問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~   作:biwanosin

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短めです。


では、本編へどうぞ!


短編 畑の天狗、今に至るまで ⑤

「はい、到着です!」

「いやぁ・・・車より早かったねえ・・・」

 

体術ばかりを強化した妖怪なのだから、当然だろう。

 

「ん?遅かったじゃねえか。」

「あ、どうも。終わったらここに集まってるとは知らなくて・・・」

「一輝のヤツは何にも教えなかったんだな・・・」

 

頭に片手を当ててそう言うのを、求道丸は苦笑いで見ていた。

 

「で?あまった分はドコだ?」

「あ、表の台車に乗ってます。」

「すぐにもってきて、そっちのばあさんに渡して来い。」

 

そう言いながら台所を指差したので、求道丸は初めの三分の一程度余ったものをまとめて運び、奥にいたおばあさんに渡す。

 

「あの・・・」

「あそこでの朝市では、毎日売れ残ったもんで朝食を作ってもらって一緒に食べることになってんだ。」

「ああ、それで残ったものを・・・」

 

求道丸はようやく現状を完璧に理解し、席に着いた。

 

「あ、時爺さん!ちょいとこっちにきてくれ!」

「なんだ、まったく・・・」

 

求道丸はそう呼ばれていったのを聞き、どこか引っかかったように頭を捻る。

 

「あれ?時じいってどこかで聞いたような・・・」

「野菜づくしじゃないかい?」

「あ!!」

 

求道丸は一輝に初めて食わされた定食を思い出す。

 

「じゃあまさか、あの人が・・・?」

「そう。野菜づくし定食の野菜は、あの人の畑で取れたものだよ。」

「知らんかった・・・」

 

求道丸が驚いている間に、全員分の朝食が運ばれてくる。

 

「って、調理スピード速くないか・・・?」

「ああ、君は知らないのか。豊ばあは千手様なんだよ。」

「・・・はい!?」

 

さすがの求道丸も驚いて固まっている。

すぐそこに千手観音・・・神様がいたのだから、当然だろう。

 

「気まぐれな人でねぇ・・・何を思ったのか、急に顕現して、食堂をやりたい、って言ったらしいんだよ。それが確か・・・百年位前かな?」

「そんなこと、あるのか・・・」

「あったみたいだよ。でも、証言できる人はいないんだよね。」

「できましたよー。皆さん、運んでください。」

 

そして、豊ばあが料理の完成を告げたことでその話は終わりとなった。

 

 

 

       =========

 

 

 

「おかえり、求道丸。初日はどうだった?」

「もっと前もっての説明が欲しかった。」

「何の問題もなかった用で何よりだ。」

 

一輝がそう判断したことに求道丸は眉を顰めるが、一輝はそんなこと気にもせずに話を進める。

 

「とりあえず、今日から来年のお前が捕まった日までは朝市に参加してもらうから。」

「それが、俺の更生期間か?」

「さすがに、誰も殺していないとはいえ意図的にやってたからな。問題なし、と頭の堅い連中に平和的(・・・)にハンコ押させるには、一年は必要だったんだよ。」

「まるで、平和的じゃなければ方法はある、みたいな言い方だな。」

「実際、あるからな。」

 

はっきりと言い放つ一輝に求道丸は一瞬ぽかんとしたが、すぐに話を戻す。

 

「じゃあ、俺がその間問題を起こさなければ、それで終わりなんだな?」

「ああ。一部の例外を除いて人に手を出したり、とかをしたらその瞬間にアウト。」

「いっそ逃げた場合はどうなるんだ?」

「逃げれると思うのか?」

 

一輝の実力は求道丸も知っているため、何も言い返せない。

 

「まあなんにせよ、一年頑張れば更生期間も終わり。人間と供に暮らすにしても暮らさないにしても、陰陽師に殺される心配はなくなるから。」

「それは助かるが、それでオマエに何の得があるんだ?」

「得?」

 

一輝は求道丸の言葉を理解できずに少しばかり時間を要したが、話の内容を理解する。

 

「ああ、そういうことね。はいはい。」

「で、どうなんだ?」

「そうだな・・・ないんじゃないか?」

 

一輝の発言に、求道丸は再び口を開いて固まる。

 

「まあ、一応陰陽師課の上から報酬は出るんだよな。全然割に合わないけど。」

「・・・ホント、なんでそんな仕事してるんだ?」

「前にも言っただろ。暇なんだよ。」

「嘘だろ、それ。」

 

求道丸ははっきりと決め付けた。

まあ、何度か一輝の仕事にもつき合わされているため、一輝がそこまで暇な生活をしていないことくらいは分かるのだ。

 

「信じてもらえないなんて、酷いなぁ・・・」

「絶対に違う、っていえる証拠を見せられたからな。で?実際のところは?」

「気分。」

 

求道丸が青筋を立てたので、一輝はまあまあ、と落ち着くように手振りで示す。

 

「これについては、わりと本気の理由なんだよ。なんとなくやりたいと思ったから、なんとなくでやってる。」

「・・・変人?」

「知り合いからは問題児って言われることが多いな。」

「ああ・・・」

「納得したような声を出すな。」

 

求道丸の心から納得した声に対して一輝が抗議の声を上げるが、何の意味もない。

だって、一輝なのだから。

 

「いや、普段の行動見てる限りだと、問題児ではあるだろ。それだけじゃなさそうだけどよ。」

「そうか?・・・まぁ、そんなもんか。」

 

一輝はそう言いながらまとめていた資料を空間倉庫に放り込み、求道丸のほうをむく。

 

「じゃああらためて、初日お疲れ様、求道丸。」

「おう。売り上げはどうしたらいい?」

「それ使って、必要なもんを買え。何か新しく育てたいものがあったら、それでもいいかもな。無駄遣いはするなよ?」

「了解。それなら、今から買いに行ってくる。」

「ほいほーい。」

 

そして、求道丸は何日かかけて果物を育てるのに必要なものをそろえ、倉庫の中で育てるもののバリエーションを増やしていった。

 




こんな感じになりました。

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