問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~   作:biwanosin

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本日八回目、この作品は一回目の投稿です。

では、本編へどうぞ!


短編 畑の天狗、今に至るまで ④

あれから求道丸は言われたとおり、野菜を作っていた。

一度負けた以上、言うことは聞くようだ。

 

「へえ、本当に畑やるの初めてか?」

「まあ、これでも天狗だからな。遺伝子レベルでこの類のことは得意なんだよ。」

「ふぅん。じゃあ、もう次のステップに行くか。」

 

一輝はそう言いながらでかい台車を持ってきて、求道丸に渡す。

 

「じゃあ、そうだな・・・初めてだし十個ずつでいいか。」

「何がだ?」

「売りに出すやつだよ。全部十個ずつ乗せて、この地図のところに行って来い。俺のほうから話は通しておくから」

 

余談だが、この倉庫の中では季節に関係なく野菜を育てることが出来るため、結構な種類の野菜があったりする。

 

「売りにって・・・は?」

「そのまんまの意味。朝市でこの野菜を売って来い。相場とかは、向こうに行って向こうの人に聞け。さすがに俺は知らん。」

「まあ、わかったが・・・あ、その前に。」

 

求道丸はそう言って畑中を走り、一種類一個ずつの野菜を取ってきて一輝に渡す。

 

「一応、ここを貸してもらってる身だし、殺されずに済ませてくれてるからな。」

「お、くれるのか。」

「最低限の礼儀だ。」

「意外と堅いんだな、オマエ・・・」

 

一輝はそう言いながら地図と一緒に紹介状を渡し、求道丸を送り出した。

 

 

 

     ===========

 

 

 

「えっと・・・この辺りか?」

 

求道丸がついたところには、お寺があった。

 

「えっと・・・スイマセン。ちょっといいですか?」

「なんだい?」

 

求道丸は、とりあえずお寺の住職さんらしき人に話しかけた。

 

「あの・・・俺、寺西一輝って陰陽師の卵に言われてここに来たんですけど・・・」

「ああ、あの子の紹介かい。なら、君は妖怪だね?」

「はい。木の葉天狗の、求道丸と言います。」

「そうかいそうかい。なら、あそこにいる人のところに行きなさい。あの人に朝市のことは任せてあるから。」

「はぁ・・・ありがとうございます。」

 

求道丸はお礼を言ってから、住職が指差した方へと歩いていき、その人に話しかけた。

 

「あの・・・」

「なんじゃ?」

「えっと・・・寺西一輝の紹介できたんですけど・・・」

「一輝の?」

「は、はい・・・あ、これ紹介状です。」

 

求道丸はその人の持つ雰囲気に呑まれ、パッと招待状を渡した。

謎の威圧感がある人は、話しかけづらいものだ。

 

「ふうん、なるほど・・・更生期間中の妖怪か。持ってきた野菜はそれか?」

「あ、はい。一輝がとりあえず十個ずつといったので・・・」

「初めてのやつにこんなに持たせたのか、あの小僧は・・・その形の悪いのは何だ?」

「あ、これは・・・初めてなので、こういうのを食べてもらって、味を知ってもらおうかと・・・」

 

指差された一部の野菜を見て、求道丸は答えた。

 

「なら、売り物じゃねえんだな?」

「はい。」

「一つよこせ」

 

求道丸はすぐに渡した。

そうしないと何かされるんじゃないか、という恐怖のもとに。

そして、渡されたものが食べられていくのを、黙ってみていた。

 

「・・・あそこの木のすぐ前。そこで売ってろ。」

「はい、わかりました。・・・あ、それと。」

「なんだ?」

「売値を教えてください。」

「あんの小僧・・・この表のとおりに売れ。大体こんなもんだ。」

「あ、ありがとうございます・・・」

 

求道丸は言われた場所まで行き、表に書いてある値段を参考にして値札を作り、野菜の前に立てる。

そのままお釣りの確認などをして、やることもなくなったので求道丸は辺りを見回す。

 

「へえ、野菜だけじゃなくて果物に魚。肉や卵も売ってるのか・・・あ、服とかもあるな。野菜を売ってるのは・・・俺とさっきの人だけ・・・」

 

そんなふうに朝市の確認をしているうちに朝市は始まった。

そして、新しく見る顔を珍しく思ったのか、一人の女性が求道丸の前まで来た。

 

