語彙力が圧倒的に足りないために、書きたいシーンのみ書いた、そんな文章です。フヨウちゃんお借りしました!!!!!!!!!!!!!!!!!
※『GOD EATER2 RAGE BURST』のエディット主人公同士の交流です※
燃え盛る大地の中、アラガミが群れを成している。砂煙を上げ互いに食い合い、地面から噴き上げ流れるマグマなど気にも留めずに闊歩しているアラガミを、その足元から眺めていた。
力尽き倒れている神機使いは、フェンリル極致化技術開発局所属『ブラッド』に所属している小野そよか。神機は今その手を離れ、遠くへ投げ出されている。
何とか動こうとするも、体力の限界か、はたまた金縛りか――身体は全く動かなかった。
ふと、影が被さる。目の前にアラガミがいた。こちらには仲間は誰一人としていない。
絶体絶命、というやつだった。
アラガミが手を振りかざす。思わず目をきつく瞑る。
しかし、衝撃はこなかった。代わりに、自分ではない悲鳴と共に顔面に熱い飛沫がかかったのを感じた。
聞き覚えのあるその声に目を見開く。目の前で崩れ落ちたのは、同じく『ブラッド』所属のフヨウであった。
――ふよちゃん……!
声が出ない。
何とか手を伸ばし、フヨウの元へと這う。その手に触れた。アラガミの次の攻撃は来なかった。
「……そよちゃん、生きて」
――ふよちゃん、死んだらアカン……!
身体を引き裂かれ、息も絶え絶えとなっている。早く救護班を、いや、まずは止血が先か――思うように動かない身体を叱咤しながら処置をしようとするも、そこで握っている手から力が失われたのが分かった。
そよかは、声にならない悲鳴を上げ、泣き叫んだ。
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「……っはぁ、は……!」
身体がようやく自由を取り戻した。思わず飛び起きると、真っ暗な部屋の中で、毛布は床へと投げ出されていた。辺りを見渡すと、あの悪夢の世界は広がっていなかった。
何だか身体が熱っぽい。汗だくだ。
それに、涙が止まらなかった。
ゴッドイーターとして、アラガミを倒すために最上級の装備は整えてある。
自分のスキルも、日々磨いていたつもりだ。
なのに、夢の光景が忘れられない。
大事な人が、目の前でアラガミに引き裂かれてしまう悪夢。何度もその光景が瞼の裏に浮かんでは、そよかは恐怖に震え自らの腕を掻き抱くようにして身を縮めた。
その夜、そよかは寝付く事が出来ずに泣きじゃくっていた。
「あっ、おはようございますそよちゃん!」
フェンリル極東支部内にあるラウンジで、量を少なめにして貰った朝食をフォークの先端でつついていたところへ声が掛かる。普段と変わらない、ブラッドの帽子を目深に被った相手を見つめると柔らかく笑みを浮かべそよかは軽く手を挙げた。
「あぁ、おはよ、ふよちゃん」
「……大丈夫? 寝不足?」
声の主――フヨウはやはり気づいたらしい。
「うん、……ちょっと嫌な夢、見てもうて」
「無理しないでね、わたしも変な夢、良く見るから」
普段、ネガティブな発言が多い気がする彼女から言われると、満更でもない気がする。心配してくれているのが分かり、少し安堵し、嬉しくなった。フヨウを見上げてそよかは微笑んだ。
「ありがとう」
「あ、ところで今日、いっしょにミッション行かない? 欲しい素材があって」
「ええよ、ほんならしっかりご飯食べなアカンね」
少し普段の調子を取り戻したのか、そよかは目の前にある好物の和食を頬張り始めた。
ミッションは、地下街にて捕食を続けているグボロ・グボロ一体を討伐するだけの簡単なものだった。
グボロ・グボロも対した脅威もなく討伐を終え、近い距離ではあるが用意して貰っていたヘリへと乗り込むフヨウとそよか。欲していた素材が手に入ったのか嬉しそうにしているフヨウを見つめながらも、そよかは漠然とした不安を拭いきれずにいた。
「ほんとに具合悪くないの? 大丈夫?」
シートに深く背を預け景色を眺めていると、遠慮がちにフヨウが訊ねてくる。普段であれば、こちらが積極的に声を掛け笑わせたり、楽しませている側であるというのに……逆に気を遣われていると思うと、少し申し訳ない気がした。
「……ね、ふよちゃん。今日、ふよちゃんの部屋行ってもええ?」
気を遣ってくれた相手への感謝の言葉を告げようとしていたが、自らの口から出た言葉は自分にとっても思いがけないものだった。
そのことに気付いた時には、目の前のフヨウも目を丸くして口をぽかんと開けたままこちらを見つめていた。無理もない。特に下心があるわけでもないが、自分の言い方で変な誤解をさせてしまっただろうかと一瞬考え込んでしまうようなリアクションだ。
