問題児たちが異世界から来るそうですよ?  ~無形物を統べるもの~   作:biwanosin

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なんか、変なテンションだったんでしょうね・・・寝る前に合計三話も投稿するなんて。


では、本編へどうぞ!


鍵の継承

一輝が主催したゲーム、『神明裁判』。その効果範囲を少し外れた場所に、一つの神殿が建てられていた。

その周りには様々な微精霊が漂っており、神聖な雰囲気を漂わせる。古くから存在し、人々から信仰を与えられてきたと言われれば誰もが信じてしまうであろう。

 

だが、この神殿はもともと存在していたものではない。

 

つい半日前までは、ここは何もないただの草原であった。たった半日の間に、この神殿は出来上がったのだ。

 

神殿の周りにいるのはその神聖に引かれてきた微精霊だけではない。疲れきってぐったりとしている精霊がいた。おそらく、彼らがこの神殿を組み立てたのであろう。

ではなぜ、立った半日しかたっていない建物にそれだけの神聖が存在するのか。その秘密は、この神殿の主の存在にある。

 

彼は、大量の生物を捕らえて神殿に帰ってきた。

捕まっているのは亜人種等の箱庭の住人。彼らは当然逃げようとするが、逃げられはしない。

ここの主である彼は生粋の神霊。並みの相手では太刀打ちできるはずもないのだ。それゆえ、彼は暴れているのを気にもしないで全員を連れて神殿を進んでいく。

 

「おかえりなさいませ、オベイロン様。贄を集める程度の事、このわたくしめに任せていただければよろしいですのに。」

「これは私の仕事だよ、パック。我が花嫁を元に戻すための贄を集めるのだ。私がやらなくて誰がやる。」

 

そう言いながらその神霊・・・オベイロンは、パックにも持ってきた贄の一部を持たせて、神殿の奥へと進んでいく。

そうして進んでいくと・・・茨に囲まれた、より一層神秘的な空間があった。そして、そこには人が一人、茨の中心に存在した。

彼女は両手を天井から伸びている鎖に捕らわれ、脚も床から伸びている鎖で拘束されている。

 

「さあ、どうだねタイターニア?」

「誰が・・・タイターニアよ・・・」

 

彼女・・・音央は苦しそうにそう言って、オベイロンをにらみつける。

 

「ああ、まだ記憶は戻っていないのだね。だが、安心してくれたまえタイターニア。君の記憶が戻るまで私は贄を集め続ける!」

「そんなもの、いらないっつってんでしょうが・・・!」

 

さらにきつく睨みつける音央の目を、しかしオベイロンは気にもしないで音央に近づき、繋がれている鎖を手に取った。

その鎖にとらえてきた生贄を一人ずつ触れさせ、その瞬間にその人は鎖に吸い込まれていく。

吸い込まれた人はそのまま音央に流し込まれ、生贄を与えられたことで音央の霊格は挙がっていく。

音央が何を言おうとオベイロンはその作業をやめず、全員を音央の糧としてから満足そうにその場を離れた。

 

そして、その場には音央だけが残され・・・彼女はただ、涙を流していた。

 

 

 

  ========

 

 

 

「ここが、封印の間の入口ですか?」

「そう、鬼道の一族が誕生した理由の一つ。・・・アジ=ダカーハと戦う以上、これも渡しておかないとな。」

 

そう言いながら示道は刀印で何かを描き、ぬらりひょんはそれに妖術をかけてから二人の方にとばしてくる。

それは二人の右手付近を漂い、湖札の方はそのまま右手に入り込んで同じ物を掌に描いた。

一輝の物は右手の周りを少し回った後、左手に回ってそこに同じ物を描いた。

 

「ん?右手に何かあるのか?」

「ああ・・・これがあるな。」

 

一輝はそう言いながら袖をまくり、呪力を流してそこに刻まれている刻印を浮かび上がらせる。

 

「それは・・・封印か?」

「正解。あんたが生きていた時代はどうだったか知らないけど、最近は席組み全員にかけられてるんだよ。」

 