「あらあなた、始めてみる顔ねえ。新しく来た人?」

「あ、はい。今日始めてきました、求道丸と言います」

「そう。若く見えるけど、いくつなの?」

「いくつ・・・スイマセン。俺、妖怪なんで、途中で数えるの止めちゃったんですよ・・・」

「あら、妖怪さんだったの。そうは見えないから、驚いちゃった。」

 

求道丸は自分が妖怪だと知っても何も変わらない相手に、少し驚いていた。

 

「あら宮田さん。その人は新しい人?」

「ええ、宮崎さん。何でも、妖怪なんですって。」

「あら、やけに若いと思ったら、そうだったの。何て妖怪?」

「えっと・・・木の葉天狗です。」

「聞いたことないわねえ・・・赤っ鼻とは別の?」

「別ですね。」

 

求道丸は相手の勢いに押されながらも何とか対応し、ようやく野菜の話に入った。

 

「ところで、この野菜は時じいのテストを何回で合格したの?」

「時じいのテスト?」

「ええ。ここで物を売るには、あの人のテストを合格する必要があるのよ。」

 

求道丸は指差された方に先ほどの人がいるのを見て、何の事だか理解した。

 

「アレ、テストだったのか・・・今日持ってきて、すぐに許可されたけど・・・」

「あら、珍しい。あの人、中々許可しないことで有名なのに。」

「そうなんですか?」

 

求道丸はすぐに許可を貰っていたので、信じられない様子だった。

が、二人はそれに気付かず、野菜に興味を示す。

 

「そんな野菜なら、食べてみたいわね・・・」

「あ、それなら。形の悪いのでよければどうぞ。」

「いいの?」

「どうせ売り物になりませんからね。味を知ってもらうために持ってきたんです。」

 

求道丸はそう言って野菜を切り、さらに乗せて差し出す。

二人はその野菜を食べ、

 

「あら、おいしい!」

「すごく美味しいわ、これ!時じいもこれなら許可するはずよ。」

「ねえ、これ農薬とかは使ってるの?」

「いえ、使ってませんよ。害虫とかは、自分でとるか自然素材のものでどうにか。」

 

天狗の知識は、一部の分野で人間のはるか上を行く。

 

「体にもいいし、時じいも認める野菜。それなら安心ね。キュウリと大根、それにトマトももらえるかしら?」

「私は白菜とキャベツ。」

「あ・・・ありがとうございます!」

 

求道丸は自分の作った野菜が売れたことに喜び、嬉々として野菜を渡した。

そしてそれから、その二人がうまく働いたのか、次々と野菜が売れていく。

 

そこには、求道丸の性格もあったのだろう。

最初の二人はまだ子供がいる、位の年齢だったが、基本この朝市に来る客の大半は老人ばかりだし、売る側もそんな感じだ。

そんな中で求道丸のような(見た目)若い者がいれば人は興味を持つし、何より求道丸は老人の話をつまらないと感じることなく聞く。

そういった人のほうが知識を持っていることは分かっているし、妖怪に自分の年齢を数える習慣がないだけで、求道丸はまだ三十ちょい。

先人を敬う心を、フルに発揮している。

 

そして、そんなペースで売れていき、完売とは行かなくても大部分が売れたところで朝市は終わった。

 

「ふぅ・・・終わった。」

「ねえ君。」

「は、はい。なんでしょう?」

 

終わって一息ついていたところに声をかけられて、求道丸は驚きつつも対応した。

 

「ゴメンゴメン、驚かせちゃったね。ここに来るのは初めてだろう?もうみんな移動しているよ。」

「え・・・?あ、本当だ」

 

求道丸は辺りを見回し、もうほとんど人がいないことに気付く。

 

「もしかして、終わったらすぐに出て行かないといけないとかですか?」

「そう言うわけじゃないんだけどね。基本、朝市が終わったら皆でじいばあ食堂に行くことになってるんだよ。」

「そうなんですか・・・どうしてですか?」

「朝食を皆でそこで取るのが習慣になっていてね。売れ残ったもので豊ばあに作ってもらうんだよ。」

「そうなんですか・・・そこって、俺も行っても大丈夫なんですか?」

「当然じゃないか。」

「じゃあ、すぐに行きます!」

 

求道丸はそう言って準備し、教えてくれた人を台車に乗せてから急いでじいばあ食堂に向かった。

もちろん、安全を第一に配慮して。

 




こんな感じになりました。


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