そよかは懇願するようにフヨウの手を取り指を絡めて握り締めながら間近に顔を迫らせる。そこでようやく事態を理解したらしいフヨウ。明らかに動揺しているようだった。
「え、っと……でも、わたしの部屋、散らかってるし……」
「ええよ、今日はいっしょにいたいから。……それだけ」
言いながらそよかは、フヨウの肩に頭を預けた。
フヨウはと言うと、極東支部までの短い時間、完全に固まってしまっていた。
報告書も提出し終え自身の部屋に戻るも、何も手につかず、すぐにフヨウの部屋へと行くことにした。自分の部屋にいては、どうしてもあの夢を思い出してしまう。
気が逸り、ドアが開くなりそよかは部屋で佇んでいたフヨウへと抱き着いた。一瞬何が起こったのか理解が追い付かず、フヨウは抱き着かれた体勢のままで恐る恐る声を掛けた。
「え、えぇっと……そよちゃん?」
「……あんな、ウチ、ずっと怖くて」
シャツの襟をしっかりと掴みながら、そよかは搾り出すようにしてか細く呟く。それを聞いて、フヨウもようやくそよかの不調の原因を悟ったのか、しばらく掛ける言葉が無いまま、手をそよかの肩の近くへと掲げたまま固まっていた。少ししてそよかの黒髪を優しく撫で回していたが、顔を覗き込むようにして訊ねた。
「いやな夢見た、って……そのこと?」
そよかが無言で頷く。
手に力を込めると、フヨウをベッドへと押し倒すようにして二人で倒れ込み、柔らかなベッドに身体が沈むとそよかは上になり、両手を顔の横へとついて間近で見下ろす形となる。照明のせいでフヨウからはそよかの顔が陰り、良く見えなかったが、呆然とそよかを見つめるフヨウの頬へと、温かい雫が落ちた。立て続けに何粒も落ちてきて、そよかが泣いているのが分かった。
「そよちゃん、泣いてる……?」
「ふよちゃんが……ふよちゃんがいないと、ウチ……ダメなんよ」
フヨウの襟元を掴み、胸に顔を埋めながら嗚咽するそよか。
震える声で、昨夜見た夢の話をし始める。燃え盛る大地と焼け焦げた大地、その中でアラガミの群れの中、無残に殺されてしまうフヨウの姿――
いくら装備を整えても、スキルを磨いても、いつかはアラガミに殺されてしまうかもしれない。はたまた、腕輪の制御が効かず、相手や自身がアラガミ化してしまうかもしれない。ただの事故、病気、とにかく相手が自らの前からいなくなるのが耐え切れないとばかりに泣きじゃくった。
「ふよちゃん、ウチの前からいなくならないで……! ずっといっしょにいて……」
フヨウが手を伸ばす。涙が零れ落ちるそよかの頬へと指が触れると、びくりと肩が跳ねた。
「だいじょうぶだよ」
やさしく一言、そよかの耳元で声を掛ける。頬を優しく撫でると、その手を頭へと回して胸へと顔を埋めさせるようにして優しく抱きしめた。
フヨウとそよかは同年代だ。境遇は違うにしろ、同じ目的でゴッドイーターとなった。適合試験での激痛を共に感じ、共に幾多のアラガミと対峙してきた。普段、明るく自分を笑わせてくれるそよかが、こんなにも今、弱い部分を曝け出し、泣いているのを見て、フヨウもつい泣き出したくなる。
フヨウはそよかの頭を優しく撫で続けた。
「わたしが、傍にいるから。……いっしょだよ、だから安心して」
よしよし、と宥めるようにして優しく、長い間声を掛け、慰め続けた。
そよかもようやく落ち着いたのか、フヨウの胸から顔を上げてベッドに座り込む。腕で乱雑に目を左右に擦って涙を拭うと目元を真っ赤にしながらフヨウを見つめ、微笑みかける。
「ふよちゃん、ありがとう。大好き」
初めて弱みを見せた気がする。心地良い今の関係が崩れてしまうのではないかと不安になったが、フヨウの前ではそれも杞憂だったようだった。それもそのはずで、さらりと言ったはずが告白とでも受け取ったかのように真っ赤になり、起き上がるなりしどろもどろになっている様子のフヨウ。それを見て、くすりと小さく笑ってしまった。
「あっあの、スキとかそういうのはですね、もっと大人になってから……じゃなくて、あのその」
「ふよちゃん、今日はいっしょに寝よ? 悪い夢、見なくなるかもしれへんし」
「えぇっ!」
また大声を上げるフヨウに、おかしそうに笑うそよか。ベッドの上で相手の隣に腰掛け直すと、肩を寄せ合うようにして並び、肩まで毛布を掛ける。あぁ、そういうこと……と納得したように呟くフヨウの隣で、頭をそっと預けると、寝不足に加え泣き疲れてか、そよかはすぐに寝息を立てて眠りについてしまった。
ふたりで寄り添いながら、その夜、悪夢に目覚めることはなかった。