近代に近づくほどに、席組みに対する民からの信仰は強くなっていく。

そこにはアイドルのような形の物、憧れといった形のものが含まれるが、これもまた信仰の一つ。

さらに、霊獣殺しともなれば英雄のように扱われ、死後は神としてまつられていく。

それゆえに、大きくなりすぎる霊格を普段は封印されているのだ。

 

「それは、つまり・・・全力を出せないのか?」

「そうでもない。席組みの上から三人には、全員の封印を解ける呪印()が与えられてるからな。」

 

一回も自分の解いたことないけど、と言いながら一輝はそれを消し、袖も戻す。

 

「え・・・じゃあ、私と戦った時もそんな枷を付けた状態で?」

「そうなるな。これ、俺みたいなのが・・・霊獣殺しが解除すると、溜めこまれてた霊格と呪力が一気に解放されてクレーターができるし。」

 

まあでも、箱庭なら被害も少ないか。あっても何とかなるだろうし。と危険なことを言いながら一輝は新たに刻まれた刻印に目を落とす。

 

「で、これはなんだ?」

「ああ、そうだったな。・・・それは資格を、力を持つ鬼道に与えられる封印の間の鍵だ。」

「ふ~ん。」

 

一輝は生返事をしながら扉に手を向け、鍵を開く。

 

「簡単に開くんだな。これはここにいないと使えないのか?」

「いや、外からでも使える。むしろ、歴代鬼道が戦闘中に使い、力を与えるためのものだしな。」

 

歴代鬼道。それは、鬼道家の当主となった物、という意味だ。

さらには、一輝を含めて六十三人いる中でも、実力が十二分にあると認められたものだけに与えられる鍵。

与えられた者は、神殺しや霊獣殺し。そう言った大業を成したものであったりそれ以上の存在を殺し、封印したもの。そうでなくとも、強者であれば与えられる。故に・・・

 

「あの・・・それって、私ももらってよかったんですか?」

「まあ、前例はないが問題ないだろう。おぬしは神を単独で殺したのじゃから。」

 

湖札にも、例外的に与えられた。

そして、一輝が開いた扉の奥に向けて四人は進んでいき・・・それを、視た。

九体の封印。それは前回一輝が来た時と同じであるように見えたが、一つだけ違うものがあった。

 

「これ・・・この前来た時はもっと存在が希薄じゃなかったか?」

「ま、そうだったけど今回はもう半分も・・・一時的に同化してるしな。」

「・・・湖札がここにいるのが理由か。」

 

一輝は納得した様子で頷き、もう一度それらの封印を眺める。

 

「相も変わらず、ものすごい格の違いを感じるな。こんなの相手には絶対にしたくねえ。」

「が、それをしないと強くなれない。さっき渡したのには、こいつらの封印を解くカギも組み込まれてる。」

「マジかよ・・・」

「と言っても、外に出すかどうかは自分たち次第だ。どうやって力を借りるのか、それは自分たちのやり方でやってくれ。」

「一輝のには全ての者の鍵を、湖札の者には半分ずつで封印されている物の鍵を、それぞれ組み込んでおいた。うまいことやるんじゃな。」

 

その瞬間、一輝はうへぇ、と面倒そうな顔になった。

一体でも間違いなくキツイのに・・・と考えているのだ。

 

「あ、でも。こいつら倒した本人にはやけに従順だから頑張るのは一輝だけだな。」

 

一輝はその言葉に安心しつつ、同時に苦労するのは自分だけか―、と内心愚痴っていた。

 

「・・・はぁ、まあいいや。最悪、もう一回倒せばいい。」

「それが一番手っ取り早いであろうな。」

「なら、もうそれでいいや。早いとこ、一族の役目について話してくれ。」

 

そう言いながら、一輝は一番近くに有った像に手を触れた。

 

「戻ってきた記憶の中にあったあれ。あれを倒すのが一族の役目だというのなら、あれはいったい何者・・・いや、あれは一体何なんだ?」

 

そう言って、一輝は当時のことを思い出した。

 

 

 

  ========

 

 

 

鬼道の一族と分家は年に一度、各家の当主が本家に集まるしきたりがある。

と言っても、これはどこの一族にも存在するしきたりだ。

これは今から十年前。一輝が六歳、湖札が五歳の時に行われたしきたり。その日に起こった史実である。

 




まずは二人の過去話を、お届けさせていただきます。


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