の視覚ゲシュタルト崩壊だった。
「外観と内装が明らかに違うわね。まったく……紅魔館といい、兎に角広ければいいってもんじゃないでしょうに」
「私に言われても困るね。気になるならここの主人に聞いてみれば?」
「主人……ここの家主は貴女じゃないの?」
「さあね」
ここにきてしらばっくれやがった。その家主とやらの場所を聞いても黙秘を貫くばかり。どうやらこれから先は協力する気が無いようだ。
このまま尋問したりして吐かせるのも時間がかかって面倒臭いし、素直に藍による解呪で正面から突破することにしましょう。
「藍、この術を破れるかしら?」
「はっ、お任せを。橙は辺りを警戒していてくれ」
「はいっ!」
「それじゃあ、てゐは私が預かっておくわ」
各々で役割分担(サボり)しつつ円滑に調査を進める。藍の分析に橙の索敵、そして私による最強の監視によって万全の体制である。一人要らない奴がいるとか言わない。
取り敢えず逃げられないようてゐの首根っこの部分を掴んで軽い拘束。万が一にでも逃げられたらこれまでの苦労が浮かばれない……しっかり監視!
……そういえば。
「
「嫌だね」
まだ何も言ってないんですけど。
「貴女が異変を始めた理由……確か"誰か"を守りたいからだったかしら。貴女ともあろう者がそこまで言うんだから、私は同族のことだと予想していたんだけど、実際のところどうなの?」
「……」
黙り、か。まあ別にいいけどね。
これからは私の独り言。
「仮にその守りたい"誰か"を貴女の友達と仮定するわ。その友達が何に追われているのかは分からないし、何をしたいが為に異変を始めた……若しくは協力したのかも分からない。だけれども、守ることだけを望んで異変を起こしたのなら、それはわざわざ争わなくても目的を実現できるはずよ」
「──…何が言いたい」
てゐが僅かに目線をこちらに動かした。これは脈ありと見てもいいでしょう。
賢者唯一の良心(自称)と謳われたこの私の裁量、とくとご覧あれ!
「私が貴女の友達を守ることに協力しましょう。こんな
藍が一瞬だけ眉を顰めながらこっちを見たが、少ししてまた作業に戻った。ごめんなさいね、文句は後で聞くわ。
和解できれば越したことはないでしょ?
「だからこれからは少しだけでも私に協力して欲しいの。貴女と私が手を取り合うことができれば……それはとっても素晴らしいことだと思わない?」
「ここにきて私を懐柔するのか、紫。……だから私はお前とは争いたくなかったんだ」
私とてゐの視線が交差する。その瞳はいつものような変幻自在のそれじゃなくて、とても優しい光を湛えているように見えた。
なんだろう……初めて真の意味でてゐと話せたような気がする。
「もうちょっと早ければなぁ。そこらへんは私の能力でも、どうにもなんないや」
「てゐ?」
「すまないね紫。私には謝ることしかできない」
それっきりてゐは口を噤んでしまい、何を話しかけても反応の一つも返してくれなかった。
じっと目を瞑って何かを待つようにほんの少しの身じろぎすら見せない。
これで黙られるんじゃもう手の打ちようがないわね。大人しく藍が術を破るのを待つしか───…………んん?
『あっ、いたいた』
なんの前触れもなく奥の方の襖が開かれる。そして現れたのは……玉兎ぉ!?
細長い二本の耳に桃色のロングヘア。爛々と輝く紅い瞳。そしてなんといってもあの独特のブレザー…! アレは確か綿月隊の制服。
忘れるはずがない! あれは玉兎だわ!
そしてその玉兎が私たちを介する様子もなくどんどん近づいてくる。その距離10メートル!
なんで!? なんで藍も橙も気づかないの!?
シカトしてるの!? 橙なんてその方向をちゃんと視界に収めてるはずなのに!
……もしかして幻覚かな?
よく見れば若干透けてるような気がしないこともないし……。私のあまりの恐怖によって生み出された幻覚……ありえる。
若しくは私にしか見えない不思議の国の兎さん。残念だけど幻想郷にはアリスっていう正統派魔法使いが居るんだからそっちの方にお願いします。
さて兎さんを睨んでいるとあっちも私に気が付いたようで、肩をビクつかせると目を細めてガンを飛ばしてきた。
おっ、おっ? やんのかゴラァ!(震声)
『えっ、何こいつ見えてるの?』
ついでに幻聴も聞こえます。妹紅の時の頭痛といい、私はもうダメかもしれない。多分頭を酷使しすぎたのね……もう隠居したい。
『いやそんな筈が……私の波長操作は完全無欠で最強の能力。地上の妖怪如きに破れるようなものじゃないわ。多分気のせいね、そうに違いない』
色々とツッコミどころはあるけど勝手に勘違いしてくれてるなら好都合だ。さっさと私の目の前から消えてちょうだい……これは幻覚これは幻覚……!
くぅ……この幻覚は一体なんでこんなところに。欲しい物があるならなんでも持って行っていいから私に健常な視覚と精神を返して。
ってこら! てゐは渡さないわよ!
『ちょっ、離しなさい! こいつやっぱり見えてんじゃん! ああもう……これだから地上の連中は嫌いなのよ! ていっ!』
「痛っ」
「紫さま? どうかされました?」
てゐを掴んでいた掌を叩かれた。カリスマ感溢れる手袋のおかげで幾分か衝撃が和らいだが、それでもめちゃくちゃ痛いわ!
……あれ、実体がある?
何が起きたのか判らずに惚けている間に、てゐを抱え上げた幻覚玉兎は元来た襖の奥へと消えていく。これは───。
「もしかして──やっちゃった?」
「紫様、術を半分ほど解き終わりました。間もなく解呪に至るかと。………それでその、因幡てゐは何処へ?」
困惑する藍と橙。
私はこの状況を誤魔化すために、取り敢えず愛想笑いを浮かべてみるのだった。
えっ、なにこれバッドエンド!?
ここにきてゆかりんの能力が色々と解放されていってるような気がする。
なおゆかりん謎の微強化が無ければうどんちゃんに手首を落とされていた模様。
橙1000
ゆかりん2→10
こんくらいの強化具合。五倍だぞ五倍! やったねゆかりん超絶パワーアップだ!
てゐちゃんの幸運一覧
・もこたん襲来
・ゆかりんに見つかる
・藍が怪我をしていた
・追っ手の中に赤蛮奇やにとりといった殺傷能力に優れた妖怪が居なかった
・二指真空把の不発
・捕獲される←ここで能力の現作用を理解
・ゆかりんを永遠亭まで導く
・うどんちゃんによる救出
・ゆかりんによるうどんちゃんの見て見ぬ振り
・ゆかりん生存?
てゐちゃんがいればどんなご都合展開も能力で済むからホント助かります。これから全話に渡って登場してもらおうかな…!
自機を選択して下さい(難易度)
霊夢&藍★★★★★
魔理沙&アリス★
咲夜&レミリア★★★★★
妖夢&幽々子★★★
ゆかりん★★★★★★★
妹紅&???★★★★★★★★