息抜き作品その二。息抜きの息抜き的な何か。
*短編のPV的な何かだと思ってください。


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のび太の夢幻邯鄲史

「ドラえもん、ドラえも~~~んッ」

 

 それは唐突な、けれども何の変哲もない日常。

 

「何っ、せめて夢の中だけでも格好良い姿を見せたいだって!?」

 

 現実においてののび太は、最悪だ。

 担任には怒られ、ジャイアンとスネ夫にいじめられ、挙句しずかちゃんにまで呆れられる始末。

 こんな現実はもう嫌だ。

 だから夢だけでもいい夢を、そして自分が格好良い存在だと示したい。

 何という傲慢。いつも通りののび太の我が儘。それに呆れるドラえもん。けれど、結局は折れてのび太の我が儘に付き合う形となってしまった。

 ……それがいけなかった。

 

「気ままに夢見る機セットッ!!」

 

 それはビデオソフトを見るように、思いのままの夢を楽しむことができる機械。自分が映画やアニメの主人公になることができる、まさにのび太が欲していた代物。

 けれど、この時彼は知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 それが、地獄(しれん)への入口であることを。

 

 

 

 

 

 

 鳴り響く轟音。荒れ狂う剣戟。そして互いに殺意をぶつけ合う三つの勢力。

 戦場。その言葉こそが正しく表現されている場所にのび太は立っていた。 

 

「こ、ここはどこ……?」

 

 困惑するのび太。無理もない。何せ、ここは彼が望んだ場所などではないのだから。

 逆十字が、鋼牙が、悪魔が、盲打ちが。誰も彼もが彼の出現に驚くも、けれどもやることは変わらない。

 荒れ狂う死を前に、けれども彼は動くことができない。

 そんな時。

 

「大丈夫かっ」

 

 のび太を助けたのは、彼と同じくメガネをかけ、けれども比べるまでもない程の気概と闘気と覚悟もった一人の青年と仲間達―――柊四四八率いる千信館だった。

 彼らもまた巻き込まれた者達、けれども、彼らは立ち上がる。

 大きな安心感を得たのび太。そして思い出す。

 ここは夢なのだと。

 ただの夢なのだと。

 だから、こんな夢など早く覚めればいい。

 

 けれども、そんな甘い願望など、世界は受け入れなかった。

 

「……ドラえもん?」

 

 目が覚めるといるはずの、大切な友の姿がなかった。

 それはいい。それだけならいい。

 けれども皆、口々にして言うのだ。

 

「ドラえもんって、誰?」

 

 のび太にとってかけがないのない友人は、この世から完全にいない存在となっていた。

 何が起こっているのか。そんなものは分からない。ただ一つ、理解していることは、この原因はあの夢にあるということ。

 ならばすることは決まっている。

 のび太は怖かった。怖くて怖くて仕方がなかった。何故ならば、ドラえもんの消失の原因を突き止めるにはあの悪夢に再び立ち向かわなければならないから。

 泣きたくなった。泣きたくてどうしようもなかった。

 当然だ。野比のび太という少年はどうしようもなく非力で無力で無能なのだから。テストだっていつも赤点。頑張ることは大嫌い。楽をしたいといつも考える。人並みのことすらまともにできない、困った時はドラえもんに何とかしてもらえばいい……そんな人間だ。

 そんな奴ができることなどたかがしれている。そして、あの夢に行けば、今度こそ自分もただでは済まないことものび太は理解していた。

 けれども、だ。

 ここで友人を、大切な仲間を失って黙っていられるわけがなかった。

 だからこそ、彼は叫ぶのだ。

 

「ドラえもんを……僕の大切な友達を……取り戻させてください!!」

 

 頭を下げて懇願する少年に、柊四四八は近づいていく。

 彼らにとってのび太は未知の存在。警戒されるか、怪しまれるか、はたまた敵と思われても仕方がない。そんな状況下に彼らはいたのだ。

 しかし、それでも。

 恐怖に負けず、勇気を奮い立たせた少年に、柊四四八は手を差し伸べた。

 

「俺は柊四四八……君の名前は?」

「の……のび太。野比のび太ですっ!!」

 

 元気のあるのび太の声に四四八は笑みを浮かべながら告げた。

 

「一緒に取り戻そう、のび太。俺達の日常を。お前の大切な友達を」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんていうのかな……貴方は放っておけないんだよね。私の……弟に似てるから」

 

 これは、一つの可能性。

 

「子供が無理するんじゃねぇよ。ここは、あたしら歳上が頑張るところなんだから」

 

 有り得ないはずの邂逅。

 

「自分が無力で、情けねぇって思う……お前の気持ちはよく分かる。でも、だからこそ自分もやれるんだって、情けなくなんかねぇって証明したいじゃねぇか」

 

