問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~   作:biwanosin

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まだ一時間おきの投稿ができています。


では、本編へどうぞ!


短編 畑の天狗、今に至るまで ⑥

「お買い上げ、ありがとうございましたー!!」

 

求道丸が一輝に捕まってからちょうど一年、更生期間最後の日の朝。

求道丸はいつも通り朝市で野菜を売っていた。

 

「相変わらず、求道丸さんは元気ねぇ。」

「あ、おはようございます中川の奥さん!いつもと同じのでいいですか?」

「ええ、お願いします。」

 

求道丸は慣れた手つきで袋に入れていき、代金を受け取りつつ袋を渡す。と、その時。

 

「オイジジイババアども!」

 

へんな不良が、朝市に乱入してきた。約二名。

 

「毎日毎日ウゼエんだよ労害!」

「いっつもこまけぇことグチグチと言ってきて、」

 

ドゴン!

そんな音が彼らの間でなり、一気に青ざめる。

音の発生源は、もちろん求道丸だ。

勢いで二人の間に拳を振り下ろし、一つのクレーターを作り上げていた。

 

「・・・今すぐ消えるか、これを喰らうか、どっちがいい?」

「・・・ど、どうせそんなことできやしねぇ、」

 

次の瞬間、求道丸に本当に軽く殴られ、吹っ飛んだ。

 

「もう一度聞くぞ?今すぐここを立ち去るか、それとも・・・」

「・・・ヒッ」

 

求道丸はもう一人の鼻先数ミリの位置で拳を止め、それ以上は何も言わない。

が、それでも十分に通じたようで、そいつは気絶している相方も連れて逃げて行った。

相方を忘れなかったのは奇跡だろう。

 

「はぁ・・・あ、ヤベ。手出しちまった・・・」

 

求道丸は一輝以上に感情に任せて行動するので、今になって後悔し始めた。

そして、そんな求道丸の耳に低い声が聞こえた。

 

「ほう・・・やはり、人間のガキでは何もできんか。」

「・・・誰だ!」

 

求道丸は自分の斜め上から聞こえてきた声に振り返る。

そこには、燃える車輪が浮いていた。

 

「・・・ほんとに誰だ?」

「オレの名を知らぬのか・・・妖怪の中ではそこそこに有名だぞ?」

 

なんとも拍子抜けする会話である。

 

「では改めて・・・オレは火車だ・・・といえば分かるか?」

「・・・ああ!こんなところに顕現する妖怪だったか?」

「それには、少しばかり事情があるのだ。」

「事情?」

 

求道丸はそれによっては一輝に相談しようと聞いた。

 

「うむ。最近死者が少なくてな・・・で、だ。仕事をするためにも自ら殺そうと、」

「ふざけんなぁ!」

 

が、一考の余地もなかった。

 

「いやいや、オレも無差別に殺すつもりはないぞ?一昔前なら死んでいた歳のものを殺すくらいなら、」

「い・い・わ・け・ねえだろ!!」

 

求道丸はそう言いながら、手が火傷するのもいとわずに下から殴り上げ、自分自身も火車の上まで跳ぶ。

 

「ま、待て!オレたち妖怪にとってその存在理由を保つことがどれだけ大切なことかくらい、」

「知るかんなこと!俺は、実際にこうして問題なく暮らせてるんだよ!」

 

そして、両の掌を合わせて頭上にもってきて、

 

「是害流体術究極奥義、超絶虚空!!」

 

思いっきり叩きつけ、火車も地面に叩きつけられてボロボロになる。

が、そのまま姿を薄れさせていき、消えた。どうやら逃げたようだ。

 

「はぁ・・・これはもう、言い逃れできねぇな・・・」

 

求道丸は目の前と後ろに出来ているクレーターを見て、肩を落としながら、のろのろとした動きで一輝の家に向かって歩き出した。

 

 

 

      ==========

 

 

 

「あ、別にオマエ何にも問題起こしてねえぞ?」

「・・・え?」

「いや、妖怪と契約してたバカをとっちめて、その大元の妖怪を追い払ったんだから、問題あるわけねえじゃん。」

「いや、でも、証拠とか・・・」

「証拠1、あの朝市の場にいた人全員からの証言。証拠2、妖怪と契約したバカ共は既に捕まってる。あってるよな、悟?」

「ええ。全て証拠として受理されました。」

 

一輝の質問に、その場にいた男性が答える。

 

「その人は・・・」

「あ、どうも初めまして。私、刑事やってます悟です。今回の件について報告等に来ました。ついでに言うと、妖怪のサトリです。」

「んで、コイツに証人などの証言があってるかどうか、頭の中を覗いてもらって確認してもらった。」

 

求道丸が口をあけて固まっている間に、一輝はさらに証拠を取り出す。

 

「で、これが最後の証拠だけど・・・今回出てきた火車の魂。」

「・・・は!?」

 

一輝がさらっと取り出した瓶を見て求道丸が目を見開く。

 

「さっき実体を解いて逃げてくのを見たから、ついでに封印した。ま、後は権力でも使えば文句を出すやつらはいなくなるだろ。」

「・・・・・・オマエ、何者?」

「だから、ただの陰陽師の卵だよ。」

「にしては、一輝さんの権限って強すぎますよね。今回も、陰陽師課から直接、これ以上の調査をするな、という命令が来ましたし。」

「・・・ま、いっか。これから言うことは一応国家機密みたいなもんだから、誰にも言わないでくれよ。」

 

つっても、もう結構の人にばらしてたりするんだけど、と一輝は前置きしながら話す。

 

「俺さ、これでも席組み第三席、『型破り』なんだよ。」

 

その一言に対して、二人は信じられない部分が多いながらも、納得してしまっていたためにこれ以上何も言ってこなかった。

 

「じゃ、話を変えて・・・これからの求道丸について。」

「あ・・・そうか。もう今日で終わりか。」

「そうなるな。で、どうする?戸籍作ってどっかで暮らすならその辺りの手続きしてくるし、まだ人との共存は・・・って感じなら、その手続きをしてくるけど。」

「・・・どうするか・・・」

 

求道丸はない頭を捻って悩み、

 

「じゃあ、このまま、で。」

「というと?」

「アンタの倉庫を借りて、このまま農業を続けていく。」

「さらっと倉庫一個貸せって言ってきたな。」

 

一輝は少し驚きながらも、断ろうとはしない。

 

「で、何が目的?」

「そうだな・・・農業にはまった。」

「そ。まあ十分だな。たまには俺の仕事も手伝わせるからな?」

「了解!」

 

そうして、求道丸の倉庫残留が決定した。

ただし、求道丸に他の意図があったことを、一輝は知らない。

 

その意図とは、一輝という人間の底を知ること、だ。

まあ、いまだにその目的は果たされておらず、むしろ尊敬の念がはいってきた結果、今の求道丸がいるわけだが。

 

余談だが、求道丸が破壊したものや一年の間に起こした小さな問題は全て一輝が片付けていたということを聞き、一生頭が上がらなくなった。

 

 

 

     ==========

 

 

 

「と、そんな出会いだったよ。」

「・・・とりあえず、一輝さんがもといた世界でも規格外だった、ということは分かりました。」

「えー・・・」

 




次からは、乙のサーカスをやろうと思います。


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