「あ~、クソッ!やっぱりどう考えてもアイツ、転生者だよな?」
時は少し遡り、なのは達がまだ獣医に居た頃、とあるアパートの一室で悪態をつきながら頭を抱えている少年がいた。
名前は
アメリが警戒している、原作キャラでハーレムを作ろうとしている、なのはsideの転生者だ。
そんな彼は今、大きな悩みを抱えていた。
「自己紹介の時の台詞もそうだが、そのあともこの世界の人間が知らない筈のネタを喋っていたし、間違いねぇか…。」
自分以外の転生者かもしれない人物。この世界の人間が知らないネタで自己紹介をし、クラスの皆に大きなインパクトを与えた転校生、アメリ・L・ラティテュードと名乗った少女のことだ。
鎧亜はどうしてこうなったと考える。
自分だけが特別じゃないのか?自分だけがただ一人のオリ主様じゃないのか?
「クソ~あのバカ神!何でこんな重要なことを教えてくれなかったんだよ!」
鎧亜は何で教えてくれなかったと、自分を転生させた神に悪態をつくがそれはお門違いである。
鎧亜を転生させた神は別に意地悪で鎧亜に他の転生者のことを教えなかった訳ではない、ただ単に聞かれなかったから言わなかっただけなのだ。
つまり鎧亜がもう少し警戒心を持ち、転生時に他の転生者がいる可能性に気付いていれば、こんなに悩む必要は無かったのである。
まぁしかし、アメリは鎧亜を転生させた神とは違う最高神によって創られた存在で、しかも転生者ではないため鎧亜がアメリの存在を知ることは最初から出来なかったわけだが。
「アイツが転生者だとすると目的は何だ?なんかいつの間にかなのは達と仲良くなってたし百合ハーレム作りか?
うわ~!だったら最悪だぁ~!ハーレムを作るのは俺だ!なのはもアリサもすずかもみ~んな俺の嫁だぁ~~~~!!!!」
鎧亜の魂の叫びが部屋中に響いた。非常に近所迷惑である。
「とにかく、これ以上なのは達が何かされないように見張らないとな。特に今日はなのはがユーノと出会う日だから何か行動を起こすかもしれない。
はは、大丈夫だ。俺には神から貰った最強の力があるんだ。あんな奴怖くなんかねぇ。」
奇しくもアメリと同じ考えをする鎧亜。二人が接触するまであと数時間。運命の歯車はどう動くのか?
私が市街地をぶらつき始めてから数時間が経ちました。
「そろそろジュエルシードモンスターがユーノを襲う頃なんですが…。」
ぶらつき始めてからずっと、マルチタスクでユーノが居る獣医に飛ばしたサーチャーの映像を見ているのですが、一向にジュエルシードモンスターが来る気配がありません。
ただ、少し前に、なのはsideの転生者の明石鎧亜が現われて、近くの電柱の上でスタンバっています。
様子見なのか介入するのか分かりませんが、今のところは大人しくしています。
サーチャーはバレないように隠密性が高いモノを使っていますが、見た感じ明石は全く辺りを警戒していませんから念を入れる必要は無かったですかね?ユーノやなのは相手でもちょっと隠密レベルを上げれば十分でしたし。
それにしてもジュエルシードモンスターが来るのが分かっているのに辺りを警戒しないとは、すごく油断してますね。
ジュエルシードモンスターがユーノから標的を変えて襲って来たらどうするつもりなんでしょうね?
「さて、このままサーチャーの映像を見ていても仕方がありませんし、私も現場に行きますかね。」
私は人気のない路地裏に入り転移魔法を発動させました。
現場から少し離れた人気のない場所に転移した私は、オプティックハイドで姿を消し、明石と同じく近くの電柱の上に降り立ちました。
明石とは数十メートルしか離れていないのですが全く気付いていません。
隠密レベルはそんなに高くありませんから、いくら警戒をしていないからといっても、明石が調査通りの力を持っているのなら普通に気付けるはずなんですがね?不思議です。
せめて持っているデバイスがインテリジェントデバイスだったら、代わりに気付いて教えてくれていたかもしれませんが。
明石は転生特典でデバイスを頼まなかったらしく、神様が気を利かせて授けてくれた平凡なストレージデバイスしか持っていないのです。
「グガァァーー!」
おや?余計な事を考えていたら、ジュエルシードモンスターが現れたようですね。
『You Got Mail』
おっと、なのはからメールですね。
ということはこのあと原作通りなら、なのはにユーノからのSOSの念話が届き、そのあとすぐにユーノはジュエルシードモンスターに襲われて、しばらくしてなのはが獣医に到着、結界が発生、飛び出してきたユーノをなのはがキャッチ、ジュエルシードモンスターから逃げるという流れになるわけですね。
「よし来たな。だがまだ俺の出番じゃない。
それにしてもあの転校生まだ来ないな。このイベントはスルーするつもりなのか?」
そんなわけないでしょ。
まったく、やっと動き出したかと思えば何バカなことを言っているのでしょうかね。
この記念すべき魔法少女誕生イベントを見逃すはずがないじゃないですか。あと私はとうにあなたの数十メートル隣にいますよ。
もうなんか一発おみまいしたくなりますね。このあと介入するつもりみたいですし、ここで片づけておくのもアリですかね?