 無能で無力で非力な少年が出会ったのは強い絆で結ばれた青年達。

 

「君はあれだね。銃の扱いは凄いのに、自分がそれ以上に大切なものを持っていること気づいていないんだね」

 

 自分とは比較にならない強さと信念を持つ者達。

 

「あんたってホントに馬鹿ね。自分が無能? 無力? 非力? ええ、確かにそうよ。あんたは無能で、無力で、非力よ。でもね……それでもあんたにしかできないことがあるのよ」

 

 けれど、どうしようもなく力のない少年に、しかして彼らは言うのだ。

 

「相手をぶん殴って、ねじ伏せて、自分の強さを見せつける……馬鹿馬鹿しいじゃねぇか。力だけが全てじゃねぇ……俺は、お前を見て、そう思うようになったんだよ」

 

 お前にだって、できることはあるのだと。

 

「お前は人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことのできる人間だ。それが人間にとって一番大切なものであり、お前の強さなんだよ」

 

 その言葉に、想いに、信頼に、応えないわけにはいかなかった。

 なぜならば……。

 

 

 

「おいおい、なーーーにを格好をつけているんだぃ? 君はそんな人間じゃあないだろう? 弱くて弱くて、どうしようもないクズだろう? 誰かに頼って、依存して、寄生しなきゃいけない奴だろう? そんな奴がさぁ、無理して強くなった気になって自分はできるんだって言って……ああ、つまるところ、気色が悪いんだよぉぉぉっ!!」

 

 悪魔(じゅすへる)の囁きがのび太の神経を汚染していく。

 

「ああそうさ。その通りだよ。僕はどうしようもない奴だよ……ドラえもんに頼って、道具に頼って、四四八さん達に頼ってばっかりで、自分一人では何もできない、そんな人間だ……でも、それがここで足を止める理由にはならない」

 

 何故ならば。

 

「僕は、あの人たちの……戦真館の仲間なんだからっ!!」

 

 故に立ち止まらない。前を向いて、歩いていく。

 自分を信じ、仲間を信じて。

 

 

 そうして、彼は魔王の前に己の足で立つ。

 

 

「最後に一つ、聞かせてはくれまいか。弱く脆く小さな、けれども確固たる決意と勇気を持つ勇者よ。何故、お前は俺に挑むのだ?」

「僕の大切な友達を……僕に勇気をくれた人たちを守るだめだっ!!」

「―――――よかろう。ならば、お前が得た勇気を俺に見せてくれっ!!」

 

 

 瞬間、少年と魔王は激突する。

 

 

 

 これは、一人の少年が(きずな)を信じ、顕象させる物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところでのび太。以前お前のランドセルからこんなものが出てきたんだが……」

「えっ、四四八さん何です……そっ、それは……!?」

「どうやら最近疲れているようだ……このテスト用紙、俺には0点と書かれているように見えるんだが」

「いや、そ、それはその……」

「しかも、一枚だけじゃなく、こんなに大量に」

「あ、あはは。な、なんででしょうねぇ……」

「ぶっちゃけて言おう。俺は最近。名前を書き忘れて0点をとりやがった馬鹿を知っている。これもその類だろうと思っていたんだが……名前だけはきっちりと書かれてあるんだ。っというか、名前しか合ってないというべきか……まぁ、何がいいたいか、分かるか?」

「な、なんでしょう……?」

「今、すぐ、ここに、勉強、道具を、揃えろ」

「ひ、ひぃぃぃぃっ!!」

「そんな声をあげても無駄だ!! 俺も今までいろんな奴のテストを見てきたが、小学生の時点でここまでひどい奴は貴様が初めてだっ!! そして、それを黙認するほど、俺という人間も寛容じゃあないっ!! 安心しろ。こう見えて教えるのは得意なんだ。少々スパルタで有名だがな」

「す、スパルタって、どういう……?」

「俺が教えた連中は全員、もれなく目の下にクマができる」

「それって徹夜でやったってことですかっ!?」

「徹夜など、何を生ぬるいことを。お前の場合、最低でも三徹はするから、覚悟しておけ」

「そ、そんなぁ~~~~~~」

「ええい、そんな声を出しても無駄だと言ったは……っておいこら逃げるなっ!! おい!!

 

 のびたぁぁぁぁぁぁああああああああっ!!」

 




ぶっちゃけて言おう。
最後のやり取りがやりたかっただけです(オイ

これを思いついたのは『ドラえもん のび太の夢幻三剣士』を見たのがきっかけ。
正直、普段ののび太は甘粕の琴線にかなり触れるかもしれませんが、しかしそんな彼が時たまみせる勇気の在り方にはあの甘粕も認めてくれるとは思います。
それが、どういう結果を招くかは知りませんがww

そして最後に一つだけ。
これは一発ネタです。続きません。ほ、本当なんだからねっ(黙れ

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