その後原作通りにことは進み、ユーノを抱えてジュエルシードモンスターから走って逃げるなのはを追いかける為に私は電柱の上から飛び立ちました。
すぐ前を明石が飛んでいるのですが、一向に私の存在に気付きません。
後頭部でもぶん殴ってやりましょうかね?もう十メートル以下の距離ですよ。普通の人でも気付きますよ?
そして、立ち止ったなのはの近くの電柱の上に明石は降り立ち、私も明石が立つ電柱の道を挟んで反対側の電柱の上に降りました。
さて、明石はいつ介入するつもりなのでしょうか?私だったら変身後にジュエルシードモンスターがなのはに突進してきた時ですかね?
そしてしばらくして、このイベントのメインが始まりました。
「我、使命を受けし者なり……」
キター!来ましたよ、変身シーン!
なんか無条件に興奮しますね。私は別に魔法少女に憧れていたわけでも、ましてやロリコンでもないのですが。
ちなみに明石は、目玉が落ちるのではないかと思う程目を見開きなのはの方を見ていますが、なのははすでに桜色の光の柱に包まれているので多分なのはの姿は見えていないでしょう。透視能力とかは持っていないはずですし。
そして変身が終わり、バリアジャケット姿になったなのはを見て、私はある重大なことを思い出しました。
そういえばデバイスやバリアジャケットは映画版なんでしたっけ?
そう、最高神様が言っていた通り今のなのはのバリアジャケットは、胸元のリボンが金属パーツになっており全体的にも金属部分が増えていました。
そしてレイジングハートも少し変わっており、青い部分が追加されていました。
明石も驚いていましたが、まぁこれくらいの剥離ならいいかとすぐに驚くのをやめました。
でもまぁ、ストーリーは変わりませんからこれ以上の剥離はないでしょう。アニメのストーリーなら映画版初出の魔法もこのシーンでは使いませんしね。
さてそろそろジュエルシードモンスターが…あっ突進しましたね。そして…あぁやっぱりこのタイミングでしたか。
「大丈夫か?なのは?」
「え、えぇ~~!鎧亜君!?」
「君は一体…?」
ジュエルシードモンスターがなのはにぶつかる直前、レイジングハートがプロテクションを発動させるよりも早く明石はなのはの前に降り立ち、ラウンドシールドを張ってジュエルシードモンスターを受け止めました。
なのはがすごく驚いていますね。まぁ当然ですね。この状況で突然クラスメイトが現れたら誰だって驚きますよ。
ユーノは驚きつつもなんか明石のことを警戒してますね。
それにしても、今まで何度も明石からセクハラ紛いのことをされているのに、よく君付けして呼びますね。
私なら名前すら呼びませんよ。
さて、なんかあとは俺に任せろとか言っていますが大丈夫でしょうか?
ちゃんと封印することが出来ますかね?
あっ、どうやらなのはもユーノも明石に任せることにしたようですね。電柱の後ろに隠れました。
そしてそのまま観戦しつつ、魔法の説明の続きをし始めました。
そして明石はジュエルシードモンスターを攻撃し始めました。
別にこのジュエルシードモンスターは実体がありませんから、そんなことをしなくても簡単に封印出来るんですがね。原作でなのはがやったように。カッコつけでしょうかね?
「よし、フィニッシュだ!」
やっと封印作業ですか。さてうまく封印出来ま……えっ?
「グガァァーー!」
なんと、明石の攻撃で弱っていたはずのジュエルシードモンスターが突然復活しました。
しかも何故か先ほどよりも魔力がかなり上がっています。
どうしてこのような事が!?明石も驚きのあまり口をパクパクさせています。
さてどうしましょうか?確実に先ほどより強くなっていますよね?
今の状態では、なのはでは太刀打ち出来ませんし、ユーノは論外、明石はちょっと微妙ですね。
なんか練習不足な感じがありますし、転生特典もうまく使えるかどうか怪しいですね。
あれ?これは私が出て行かなければならない状況ですか?もしかして最高神様の気まぐれ?
…フフッ、覚えておいて下さいよ。最高神様……。
「クソッ、何なんだよいったい!?」
自分は確かにジュエルシードモンスターを弱らせたはずだ。
鎧亜は倒したはずのジュエルシードモンスターが何故か突然復活し、しかも魔力が上がっていることにかなり動揺していた。
こんなことはありえない、なんでこんな剥離が起きるのかと、そんな言葉が頭の中でぐるぐると回っていた。
「仕方ない、もう一度攻撃だ。」
そう決意しデバイスを構えた瞬間、突然ジュエルシードモンスターが鎧亜に向かって突進してきた。
あわててラウンドシールドを張るが、ジュエルシードモンスターはそのまま鎧亜を素通りし、あろうことか鎧亜の後ろに居たなのは達に一直線に向かっていった。
完全に虚を突かれた形となった鎧亜は動く事が出来ず、ただ見ていることしか出来なかった。
そしてジュエルシードモンスターがなのは達に襲いかかろうとした瞬間、突然長い黒髪の少女がなのは達の前に舞い降りプロテクションでジュエルシードモンスターの突進を受け止めた。
「いや~、危なかったですね。」
ホントに間一髪でしたね。間に合わないかと思いましたよ。
「えぇ~~!!今度はアメリちゃん!!」
「また魔導師が……」
「さて、ユーノも居ますから改めて自己紹介しますかね。」
そう言って私は姿勢を正して…
「いつもニコニコあなたの隣に仕えるメイド、アメリ・L・ラティテュードです。」
ライダー1号の変身ポーズをとりながらそう自己紹介しました。
「そのポーズはいったい?というかアメリちゃんも魔法使いだったの?」
「ポーズは気にするな!そして詳しい説明はあとです。今はあれを何とかしなければなりません。」
「おい!あれは俺の獲物だぞ!」
ジュエルシードモンスターの方に向き直し、戦闘態勢に入ろうとしたら明石が文句を言ってきました。
「今のあなたではあれの相手をするのは無理ですよ。」
「うるせぇ!大体ニャル子の真似するなら銀髪になれよ!イメージ崩すな!」
「すいません、日本人なので銀髪にするのは抵抗ありまして。でも服は真似ましたよ、バリアジャケットとして。」
今の私の服装はニャル子が第一話で着ていた服です。
「抵抗あるなら初めから真似るな!」
「あーあー聞こえない。
では、私の空想CQCを御見せしましょう。」
「無視するな!ってか空想CQC?」
「そうです。二次創作じゃないと使えない格闘術です。」
「おい、ナチュラルにメタ発言するな!」
「もう、さっきから煩いですよ真尋さん。」
「誰が真尋さんだ!」
ホントに煩いですね。もうさっさと進めますか。
「それでは御見せしましょう。これが空想CQCです!」
そう言って私が取り出したのは、某電車型タイムマシンが出てくるライダーの武器……によく似た剣型のデバイス。
「普通にデンガッシャーじゃねぇか!!」
「違いますよ。これは名状しがたいデンガッシャーのようなもの、です。
まぁ略してデンガッシャーとも呼びますが。」
「結局デンガッシャーじゃねぇか!!」
「略しているか、いないかの違いがあります。」
「そんな細かな違い分かるやついねぇよ!」
「ではそろそろ、ホントに倒してしまいましょうかね。」
私はジュエルシードモンスターと一定の距離をとり、デンガッシャーを構えます。
「必殺、私の空想CQCパートⅡ
『Explosion』
ガシャンと音がしてデンガッシャーから薬莢のようなものが排出され、刀身を魔力の光が包み込みます。
そして刀身が切り離されて浮かび上がり、「でりゃゃぁ~」と柄の部分が振るわれるのにあわせて遠隔操作され、ジュエルシードモンスターを横一文字に斬り裂きました。
斬り裂かれたジュエルシードモンスターは、叫び声を上げながら傷口から大量に黒いベタベタしたモノをまき散らして辺り一面を真っ黒に染め、その場で動かなくなりました。
「ふぅ~、これぞ空想CQC!
それじゃあなのはちゃん、もう心配いりませんから封印しちゃって下さい。」
「「「あれは墨汁だ、あれは墨汁だ、あれは墨汁だ……」」」
「どうかしましたか皆さん。下を向いてしゃがみ込んだりして。」
「……いや、SAN値が…」
「あぁ。」
SAN値が下がって動けなくなったんですね。確かに離れた位置にいたのにバリアジャケットに掛かるくらいすごいことになってますもんね。
仕方がありません。私が封印しておきますか。
そして封印作業をしながら私は今後について考えます。
思いがけない剥離のせいで、予定より早く正体をバラすことになってしまいましたが、これからどうしましょうか?
アデラ様に連絡しないといけませんかね?
あまり大きな問題ではありませんが、伝えておいた方が良いでしょう。
向こうでも同じようなことが起きるかもしれませんしね。
おはこんばんにちは、ガンダレです。
時間があったので連続投稿しました。
やっと、這いよれ! アメリさん編が終わりました。
これからはちゃんと文字数なども考えないといけませんね。
内容としてはなのはsideの転生者、明石鎧亜の紹介とアメリと鎧亜の漫才でしょうか?
鎧亜は別にツッコミキャラではないのですが、アメリが基本ボケなのでツッコミ役になってしまったんです。
では次回はフェイトsideのお話です。